昔からよく使われていた方式で、大雨が降りやすい梅雨時期から台風シーズンを含む秋までの間など季節的に、水を一杯に貯めず貯水位を低めに設定する方法です。
近年では、大きな台風等が予想されるとき、緊急的に数日前から低い貯水位にする「事前放流」という方式も全国的に導入しており、滋賀県のダムも試行を始めています。
大雨が降りそうなときに、貯めていた水を急いで流して水位を下げ、洪水に備える方法です。このやり方ですと、利水に必要な水を流してしまったのに、予測していたよりも雨が少なかった(「空ぶり」と呼んでいます。)ということも考えられます。 普通、制限水位方式と組み合わせて採用します。
近年、「事前放流」方式を採用しているダムが多いですが、これも本質的には予備放流方式と同様です。ダムの建設計画に織り込み、かつ操作規則に規定している方式が予備放流方式で、実施要領をあらかじめ決め、洪水規模に合わせて対応しているのが事前放流で、滋賀県内ダムも試行を始めています。
最近のダムで使われる方法で、利水に使う水の上に洪水に備える空っぽの空間を積んだ方式です。この方式は、水の出の速い集水面積(流域面積)が小さいダムでは近年、安全確実な方法として日本では標準的に採用されています。県内では、宇曽川ダム、青土ダム、姉川ダムなどがこの方式となっています。
オールサーチャージ方式のダムの外見上の特長は、いついっても水面が低く、その水面から上部のダム湖の斜面が緑におおわれていることで見分けがつきます。下の写真は宇曽川ダム、青土ダム、姉川ダムのダム湖です。
これまで、実際に県内でつくられた治水関連ダムでは、治水目的だけのものはほとんどなく、川の水が細ってしまうのを防ぐための河川機能維持用水をはじめ、利水目的を効率よく兼ね備えた多目的ダムがつくられています。
現在事業中止中の北川ダムでは、洪水の時だけ水を貯める、治水目的のみの環境に配慮した「流水ダム(河床部穴あきダム)」としていました。
既に完成しているダムでは、次の図例のように多方面にわたる業務を総合的に行い、ダムを安全に運用維持管理しています。