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乳児や幼児の側彎症の治療においても基本的には装具療法が基本となります。この年令では麻痺などの症状がなければ装具に対する適応能力が高く、本人はすぐに慣れて装具療法が比較的スムースに行なわれることが多いように思います。お子さんによっては装具をつけないと寝れない、というくらい装具に馴染む場合があることを経験しております。
装具療法にもかかわらず50度を超えるような高度な側弯になった場合にはもう装具の適応はなくなってきます。10才を過ぎていればこの時点で脊椎固定術が選択されますが、固定をすればその固定された範囲の脊椎の成長は停止します。もし、乳幼児の時期に脊椎固定を行なうと脊椎の成長がありませんので、坐高が低くなってバランスの崩れた体型となるおそれがあります。そのため、この年令の高度側弯に対しては、これまで骨固定をしないさまざまな矯正方法が試みられてきましたが、いずれも満足の行く結果が得られませんでした。
ところが最近、技術や器械の進歩によって、新しい方法が開発され、すくなくとも短期的には優れた成績が得られるようになっています。これはGrowing Rod Technique(伸長可能な矯正器械を使う方法)といって、脊椎を固定しないで矯正をし、可能な限り脊椎が成長するのを待って、10才を過ぎた時点で最終的に脊椎固定を行なう、という方法です。これは、米国のAkbarnia,英国のMarks等によって発表された方法で、本センターでも2000年から開始し、これまで6例におこなってきました。もちろん簡単な方法ではなく、特別な技術と経験を必要とする難しい手術ですが、これまでのところおおむね良好な成績をおさめています。
3才女子。
高度な側彎があります。
骨固定はしないで、成長とともに伸びる金属棒により矯正します。半年~1年おきに金属棒を伸ばしてゆきます。10才をすぎたら最終的に骨固定をおこなって終了します。