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先天性内反足とは生まれつき足の部分が内反・内転・尖足になっている病気です(ただし、神経筋疾患、多発性関節拘縮、骨系統疾患など、他の疾患に伴う場合は通常含めません)。原因はわかっていませんが、足を構成するいくつかの骨の形態ならびに骨どうしの配列に異常のある疾患です。細かい点は対立する見解もあるのですが、病態の本質的な部分についてはすでに明らかになっています。
先天性内反足は整形外科学のなかでも歴史のある重要な疾患です。かってはこの疾患の病態(仕組み、成り立ち)がよくわからなかったこともあって治療はかならずしもうまくゆきませんでした。しかし現在では足の外科の診断学・治療学は大きく進歩し、小児整形外科専門医のもとで正しく治療を行えば、正常足、或いは正常とはゆかないまでも日常生活に不自由の無い足を形成することができます。ただし、この疾患の治療における問題点はこの疾患に精通した小児整形外科医が極めて少数であり、しかもますますその数が減少していることです。そのため、我が国の多くの地域において生まれたばかりの赤ちゃんが正しく治療を受けることができないことが大きな問題となっております。
生まれたばかりの赤ちゃんを遠方の専門施設に通わせるわけにはいきません。その場合には、母子ともに外出が可能になった段階で専門医を訪ねるということでよいと考えます。非専門医が中途半端に治療すると、それ以後の治療は困難を極める事が多いからです。生まれてから数カ月、半年にわたって治療を受けなくても、その段階で専門医のもとで正しく治療を開始すれば不自由の無い足を形成できます。生まれたばかりの赤ちゃんの足の変形に御両親はびっくりされるかもしれませんが、この点をしっかり認識し、あせる事なく御家族皆で力をあわせて治療にあたればかならず満足のゆく治療成績が得られるはずです。
以下は現在当センターで用いている内反足の治療法についての記載です。
少し専門的ですが参考になれば幸いです。
診断にあたっては、症候性内反足(基礎となる病気、例えば多発性関節拘縮症などによる内反足)、麻痺性内反足などの可能性を念頭において全身の所見をチェックする。これらの場合は保存療法に抵抗性であることが多く、児の運動機能予後も考慮した上で治療方針をたてる必要がある。
保存療法を原則とし、可及的早期より治療を開始する。
治療手技はPonseti法(ポンセッティ 米国)に準じて行う。
(やや専門的ですが、詳細はhttp://www.global-help.org/publications/books/book_cfponseti.html(外部サイトへリンク)に入り、Download欄にあるView or Print(PDF)[Japanese]によりダウンロードすると徳島大学安井先生によるPonseti法について詳しく記載されている日本語版の説明書が入手できます)
保存的治療で十分な矯正が得られない変形については手術を考慮する。できれば児が起立や歩行を始める前に治療が完結するように手術を計画する。