人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
特集記事にあわせて、ジンケンダーラジオの放送予定と、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」で実施される障害者スポーツについても掲載しています。
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令和7年(2025年)3月(第203号)
地震や台風、洪水といった災害時に、障害のある方、高齢者、妊産婦の方などの配慮を要する方を含め、地域住民が安全に避難するためには、ハザードマップの確認や防災グッズの購入などと合わせて、日頃からどのような備えが必要でしょうか。
今回の特集では、災害に備えた、地域における要配慮者※の支援について、滋賀県社会福祉協議会(以下、「県社協」という。)総務課総務企画係の山田係長から伺いました。
※要配慮者…災害が発生した時に特に配慮や支援が必要な人。
高齢者や障害のある方、病気やけがをされている方、乳幼児、妊産婦、外国人、LGBT等の人を含みます。
県社協では、「ひたすらなるつながり」を掲げ、人と人とのつながりの中で、配慮が必要な方もそうでない方も、誰もが支えあいながら生活する地域づくりのため、様々な取組を行っています。地震や台風といった災害時に、障害のある方や高齢者といった要配慮者を支援するためには、まさに「つながり」が重要だと考えています。
滋賀県社会福祉協議会は、滋賀県地域防災計画に、要配慮者の支援の協力を行う機関として位置付けられており、平常時から「災害時要配慮者支援ネットワーク会議」の開催や、「えにしの日」の取り組みを行っています。
滋賀県災害時要配慮者支援ネットワーク会議は、災害時における要配慮者の避難および避難生活について、関係者が連携して支援できるように、平常時から支援者および当事者が集い、話し合い、関係性を作ることを目的としています。この会議は、障害者等当事者団体、医療関係団体、行政などの81団体で構成されています。
阪神淡路大震災では、瓦(が)礫(れき)の下などに埋もれた人の8割が地域の人に助けられており、いざというときに救助を行えるのは地域の人であることが分かりました。また、災害の関連死の8割が障害のある方や高齢者であったという事実もあります。
こうしたことから、普段から支援が必要な人を認識し、少しでもつながりを持つことや、当事者の生活を支えているケアマネやヘルパー、福祉サービス事業者等の専門職が地域とともに災害時の支援計画を作り、訓練を重ねることが大変重要であると感じています。
今年度の会議では、当事者6名を含む69名が参加され、石川県重症心身障害児(者)を守る会の方に、能登半島地震での経験をお話いただき、災害時にどのような不安があるか、何ができるのか、どのような支援が必要かなど様々なことについてディスカッションを行いました。
この中で、当事者の方も「周囲に守られるだけでなく、自分たちができることをしなければならない」と話されていたことが印象的でした。また、災害時に支援者に早く助けに来てもらえるように、自分の家の間取りや寝ている場所等を周りの人に伝えているという方もおられました。
要配慮者が安全に避難し、避難生活を行うために必要なこととして、一般的には個別避難計画の作成や福祉避難所の設置が挙げられます。
しかし、すべての要配慮者についてこの計画が作成できているわけではありません。高齢になったり、妊娠したりすることで、誰もが要配慮者になり得ます。福祉避難所の利用については事前の登録が必要で、その方に合った医療的設備などがなければ安全に避難できるとは言いきれません。受け入れられる人数にも限りがあります。
また、設備の問題だけでなく、精神的・身体的な問題で避難所に来ることができない人や、自宅から距離があるなど物理的に移動が難しい人もいます。
さらに、福祉避難所がどこにあるか知らないという人も多く、まだまだたくさんの課題があります。そのため、個別避難計画の作成や福祉避難所の充実だけでは、要配慮者への支援策としては不十分です。
こういった課題をカバーしていくために、つながりを持てるネットワーク会議の取り組みを、県域だけでなく、市町域においても進めることが必要だと考えています。
「えにしの日」とは、災害時に命を守るのは日ごろからの地域のつながりであり、支えあえるコミュニティがいかに大切であるかを、みんなが考え、話し合い、心に刻む日にしたいという思いから定めたものです。県社協、災害時要配慮者支援ネットワーク会議、滋賀県とで東日本大震災のあった3月11日を「えにしの日」としました。人と人とのご縁である縁(えにし)を考える機会としています。
「えにしの日」を含む3月に、子ども食堂※や自治会、団体などが、それぞれの地域において、災害時に困難を抱える人側の視点で、防災の意識を取り込んだ行動を行うことで、支えあえる地域づくりを考えていただけるよう、県社協では災害時に備えた訓練や研修に係る経費を助成しています。
防災をきっかけに、地域の方々がつながっていくことができれば嬉しいです。
令和6年度の取り組みの一例としては、子ども食堂における防災教室や防災学習の開催、社会福祉施設における防災訓練や災害時の食事支援学習会などが予定されています。
※子ども食堂は、“ごはん”をきっかけにさまざまな世代がつながり、地域ぐるみで子どもを見守り育てる垣根のない居場所です。
身近な地域でつながりを作り、備えをしていくことが最も大切であるため、一部の地域で始めた「災害時要配慮者ネットワーク会議」の取り組みを、県全体に広げていきたいと考えています。
また、「えにしの日」の取組についても、災害時に要配慮者側に立った訓練や学習会等が県内どこの地域でも実施されるよう、さらに広げていければと考えています。
自分の周りには、要配慮者はいないから関係がない、と思っている方もおられます。
しかし、思いがけず、自分や家族が要配慮者になる可能性もあります。
最近は、地域のつながりが薄くなっているように感じます。周りに住んでいる人のことを気にかけなければ、知ることもできません。自分のためにも、周りの人のためにも、少しだけ自分の周りの人のことを気にかけてほしいなと思います。
みんながそれぞれの地域で役割を果たす意識をもって暮らしていくことが、より豊かな生活につながります。近所の方に挨拶をするだけでも十分です。ぜひ、地域とつながりをもって互いに助け合える関係を築いてほしいと思います。
県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内
毎週火曜日10時15分~(5分間)
3月 4日・・・・「自殺対策」
3月11日・・・・「災害と人権」
3月18日・・・・「人種差別」
3月25日・・・・「子ども食堂」
番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。
ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。
放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。
ぜひお聴きください!
じんけん通信では、令和7年(2025年)の「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」に合わせて、「障スポ」で実施される障害者スポーツを、毎月紹介しています。
今回は、正式競技の1つ、「バスケットボール」の概要について、ご紹介します。
◆車いすバスケットボール
身体障害のある選手が、車椅子を使用して1チーム5名で競技を行います。
ルールは一般のバスケットボールとほぼ同じです。ダブルドリブルはありませんが、ボールを持って3回以上車輪をこぐとトラベリングになります。
詳細は、大会公式ホームページをご覧ください♪
https://shiga-sports2025.jp/shospo
●自殺対策強化月間
政府では、悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことにより「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指し、毎年3月を「自殺対策強化月間」に設定しています。月間中は、自殺対策を集中的に展開するものとし、啓発活動と併せて相談事業等の支援策を重点的に実施することとしています。
<滋賀県自殺対策推進センター 自殺予防電話相談>
TEL 077-566-4326 / 9 時00 分~21 時00 分(年末年始を除く)
●1日 エイズ差別ゼロの日
2013 年(平成25 年)12月1日にオーストラリアのメルボルンで開かれた世界エイズデーの式典で、国連合同エイズ計画(UNAIDS)により定められました。
●3日 全国水平社創立
1922年(大正11年)のこの日に全国から被差別部落の人々が京都に集まり、創立大会が開かれました。そして、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」の言葉で結ばれる全国水平社創立宣言が採択されました。
●8日 国際女性デー
1975年(昭和50年)の「国際婦人年」に国連により定められました。女性たちが、平和と安全、開発における役割の拡大、組織やコミュニティにおける地位向上等によって、どこまでその可能性を広げてきたかを確認すると同時に、今後のさらなる前進に向けて話し合う機会として設けられた記念日です。
●21日 国際人種差別撤廃デー / 21 日~27 日 人種差別と闘う人々との連帯週間
1960 年(昭和35 年)3 月21 日に人種隔離政策(アパルトヘイト)に反対する平和的なデモ行進に対して警官隊が発砲し、69 人が殺害されました。1966 年(昭和41 年)にこの国際デーを宣言するにあたり、国連総会は国際社会に対し、いかなる人種差別も根絶するよう一層の努力をしていくよう求めました。また、3 月21 日からの1 週間は、世界中で人種差別の撤廃を求める運動が展開されています。
●21日 世界ダウン症の日
2004年(平成16 年)に世界ダウン症連合が制定し、2012年(平成24 年)からは国連が国際デーの1つとして制定しました。ダウン症のある人たちとその家族、支援者への理解がより一層深まり、ダウン症のある人たちがその人らしく安心して暮らしていけるように、さまざまな啓発イベントを通して世界中の人々に訴えていくための日です。
令和6年度に県内各市町で開催される、人権に関する講演会などの情報を以下のページに掲載しています。
こちらもぜひご覧ください♪
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kurashi/zinken/338455.html