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先天性股関節脱臼の予防

先天性股関節脱臼の予防法の本質は、「赤ちゃんの下肢の自由運動を妨げない」ということです。しかしながらこの予防についての大きな誤解があります。一番大きな誤りは、おむつを股間に何枚も当て、無理矢理赤ちゃんの股関節を開かせよう、というものです。股に厚いおむつをする、というのはこの脱臼予防運動の本質とは異なります。こうした誤った方法についてはこの脱臼予防運動を創始された石田先生も大変憂慮されていました。『下肢の伸展位での持続的強制をやめて自由な下肢の運動を促そう』、ということがいつのまにか、前半の『下肢の伸展位での持続的強制をやめて』という部分だけが強調されて誤って広がったものと思われます。また、最近ではベービースリングの流行もあり現場の保健師さん達も正確な情報が不足しているのが実情のようです。

ベビースリングについてを参照してください

おむつなどしていない熱帯地域の民族では脱臼が少ない(皆無?)といわれています。脱臼予防という点だけを強調すれば、おむつなど無しにして下肢を自由に運動させるのがよいのです。しかしながら、私達は文明生活をしているのでやむなく赤ちゃんにおむつをしているわけです。そこで自由な下肢の運動を促すためにおむつを股だけに薄く当てる、というのがわが国における(世界に例のない)脱臼予防運動の本質です。

我が国の予防運動の提唱者の石田先生の論文を原著のまま御紹介いたします。「予防とは、生後1日からの自然肢位だけでなく、自由な運動をさせる育児です。股間にたくさんおむつをあてるのは、この目的にとってむしろ不利です。その理由のひとつは、股間にたくさんおむつを当てると、おむつカバーとともに膝のほうへぬげやすく、その結果巻きおむつとおなじようになって逆効果です。もう1つの理由は、開排位に矯正して固定すると、大腿骨骨頭に血流障害をおこす可能性があります。」石田勝正著、図説、先天性股関節脱臼、より。

オムツの当て方を参照してください

通常の亜脱臼・脱臼は治療の対象であり、予防法の意味はありません。軽度の亜脱臼(タイプAI-I脱臼)の場合には赤ちゃんの育児環境を良好に保つことにより、自然治癒を促すことが可能です。軽度の亜脱臼とは、赤ちゃんの股関節を伸展した時は骨頭と臼蓋はずれていても、開いた(開排)時、骨頭と臼蓋とが正しい位置関係になる場合です。私達の研究から、軽度の亜脱臼では下肢取り扱いの注意を守るだけで自然治癒する場合が多いことが明らかになりました。逆に赤ちゃんの下肢の扱い方を誤ると軽度の脱臼でも進行してゆきます。赤ちゃんの下肢取り扱い方法とは、特別に難しいものではなく、その基本は赤ちゃんの下肢の動きを妨げない、言い換えれば下肢を充分曲げる事も、また充分伸ばす事もできる、ということです。これから、その方法を紹介します。

抱き方についてを参照してください


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