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「じんけん通信」(第25号)

「じんけん通信」は、県職員の人権意識の高揚と人権の視点に立った行政の一層の推進を図るために、人権施策推進課から定期的に発信してきたものですが、平成22年度からは、このホームページ上に公開していくこととしました。ブラウザのお気に入りに入れていただければ感激です。

じんけん通信タイトル

平成22年(2010年)5月(第25号)

  • 人権をもっと身近に学び、理解を深めていくために、国や県、市町などでは、さまざまな取り組みが行われています。啓発ポスターや人権作文、研修会、講演会などが行われており、皆さんも一度は目にされたり、参加したりといった経験がおありかと思います。
  • 毎回、さまざまな人権の分野で、取り組みを進めておられる方々を訪問し、現場の声を届けていきたいと思います。どうか、よろしくお願いします。

特集 ひとり親家庭と人権

  • 5月は5日が「こどもの日」で「児童福祉月間」にもなっています。月間では、安心して子どもを生み育てることのできる環境づくりに社会全体で取り組んでいくことを目的として、児童福祉の理念の一層の周知と、子どもを取り巻く諸課題に対する社会的関心を喚起することとなっていますが、今号では「ひとり親家庭と人権」と題して社会福祉法人母子福祉のぞみ会会長の内池章子さんにお話を伺いました。

社会福祉法人 母子福祉のぞみ会訪問記

Q 母子福祉のぞみ会の設立経過や会員数、取り組み内容、課題などを教えてください。

A第2次世界大戦後の経済的不況に大きく影響され、困窮する母子家庭の母、寡婦が、相互扶助により生活意欲を高め、社会的地位を向上させようと、昭和24年(1949年)、のぞみ会の前身である「滋賀県未亡人会」が結成されました。今でもそうですが、母親ひとりで生活を担っていくことや子どもの養育はとても大変でくじけそうになりますが、そういった母親たちを支えて、励まし、力を合わせて、「我が幸は、我が手で」をモットーにたゆまぬ努力を続けてきました。

その後、昭和45年(1970年)にこの会の活動センターとしてこの「のぞみ荘」ができました。

創立60周年記念誌とパフレット写真です

昭和48年(1973年)に名称を「滋賀県母子福祉のぞみ会」と変更し、県内母子家庭、寡婦の福祉の活動を展開してきました。現在会員は5000人弱です(母子家庭で2000人、寡婦で3000人くらいの構成。県の21年4月調査では母子家庭が11846世帯なので組織率としては20%を切っている状態とのこと)。この会の趣旨に賛同いただける方なら誰でも入会ができるようになっています。会としては県の理事会、評議員会で運営を行っています。

のぞみ会の年間の行事

  • 5月:「お母さんありがとうのつどい」として「母と子のスポーツ大会」・・・今年は場所の関係で6月に実施予定です。
  • 6月:高校入学のお祝いとして奨学金贈呈・・・今までは広く全部の方を対象として県、のぞみ会で蓄えたものでお渡ししていましたが、今年度からは高校無償化もあり、のぞみ会の資金の問題や県からの助成金の減少などから会員のみに支給を変更し、これも資金の問題から今年度限りで打ち切りの方向で検討しています。
  • 7月:母子家庭の指導者研究集会・・・役員たちが一同に会し、県からさまざまな施策の説明を受け、皆がひとり親家庭を支援するための研修会を実施しています。
  • 7月から8月にかけて:「ふれあい広場」と称して、母子家庭の方たちにバス旅行など癒しの事業を実施。
  • 6月から11月にかけて:就労のための資格取得をめざしたパソコン講習会を実施。予算がつけば以前行っていたホームヘルパー2級の講習会も実施していきたいと考えています。
  • 9月から12月にかけて:「寡婦の生きがい教室」・・・みんなが集まって手作り作品の制作や食事をする、楽しい集いです。
  • 10月から11月にかけて:県の母子寡婦福祉大会・・・各支部持ち回りで800人から1200人の規模で開催しています。昨年は60周年記念大会ということで大津市市民会館で1200名が参加し、国会議員をはじめ多くの来賓にも参加いただき、また知事にはひとり親家庭福祉推進員への表彰もしていただきました。
滋賀県母子福祉のぞみ会内池会長の写真です

その他、母子家庭や寡婦のために実施している事業として、県からさまざまな委託も受けており、母子家庭等就業・自立支援センター事業、母子家庭支援プログラム策定事業、昨年度から緊急雇用対策として母子家庭福祉相談ダイヤル事業といった電話相談、母子家庭日常生活支援事業などを行っています。日常生活支援事業はお母さんが働くにあたって、「急に残業が入った」とか「病気になった」といった場合に子どもを預かったり食事の準備をしたりといった支援を行う人を派遣する事業です。

他にも母子家庭の就労の場として、11店舗の食堂を経営しています。宿泊施設もここのぞみ荘にはあります。

いろいろな活動を通して、母子家庭の母が子どもを育てていくために、支えあっていけるように会員拡大も進めていますが、最近は、児童扶養手当や医療費の無料化などの恩恵には浴するけれど、入会希望が少なくなっており、母子家庭の方にはひとりでも多くの方に会員に入っていただき、国や県にいろんな陳情を行って、そういった施策がなくならないようにしていきたいと思っています。この会員がなかなか増えないことが課題でもあり、魅力ある運営にもがんばりたいと思っています。

また、まだまだ母子家庭の母親が働ける職場が少ないのも課題です。事業主への助成金があるにもかかわらず、受け入れてもらえる職場が増えないことが、母子家庭の自立を妨げている要因でもあります。母子家庭の平均所得も100万から200万程度しかない現状で、児童扶養手当を含めても月15万程度にしかならない上に、少し所得が増えると児童扶養手当が減らされるなど、働けど働けど楽にならない事例が多いのが今の現状。特に一昨年から相談も非常に困難な状況のものが多くなりました。

Q ひとり親家庭の貧困率が半分以上という政府の発表もありましたが、母子家庭をとりまく現状についてもう少し詳しく教えてください。

A 母子家庭というだけで面接を受けることすら断られる事例も多くあります。事業主としては急に休まれると困るという事情もわかりますが、事業所内託児所の設置や病児保育の充実など対応してほしいと思います。そうすると一般家庭のお母さんでも働きやすい状況になると思います。大津市では幼稚園でも延長保育制度を今年度から実施してくれることとなりました。

また、所得によって学力差が生まれている現状もあり、母子家庭の子どもの成績が悪いと言われるという悩みもあります。「未亡人」という言葉も人権上の配慮から使用されることもなくなってきましたが、ほとんどのお母さんが生活保護をもらうより何とか自立したいと考えているので、そのための環境を整備してほしいと思います。母子家庭が「貧困、貧困」といわれると本当に惨めな思いを抱くことになると思います。

急に母子家庭となった場合、住居のことが大きな問題となり、公営住宅以外の場合、給料の半分近くが家賃に消えることもあります。そういった家庭を支援するために、彦根市で「コーポのぞみ」という母子生活支援施設も経営しています。そちらのほうでは自立して施設を出るまでに2年間という期間を目標に設定していますが、なかなかその期間内で自立することが難しい場合もあります。

Q 行政としても、公営住宅への優先入居等さまざまな施策も実施していますが、ひとり親家庭自体がこの24年で2倍となっている現状で今後どのような取り組みをされていくのかお聞かせください。

A 会員相互の扶助を提唱してきましたが、地域福祉というか地域で貢献するためにはどうするか、閉鎖的な考えから外へ出て行く方向へ、のぞみ会のことや母子家庭の状況というものを理解していただけるためにも、地域の中でみんなが活かされる福祉というものを目指していきたいと考えています。それと先ほども説明しましたが、自立を促せるような就労の斡旋とか開拓に力を入れていきたいと考えています。

また、母子部の若い人たちに、60年続いてきたのぞみ会が継承されていくように、会員でない人も取り込んで交流会などを充実し、「のぞみ会があってよかったなあ、だから今日があるんやなあ」と言ってもらえるような会にしていければ、また、次の時代に必要な福祉の人材の育成にも力を入れていきたいと考えています。今後の取り組みとしては、「のぞみ荘」の活性化につながる活用方法について、考えていきたいと考えています。

Q 県や県職員、県民に向けてのメッセージをお願いします。

A 先ほども申し上げましたが、お母さんが自立できる環境づくりについて、行政にも働きかけていきますが、地域社会でも理解いただけるように働きかけていき、就業・自立センターの活性化に力を入れていきたいと考えていますので、県民の方々の理解をお願いしたいと思います。またパートタイムと正社員の待遇の格差や母子家庭の採用について差別をしないような働きかけや理解をお願いしたいと思います。

Q のぞみ会実施のイベントについてお知らせがあれば、どうぞ。

A 平成22年度の母子家庭、寡婦の皆さんを対象とした行事日程です。ご参加をお待ちしています。

  • 6月6日(日曜日) 「お母さんありがとうのつどい・母と子のスポーツ大会」
  • 7月31日(土曜日)母子家庭等指導者研究集会・・・母子家庭の母の相談のための情報交換
  • 10月17日(日曜日)滋賀県母子寡婦福祉大会・・・県内の会員が一同に集まって交流を深めます

Q 初代会長の守田厚子氏について教えていただけますか。

A 玄関に銅像がありますが、95歳までこののぞみ会の会長を現役で務められ、全国会の会長も務められ、私が会長となった平成16年に102歳でなくなられました。守田氏は「私たちが活動していく中で蒔かれた制度や施策の『種』によって、母子家庭の子どもがすくすくと育ち、自立した生活ができることが私たちの幸せであり、そのために私たちは活動させていただいているという気持ちを持ってほしい」と会員にいつも言っておられました。私たちの「おかあさん」的な存在で偉大な先人でありました。

守田初代会長銅像写真です

内池会長様、ありがとうございました。

☆☆☆人権カレンダー5月☆☆☆

◎5月は児童福祉月間、消費者月間です

  • 1日~7日憲法週間

1950年(昭和25年)に実施された憲法施行3周年式典に合わせて、憲法の意義について国民に再確認してもらうことを目的として最高裁が中心となって「憲法記念週間」として始められました。昭和28年からは法務省、検察庁、弁護士会の協力で実施されるようになり、昭和31年に現在の名称に改称されています。この期間に合わせて各地で関連行事が開催されます。詳しくは行事案内をご覧ください。

  • 3日憲法記念日
  • 3日世界報道自由デー

1993年国連総会において宣言された記念日です。これは、自由かつ多元的で独立した報道がどの民主社会においても不可欠であるという「世界の報道の自由促進に関するUNESCO総会議決」(1991年)に由来するものです。

  • 5~11日児童福祉週間
  • 8日、9日第二次大戦中に命を失った全ての人に追悼を捧げる日

2004年に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で記念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。

  • 15日国際家族デー
  • 21日対話と発展のための世界文化多様性デー

国連総会は2002年12月20日、繁栄や持続可能な開発、平和的共存を実現する手段としての文化の潜在的能力を高める必要から、5月21日を「対話と発展のための世界文化多様性デー」と宣言しました(決議57/249)。「国連文化遺産年」(2002年)の幕を閉じるにあたり、総会では文化の多様性を保護することと、文明間の対話の枠組みを拡大することとに密接な関連性があることを認めています。

  • 25~31日非自治地域人民との連帯週間

1999年、国連総会は毎年5月25日から始まる一週間を「非自治地域の人々との連帯週間」とするよう非植民地化特別委員会に要請しました。この週間はもともと1972年に、「自由と独立と平等な権利のために戦う南部アフリカ、ギニア(ビサウ)およびカーボベルデの植民地人民との連帯週間」として、アフリカ解放記念日である5月25日から開始されることが宣言されていました。

  • 29日国連平和維持要員の国際デー

2002年国連総会で国連の平和維持活動に奉仕したすべての人の高いプロ意識、献身および勇気を称え、平和のためにその命を失った人々を追慕するため宣言された記念日です。

  • 30日消費者の日

「消費者基本法」改正前の「消費者保護基本法」が昭和43年のこの日に施行されたことから、その施行10周年を機に、昭和53年経済企画庁(現内閣府)によって制定され、昭和63年からは同法20周年を機に毎年5月が「消費者月間」となっています。現在は消費者庁を中心に被害防止のための啓発活動が行われます。

  • 31日世界禁煙デー

WHO(世界保健機構)が発足40周年を記念して1989年に制定しました。

■じんけん豆知識「憲法と人権」

5月1日~5月7日は憲法週間ですが、みなさんは憲法を読んでみたことはありますか。

日本国憲法の三大原理は『国民主権』、『平和主義』、そして『基本的人権の尊重』であり、それに基づいて人権に大きく関わる条文がたくさん規定されています。

例えば

「奴隷的拘束・苦役からの自由」(第18条)や「思想・良心の自由」(第19条)、「住居・移転・職業選択の自由」(第22条)をはじめとする自由権

「法の下の平等」(第14条)をはじめとする平等権

「生存権」(第25条)や「教育を受ける権利」(第26条)をはじめとする社会権

などが挙げられ、その他にも参政権や請願権なども保障されています。

最近の新聞やニュースでは人権侵害に当たる事件が数多く報道されていますが、私たちの身近なところでもそういったことが起こっているかもしれません。今一度私たちの社会の基盤となる憲法の意義や人権について考えてみましょう。

★憲法漢字クイズ

日本国憲法やその公布文には難しい漢字が結構出てきます。いくつか挙げてみましたので読めるかどうか是非挑戦してください。()内は簡単な意味ですのでヒントにどうぞ。答えは編集後記にて。

  1. 朕(一人称)
  2. 枢密(政治上の重要な秘密)
  3. 諮詢(参考として他の機関などに意見を問い求めること)
  4. 裁可 (判断して許可すること)
  5. 礎(物事の基礎となる大切なもの)
  6. 詔勅(天皇の意思を表示する文書の総称)
  7. 典範(規範となる事柄)
  8. 希求(強く願い求めること)
  9. 虞(悪いことが起こるのではないかという心配)
  10. 特赦(有罪の言い渡しを受けた特定の者に対して、その効力を失わせること)

憲法に関する資料が解説付きで読めます→http://www.ndl.go.jp/constitution/index.html

■イベント・行事案内 県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • 憲法週間に合わせて無料法律相談・人権相談会があります!

県外

  • 大阪人権博物館 特集展示『日本の歴史と差別問題』

期間:4月1日(火曜日)~6月13日(日曜日)、6月15日(水曜日)~11月7日(日曜日)

  • 京都人権文化講座「マンガを通して『偏見』を考える」

講師:吉村和真さん(京都精華大学マンガ学部)
日時:5月25日(火曜日)18時~20時
会場:京都商工会議所3階講堂
参加費:1000円
問い合わせ先:部落解放・人権政策確立要求京都府実行委員会(075-415-1030)

  • 2010世界禁煙デー禁煙啓発イベント(京都)

日時:5月30日(日曜日)12時~16時
場所:京都駅前地下街ポルタ西通り広場
http://www.pref.kyoto.jp/tobacco/10porta.html

編集後記

3月以降大阪府の各地で虐待により幼い命が奪われるという事件が発生し連日のように報道されています。 希望であふれているはずの子どもたちの未来がこのような形で絶たれてしまうというのは本当に痛ましく、いたたまれない気持ちになります。

児童福祉月間ということで今回ひとり親家庭を特集しましたが、子どもたちが健やかに育つことができる社会を作るために私たち個人や地域社会、自治体が何をしなければならないのか、改めて考えさせられました。

この「じんけん通信」で少しでも人権に興味を持っていただき、また身近に感じていただけるよう、わかりやすい紙面作りができればと思っています。よろしくお付き合いください。ご意見・ご要望もお待ちしております。

クイズの答え:1ちん 2すうみつ 3しじゅん 4さいか 5いしづえ 6しょうちょく 7てんぱん 8ききゅう 9おそれ 10とくしゃ

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編集・発行/滋賀県県民文化生活部 人権施策推進課

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