小田原城や清水寺、本能寺など、全国各地の社殿等で使われている瓦です。
焼成が終わった後に瓦をいぶすことで、「いぶし銀」といわれる自然に近い色になるのが大きな特徴です。
原材料である落葉樹の「雁皮」の樹皮は繊維がとても細かいため、絹のようになめらかで光沢ある質感の紙が生まれます。
美しいだけの紙ではなく、強靭で耐久力が強く、永久保存に耐えられるといわれています。
江戸時代に、土産物として描き売られていた民画が始まりです。
ユーモラスで風刺のきいた絵柄、そして独特の鮮やかな彩色からは、ポップさも感じられます。絵の意味を考えるなどして楽しむことができるのが魅力です。
絹100%、草木染め、手組みで作られている組紐です。草木の染料には多くの不純物が含まれており、それによって淡く渋みのある色が出ます。
組紐は無数の糸を組み上げて作られており、丈夫で模様が美しいのが特徴です。
大津市で焼かれる陶器で、素朴な形と黒みを帯びた色合いが特徴で、とても薄く、軽い焼き物です。
遠州七窯の茶陶の一つとして名高く、茶入や水指に優れたものが多く見られます。
結納時の袱紗や着物の帯、祭礼用の幕地や舞台緞帳など、ハレの日を彩る織物です。
手織り物の中でも特に高い技術が求められるため、朝廷や徳川幕府に献上されるなど、日本最高峰の芸術品として愛されてきました。
滋賀県は薬草栽培に適した気候風土に恵まれ、伊吹山は古来より薬草の一大産地でした。
製薬会社が次々と創業し、現在では伝統ある配置薬をはじめ医療用・一般用医薬品の製造を行っています。
甲賀市信楽町周辺で作られる陶磁器で、「日本六古窯」の一つです。
焼成時の窯の中の環境の違いによって風合いが変わり、様々な表情を楽しむことができます。縁起物のタヌキが有名ですが、様々な種類の焼き物があります。
全国の神輿制作を行っている県内唯一の神輿制作会社「さかい」。
天然国産漆100%を用いた漆塗りを現在でも行っていて、数か月でできるものもあれば数年かかるものもあるといわれています。
素朴な柄と呉須の深い藍色が特徴的な下田焼。
昔ながらの製法・絵柄を大切にしながらも、濃い藍色を生かしたシンプルなデザインからは、現代に通じる新しさも感じます。
自然に発酵させた藍液を使っている全国でも数少ない染物で、原料である蓼藍の栽培から行っています。
こだわり抜いた原材料と製法から生まれる美しい藍色はとても印象的で、全国のデザイナーやアパレル会社から依頼が寄せられています。
江戸時代に彦根藩で始まり、藩窯として栄えた焼物です。明治時代に閉窯となりましたが、昭和の終わりに再興されました。
磁器は薄く青みがかったものが多く、そこに朱色や藍色の近江八景の絵柄が描かれています。
「彦根繍」は色鮮やかな絹糸で一針ひと針図柄を刺していく日本刺繡です。糸は発色の良い絹糸を使用し、糸の色や太さを使い分けることで濃淡を表現します。
また多くの刺繍技法を駆使することで、刺繍ながらも立体的なものとなるのが特徴です。
戦前から足袋製造を多く担っていた彦根市。その高い縫製技術を活かし、戦後は女性の下着の生産地として発展してきました。その可能性をより広げるべく、新たな挑戦も行っています。
彦根市を中心に、バルブを製造する27社前後のブランドメーカーとそれを支える70~80社の関連企業が集結しています。
日本屈指の規模を誇るバルブ産地では、あらゆるニーズに応える生産体制が確立されています。
彦根仏壇は蒔絵や金箔、錺金具をふんだんに取り入れており、華やかで美しい金仏壇です。工部七職という、細かい手作業の連携によって作り上げていきます。
1975年に国の伝統的工芸品に指定されました。
八幡押絵は、江戸時代、彦根城の大奥女中が長浜ちりめんを使って作ったのが始まりで、その後町家の子女のたしなみのひとつとして広まったとされています。
細部にわたる押絵と上絵付により、とても華やかに仕上がります。
琵琶湖に注ぐ河川沿いには多くの竹林があり、その竹を使った加工品を農家が冬の間の生業としていたのが始まりといわれています。
竹は軽くて燃えにくいため、祭りの提灯の一部として使われています。
木珠とは木製の数珠玉のことで、近江八幡市は約1400年の歴史を持つ木珠製造のふるさとです。
丁寧に磨き上げられた珠は、まるで宝石のような美しさです。使い込むほど深い艶が出るため、長く愛用することができます。
鋳型を2つ作り、重ね合わせた時に出来る隙間に溶けた金属を流し込む「惣型法」を用いて制作しています。
愛荘町の東漸寺をはじめ、奈良県の薬師寺、長野県の聖光寺など、全国各地の寺院の梵鐘に使われています。
中山道を行き来する人々に向けて土産物や子どものおもちゃとして人気が高まりました。
招き猫や福助などの縁起物をはじめとした、幅広い種類があります。青やピンクといった鮮やかな原色を使用するのが特徴です。
琵琶湖に葦が多く自生していたことから、近江では葦産業が古くから盛んで「すだれ」「屋根」「天井」など、人々の暮らしと共にありました。
熟練の職人が1本1本手作業で「すだれ」を編み上げていきます。
湖東地域は室町時代より麻織物の産地として知られ、江戸時代以降は良質の麻織物のの生産地として発展。現在は600年続く伝統技法を継承しつつ、時代の変化に応じた上質の麻織物を発信し続けています。
真田幸村が考案したといわれる幅6~50mmほどの細長く平らな織物で、世界一細い織物といわれています。
緯糸を手でしっかりと打ち込み、圧縮しながら織られるので、伸びにくく丈夫なのが特徴です。
竜王町において桶・樽が製造され始めた歴史は明らかではありませんが、明治から戦前にかけて当地(旧鏡山村・苗村)では15軒余りが桶・樽づくりをしていたとされています。
木の温もりと手作りの温もりが伝わってくる製品です。
丸いガラス瓶の中に、その口よりも大きな手まりが入っています。
ガラス瓶が丸く、中が良く見えることから、「家族円満」や「仲良く」というイメージにつながり、嫁入り道具などの縁起物として重宝されてきました。
明治時代に優れた刺繍技術である近江美術刺繍が考案されました。
刺繍織りという特殊な織り生地の上に絵を描くことで刺繍を施したように見せ、主要部分のみ刺繍をして仕上げられたものです。
経糸に苧麻糸、緯糸は手績みの大麻糸が使用された最高級の麻布を「近江上布」といいます。
爽やかな風合いと上品な絣模様、着心地の良さが近江上布の特徴です。「幻の上布」と呼ばれ、江戸時代には将軍家への献上品とされていました。
良質な愛知川の地下水は太鼓に使用する皮を鞣すのに最適で、太鼓制作は江戸時代に始まったとされています。
鞣し終えた皮は太鼓の胴に張っていきます。張り具合によって音が異なるため、職人の技術が欠かせません。
近江上布の優れた技法を絹織物に応用したものが「秦荘紬」です。独特の染色法によって、カラフルで細やかな絣模様が生まれます。
伝統を守りつつ、図案を現代風にアレンジしたり、絣の大きさや色を変えてみたりと、時代に合った柄を生み出し続けています。
養蚕が盛んだった湖北地域では、琵琶湖の漁師が使う漁網にも絹糸が使われていました。
使い古した漁網を糸にして織り込んだのが網織紬です。ヒゲの独特の風合いと質感が特徴的です。
長浜の錺金具は、曳山の伝統技術を活かして作られるもので、江戸中期以降、浜仏壇とともに確立されてきました。
毛彫、地彫り、高肉彫り、象嵌などの彫金、金箔焼付鍍金、金銷鍍金、宣徳煮色などの鍍金の技法が用いられます。
職人の繊細な手作業で作られる楽器糸は、絹糸の天然成分が糸を切れにくくし、音の響きや余韻を生みます。
今や400種類以上の楽器に使われ、名だたる音楽家たちから高い評価を受けています。
人々の暮らしに古くから親しまれ、日本三大山車祭「長浜曳山祭」にもかかせない提灯。
紙の覆いをした「火袋」という部分に文字や絵を描く「紋入れ」は、熟練の技により下書きをせず、一つひとつ丁寧に製作されています。
草野川沿いは滋賀県内有数の養蚕地で、蚕の餌である桑から育てています。
職人の手で繭玉から糸口を手繰り寄せ、数本を束ねて糸を巻きとります。強度と伸度に富む、優美な光沢のある糸です。
「長浜縮緬(浜ちりめん)」は生糸を100%使用した絹織物で、300年近くの歴史を有しています。
伝統に培われた高度な技によって製造される浜ちりめんは和装染呉服用生地の最高峰と称され、日本全国に出荷されています。
昭和30年代、絹糸産業で知られていた長浜市で、全国の約7割の鼻緒が市内で生産されていました。
草履を履いた時に鼻緒の柄が美しくなるよう、左右の柄をあらかじめ計算し作られています。
国内の仏壇の中でも最大クラスの大きさを誇ります。また、彫り物、蒔絵、錺金具など、どの工程にも高い技術を誇り、日本最高級クラスの仏壇といわれます。
浜仏壇の技術が「長浜曳山祭」の山車に使われています。
ろくろで木材を回転させ、専用の刃物で削り出した木材加工品です。木材は地元のものにこだわり、100本以上の刃物を使い分けて、丁寧に削り出しています。
近年はカラフルな色合いの「いろ色浜独楽」が人気で、お土産として喜ばれています。
「輪奈」とは、タオル生地のパイルのような生地表面の凹凸のことです。この凹凸を小刀でカットする「紋切り」によって毛羽立たせていくことで、フワフワとした手触りになります。
軽くて温かいのが特徴です。
真綿とは、繭を引き延ばして作った綿のことです。米原市多和田は耕地が少なく、副業が必要だったことからこの地で生産されるようになったといわれています。
吸湿性に優れ、蒸れにくく、軽くて温かい真綿布団が作られています。
米原市上丹生は古くから林業が盛んだったことから、「木彫の里」として知られています。
千本近くもあるノミや彫刻刀を使い分けて彫っていきます。仕上げの研磨は行わないため、ノミで彫った跡の力強さを感じる、迫力ある作品になります。
筆の中心となる芯毛を上質の和紙で巻き固め、その周りに上毛をかけて穂を作る、400年の歴史を持つ筆の技法です。
一般的な筆よりもコシが強く、力強い筆線が出るのが特徴で、多くの書道家に愛用されています。
「扇骨」とは扇子の骨のことで、全国シェアの約9割を高島扇骨が占めています。
硬すぎず柔らかすぎない、扇骨のほどよいしなりがあることで、扇子から心地良い柔らかな風が生まれます。
「高島綿織物」は江戸時代が起源とされ、確かな技術の歴史と恵まれた風土に育まれ発展してきました。
その「伝統」と「技」は衣料や産業用資材に生かされ、たゆまぬ技術革新により進化を続けています。
ウルシ科の植物である櫨の実から搾った櫨蝋100%のろうそくです。
櫨蝋を使ったろうそくは炎の揺らぎが美しく、心情に共鳴して揺れ動くように感じられます。また煙やにおいが少なく、人にも環境にもやさしいです。