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人権教育のための国連10年滋賀県行動計画1-(1)

(1)人権尊重の国際的な潮流とわが国の取り組み

(国際的な取り組み)

第二次世界大戦は、多数の犠牲者を出し、悲惨な結果をもたらしました。この戦争を契機にして、世界の平和を実現するためには、人権を国際的に保障していくことが必要であると認識されるようになり、昭和20年(1945年)に、「国際の平和および安全を維持(し)…人権および基本的自由を尊重するように助長奨励する」ことを目的とした国際連合が設立されました。昭和23年(1948年)の第3回国連総会においては、すべての人とすべての国とが達成すべき人権に関する基準を定めた「世界人権宣言」が採択されました。
「世界人権宣言」の採択以降、国際連合では、この宣言を具体化するため、国際人権規約をはじめ、「難民の地位に関する条約」、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「児童の権利に関する条約」などの人権関係諸条約が採択され、また、「国際婦人年」、「国際児童年」、「国際障害者年」、「国際識字年」、「国連寛容年」などの国際年を定め、それぞれの課題を解決するための取り組みが展開されました。
このようなさまざまな取り組みにもかかわらず、冷戦構造の崩壊後においても、世界各地で地域紛争が多発し、これに伴う人権侵害、難民発生など、深刻な問題が起こっています。しかし、冷戦構造の崩壊は、国際社会全体での議論を可能とする環境を創り出し、人権尊重に向けて取り組む気運が高まりました。平成5年(1993年)には、国際連合のこれまでの人権活動の成果を検証し、現在直面している問題や今後進むべき方向を協議することを目的として、ウィーンにおいて世界人権会議が開催され、「ウィーン宣言および行動計画」が採択されました。この中で、「すべての人権は、普遍的、不可分、相互に依存し、関連している」ことや「すべての人権の促進および保護は国際社会の正当な関心事項である」ことが確認されました。また、「人権分野における教育活動を促し、奨励し、かつ重視するために、人権教育のための国連10年を宣言することが検討されるべきである」と提唱されました。
そして、平成6年(1994年)12月の第49回国連総会において、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までの10年間を「人権教育のための国連10年」とする旨の決議とともに、「人権教育のための国連10年行動計画」が採択され、人権という普遍的文化を世界中に構築するための取り組みが開始されました。なお、国連では、平成12年(2000年)9月に、前半5年間の取り組みの中間評価を行っています。

(わが国の取り組み)

このような人権尊重の国際的な潮流の中で、わが国は、国際人権規約*をはじめ、「難民の地位に関する条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「児童の権利に関する条約」等の人権関係条約を締結し、また、平成7年(1995年)12月には、長年の懸案となっていた「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」を締結しました。
「人権教育のための国連10年」については、平成7年(1995年)12月に関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保し、総合的かつ効果的に取り組むため、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」が設置されました。平成9年(1997年)7月には、「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画が取りまとめられ、この計画に掲げられた諸施策の着実な実施等を通じて、人権教育の積極的な推進を図ることとしています。
さらに、平成8年(1996年)5月には、地域改善対策の今後の基本的な課題について審議していた地域改善対策協議会から、内閣総理大臣および関係大臣あてに「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方(意見具申)」が提出され、この中で、「差別意識の解消に向けた教育および啓発の推進」、「人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化」等が求められました。
これらの状況を踏まえ、平成8年(1996年)12月に「人権擁護施策推進法」が制定され、この法律に基づく「人権擁護推進審議会」において、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項」および「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項」について調査審議が行われ答申が出されています。
まず、教育および啓発に関する答申(平成11年(1999年)7月)では、教育・啓発の基本的在り方として、「国民一人一人に、人権の意義やその重要性が知識として確実に身に付き、人権問題を直感的に捉える感性や日常生活において人権への配慮がその態度や行動に現れるような人権感覚が十分身に付くよう、…創意工夫を凝らしていく必要がある。その際、人格が形成される早い時期から、人権尊重の精神の芽生えが感性として育まれるよう配慮する必要がある。」としています。
そして、平成12年(2000年)12月には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、国の責務として人権教育および人権啓発に関する施策を策定し、実施することが明らかにされています。
一方、被害者の救済に関する答申(平成13年(2001年)5月)では、簡易な相談やあっせん、指導等に加え、積極的な救済のための調停、仲裁、勧告・公表、訴訟援助等を行う新たな人権救済機関として、政府から独立し委員会組織を有する(仮称)人権委員会の設置を求めています。また、人権啓発と人権救済は人権擁護行政における車の両輪であり、人権委員会は人権啓発もあわせて所掌すべきであるとしています。
また、近年、「男女共同参画社会基本法」や「外国人登録法の一部を改正する法律」、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」、「児童虐待の防止等に関する法律」、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」等人権に関する数多くの法律が制定、改正されています。
このように、わが国においても、さまざまな分野で一層の人権尊重に向けた取り組みが進められています。
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