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脳性麻痺

脳性麻痺の整形外科的治療について

治療の基本的考え方

脳性麻痺とは、出生前後の様々な原因によって脳神経細胞が障害されて生じる運動麻痺のことです。脳性麻痺においては、四肢・脊椎の筋肉は協調性を失い短縮したり過緊張したりします。この状態が長く続くと、関節は本来の可動性を失い、変形が進んで患者さんの日常生活は著しく制限を受けるようになります。脳性麻痺の整形外科的治療は、「脊柱・四肢の変形・拘縮等を除去し、その子が本来持っている能力を最大限に発揮できる身体的条件を整えて日常生活がより快適に過ごせるようにすること」が目標です。具体的には、変形した骨・関節・筋肉を正常の形態に近づけ、不良姿勢を矯正して効果的なリハビリにつなげることです。身体の変形を残したまま訓練を続けても効果はあまり期待できません。たとえば股関節が脱臼したままで歩行訓練をおこなったと仮定してみましょう。体の支えの無い状態では、いくら歩こうとしても正しい歩行パターンは得られず、また正しい歩行にとって必要な筋肉が発達しないことは容易に理解できると思います。
脳性麻痺の整形外科的手術療法には大きな誤解があります。たとえば「整形外科的手術によって歩けるようになった」ということがしばしば主張され、論議されています。しかし、このことをもっと正確に言うならば、「手術によって本来その子がもっている歩く能力をさまたげている種々の因子が取り除かれ、その結果歩行が可能になった」というべきであります。歩けるようになるかどうかはその子のもっている神経学的能力によって決まります。したがって歩行に必要な神経学的発達が見られない場合にはどのような治療をおこなっても残念ながら歩行はできません。この点はしっかり押さえておく必要があります。不可能な目標をたててそれに向かって治療をおこなっても現実的ではないからです。実際には5-6才までに歩行ができるようになった場合には、その後なんらかの形で歩行が可能となることが経験上わかっています。したがって、小学校入学までの訓練ならばに整形外科的変形矯正手術が重要となります。

治療をすすめる上で一番大切なことは御家族の協力です。お子さんを中心に家族全員が力を合わせて治療を進める、ということはどのような小児疾患についても言えるのですが、とくに脳性麻痺の治療ではこのことが重要となります。

本センター整形外科では1988年から本格的に脳性麻痺に対する外科的治療を行ってきましたが、その症例数はすでに200例を超えました。これまでの経験から、どのような場合に手術療法が必要か、また手術の結果はどのようになるかは明らかになっております。
脳性麻痺においてよく見られる変形は、足ならびに足関節の変形、膝・股関節の拘縮(関節が伸びないこと)、股関節脱臼、脊柱側弯、上肢の拘縮です。

1。足の変形は尖足・内反・外反などであり、これらの変形があると歩行が不自由になり、坐位での下肢の安定が妨げられ、長時間坐位が困難となります。坐位姿勢では下肢の重みは足底で支えることになりますので、足底が正しく床に接地していないと長時間坐位は安定しなくなるわけです。足変形のパターンや重症度に応じて様々な手術があります。たとえばアキレス腱延長手術は極めて簡単で、20分程度で終了しまが、内反・外反変形に対する手術はやや複雑で2-3時間かかる場合があります。

2。膝・股関節の拘縮があると立位姿勢が悪くなるだけでなく、坐位の時骨盤が前方に移動し脊柱が丸くなって頚、頭が安定しなくなります。また、股関節拘縮を放置しておくと、やがて脱臼が発生します。膝・股関節の拘縮変形に対しては、関節周囲の複数の筋肉を腱の部分で延長し正常にできるだけ近い長さに調節します。

3。股関節脱臼。股関節は人体で最大、最強の関節で、脱臼があると立位、歩行、坐位など人間の基本的な姿勢や移動が大きく障害されます。したがって、可能な限り本来の形態に治さなくてはなりません。また、脱臼が高度になると股関節周囲筋の緊張により堪え難い痛みが発生することがありますので、注意して観察してください。股関節の痛みについては意外と知られていませんが、本人にとっては痛みはもちろんのこと、睡眠障害など本人にとっては大きな苦痛となります。股関節脱臼がある場合には、単に関節周囲の筋肉が短縮しているだけでなく、大腿骨や骨盤が変形しているのが普通です。したがって、多くの場合、脱臼を整復するだけでなく、大腿骨頭を短縮したり、骨頭の向きを変えたり、骨盤の骨手術によって臼蓋の方向を正しく矯正する手術を同時にしなければなりません。高度な技術が要求されますので、この手術の実績豊富な施設での治療が必要です。

4。側彎。脊柱は姿勢を保持するのに大切なものです。側彎が生じると、体幹のバランスが崩れて坐位安定性が失わます。姿勢保持が不可能となって、食事動作や学習の持続などが困難となるだけでなく、手の作業や周囲を見つめながら形成されてゆく知的発育なども障害されます。側彎に対する手術療法は簡単なものではありませんが、変形によって生じる障害の大きさを考えると、なんとしても治さねばなりません。本センターでは、1995年から今日まで、脳性麻痺による側彎の手術治療を30人以上の患者さんに行いました。初期には手術に伴う合併症も経験しましたが、これらの問題点を分析克服して、現在では安定した成績が得られるようになっています。術後には姿勢が良好となり、坐位が安定するだけで無く、食欲の改善など消化器系や、風邪を引きにくくなるなどの呼吸系への良い影響が見られています。年令的には10才から15才までに行うのが望ましく、その年令を超えると脊柱が硬くなって矯正が困難になってきます。この場合には前方操作が必要になり手術時間も長くかかります。したがって、10才以上で彎曲が50度以上となりバランスが良くなければ手術の適応となります。

脊椎彎曲と骨盤の傾きの為、座位が障害されます。側彎手術により安定した座位姿勢がとれるようになり、手も身体を支える仕事から解放され自由になっています。目から刺激と、手を使うという動作によって大脳が発達しますが、これは安定した座位姿勢によって初めて可能となります。

5。上肢の変形があると、手の清潔が保ちにくくなったり、服の着脱がやりにくくなったりします。上肢の手術によって手の機能的改善を得るのは難しいのですが、生活の介助を容易にすることは出来ます。坐位が安定している場合には考慮しても良い手術であります。

お問い合わせ

病院事業庁 小児保健医療センター
電話番号:077-582-6200
FAX番号:077-582-6304
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