「じんけん通信」は、平成20年5月から県職員の人権意識の高揚と人権の視点に立った行政の一層の推進を図るために、人権施策推進課から定期的に情報を発信していたものですが、平成22年度からこのホームページ上でも公開をすることとなりました。ブラウザのお気に入りに入れていただければ感激です。
平成22年(2010年)4月(第24号)
Q 滋賀県映画センターについて、どのような取り組みをなさっているかなど、教えてください。
A 1984年、当初は有限会社滋賀県映画センターとして設立されました。全国的に映画センターというものが各地にあり、各都道府県の映画センターはそれぞれ独立して事業を行っていますが横のつながりももっているし、全国的に映画を広めていこうという思いを持って事業を行っています。それぞれ、地域の特色を持っているので、その地域に根を下ろして文化を根付かせていこう、より盛り上げていこうとしています。
県内にもシネマコンプレックスなど映画館はたくさんありますが、そういうところで上映されている映画は、どちらかといえばアメリカハリウッドの作品や日本のものでもメジャーな作品が多いのです。
そのような中、日本映画でも映画館にかからない映画もあります。自主制作映画とよく言われるようなものです。そのような作品でもいいものがあり、人権などをテーマにしているのですが、なかなか商業ベースにのらず、映画館では流通しません。そのような、映画館でかからない映画を県民の皆さんにどのように見ていただくかということで、こちらでは、公共ホールで見ていただいたり、小、中、高校の授業の一環として見ていただいています。具体的には、劇場以外の所へ、映写機とフィルムを持って行き映画を見ていただくという活動をしています。
Q 多いのは、学校での上映会などですか?
A 小学校のPTA行事で、親子映画会などを行っています。内容は、娯楽映画がいいという要望もありますが、大多数は、映画館では見られない映画を見たいと言われます。例えば、障害のある人の映画を親子で見て、家で、親子で、映画について話してもらう映画会を企画しています。
中学では、沖縄への修学旅行に行く前に沖縄戦について学びたいという要望や、3年生を送る会で、高校に進む生徒たちを後押しできるような映画会をしたいという要望があります。高校では、人権に関する映画を見てもらっています。
Q 先日、「おくりびと」を高校生に鑑賞してもらったと聞きましたが、今年度はどのような映画を上映していかれるのですか。
A 現在予定しているのは、「オーシャンズ」「ブタがいた教室」「アンダンテ~稲の旋律~」などです。あとは子どもに見てもらえるアニメなども用意しています。
Q 今は、映画館に行かなくても家で映画が簡単に見られるようになりましたが、学校などで上映会を開き、後で話し合うきっかけを作るのは大変有意義だと思います。ただ上映時間が2時間程度かかりますし、一般の人向けに上映会を、というのは難しいですか。
A 昨年は「おくりびと」を上映しました。この作品は大変話題になり、県内の映画館でもほとんどが上映しましたが、その後、こちらが各地域で上映会を行いました。例えば、高島では、2千人という方が見にこられました。なぜ、このようにたくさんの人に見てもらえるのか、その理由を考えましたが、DVDが出ても家で見ることができるという人は少ないのではないかと思います。特に高齢者はそのような機械を持っていなかったり、同居している家族が高齢の両親のためにおくりびとのDVDを借りてきてくれるということも少ないのではないでしょうか。
また、車を運転できなかったり、路線バスがないなど映画館まで足を運べない人もいると思います。まだまだ県内には文化的僻地に住んでおられるというか、文化を享受できない方がおられるということを改めて学びました。これから、各地域にこのような映画を届けようと考えています。
Q 各地域の公民館などで上映される場合は有料ですか?
A はい。一般1人1,000円くらいです。
Q 有料でも、それだけたくさんの観客が来られるのですか?
A はい、年齢層は60歳以上が圧倒的に多いですが。
Q さて、先日も「キクとイサム」という滋賀県ゆかりの映画が上映された際、希望者が殺到して、見られなかった人も出たそうですが、そういった需要の掘り起こしも考えられると思います。
センターさんでは映画の制作協力もされているとホームページで拝見しましたが、現在は、どのような状況ですか?
A 最近では「火火」という作品の制作委員会に入り、出資を行いました。観客の掘り起こしで、いろいろなところでチケットを販売したりもし、大きな制作運動でした。また、「アンダンテ~稲の旋律~」という作品では、制作前からこちらに話があり、制作に協力しました。
Q 「アンダンテ~稲の旋律~」という作品はひきこもりを取り扱った作品で、「人権」に関連する作品であると思います。他に「人権」を啓発するという点からおすすめの映画はありますか?
A やはり「アンダンテ~稲の旋律~」ですかね。30歳までひきこもっていた女性が、農業に従事する男性に出会って心をとかしていくという話です。原作者自身もひきこもりの体験を持っており、説得力のある話です。
現在、ひきこもりはその人自身の問題だと捉えられがちですが、社会全体がものすごく早いスピードで進んでいるので、それにおいていかれる人もいると思うのです。その意味ではこれは社会的な問題だと思うし、主人公の生き方や、自立していく様を見ると、これは主人公自身だけの問題ではなくて、社会全体で共有していく問題だと思えます。「人の自立」が描かれているのがこの映画の醍醐味だと思います。映画を見た後、絶望ではなく希望を感じてほしいし、その意味でこの映画は、希望を感じてもらえる作品だと思います。
また、「いのちの作法」という作品も昨年から上映していますが、これは人権の根本である「命を大切にする」ということが今どのように受け継がれているかということを描いたドキュメンタリーで、情緒豊かに描かれており、県内の上映先で深い共感を得られている作品です。
他に、「ブタがいた教室」も小学校などでたくさん上映しましたが、「命とは何か」を感じてもらえる作品で評判がよい作品です。
Q 今後は、どのような観点で作品を選んでいかれるのですか?
A 私は、今年で9年目ですが、「ハッピーバースデー」は大変いい作品でした。この作品をある小学校で上映後、一人の小学生が「この映画よかった」と言ってくれました。「いじめ」を扱った作品で、子どもたちには少し難しいかなと心配していましたが、子どもがこの作品の意味を深く理解してくれたんだと嬉しかったです。上映を行った学校の先生から、クラスの雰囲気が明るくなったという感想や、子どもがこの映画をこんなに見ることができるんだと驚いたという感想をいただきました。子どもたちにこんな力があったんだということを先生方が発見してくださったことが嬉しかったです。これは映画の力だと思いました。
84年の設立以来、こちらで選んできた作品は、人間味のある、ヒューマニズムにあふれた作品で、これからも、映画を見て、その後、心にぽっと花が咲くような人間味あふれる作品を選んでいきたいです。
現在、機器の進歩により、場合によっては、多額のお金をかけなくても、監督が思う作品を創ることができるようになってきています。まだまだ紹介されていない事実や感動的な物語があるので、そのようななかなか陽の当たらない作品をいかに見つけて、どのようなところで上映するとその映画が一番映えるのか、作品の選定も大切ですが、その作品をいかに地域に届けていくのかということも考えていきたいです。内容がきちんとしていて、映画の醍醐味にあふれていて、そこに人生が描かれている作品を選んでいきたいと思っています。
Q 「橋のない川」など、私が小学校の時、学校の同和教育の一環で観たことがあり、また観てみようかという人も多いと思うのですが、昔観た懐かしい映画の上映会などの企画のお話はありませんか。
A 昨年、大津市生涯学習センターで、文化庁主催の優秀映画鑑賞普及事業があり、その中で小津安二郎監督の作品を上映しましたが、当日400人ほどのたくさんの方が来られました。扱った作品は古く、話もどこにでもあるようなものでありましたが、60歳以上の多くの方によく観ていただきました。
当日は、音やフィルムの状態が悪かったのですが、皆、大笑いするところはわーっと笑われ、泣くところは皆さんよく泣いておられました。過去の名作を見ていただくと、日本映画が黄金時代だった頃の映画の質の高さを観客も感じると思いますし、そういう映画を見たいという声があがったら、こちらも対応していきたいと考えています。
60歳以上の方は、映画のいい時期を知っておられて映画の楽しみ方をよくご存じです。だから大津で上映したときも、映画を心から楽しんでおられる様子でした。そういう姿を見ていると、こういう映画会に若い人にも来てもらって、これからの映画ファンをもっと作っていきたいと思っています。今の若い人があのように映画に親しんでいるかというとそうではないと思います。映画を好きになってくれる人を増やしていくためにも、子どもたちにいかにいい映画を提供していけるかということも課題です。
Q 最近、滋賀ロケーションオフィスなどの取り組みもあってか、県内で映画の撮影がなされることも多くなりました。映画の楽しみ方の一つとして、撮影を楽しむということもあると思いますが。
A 滋賀ロケーションオフィスが県内にロケを誘致し、エキストラの手配など行っていますが、これが、映画文化の根付きのきっかけになるといいと思います。
Q 今、大人数で映画を見るという機会もなかなかないと思いますが、このような機会は大切であると思いますし、これからも良い映画を提供していってください。
ADVDやブルーレイ視聴は個人的なものです。家で映画を見るというのが子どもの映画体験の大部分を占めています。映画の黄金時代は、映画館に大勢が詰めかけて、立ち見だったり、前を見ると近所のおじさんがいたりしました。
知らない大勢の人と感動を共有するということは、全然別の体験だと思います。いつもは怖いおじさんがその日は泣いていたというような体験をすることは大切だと思います。大勢で感動を共有するということはまだまだこれから可能性のある分野。スピードの速い社会の中で、2時間の中に描かれる人生に身をゆだねることはいいことだと思います。
上映会で「この映画を見る効果は何か」と聞かれることがありますが、映画に効果を求められると難しいのですが、映画は心の栄養であり、いつかどこかで花が咲くことがあると思うし、こういう時代だからこそ、映画をたくさん見てほしいと思います。
Q もし、映画の上映会を行いたい場合は、ご相談に応じていただけると思いますが、人数的に、何人ぐらいから、といった点はどうでしょうか?
A 企画の初期段階から相談にのります。とりあえず、「こんな映画みたいな」「子ども会で上映会を考えている」など、いろんな事を相談してほしいです。その日がいい1日になるようにしたいと思いますし、一緒に上映会を作っていきたいと思います。どんな映画がいいかということからすべて相談に応じさせていただきます。
Q GWの時期などに、上映会などの計画などありましたら、どうぞ。
A 登校拒否・不登校問題滋賀県連絡会、滋賀県社会的ひきこもり家族会とまとの会との共催で「アンダンテ~稲の旋律~」の上映会をさせていただきます。
Q昨年、障害者の団体が制作した「ゆずり葉」という映画もよかったですね。
A社団法人滋賀県ろうあ協会主催の上映会の映写を担当しました。いろんな団体がいろんなテーマで上映会を行っています。映画館で見る映画だけが映画ではありません。
林代表様、ありがとうございました。
2日世界自閉症啓発デー
平成19年12月18日の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、世界各地において自閉症に関する啓発の取り組みが行われています。
これに対応し、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動が行われています。
世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイト
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/
2日~8日発達障害啓発週間
日本では、4月2日の「世界自閉症啓発デー」に加え、4月2日~8日までを「発達障害啓発週間」として、関係団体や国、自治体が協力し、自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する活動が展開されます。
7日世界保健デー
世界保健機関 (World Health Organization: WHO) は、設立以来全世界の人々の健康を守るため、広範な活動を行っています。「世界保健デー」は、このWHOの憲章が効力を発した1948年(昭和23年)4月7日を記念して設けられたものです。
「世界保健デー」には、毎年WHOによって国際保健医療に関するテーマが選ばれます。この日を中心に、世界各国でその年のテーマに沿ったさまざまなイベントが開催されます。
10日女性の日
10日~16日女性週間
昭和21年(1946年)のこの日、戦後初の総選挙で初めて婦人参政権が行使されたことにちなみ、労働省(現在の厚生労働省)が昭和24年(1949年)に「婦人の日」として制定され、平成10年(1998年)に「女性の日」に改称。
この日から1週間が「女性週間」となっています。
28日国際盲導犬の日
国際盲導犬学校連盟(International Guide Dog Federation)が発足したのを記念して、毎年4月の最終水曜日が「国際盲導犬の日」と定められています。
☆G-NETシネマ上映情報☆
▼△4月16日(金曜日)10時00分~「恋愛適齢期」(2003年/カラー/128分/字幕)△▼
63歳の独身富豪ハリーが、付き合う女性は決まって30歳以下の美女ばかり。そんなハリーが恋人のマリンと週末を過ごそうと彼女の母親の別荘にやってきた。夕食会の後、心臓発作でハリーが倒れ・・・。
▼△5月21日(金曜日)10時00分~「ホーム・スイートホーム」(2003年日本/カラー/112分)△▼
認知症の元オペラ歌手山下宏は、所かまわず大声で歌いながら徘徊する毎日を送っていた。彼の介護に疲れ果てた娘夫婦は苦悩の決断をする。それは、グループホーム「おばんでがんす」の前に彼を置き去りにすることだった・・・。
期 間:4月3日~4月28日(4月3日(土曜日)、17(土曜日)以外の土日祝日は休館)8時30分~17時15分
入館料:無料
輝(かがやき)からのメッセージ
青少年支援ハウス輝(かがやき)は、滋賀型地域活動支援センターとして、「社会的ひきこもり」当事者の自立、家族支援、そして社会啓発など、さまざまな社会問題の解決をめざすとともに、一人ひとりが人間としての権利が保障され、「自己実現」の確立をめざすための諸活動を実施しています。
永久なれ崇仁小学校 ~地域が育んだまなびや、その足跡を訪ねて~
期間:3月16日~4月17日
入館料:無料
日時:開催中~2010年4月28日(木曜日)
編集・発行/滋賀県県民文化生活部 人権施策推進課