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じんけん通信

 人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。

 特集記事にあわせて、ジンケンダーラジオの放送予定と、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」で実施される障害者スポーツについても掲載しています。

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 「じんけん通信」は、バックナンバーもご覧いただけます。

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令和7年(2025年)5月(第205号)

 「584.2万人」これは厚生労働省が発表した2040年の全国の認知症の高齢者の推計人数です。高齢者のうちおよそ15%、6.7人に1人が認知症ということになります。

 高齢化が進む日本社会の中で、認知症は誰もが身近に考えなければならない病気の一つとなりました。今回は、認知症の方や、そのご家族の方の支援を行っておられる「認知症の人と家族の会」の滋賀県支部の方々に、お話を伺いました。誰もが他人事にはできない認知症について考えていきたいと思います。

特集 認知症の人を地域で支えていくために

認知症とは?

 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」によると、認知症とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態を言います。

 日本では高齢化が進む中で認知症と診断される人も増加しており、2022年の65歳以上の高齢者における推計では、認知症の割合は約12%、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI)※の人の割合は約16%とされ、両方を合わせると3人に1人が認知機能にかかわる症状があることになります。

※MCI=Mild Cognitive Impairment
軽度認知障害とは、認知症と完全に診断される一歩手前の状態です。

軽度認知障害の人全てが認知症になるわけではありません。

認知症の症状は人それぞれ

 一言で認知症といっても、症状は本当に人それぞれで、症状の表れ方には、その方の性格や生まれ育った環境、習慣など様々な要因が関係しています。物忘れ以外にも、昼夜逆転生活になる方、暴れる方、とても静かな方、一人歩きするかた、しない方等、認知症の症状はさまざまです。

 このような行動をする認知症の人を子ども扱いするのは望ましいことではありません。周囲の方の認識の中では子どものようになっていく場合も、大人としてのプライドが維持されていることが多く、人の尊厳という観点から、接する上で配慮が必要です。

Q.「認知症の人と家族の会」ではどのような活動をされていますか。

 「認知症の人と家族の会」は、45年前の1980年に京都で本部が発足し、その翌年の1981年に滋賀県支部が発足して、滋賀県支部は今年で44年目になりました。

 現在、全国に約9000名の会員の方がおり、滋賀県では約200名の方が会員になっています。その他にも介護施設や病院など、団体の賛助会員の方もいます。

 私たちの主な活動は3つあります。

 1つ目は広報誌の作成です。毎月、認知症に関する情報や、家族の会の会員の悩み事や体験談等を掲載した「ぽ~れぽ~れ」という広報誌を作成し、手分けしてお届けまでを行っています。
 ※スワヒリ語で「ゆっくり」「やさしく」「おだやかに」という意味です。

 2つ目はつどいの開催です。現在滋賀県内22箇所で、認知症当事者や家族、介護者の方たちが集まれる「つどい」や「カフェ」を開催しています。参加者の悩みごとについての相談や、体験談を語り合える場所です。コロナ禍以降は、ZOOMも活用して、対面とオンラインのハイブリッド型で行っているところもあります。

 3つ目の電話相談は、その名のとおり電話で認知症の当事者や家族の方からの相談を受け付けています。

Q. 電話相談ではどのような内容の相談が多いですか。

 

 最も多いのは、家族からの「認知症当事者に振り回されて困っている」という相談です。

 自分が認知症であるということを受け止めることはとても大変なことです。また、ご家族にとっても、受け入れるのは容易ではありません。特に、認知症初期の方は家の中では物忘れ等の症状が出ていても、ご近所へのあいさつや病院での受け答えは問題なく行えることが多く、そのギャップに戸惑うご家族は多いと思います。

 また、最近の相談で印象的だったのは、職場に自分が認知症であることを打ち明けられていないというものです。その方は、認知症治療のために通院しているのですが、そのことを打ち明けられておらず、どうしたら良いかわからないと悩んでおられました。

 まだまだ、認知症という病気を周りに打ち明けることが難しい状況にあるのだと痛感しました。認知症でも、工夫をすれば働くことは可能ですし、現在ではスマートフォンのスケジュール機能やアラーム機能を利用してうまく生活することも可能です。認知症に対しての偏見もなくなっていくといいなと思います。

Q. 「つどい」や「カフェ」ではどのような話をされるのですか。

 介護を経験された方や現在している方、また認知症当事者の方が集まって、自身の状況や困りごと等の話をみんなでしています。

 例えば、デイサービスやショートステイ、グループホームなど様々なサービスがありますが、初めての方にとっては、どのサービスを利用すればよいのか、どこの施設が良いのかなどを決めるのはなかなか難しいと思います。そんな時に、つどいやカフェに参加していただくと、どのサービスを利用するのが良いか、この施設が合っているのでは、といった他の参加者の経験を踏まえたアドバイスを聞くことができたり、みんなで考えたりできます。

 また、認知症の症状は人それぞれですが、同じでなくとも似たような経験をされた方からヒントがもらえることも多々あります。

 その他にも、認知症であることをなかなか受け入れられない本人にも参加してもらい、いろいろと工夫をしながらデイサービスなどにつなげたといった例もあります。

★つどいに参加させていただきました!

 4月に開催されたつどい「さつき会」に参加させていただきました。

 さつき会は、認知症の人と家族の会滋賀県支部が県内に22か所運営されている、つどいやカフェの一つです。毎月第3火曜日に、大津市の南志賀にある「滋賀コミュニティセンター」で開かれています。昨年は延べ計133名の方が参加されたそうです。

 当日は9名の方が集まり、参加者の方は、現在認知症家族の介護をされている方、これから介護が必要になるかもしれない方、看取りを終えた方と状況はさまざまでした。

参加してみて感じたこと

 今回参加させていただいて印象的だったことは、認知症の症状は本当に人それぞれであること、そして誰かの悩みについて参加者全員で考えられていたことです。「薬を飲むように勧められたが悩んでいる」、「いつからGPSを持ってもらったらよいのか」といった悩みに、「私の妻はこんな時にその薬を使っていた」「こんな商品があるよ」とそれぞれの経験や知識をお話しされており、ここに来たら何かヒントがもらえるんだと実感しました。

認知症の人と過ごす中で大切にしていること

 もう一つ印象的だったのが、「認知症の人にも人権がある」というお話です。「家族にできないことがあると、どうしても『認知症だから』と考えてしまいがちだけど、できるだけ認知症という先入観に捉われないように、プライドを傷つけないようにとても気を付けている、それが大変だ」と話してくださった方がいました。認知症だからと決めつけずに一人の人として接することは、簡単なことではないけれど、とても大切なことなのだと感じました。

家族の会に来てよかったこと

 また、家族の会にきて良かったこととして、「いろんなお話を聞いて、認知症や介護について教えてもらうことができた。」「介護に対する意識や認識を改めるきっかけになった。」「ここに来て、自分の考え方が当たり前ではないことを学んだ」「ここで話を聞いてもらうことで自分は独りじゃないという気持ちになれる」「ひとりでは堂々巡りになってしまうがここでは困っている時にヒントを得られる」といったお話もありました。みんなで集まって、話ができる場所、情報があることはとても心強いと思います。
興味のある方は、ぜひお近くのつどいに参加してみてください!

Q. 認知症の方が地域で暮らしていくためにはどのようなことが必要ですか。

 なによりも大切なことは、認知症についての知識を持つことです。認知症のことをみんなで考える必要があると思います。

 各市町で、認知症サポーター養成講座を受けていただくと、認知症サポーターになっていただくことができます。サポーターになった方には、市町村によって異なりますが、オレンジリング(オレンジ色のブレスレット)やサポーターカードなどが渡されます。私たちも、小学校などに行き、道に迷っている高齢者がいたときの対応などについて講演を行ったりしています。

 最近までは、家族が認知症であることを周りに隠そうとする人が多かったように思いますが、徘徊などに備えて周りに事前に伝えておくといった人も増えているように感じます。何かあったときに異変に気付けるように、近所の方と日頃から挨拶をかわし、もし認知症の方がいれば柔軟な気持ちで接していただきたいです。

 地域のみんなで、認知症の方を見守れる体制を作っていきたいです。

Q.県民の方にお伝えしたいことはありますか

 認知症は治ることのない、進行していく病気です。認知症そのものについての知識や、ご本人の状態について理解し、それにあわせた対応が必要となります。ご家族の方も不安やショックがありますが、認知症を患った本人も、覚えていないことやうまくできないことへの恐怖や焦りは大きいです。認知症への理解を示し、例えばご家族でサポートするのであれば、これから家族みんなで頑張ろうという気持ちを全員で持つことが大切です。

 また、「介護するのは家族の責任」という考えに多くの方がとらわれているのではないかと思います。しかし、ご家族だけで認知症の方を介護することは、困難です。デイサービスや、デイケア、グループホーム、特別養護老人ホームなど利用できるサービスは様々あるので、それらをうまく活用して介護を行ってほしいです。そういったことを気軽に相談でき、ヒントを得ることができるのがつどいやカフェなので、一人で抱え込まず、ぜひ参加していただければと思います。そして、ぜひ、認知症の人と家族の会の会員になっていただけると嬉しいです!

一人で悩まずに、まずは家族の会の電話相談へ電話してみてください。個人情報等秘密は厳守しますので安心しておかけください!

★電話相談について詳しく知りたい方は、以下の県のホームページを、
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/koureisya/319105.html

「認知症の人と家族の会」について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください!
https://kazokushiga.wixsite.com/website

ジンケンダーラジオ 放送中♪

 県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内

今月の放送予定

毎週火曜日9時30分~(5分間)※4月から放送時間が変わりました

5月 6日・・・・「国スポ・障スポ1」
5月 6日・・・・「デートDV」
5月 6日・・・・「難病」
5月 6日・・・・「人権擁護委員」

 番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。

 放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。
ぜひお聴きください!

人権について一緒に考えよう!

わたSHIGA輝く 国スポ・障スポ ~障害者スポーツのご紹介12~

 じんけん通信では、本年開催の「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」に合わせて、「障スポ」で実施される障害者スポーツを、毎月紹介しています。

 今回は、正式競技の1つ、「グランドソフトボール」の概要について、ご紹介します。

◆グランドソフトボール

視覚障害のある選手が、1チーム10名(指名打者を採用した場合は、最大12名)で競技を行います。

ハンドボールに似たボールを使用し、ボールの転がる音を頼りにプレーします。

詳細は、大会公式ホームページをご覧ください♪
https://shiga-sports2025.jp/shospo

人権カレンダー5月

 1日~7日 憲法週間、3日 憲法記念日
昭和22年5月3日、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を3つの基本原則とする日本国憲法が施行されました。毎年、この日を中心とした5月1日から7日は「憲法週間」です。この期間に合わせ、憲法の精神や司法の機能に対する理解を促すため、全国の裁判所及び法務省の機関で、様々な行事が開催される予定です。

 5日~11日 こどもまんなか児童福祉週間
すべての子供が家庭や地域において、豊かな愛情に包まれながら、夢と希望をもって、未来の担い手として、個性豊かに、たくましく育っていけるような環境・社会を作っていくことが重要です。厚生労働省では、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を「児童福祉週間」と定めて、子供の健やかな成長、子供や家庭を取り巻く環境について、国民全体で考えることを目的に、児童福祉の理念の一層の周知と子供を取り巻く諸問題に対する社会的関心の喚起を図っています。

 8日、9日第2次世界大戦で命を失った人たちのための追悼と和解のための時間
平成16年(2004年)に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で祈念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。

 11日~17日看護週間、12日看護の日
これからの高齢化社会を支えて行くためには、国民一人一人が、ケアの心、看護の心を理解することが大切です。近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなんで、毎年5月12日は「看護の日」と定められています。この日を含む看護週間を中心に、各媒体での看護に関する広報や関係行事が各地で行われます。

 12日民生委員・児童委員の日
各地域で住民の相談や支援の担い手として活動する民生委員・児童委員は、全国で約23万人。この日から18日までの1週間を「活動強化週間」として積極的な活動を展開しています。

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]
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