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じんけん通信

 人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。

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令和5年(2023年)11月(第187号)

今回のじんけん通信のテーマは、「性の多様性」です。

今年、いわゆる「LGBT理解増進法」が施行されるなど、性の多様性は、今社会的に注目を集めているテーマとなっています。
県では、9月に国や県、市町などの相談機関向けに性の多様性に関する講座を開催しました。講座では、本県でLGBT等についてさまざまな取組を行っておられるNPO法人にじいろBiwako代表橋本竜二さん、学校現場の状況に詳しい県立男女共同参画センターの職員にご講義をいただきました。そのお話を含めて、性の多様性の「今」について紹介します。

特集 「性の多様性の『今』」

LGBT理解増進法が施行されました

今年6月23日に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」、いわゆる「LGBT理解増進法」が施行されました。
この法律は、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的に作られました。
法律では、国や地方公共団体、事業主、学校の設置者等の役割が規定されています。国民の理解を増進するため、様々な機関で知識の普及や相談体制の整備などに努めるよう定められています。

理解は十分ではないの?

「LGBT」という言葉は以前より浸透してきていますが、社会全体を通して、性の多様性に関する理解は必ずしも十分ではありません。性的マイノリティであることを理由に、学校生活でいじめられたり、昇進を妨げられたりするなどの差別を受けている方がいます。
今年、首相秘書官の差別的な発言が報道等で大きく取り上げられたことは記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
偏見の目や不当な扱い、差別から、悩みや生きづらさを感じている方が多くいます。

(参考) 令和3年度 人権に関する県民意識調査より
(上位5つの回答を抜粋)

そもそも「性の多様性」って?

多様性とは、色々な種類や傾向があること、多くの個性があることを意味します。
性は、「男性」「女性」の2つの性別だけではありません。性は多面的で、次のような構成要素があります。

○身体の性
性染色体(XY、XXなど)や性器などの身体的特徴から生物学的な性が決定する。

○社会的・文化的な性(ジェンダー)
社会や文化が求める、性別に応じた態度、感情、行動のこと。
「女らしさ」、「男らしさ」などと言われることもある。

○性自認(ジェンダーアイデンティティ)
心の性。自分の性別を自分でどう認識しているかということ。

○性的指向
自分が好きになる性。恋愛対象、性的感情の対象となる性。

○性別表現、ジェンダー表現
自分の性をどのように表現するかということ。
一人称やしぐさ、服装、言葉づかいなど。

~LGBTって?~

LGBTは、以下の頭文字をとって組み合わせたものです。

・L(レズビアン)…女性の同性愛者

・G(ゲイ)…男性の同性愛者

・B(バイセクシュアル)…両性愛者(同性も異性も好きになる人)

・T(トランスジェンダー)…身体と心の性が一致していないため、身体の性に違和感を持ったり、心の性と一致する性別で生きたいと望む人

LGBT以外にも、以下のような性の人もいます。

・Q(クエスチョニング)…自身の性を決められない、分からない人

・A(アセクシュアル)…男性、女性どちらに対しても恋愛感情を抱かない人

・X(エックスジェンダー)…心の性を男性、女性のいずれかとは明確に認識していない人

県では、LGBTにこれらの方を加えて「LGBT等」と表記していますが、「LGBTQ」や「LGBTQ+」、「LGBTs」と表記している自治体や団体等もあります。

~SOGIって?~

SOGIとは、
性的指向「Sexual Orientation」
性 自 認「Gender Identity」
のことで、それぞれの頭文字が組み合わされています。「ソジ」または「ソギ」と読まれています。
SOGIは、少数派と多数派を仕切るものではなく、全ての人の性のあり方を尊重する意味で使われます。
性的指向・性自認に関する差別や嫌がらせ(ハラスメント)のことを指す「SOGIハラ」という言葉もあります。

当事者はどれくらいいるの?

「電通ダイバーシティ・ラボ」が2020年に実施した調査によると、LGBT等に該当すると回答した人は8.9%でした。この割合は、左利きの人や、AB型の人と同じくらいです。

学校の1クラスに置き換えると、約3人いる計算となります。

もしカミングアウトされたら、どうしたらいい? -にじいろBiwako代表橋本竜二さんに教えていただきました

プラスに受け取って

「NPO法人にじいろBiwako」の代表の橋本竜二さんは、家族や友達、同僚からカミングアウト(LGBT等であることを告白)されたら、「本人がその気持ちを発信できたことをプラスに受け取ってほしい」と話します。
打ち明けられたということは、その人から信頼されているということです。

子どもからカミングアウトされた場合、大人は「思春期の一過性のものじゃない?」「部活の先輩が好きって、ただ憧れているだけじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、性的指向は小学校高学年~中学生の間、性自認は小学校に入る前に気づくことが多いそうです。
もちろん、気づく時期には個人差があり、結婚・出産してから「私、なんか違う」と気づく人もいるそうです。性のあり方はとても流動的なのです。

性のあり方は自分で決めるもの

例えば「自分の性別がしっくりこなくて…」とカミングアウトされた場合、「じゃあトランスジェンダーですね」と他人が勝手に決めてはいけません。自分の性のあり方は、自分で決めるものなのです。
また、LGBT等のカテゴリーに当てはめる必要もありません。

カミングアウトは勧めてはいけない

自分の性のあり方を、いつ、誰に、どのように伝えるかは本人が決めることです。カミングアウトは安易に勧めてはいけません。中には、家族にカミングアウトしたら関係が悪くなってしまった方もいるそうです。
橋本さんは「カミングアウトするかどうかはその人の自由」と話します。

また、本人の許可なく、LGBT等であることを他人に暴露(アウティング)してはいけません。
自分の性のあり方を他人に知られたくない人にとって、アウティングは重大な人権侵害です。
 

学校現場ではどうなっているの? -県立男女共同参画センター職員に聞きました

学校現場においても様々な取組がされていて、性の多様性の学習についてカリキュラムに取り入れているところもあるそうです。
また、制服は選択制(スカートまたはスラックス)が広がってきています。
しかし実際、男子生徒はスカートを選びにくいという「制服は選べるけど、選べない」という課題があります。

最後に

性の多様性が認められる社会の実現には、一人ひとりが正しい知識を持ち、偏見や差別をなくそうという意識を持つことが大切です。
自分らしく生きることができる社会をみんなで築いていきましょう。

☆「にじいろBiwako」のご紹介☆

NPO法人にじいろBiwakoは、滋賀県でLGBTについて取り組む団体として昨年5月に設立されました。
ロゴデザインは扉がモチーフとなっています。

今年9月に、当事者の方やその周囲の方が安心して過ごせる居場所づくり事業「にじびわべーす」が初めて開催されました。
「にじびわべーす」とは、LGBT等に関する本やパンフレットに出会うことができたり、お菓子やゲームを通して参加者と交流したり、自分の思いを話したりすることができる場です。

次回の「にじびわべーす」は12月17日(日)に開催予定です。
気になる方は、ぜひホームページをチェックしてみてください!
https://nijibiwa.com/

☆県立男女共同参画センターのご紹介☆

県立男女共同参画センターは近江八幡市にあります。

このセンターでは、教職員に対してジェンダー(社会的・文化的につくられた性)に関する講座を開催したり、若い世代がジェンダーについて意見交換する「ジェンダー平等ミーティング」を開催しています。

また、施設の中には図書・資料室があり、性の多様性やジェンダーをテーマにした本をたくさん所蔵しています。

ぜひお越しください!

https://www.pref.shiga.lg.jp/g-net/
 

人権カレンダー11月

●児童虐待防止推進月間
児童虐待に関する相談対応件数は依然として増加傾向にあり、子どもの生命が奪われるなど重大な事件も後を絶たない状況です。児童虐待は社会全体で解決すべき深刻な問題です。月間中は児童虐待問題に対する深い関心と理解を得ることができるよう、集中的に広報・啓発などを行います。

●子ども・若者育成支援強調月間
期間中は、子ども・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として、関係省庁、地方公共団体および関係団体とともに、諸事業、諸活動を集中的に実施します。

●過労死等防止啓発月間
月間中は、過労死等を防止することの重要性について国民への周知・啓発を目的に、各都道府県で「シンポジウム」を行うほか、無料の電話相談を行います。

●1日 滋賀教育の日
県民がこぞって滋賀の教育について考える機運を高め、社会全体で子どもの育ちを支える環境づくりを促進することを目的に、平成18年(2006年)に制定されました。 県民をはじめとして、地域、企業、学校など、教育に関係する機関・団体それぞれが主体的に取り組み、互いに連携・協力して「滋賀教育の日」の趣旨の普及・啓発を図ります。

●4日~17日 福祉人材確保重点実施期間

広く福祉・介護サービスについての理解を深めるとともに、福祉人材の確保・定着を図る観点から、介護の日(11月11日)を中心として11月4日から17日までを「福祉人材確保重点実施期間」と定めています。期間中は、全国各地で関係団体などによる、さまざまな行事が開催され、広く周知を図ります。

●11日 介護の日
介護についての理解と認識を深め、介護サービス利用者及びその家族、介護従事者等を支援するとともに、地域社会における支え合いや交流を促進するため定められました。この日には、全国各地で関係団体などによるさまざまな行事が開催されます。

●12日~25日 家族の週間/19日 家族の日

子供と子育てを応援する社会の実現のためには、子供を大切にし、社会全体で子育てを支え、個人の希望がかなえられるバランスの取れた総合的な子育て支援を推進していく必要があり、平成19年度から、11月の第3日曜日を「家族の日」とし、さらに、その前後1週間を「家族の週間」と定め、地方公共団体、関係団体等と幅広く連携・協力し、行事の開催や啓発を実施します。

●12日~25日 女性に対する暴力をなくす運動

夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであり、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であり、期間中に地方公共団体、女性団体その他の関係団体との連携、協力の下、社会の意識啓発など、女性に対する暴力の問題に関する取組を一層強化します。

●15日~21日 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間

全国の法務局・地方法務局では、専用相談電話「女性の人権ホットライン(0570-070-810[ゼロナナゼロのハートライン])」を設置して、女性をめぐるさまざまな人権問題についての相談に応じています。週間中は、平日の電話相談受付時間を延長し、土・日曜日も電話相談に応じます。

●20日 世界の子どもの日

昭和29年(1954年)、国連総会は全ての加盟国に対し「世界の子どもの日」を制定して、子どもたちの世界的な友愛と相互理解の日に、また世界の子どもたちの福祉を増進させる活動の日に当てるよう勧告しました。一般的には「子どもの権利宣言」「子どもの権利条約」が採択された11月20日に制定されていますが、日本は5月5日のこどもの日を日本版「子どもの日」としています。

●25日~12月1日 犯罪被害者週間

犯罪被害者等は、犯罪等による直接的な被害に加え、社会の無理解・無関心などから配慮に欠けた対応をされるなど、二次的な被害にも苦しめられています。このような犯罪被害者等の置かれた状況について国民が理解を深め、犯罪等による被害について考える機会として定められました。期間中、全国各地で広報啓発行事を行い、犯罪被害者等への理解・配慮・協力を呼びかけます。

そして現在、特殊詐欺被害が多発しています。お金やキャッシュカードを要求する話の電話は、詐欺電話です!「他人にキャッシュカードを渡さない。暗証番号を教えない。」を徹底していただきますようお願いします。

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]
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