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がん情報しが

滋賀県のがんに関する情報を集めた、
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がんとともに生きる

がん相談・緩和ケア

がんだからとすぐに仕事を辞めないで、続けられる方法を見いだすことが大きな励みになります。

取材日:平成27年11月

藤田陽子さん(64歳)平成18年 乳がん手術

がん治療の経緯について教えてください

写真:藤田さん1

私は2006年9月に乳がんと診断されてからも、准看護師として働いています。同じ年の3月に姉が食道がんになり、8月に亡くなりました。その姉の闘病中に、私は胸にしこりがあることを話し「早く検診を受けなさい」と言われていました。乳腺外来に行ったのは姉の四十九日の一週間ほど前で、今から思えば姉が背中を押してくれたように感じています。そしてその日のうちに、がんの告知を受けました。医師には「姉の四十九日まで手術を待ってください」と言ったのですが、週単位で待っても月単位では待てないと言われ、事の重大さを感じたことを覚えています。

がんを宣告されたとき、どんな気持ちでしたか?

医療に従事しているにもかかわらず、自分は貧血もなく元気に働けているのだから大丈夫と思い込んでいました。ですから姉の一言に助けられたと思います。乳がんを宣告された時は姉が56歳で亡くなった後で、父も59歳で胃がんで亡くなっているので、私の家系はがんになったら還暦まで生きられないなという思いが頭をよぎりました。

どのくらいで職場に復帰されたのですか?

2006年9月27日に手術してから3ヶ月ぐらいで復帰できるだろうと思っていましたが、抗がん剤治療の副作用で、なかなか体調が整わなかったので抗がん剤治療が終わる3月まで休職することにしました。その後、体調も回復し3月19日無事に仕事復帰することができました。でもまだ、髪の毛が生え揃わない状態でしたのでかつらをかぶって出勤していました。

気持ちが前向きになったきっかけは何かありましたか?

写真:藤田さん2

やはり職場でみんなが待っていてくれているということが大きな励みになりましたね。実際に職場に復帰したら、上司が「本当に待っていたよ。」と言ってくださって、とてもうれしかったです。復帰する場所があると考えると前向きになれました。2016年2月で今の職場で働いて20年になります。20年前からずっと透析室で勤務していて、患者さんには心配かけないように、病気で休んでいると気付かれないようにしていました。それで復帰したとき、「藤田さん、半年もどこへ言っていたの? 世界一周でもしていたの?」と笑われましたが、それぐらい元気な姿だったようで、ほっとしました。その後、透析室の機関紙に「一病息災、一つ病気があったとしても元気にがんばりましょう」というメッセージを書いてはじめて皆さんは私のがんを知り、驚かれていました。

がんになった後、仕事を続ける上で困難だったことはありますか。

職場復帰はできましたが、やはり体力が落ちています。患者さんの移動など、力仕事はできなくなりました。患者さんに怪我をさせてしまってはいけないので、職場の皆さんにお話し理解を得て、力仕事や高い所のものを取る、ということは協力してもらうようにしました。こうしたことをストレートに言える職場でした。その点では、職場環境にとても恵まれていたと思います。仕事に復帰されるときは、自分の出来る事、出来ない事をきちんと医師から聞いて、職場と相談して無理のないように職場復帰する事がすごく大切だと思います。もちろん今は力仕事も高い所に手を伸ばすことも大丈夫です。

今後、ピアサポーター(がん患者とその家族を応援する人)として何を伝えていきたいですか。

写真:藤田さん3

がんになったからといって、「仕事をすぐに辞めないでください」、と伝えたいです。再就職先を探すとき職場にがんであることを伝えて就職することと、がんを伝えないで就職することには、どちらにもリスクが伴うとハローワークの方が言っておられました。伝えたために就職を断られることもあれば、伝えなかったために自分にはできない無理な仕事を強いられる場合もあります。ですから仕事をしておられる方は、職場の方と十分にお話された方がいいと思います。まずは辞めないことが、一番大切だと思います。また、職場によっては、がんを理由に解雇されることもあると聞いています。そういう方へのサポートも必要だと感じています。「一年半は病気を理由に休職できるので、すぐに辞めないでその間にゆっくり治療を受けながら考えましょう」、とアドバイスしていきたいです。

藤田さんにとって、がんと共に生きる秘訣は?

くよくよしないで前向きになることです。がんになったとしても、出来ることはたくさんあると思います。春には桜を見に行こう、夏にはどこへ・・・と四季折々の花を見に出かけるのも楽しみの一つです。子どもや孫の成長も楽しみです。このように、何か楽しみを持って過ごすことで、前向きになれました。それに、寝ていてもできることもあります。私の入院中は、クロスワードパズルの本などを買ってがんを忘れる時間を作りました。そして、動ける様になったら次は車に乗れるように体力をつけようなど無理のない目標を持つようにしていました。常に何らかの無理のない目標を持つことががんと共に生きる秘訣になると思います。

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