文字サイズ

じんけん通信

 人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。

 ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ幸いです。

 「じんけん通信」は、バックナンバーもご覧いただけます。

/c/jinken/keihatsu/jinkentushin/images/jinkentushin_bak1.jpg

令和3年(2021年)8月(第160号)

 令和元年(2019年)5月に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施策推進法)」が施行されましたが、残念なことに今年3月にはテレビ番組でアイヌの人々を傷つける非常に不適切な差別的表現が使用されるなど、まだまだ問題が残っています。

 今回のじんけん通信は、前回号(令和3年7月号)に引き続き、「理解を深めて、偏見・差別をなくそう~アイヌの人々の歴史と文化~(後編)」として、アイヌの文化や、それらを守り引き継ぐ取組などについて紹介します。同じ日本に住むアイヌの人々についてまずは「知る」ことから始めませんか?

特集 理解を深めて、偏見・差別をなくそう~アイヌの人々の歴史と文化~(後編)

アイヌの人々の現状と理解・振興に向けた取組

 国の近代化政策の結果、その文化に深刻な影響を与えられ、民族としての尊厳を認められなかったアイヌの人々は、偏見や差別から逃れるために自分たちが「アイヌ」であることを隠してきました。

 平成28年(2016年)2月に内閣府と内閣官房は、国民全体を対象とした「国民のアイヌに対する理解度に関する世論調査」と、アイヌの人々を対象とした「国民のアイヌに対する理解度についての意識調査※1」の結果をそれぞれ公表しました。

 この二つの調査結果を比較すると、アイヌの人々に対して差別や偏見が「あると思う」との回答は、前者が17.9%であったのに対し、後者は72.1%と50ポイント以上の差がありました。また、差別や偏見が「あると思う」と答えた人に対して理由を複数回答で尋ねたところ、国民全体への調査では「報道などを通じてアイヌの人々が差別を受けているという話を聞いたことがある」が47.2%で最多、アイヌの人々への調査では「漠然と差別や偏見があるイメージがある」が54.7%で最多でしたが、一方で、アイヌの人々への調査で「家族・親族・友人・知人が差別を受けている」「アイヌの差別を受けているという具体的な話を聞いたことがある」との回答がそれぞれ50%超、「経済格差や教育格差がある」が45.9%、「自分が差別を受けている」との回答が36.6%に上っており、実際に差別を見聞き・経験したために差別や偏見が「あると思う」と回答している割合が多いことがわかります。

 これらの調査から、アイヌの人々は偏見・差別を受けてきた歴史がある一方で、国民全体にはそのことがあまり認識されていないことがわかります。また、偏見・差別があると思う国民は、報道などでアイヌの人々に対する差別の情報に触れたことが知るきっかけとなった場合が多いと思われます。


※1 アイヌの人々に対する全国調査はこの時が初めてで、全国20歳以上のアイヌの人々1,000人を対象に行われた。


画像1
法務省人権擁護局ホームページより引用

 また、平成29年(2017年)に北海道が実施した「アイヌ生活実態調査」(対象:アイヌの人々※2 5,571世帯、13,118人)によると、高校、大学への進学率はそれぞれ増加していますが、大学進学率についてはアイヌの人々が居住する市町村全体との格差が見られます。さらに、差別経験の有無については、「差別を受けたことがある」または「自分はないが、他人が受けたのを知っている」との回答は26.3%であり、未だにいわれのない差別があることがわかります。

 一方、アイヌに関する認知度が高まっているという調査結果もあります。内閣府が令和2年(2020年)11月5日から12月20日に実施した「アイヌ政策に関する世論調査」の結果によると、アイヌ民族を「知っている」との回答は93.6%で、平成30年(2018年)の前回調査と比べてほぼ横ばいでしたが、このうちアイヌが「先住民族であるということ」を知っているとの回答は前回比13.9%増の91.2%と、過去最高となりました。この要因としては、令和元年(2019年)の「アイヌ施策推進法」の施行、翌年7月の「民族共生象徴空間」(愛称:ウポポイ※3)の開業やアイヌ民族とその文化を取り上げた人気漫画の影響があると考えられます。

 ★「ウポポイ」は北海道白老郡白老町(しらおいぐんしらおいちょう)に開業し、先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初・日本最北の国立アイヌ民族博物館や、伝統芸能上演・工芸などを体験できる国立民族共生公園などで構成された、アイヌの世界観や自然観を体感できる施設です。アイヌ民族とアイヌ文化の復興や発展、情報発信、国民のアイヌ学習の中心になると期待されています。

 ホームページはこちらhttps://ainu-upopoy.jp/

ウポポイ
↑ ウポポイ ロゴマーク
画像2
↑ 民族共生象徴空間(ウポポイ)※イメージです。 提供:公益財団法人 アイヌ民族文化財団

※2 本調査の調査対象となったのは、道内各市町村が把握することのできたアイヌの人々であり、道内に居住しているアイヌの人々の全数とはなっていません。

※3 アイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」


アイヌに関する情報

 ここで、アイヌの文化やアイヌ語、関連施設、取組の一部を紹介します。

○アイヌ文化

・アイヌ古式舞踊

 アイヌの人々は、祭りや儀式などで人が集まった時には、歌ったり踊ったりしました。この踊りは地域により「リムセ」「ホリッパ」と呼ばれ、大きな輪になって踊るもの、神々への祈りを表したもの、遊びの要素を含んだもの、悪い神を追い払う儀礼から生まれたもの、豊漁猟を祈願するもの、労働の様子を表したもの、動物の動きを表したものなど、様々な種類があります。

 このアイヌ古式舞踊は、昭和59年(1984年)に国の重要無形民俗文化財に、平成21年(2009年)にユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産に登録されました。

鶴の舞



 

←踊りの一つ、鶴の舞
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団

・住居

 アイヌの伝統的な住居をアイヌ語で「チセ」といい、骨組みには木、壁や屋根の材料には草や木の皮など、すべて自然のものを利用してつくっていました。

チセ



←復元されたチセ、食糧庫、祭壇
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団

・料理

 アイヌの人々は、一年の多くを食糧採取に費やしました。四季折々にとれる野生植物や動物、魚介類は家族の食卓にのぼるとともに、長い冬の間の食糧として、また、飢饉などに備えるために蓄えられました。

・オハウ…アイヌ語でオハウは「汁」という意味で、山菜、野菜、鳥獣肉、魚肉などを煮て、脂や塩で味付けした汁物です。 一般に実の多い汁もので、具材が魚ならチェプオハウ、肉だとカムオハウとなります。

オハウ

・ラタㇱケㇷ゚…アイヌ語で「ラタㇱケㇷ゚」とは「合わせる」という意味があり、野菜、豆類を煮て魚脂または、獣脂と塩で味付けした料理。 日常食にも用いられるが儀式や祭事にも欠かせない料理であり、その種類も多い。 シケㇾペ(キハダの実)は黒くて小さく、乾燥したものを水で戻して使用します。噛むと苦みがありますが健胃と整腸作用があるとされています。

ラタシケプ

・シンヌラッパ(先祖供養)のお供え物…供物は「あの世の先祖の食べ物」で供物が多いほど先祖は喜ぶといわれています。人々は神々に供えるのと同じように、先祖にも惜しみなく供物を捧げて食べ物を分かち合います。

お供えもの

「料理」項目の文・写真の出典:北海道農政事務所Webサイト

https://www.maff.go.jp/hokkaido/suishin/shokuiku/20181120_ainudent.html

○アイヌ語

 アイヌ語は、特定の文字で表記する方法が定まっておらず、ユカラ※4などの口承により引き継がれてきました。しかし、明治政府による同化政策以降の日本語の強要などにより、現在では日常の言葉として使用する人はほとんどいないといわれており、平成21年(2009年)2月にユネスコは、世界で約2,500に上る言語が消滅の危機にあるとの調査結果を公表し、その中でアイヌ語は「極めて深刻」とされました。

 一方、現在では祖先から伝えられた言葉を多くの人々が話せるようになるよう、各地でアイヌ語教室が開催され、ラジオでもアイヌ語講座が放送されるなど、様々な活動が行われています。また、私たちが使っている言葉の中にはアイヌ語が語源の言葉もあり、シシャモ、トナカイ、ラッコはその一例です。


※4 アイヌ民族に伝わる叙事詩の総称


〇関連施設

・国立民族学博物館(愛称:みんぱく)

 民族学・文化人類学に関する調査・研究をおこなうとともに、その成果に基づいて、民族資料の収集・公開などの活動をおこない、これらを通して、世界の諸民族の社会と文化に関する情報を人々に提供し、諸民族についての認識と理解を深めることを目的として、昭和49年(1974年)に創設され、昭和52年(1977年)11月に大阪府吹田市に開館した博物館。

 ホームページはこちらhttps://www.minpaku.ac.jp/

・北海道立アイヌ民族文化研究センター

 貴重なアイヌ民族文化の調査研究を行い、その成果の普及を目的として様々な事業に取り組んでいる。

 ホームページはこちらhttps://ainu-center.hm.pref.hokkaido.lg.jp/

〇理解・振興に向けた取組

・「イランカラㇷ゚テ」キャンペーン

 日本が持つ文化の多様性の一面としてアイヌ文化が注目されている中、アイヌ文化等の普及啓発をより一層推進するため、平成25年度から平成27年度の3年間を重点期間とし、民間企業や行政機関、学術機関等の連携により、アイヌ語のあいさつ「イランカラㇷ゚テ」(「こんにちは」の意)を、「北海道のおもてなし」のキーワードとして普及させるキャンペーンを展開したもの。

 ホームページはこちらhttp://www.irankarapte.com/index.html





「イランカラㇷ゚テ」ロゴマーク→

ロゴ

・法務省人権擁護局による取組

 「アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう」を強調事項の一つとして掲げ、啓発冊子の配布等、各種人権啓発活動を実施している。

 ホームページはこちらhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken05_00004.html

理解を深め、偏見・差別をなくそう

 近年、国や自治体などによる取組や人気漫画の影響もあり、アイヌの人々の固有の文化が見直され、地域や産業の振興などのため様々な支援が行われています。しかし一方では、アイヌの人々に対する誤った理解・認識や「知らない」ことによる偏見や差別が未だに存在しています。

 冒頭に述べた今年3月のテレビ番組で差別的表現が使用されたことを受けて、政府は「アイヌの人々に対する国民の認知度が高まってきた中でこのような事案が発生したことは極めて遺憾であり、政府・民間一体となって再発防止のための取組を推進していくことが重要である」としています。

 アイヌの人々が住んでいるのは北海道だけではありません。もしかしたら身近にも偏見・差別を恐れ自らのルーツを語れないアイヌの人々が住んでいるかもしれません。多様な人々や文化の違いを認め合い、互いに尊重し、理解することが、誰もが自分らしく過ごすことができる社会づくりへとつながります。

 偏見や差別をなくすためには、まずは私たち一人ひとりが、アイヌの人々の固有の言語や伝統的な儀式等、独自の豊かな文化等を知り、そして、正しく理解し、尊重することが大切なのではないでしょうか。

○引用・参考資料等

 法務省人権擁護局 ホームページ http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken05_00004.html

 「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」報告書のポイント 内閣官房アイヌ総合政策室「アイヌ政策に関する世論調査」の概要 内閣府政府広報室文化庁 ホームページhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/index.html

 北海道環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課 ホームページ
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/index.htm

 「イランカラㇷ゚テ」キャンペーン ホームページ http://www.irankarapte.com/

 「人権ポケットブック12 アイヌの人々と人権」 公益財団法人人権教育啓発推進センター

 公益財団法人アイヌ民族文化財団 ホームページ https://www.ff-ainu.or.jp/index.html

 公益財団法人北海道アイヌ協会 ホームページ https://www.ainu-assn.or.jp/

 大阪同和・人権問題企業連絡会 ホームページ http://www.osaka-doukiren.jp/series/series01/14219

人権カレンダー8月

・6日 広島原爆の日 /9日 長崎原爆の日
昭和20年(1945年)8月6日に広島へ、9日には長崎に原爆が投下され、広島では約14万人が、長崎では約7万人の方が亡くなったとされています。

・7日 ホームレス自立支援法の公布・施行
平成14年(2002年)のこの日に公布・施行。ホームレスの自立の支援や、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関して、国、地方公共団体の責務を明らかにしました。 平成30年(2018年)6月14日の改正により、自立支援の有効期限が令和9年(2027年)まで10年間延長となりました。

・12日 国際青少年デー
8月12日を「国際青少年デー」とすべきだとする青少年に関する世界閣僚会議の提案が、平成11年(1999年)12月17日、国連総会に認められました。 この日は政府やその他の人々の注意を世界の青少年問題へ向ける機会とされており、毎年異なるテーマが設定されています。

・15日 戦没者を追悼し、平和を祈念する日
昭和20年(1945年)8月15日に第二次世界大戦が終結したことを受け、昭和57年(1982年)に、この日を「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」とすることが閣議決定されました。

・28日 解放令の公布
明治4年(1871年)のこの日、明治政府は、それまで賤民とされていた人々の身分や職業を平民と同様とする内容の「太政官布告(解放令)」を公布しました。

 ・27日~9月2日 全国一斉「子どもの人権110番」強化週間 
全国の法務局では、子どもの人権に関する専門相談電話「子どもの人権110番」(フリーダイヤル0120-007-110)を設置しています。週間中は平日の電話相談受付時間を延長するとともに、土曜日・日曜日も電話相談に応じますので、気軽にお電話ください。通話・相談は無料、秘密は厳守します。

・30日 強制失踪の被害者のための国際デー
世界のいたるところに存在する何万人という強制失踪の被害者への関心を高める日となっています。わが国は拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要であることから、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」に平成19年(2007年)に署名、平成21年(2009年)7月23日に締結しました。

ジンケンダーのちょっと一言

滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」

多様な人々や文化の違いを認め合い、尊重することが大切なのだー!

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
Adobe Readerのダウンロードページへ(別ウィンドウ)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。