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じんけん通信

 人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。

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令和2年(2020年)6月(第146号)

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、日本国内においては減少してきているものの、今まで当たり前であったことが自由にできなかったり、気にも留めなかったようなことに注意を要する毎日で、ストレスを感じている方もいらっしゃることでしょう。

 「コロナ疲れ」や「自粛警察」という言葉も現れ、新型コロナウイルス感染症によって、個人や社会の様々な問題が浮き彫りになっています。

 今月号(6月)のじんけん通信では、前月号(5月)に引き続き、新型コロナウイルス感染症に起因する様々な問題について、人権尊重の視点から考えてみましょう。

特集 新型コロナウイルス感染症の拡大と人権 2

デマの猛威

 3月頃、店頭からトイレットペーパーがすっかり消えてしまった期間がありました。発端は、「マスクの次はトイレットペーパーの流通が途絶えるらしい」というデマが拡散されたことです。このデマを信じた人が店頭へ押し寄せる様子をメディアが報道し、それを見て不安を感じた人がさらに買い占めをしました。これが誤った情報であるということが分かっていた人も、手に入れることができなくなると困るため、買い占めの行列に加わったといいます。

 この他にも、感染者の勤務先であるとのデマを流された店舗の経営が悪化する、軽率な行動により感染したとされる患者と行動をともにしていたとデマを流され、事実とは異なるのに電話やSNSで非難される等、デマは時として人の生活を壊します。

 新型コロナウイルス感染症には、病気そのものとして身体を冒す側面と、不安や恐れを引き起こして人の心を蝕む側面の両方があるのではないでしょうか。

コロナデマ1

 新型コロナウイルス感染症はたった数か月の間に世界中に広がり、薬やワクチンはまだ開発されていません。未知の部分がとても多く、そのことは私たちに大きな不安や恐れをもたらします。不安や恐れは冷静な判断力を奪い、その結果、少しでもためになりそうな情報があれば、真偽不明でも多くの人が飛びつき、上記のようなデマが瞬く間に広がってしまうものと考えられます。

 さらに私たちは、不安や恐れを解消するため、目に見えないウイルスから目に見える人や物事へと敵をすり替え、それを排除することで安心感を得ようとします。立ち向かうべきはウイルスであって、人を攻撃してもどうにもならないということは、季節性インフルエンザ等の場合を考えればわかるはずです。

コロナデマ2

 しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大し緊急事態宣言が発令されるような状況では、平時には多くの人が持ち合わせているはずの「何が差別にあたるのか」を判断する感覚が鈍り、無意識のうちに差別的な言葉やデマを拡散させてしまうのでしょう。

 病気そのものとしての新型コロナウイルス感染症を予防することはもとより、こうした心の隙間に入ってくる不安や恐れと闘い、差別や偏見に加担しないことも、私たちに求められているのではないでしょうか。

その正義感、本当に正しい?

 新型コロナウイルス感染症の拡大により自粛要請が出される中、いわゆる「自粛警察」という言葉がメディア報道で頻繁に取り沙汰されるようになりました。具体的な行動例として、

 ・緊急事態宣言下で営業を続けていた飲食店や遊興施設に対し、「休業しろ」などといった

 貼り紙をする。

 ・県外ナンバーの車に対して投石をする、そのドライバーに対して暴言を吐く。

 ・無責任と思われる行動をとったと報道される患者の個人情報を特定し、インターネット上に

 拡散する。

などが挙げられます。

 また、実際に危害を加えるほどではないものの、営業を続ける飲食店や遊興施設、県外ナンバーの車を行政機関に通報するといった行動もあります。こうした行為によって、ルールを守って営業していたにもかかわらず休業に追い込まれる店舗があったり、また、攻撃を回避するため、県内在住であることを証明する車用ステッカーを配布するなどの対応をされている企業等があったりするようです。

 本県においても、こうした県外ナンバーの車を通報する電話や、「自粛警察」による攻撃を受けないか不安であるため、県内在住であることの証明書を発行してほしいといった電話があります。こうした問題は、誰にとっても身近にあるのではないでしょうか。

 自粛をしている自分たちは正しく、自粛をしない、できない者を「悪」として攻撃することは、感染症の拡大防止ための「正義」であるとの考えから、このような行動が生まれるのでしょう。

 しかし、そもそも「自粛」とは、自分から進んで行動や態度を改め慎むことです。政府も自治体もあくまでこの「自粛」を要請しているだけであり、不法行為でない以上、たとえ警察であっても「自粛しない」ことで取り締まることはできません。

 真面目に自粛をしていればいるほど、自粛をしていない、できない人に対して呆れや怒りの気持ちがわき、懲らしめたくなることは自然な感情だとは思いますが、県外ナンバーの車に危害を加えたり、個人情報をインターネット上に拡散したりする行為は、器物損壊やプライバシーの侵害といった不法行為であり、「正義」とは到底言えません。

自粛ジンケンダー

 その気持ちをすぐさま行動に移すのではなく、少し冷静になって、その行動が本当に誰かのためになるのか考える必要があるのではないでしょうか。

 なお、県内在住者の車であることの証明書等を行政機関が交付することは、県外ナンバーの車は差別や攻撃の対象となってもよいという考えにつながりかねません。証明書等交付の議論以前に、「差別をしない、許さない」意識を広めることが大切です。

まずは、「想像」してみましょう

 ここまで新型コロナウイルス感染症に起因する問題について考えてきましたが、一人ひとりが、感情のままに行動したり、相手の立場に立って考えずに行動したりすることの積み重ねが、このような問題を引き起こす一因だと思われます。

 コロナ禍といわれる状況のもと、私たちに必要なことは、行動に移す前にまず落ち着いて「想像」してみることではないでしょうか。

 ・もし自分が新型コロナウイルスにかかったら、治療してくれるのは誰?

 ・私たちの命や生活が守られているのは、誰のお陰?

 ・感染者ではないのに、感染者であるという事実無根の噂を流された人は、どう思う?

 ・軽い気持ちでSNSで拡散した噂が瞬く間に広がったら、またそれが

 間違った情報だったとしたら、噂された人の生活はどうなってしまう? 拡散した自分の責任は?

 ・噂を流されたり、SNSに書き込まれたりしたのが自分だったら、どのように感じる?

 ・県外ナンバーの車を怒鳴りつけたが、実は社会インフラを維持するための大切な仕事や、

 親族の介護等でやむを得ず来ている人の車だったとしたら?

 ・感染するのは自己責任、との軽率な考えや行動によって実際に感染し、

 医療機関にかかったら、医療現場の人や周囲の人に負担や迷惑がかかるのではないか?

 このような想像をしてみると、簡単に人を傷つける行為は生まれにくくなるはずです。

 すぐに行動に移したくなる気持ちをぐっとこらえ、まずは、他の人が置かれた状況に思いを巡らせてみてください。

 明日には、私やあなたが感染しているかもしれません。誰がいつうつるか分からないということも想像する必要があります。

 新型コロナウイルス感染症に関連するネガティブな話題が数多く報道される一方で、医療応援のための費用を寄付される企業や、激務に追われる病院スタッフへ食糧の差し入れをされる飲食店があったり、手作りマスクの寄付などをされる方がいたりと、前向きな取組もあります。

 このような心のこもった取組がさらに増えていくといいですね。

新型コロナウイルスにかかる啓発活動や相談窓口などのご案内

●新型コロナウイルス感染症にかかる人権啓発の取組について

・テレビスポット広告

 令和2年6月1日~15日まで、30秒テレビスポット広告をびわ湖放送にて放送します。

ジンケンダー感染症啓発編

・youtube広告

 令和2年6月中旬頃、youtubeに動画広告を掲載します。

・ラジオ広告

 令和2年6月1日~14日、60秒ラジオ広告をe-radioにて放送します。

※新型コロナウイルス感染症にかかる人権啓発事業一覧はこちらからご覧いただけます。

●法務省の人権擁護機関では,新型コロナウイルス感染症に関連する不当な偏見,差別,いじめなどの被害に遭った方からの人権相談を受け付けています。

・法務省:新型コロナウイルス感染症に関して(URL)

http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html

・みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)

0570-003-110(平日午前8時30分から午後5時15分まで )

・子どもの人権110番

0120-007-110(平日午前8時30分から午後5時15分まで)

・外国語人権相談ダイヤル

0570-090911(平日午前9時00分から午後5時00分まで)

対応言語:英語、中国語、韓国語、フィリピノ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語

●新型コロナウイルスに関する滋賀県内の最新状況、各種相談窓口などは、以下をご覧ください。

・新型コロナウイルス感染症に関する滋賀県の状況について(URL)

https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/yakuzi/309252.html

人権カレンダー6月

・1日 人権擁護委員の日
 6月1日は「人権擁護委員の日」です。人権擁護委員は、あなたの街の相談パートナーとして、様々な人権侵害など、皆さんの問題解決のお手伝いをしています。女性・子ども・高齢者などをめぐる人権の問題やインターネット上の人権侵害、新型コロナウイルス感染症に関連した差別などでお困りの方は、ご相談ください。

・12日 児童労働に反対する世界デー
平成14年(2002年)にILO(国際労働機関)が制定しました。児童労働の撤廃をめざして、世界各地で様々な活動が展開されます。

・20日 世界難民の日
平成12年(2000年)に国連が制定しました。難民の保護と援助に対する世界的な関心を呼びかけています。

22日 らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日
 平成21年度から、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律の施行日である6月22日が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」と定められています。ハンセン病に対する偏見・差別をなくすため、この機会にハンセン病への理解を深めましょう。

23日~29日 男女共同参画週間
6月23日から29日は「男女共同参画週間」です。今年度は「そっか。いい人生は、いい時間の使い方なんだ。」「ワクワク・ライフ・バランス」というキャッチフレーズのもと、国、地方公共団体などが、男女共同参画社会づくりに対する国民の理解と関心を高めるためさまざまな行事を行います。

ジンケンダーのちょっと一言

ジンケンダー
白



すぐに行動せず、想像してみることも

大事なのだー!

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]
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