人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
特集記事にあわせて、ジンケンダーラジオの放送予定と、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」で実施される競技種目についても掲載しています。
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令和7年(2025年)8月(第208号)
今年の8月15日で、終戦80年の節目を迎えます。
二度の世界大戦中には、多くの尊い命が失われるとともに、特定の人種への迫害や虐殺など、重大な人権侵害が横行しました。その後、国際社会では、人権の保障が平和の基礎であり、戦争は最大の人権侵害であるとの考え方が主流になりましたが、今もなお、人びとの生命、健やかな精神、穏やかな生活といったかけがえのないものが戦争によって奪われることが繰り返されています。
このような現状であるからこそ、過去の戦争の記憶を共有、継承し、得られた学びを活かしていくことが重要です。
そこで今回は、滋賀県平和祈念館で、企画展『記憶の中の戦場・中国』を担当されている日高さんと、『平和祈念week2025』を担当されている村田さんに、平和の大切さ、そして命や人権の大切さを伝えていくための取組や工夫について伺いました。
私たち調査に携わる者が戦争を経験された方や関係者からお話を伺って記録し、また戦争にまつわる品物の収集を行っています。そして、それらを展示や平和学習で使用し、県民の皆さんへ共有・継承しています。私たち自身も語り継ぎ手という役割を担っていると考えています。
以前までは来館された戦争経験者の方にお話を伺っていました。しかし、近年、高齢化のため、戦争経験者が来館されることが少なくなっています。このため、最近は新聞記事等で紹介された方へお声掛けするほか、来館された方や地域の方から情報を集めて、こちらから戦争経験者の方へアプローチすることが増えており、地域との繋がりがさらに重要となってきています。
日本が近代化していくなかで、中国に進出し衝突しました。特に日中戦争に入ると全面戦争となり、長い期間にわたって戦闘が行われたことから、滋賀県民も非常にたくさんの方が兵士として戦場に派遣されました。このような背景もあり、当館が収集した多くの体験等を通して、広く県民の皆様に知っていただきたいとの思いから今回のテーマとして取り上げました。
また、今回の企画展示の副題を『滋賀県出身の兵士が見た戦場と平和の灯(ともしび)』としていますとおり、戦場での記録だけでなく、滋賀県と湖南省との友好関係を軸に平和への歩みも紹介しています。
戦争と平和への歩みを取り上げることで、現代の国際紛争を考えるきっかけになればと考えています。特に平和学習などで多くの子どもたちが来館されるので、子どもたちが戦争と平和について考えるきっかけとなるように、体験談だけではなく、実物、写真、地図など目で見てわかるような資料を多く展示するように工夫しています。
展示や体験談について、何でも良いので気になったものや感じたことを家族や友人に伝えて欲しいと考えています。また、歳を重ねるにつれて考え方も変わるでしょうから、ここに来られた1回ですべてを学ぼうと思わなくてよいです。今後、戦争に関するコンテンツに色々触れていくなかで、ここでの記憶とともに学びを積み重ねていただきたいと思います。
できる限り、戦争体験談の聞き取りを行い、関連資料を集めていきます。資料の収集が今後ますます難しくなりますので、博物館や図書館で公開されているデータを活用するとともに、私たちが収集した資料を改めて整理し、理解をより深める、例えば、この方とこの方は同じ戦場を経験されていたのだとか、個々の資料を繋げるようなことができればと考えています。
今回は『未来へつなぐ』ということを意識した企画としており、これからを担う若い方々による発表会や戦争遺跡/戦争証言動画の上映会などの催しを予定しています。
発表会については、この3月まで大学生だった方が卒業研究で平和祈念館について研究いただいたことから、その成果について発表していただきます。また、県内の中学3年生が、特攻隊の基地があった鹿児島県知覧市に平和学習に行かれことから、その学習成果を発表していただくことも予定しており、若い方が何を学び、考えたのかを知る機会としています。
続いて、戦争遺跡/戦争証言動画の上映会については、戦争遺跡や戦争証言をまとめた新しい動画が今年の3月に完成しましたので、それらの上映を行います。また、今回の動画はNHKエンタープライズの方に制作いただいていますが、この制作者の方から「映像でつなぐ戦争体験と平和」というテーマで動画上映会の後にお話しいただくことを予定しています。
その他には、戦後80年特別企画として、昨年公開された映画『オッペンハイマー』を上映する予定のほか、普段は学校や団体向けに実施している、焼夷弾などの実物資料に触れながら戦時中の滋賀県を学ぶ平和学習を一般の来館者の方も体験できる企画を予定しています。
若い方が学ばれ、感じたことについての発表をとおして、これから先を担っていく若い方たちと未来の平和をどのように築いていくかを共に考えるきっかけとしてもらえればと考えています。
また、その他「見る・聞く・食べる(※)・感じる」などさまざまな体験をとおして戦争と平和について考え、学んでいただきたいと思います。
今年は戦後80年という節目の年ではありますが、過去のことで終わるのではなく、今がどうなっているのかを知っていただき、この先どうすれば平和な世界になるのかを考えていただけるような、今回の企画が来館された方にとって過去を知って未来へつなぐきっかけになればと考えています。
(※)平和祈念weekの中で、戦時食を食べる体験行事も行われています。
戦争を過去の悲惨な出来事とだけ捉えるのではなく、戦争の記憶の共有・継承をとおして現在と未来がより良くなるにはどうすればよいかを考えていくことが大切だということが大変良く分かりました。
平和祈念館では、企画展示以外にも多くの常設展示があり、滋賀県に生まれ、暮らしていた人々が、戦争という時代にどのように巻き込まれ、暮らしていたのかがとても良く分かります。
ぜひこの機会に平和祈念館を訪れていただき、過去の戦争を知っていただくとともに、誰の人権も侵害することなく、また侵害されることなく、それぞれが尊重される未来を考えるきっかけとしていただければと思います。
~平和・人権の保障は世界の人々の願い(世界人権宣言)~
20世紀における二度の世界大戦により、多くの人々の尊い命が奪われるとともに、さまざまな人権侵害も起こりました。その反省に立ち、世界中のすべての人が幸せに暮らせる社会の実現を願い、昭和23年(1948年)12月10日、国際連合総会で、「世界人権宣言」が採択されました。
「世界人権宣言」は、全世界に通用する基本的人権尊重の原則が定められており、世界各国の憲法や法律にも取り入れられています。
◆今回紹介しました企画展示および平和祈念weekの開催期間や開催内容につきましては、下記HPをご覧ください。
◎企画展示「記憶の中の戦場・中国」(令和7年6月28日~12月14日)
https://www.pref.shiga.lg.jp/heiwamuseum/news/344401.html
◎平和祈念week2025(令和7年8月11日~8月17日)
https://www.pref.shiga.lg.jp/heiwamuseum/news/344552.html
(主なイベント)
・8月11日卒業論文成果発表、ボランティアグループ発表会
・8月15日中学生の知覧学習成果発表
・8月16日戦争遺跡/戦争証言動画上映会、平和学習講座
・8月17日映画「オッペンハイマー」上映会(※要事前予約)
◆今回お伺いしました、滋賀県平和祈念館の概要はこちら!
所在地
東近江市下中野町 431 番地
開館時間
9時 30 分~17 時00分(入館は、16時30分まで)
休館日
月曜日・火曜日(祝日にあたる場合は開館)(7/16(水)~8/24(日)の間は休館日はありません。)
年末年始(12 月 28 日~1 月 4 日)
その他、業務の都合により休館する場合があります。
入館料
無料
電話番号
0749-46-0300
E-mail
[email protected]
アクセス
●名神高速道路「八日市 IC」から車で約 10 分(無料の駐車場があります。)
●JR 琵琶湖線彦根駅または近江八幡駅乗り換え、近江鉄道八日市
駅からバスで約 20 分「愛東支所・診療所前」下車すぐ
ジンケンダーのちょっと一言
県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内
【今月の放送予定】
毎週火曜日9時30分頃~(5分間)
8月 5日・・・「インターネット上の人権侵害2~誹謗中傷にあったら~」
8月12日・・・「戦争と人権」
8月19日・・・「カスハラ・パワハラ」
8月26日・・・「じんけんミニフェスタ」
番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。
放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。ぜひお聴きください!
じんけん通信では、本年開催の「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」に合わせて、「障スポ」で実施される競技種目を毎月紹介しています。
今回は、正式競技の1つ、「フットソフトボール」の概要について、ご紹介します。
◆フットソフトボール
知的障害のある選手が、1チーム9名(指名選手を採用した場合は10名)で競技を行います。
ルールは一般のソフトボールを基本としていますが、バットやグローブは使わずに、ピッチャーがサッカーボールを転がし、キッカーがそれを蹴ってプレーします。
詳細は、大会公式ホームページをご覧ください♪
https://shiga-sports2025.jp/shospo
●6日 広島原爆の日 /9日 長崎原爆の日
昭和20年(1945年)8月6日に広島へ、9日には長崎に原爆が投下され、広島では約14万人が、長崎では約 7 万人の方が亡くなったとされています。
●7日 ホームレス自立支援法の公布・施行
平成 14 年(2002 年)のこの日に公布・施行。ホームレスの自立の支援や、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関して、国、地方公共団体の責務を明らかにしました。 平成30年6月14日の改正により、自立支援の有効期限が2027年まで10年間延長となりました。
●9日 世界の先住民の国際デー
昭和57年(1982 年)8月9日に「国連人権保護・推進分科会の国連先住民族作業部会」が初めて開催されたことを受け、先住民のニーズに対する認識を高めることを目的に、平成6年(1994年)12月23日、国連で定められました。ユネスコでは毎年この日を記念し、その年のテーマに関するプロジェクトや活動に関する情報を共有しています。
●11日 同和対策審議会答申の提出
昭和40年(1965年)8月11日に、同和対策審議会が国に答申を提出しました。この答申では、「同和問題は日本国憲法によって保障された基本的人権に関わる課題であり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である。」と明記されました。これを受けて、同和問題の解決に向けた本格的な取組が始まりました。
●12日 国際青少年デー
8月12日を「国際青少年デー」とすべきだとする青少年に関する世界閣僚会議の提案が、平成11年(1999年)12月17日、国連総会に認められました。 この日は政府やその他の人々の注意を世界の青少年問題へ向ける機会とされており、毎年異なるテーマが設定されています。
●15日 戦没者を追悼し、平和を祈念する日
昭和20年(1945 年)8月15日に第二次世界大戦が終結したことを受け、昭和 57年(1982年)に、この日を「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」とすることが閣議決定されました。
●28日 解放令の公布
明治4年(1871年)のこの日、明治政府は、それまで賤民とされていた人々の身分や職業を平民と同様とする内容の「太政官布告(解放令)」を公布しました。
●27 日~9 月 2 日 全国一斉「子どもの人権 110 番」強化週間
全国の法務局では、子どもの人権に関する専門相談電話「子どもの人権110番」(フリーダイヤル0120-007-110)を設置しています。週間中は平日の電話相談受付時間を延長するとともに、土曜日・日曜日も電話相談に応じますので、気軽にお電話ください。相談は無料、秘密は厳守します。
●30 日 強制失踪の被害者のための国際デー
世界のいたるところに存在する何万人という強制失踪の被害者への関心を高める日となっています。わが国は拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要であることから、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」に平成19年(2007年)に署名、平成21年(2009 年)7月23日に締結しました。