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じんけん通信

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あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月1日に「じんけん通信」を発行しています。

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平成30年(2018年)7月(第123号)

今回は前回に引き続き、「多様な性」をテーマに、滋賀県人権相談ネットワーク協議会の講座(2018年3月2日開催)において、明治大学文学部心理社会学科 准教授(※1)で臨床心理士でもある佐々木掌子先生より講義いただいた内容(※2)を紹介します。

また、県内でジェンダーやセクシュアリティをテーマに活動を行っておられる立命館大学の「color-free(カラーフリー)」の皆さんに活動に対する思いや活動内容などについてお話を伺いましたので、あわせてご紹介します。

前月号では、誰もが自分の性のあり方を尊重され、自分らしく生きることのできる社会の実現に向け、「多様な性とは何か」その理解について考えてみました。今月号では、そのために私たち一人ひとりに何ができるのかについて考えていきたいと思います。

※1 講座開催当時は、立教女学院短期大学 現代コミュニケーション学科 専任講師。

※2 「平成29年度滋賀県人権相談ネットワーク協議会 第3回講座」の講義内容を基に記事を作成しています。

参考:「滋賀県人権相談ネットワーク協議会」について

県では、さまざまな人権に関する悩みに対して解決のお手伝いができるよう、国、県、市町などの51の関係機関で滋賀県人権相談ネットワーク協議会を組織し、連携を図っています。
 

◆じんけん通信6月号「多様な性について考えよう[前編]

特集 多様な性について考えよう[後編]

◆さまざまな悩みに寄り添う

「強制的なカミングアウト」にならないように。まずは、「なぜ言えないのか」を考える。

性に関してさまざまな悩みをもっていても、誰にも相談できないという人が多くいます。また、相談しようと決心し、やっとの思いでカウンセリングに行っても、性に関する悩みではなく、別の悩み(または嘘の悩み)を相談し、悩み事が解決したふりをしてしまった、という人もいます。

この話を聞いて、「本当に悩んでいることを話すことができるように、『性のことで悩んでいるの?』と聞いてあげればいいのでは?」と思う人がいるかもしれません。しかし、これはカミングアウト(自分の性について告白したり、公にすること)を強いることにつながり、本人をより傷つけてしまう可能性があり、とても危険なことです。質問するのではなく、「なぜ悩んでいることが言えないのか」、まずは本人の気持ちを第一に考える事が大切です。

言えないのはなぜでしょうか。それは、「本当の自分のことを話したらそういう目で見られる(偏見を持たれたり差別されたりする)のでは」、「誰にも言ってはいけないことなんだ」、「このことは絶対に知られてはいけない」と、話すことへの不安や怖さを抱えてしまうような、無理解や嫌悪感といった周囲の雰囲気があるからだと思います。

ですから、強制的にカミングアウトを促すのではなく、まずは周囲が多様な性をポジティブに捉えて、悩んでいる人が「自分から話をしても大丈夫」と思える環境をつくることが大切なのです。

◆一人ひとりにできること

多様な性をポジティブに考える。

1 まずは、自分自身を知って、「思い込み」をなくそう

まずは、「身体的な性別はこうで、性同一性はこうで、性役割はこうで、性的指向はこうで」と自分の性について考えてみましょう。それを誰かに話す必要はありません。

大切なことは、それはあなたの性であり、誰かに変えられるものではないということです。そしてそれは、あなただけでなくすべての人に言えることです。人はそれぞれ異なっており、一人として同じ人はいません。「自分の性が普通で、他の人もみんな一緒だ」というのは、思いこみです。

自分自身の性について考えることをきっかけに、「すべての人が、一人ひとり違う性を持っている。性は多様である。」ということに気付いてほしいと思います。

2 性は大切な個人情報。誰にいつどう話すかは本人が決めること

性はとても大切な「個人情報」であり、誰にいつ話すか等は本人が決めることです。

従って、性についての悩みを打ち明けられたときに、それを本人の了解なしに他人に話すこと(アウティング)は絶対にしてはいけません。この他人には、本人の家族など親しい人も含みます。

自分の性のことが他人に知られてしまったことが本人に知れると、「絶対に知られてはいけないことが知られてしまった。どうしよう…」と、最悪の場合、自殺に追い込んでしまうこともあります。

信頼関係の中で打ち明けられた性の話は、センシティブなテーマです。本人のためと思っても、他人に話す必要がある場合には、必ず本人の了解を得るようにしましょう。

3 多様な性にポジティブでいること

多様な性に対して中立な立場でいることは、自分の性に対して否定的な態度や嫌悪感を示されてきた人にとって、「時と場合によって、自分は否定されるのか。」と不安にさせる危険性があるので、多様な性をポジティブに受け止め、「話しても大丈夫」「この人は受け入れてくれる」という雰囲気を、目に見える形や態度で示すことが大切です。

「ホモ」「レズ」といった差別的な言葉を使ってはいけないことはもちろんのことですが、「普通は…」といった否定的な態度やステレオタイプな考え方で人を傷つけたりしていないか、振り返って考えてみましょう。また、学校や職場に、多様な性に関するポスターを掲示したり、関連書籍を設置したりすることも、安心できる雰囲気を示すことのできる一つの方法です。

☆県内の取組みをご紹介☆

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立命館大学のサークル「color-free(カラーフリー)」の皆さんにインタビューしました!!

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◇color-freeとは?

活動の一番の目的はコミュニティ(居場所)づくり

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color-freeは20年ほど前にできたサークルで、みんなが集まれるコミュニティ(居場所)づくりや相互理解を目的として、OB・OGや他大学の学生を含め、20~30人で活動しています。メンバーにはLGBTの当事者だけでなく、LGBTへの理解者や興味のある方もいます。

去年は、LGBTについての勉強会をしたり、大学で開催されたSustainable Week※に参加して外に向けて情報発信をしたりしました。

※Sustainable Week(サスティナブルウィーク)とは

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」について考えるきっかけを提供しようと、

平成29年10月1日~6日に立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催された

学生主催の体験型イベント。
 

○2018年度 Sustainable Weekのホームページ

◇サークルに入ったきっかけや、今後やっていきたいこと

大学に入ってコミュニティが広がったことで、積極的に活動するように

●高校まではコミュニティが狭かったことなどもあり、自分の事を話そうとも、何か活動をしようとも思いませんでしたが、大学生になって活動の範囲が広がったことでこのサークルに入ってみようと思いました。今はサークルのメンバーだけでクローズな座談会※をしていますが、これからは教職員の方や地域の方、高校生などにも入っていただき、よりオープンな座談会※ができたらいいなと考えています。

また、こういうセクシュアリティに関する団体はあまりホームページなどを更新していなかったりするので、活動の実績などの情報をきちんと発信していきたいと思っています。

※クローズな座談会:当事者の居場所として、当事者のみで集まって語り合う場

オープンな座談会:当事者だけでなく、誰でも参加して語り合える場

●アウティングの危険があるので、最初はサークルに入る気はありませんでした。でも、いろいろな考えを持つ人たちと交流を持つことで見聞が広がるのではと思い入ることにしました。

●テレビなどでLGBTのことを知り、本当にそうした人たちが存在するのかと疑問に思っていたときにSNSでこのサークルの存在を知り、大学の受験前から入ろうと思っていました。まずはいろいろな人の話を聞いて、知識を得たいと思っています。

◇サークル活動による自分や周りの変化

いろんな人がいることを知って、多様な性について考えるきっかけに

●去年のSustainable Weekの活動等でcolor-freeのことを知ってもらえたことには大きな意義があったと思うし、たくさんの人に興味を持ってもらえたこともすごくうれしかったです。また、イベントの企画をしていく中でLGBTについて伝えられたこともすごく楽しかったです。「いい企画だったね」と好評価の声ももらいました。地域イベントの「みなくさまつり」に出店させてもらえたり、地域の団体と一緒に企画をさせてもらったりするなど、大学内だけでなく、地域の方にも活動を取り上げてもらえているのはSustainable Weekのおかげです。

color-freeでの活動をきっかけに、他大学の人と新しい団体を立ち上げたりするなど、いろいろなコミュニティの人と知り合えたことや、多くの方にLGBTについて考えてもらうきっかけになったことはとてもよかったと思っています。

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●サークルに入る前は、「性は男女の2つしかない」という考えでしたが、入ってからはいろんな人がいることを知って、ステレオタイプな見方だけではいけないことが分かり、性について考えるきっかけになりました。ゲイはゲイ同士、レズビアンはレズビアン同士など、同じ属性の人と会うことが多いので、サークルに入って他の属性の人のことを知ることができたのは大きいと思います。

社会的に見ても、同じ属性の人同士(レズビアン同士、ゲイ同士など)でコミュニティを作ることが多く、イベントなどでもその傾向があると思います。そう考えると、color-freeのような大学のサークルはいろいろな人、例えば自分の性がよくわかっていない人やXジェンダー(自らを男女どちらでもないと感じている人や、性別にとらわれずに生きたい人)の人などがいて、いろいろな性の人が一緒に活動できる数少ない有意義なコミュニティだと思います。

●自分のことに真剣に興味を持ってもらえた人になら自分の性のことを知られてもいいと思うようになりました。また、友だちが性に関して固定観念や偏見のあるようなことを言ったら、それに対して柔軟な考えを出して、固定観念や偏見を壊すようにしています。

SNSなどでも、おもしろおかしく書いてあるものが拡散されていることがありますが、きちんと情報を見極めて、間違っていることには間違っていると発信することもあります。

●今ではLGBTに対していろいろな考えを持っている人がいることも分かるので、SNSなどで誹謗中傷を見ても流すことができるし、あまり気になりません。大学生になってからはこのサークルもありますし。でも、中高生などの悩んでいる時期にそういうものを見たら辛いと思います。今はSNSが流行っているので、自分の性について葛藤している中高生がSNSで誹謗中傷などの第三者の声を目にすることで、こういう考えの人が多いんだと思ってしまわないか心配しています。

◇color-freeの皆さんからのメッセージ

性のアイデンティティだけが私の全てではありません

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●今仲良くしている人にLGBTということが知られたら嫌われるのかなということをずっと思っています。「それだけで嫌いになるんですか?」と聞いてみたいです。

●LGBTのことを「知らない、分からないから嫌い」という考え方は違うと思います。その方たちの辛さも理解してほしいと思います。

●性は私にとってとても大事なアイデンティティの一つですが、「こういうことが好きで、こういう性格で、こういう活動をしていて…」という風に、他にもいろいろなアイデンティティを持っています。性という一つのアイデンティティだけで判断するのではなく、いろんなことをひっくるめて全部を見て私を捉えてほしいと思います。

「配慮」という言葉もあまり好きではありません。LGBTの人たちもたくさん考えて、たくさん悩んで、たくさん成長しているということを知ってほしいです。

(表)
今後、サークルのメンバー以外も対象にしたオープンなイベントを開催したいと考えています。また、関西でもLGBTのパレードが行われているので、これらのイベントに参加して、みなさんも多様な性について理解を深めてみませんか?
color-free

▼最後に・・・

今回は、大学のサークルに在籍されている方数名にインタビューをさせていただきました。

平成28年に実施した「人権に関する県民意識調査」では、人権が尊重される社会の実現に向けて消極的な考えの方が増加する傾向が見られましたが、若い方たちが自ら考え、積極的に活動されているお話を伺い、大変うれしく、素晴らしいことだと感じました。

社会全体で多様な性への関心が高まり、理解が深まっていくよう、みんなで一緒にこの取組の輪をさらに広げていきましょう。

人権カレンダー7月

  • なくそう就職差別 企業内公正採用・人権啓発推進月間
  • 県および市町では、企業の経営者や従業員等が同和問題をはじめとする人権問題に対する正しい理解と認識を深め、差別のない明るい職場づくりを推進するため、企業における就職差別の撤廃と人権研修がより一層充実・強化されるよう、各種啓発活動を行っています。月間中は駅での街頭啓発などの取組が集中して行われます。
  • 青少年の非行・被害防止滋賀県強調月間
  • 「地域の力で子どもをまもり、はぐくむ」を重点テーマに、地域が一体となった青少年の非行防止活動を推進するため、関係機関・団体等の有機的な連携の下に青少年の非行防止と被害防止に関する諸施策および諸活動を集中的に実施します。
  • 「社会を明るくする運動」強調月間
  • ~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~ 強調月間
  • 「社会を明るくする運動」は、すべての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない地域社会を築こうとする全国的な運動です。月間中には全国各地でさまざまなイベントが展開されます。
  • 再犯防止啓発月間
  • 平成28年(2016年)12月に「再犯の防止等の推進に関する法律(再犯防止推進法)」が施行され、7月を再犯防止啓発月間とする旨が定められました。
  • 1日 アイヌ文化振興法の施行
  • 平成9年(1997年)のこの日に施行されました。「アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り、あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与する」ことを目的としています。
  • 16日 性同一性障害者特例法の施行
  • 平成16年(2004年)のこの日に施行。性同一性障害である場合、家庭裁判所の審判を経て、戸籍上の性別を変えることができるようになりました。

ジンケンダーのちょっと一言

滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」

佐々木先生やcolor-freeの皆さんのお話から、「正しい知識を持つこと」「先入観や偏見を排除してまっすぐに人と向き合うこと」「相手の悩みやつらさにも思いを寄せ、理解に努めること」が当たり前の社会にしていくことの大切さを改めて考える機会となりました。

一人ひとりがそれぞれの個性を持ったかけがえのない存在として尊重され、誰もがありのままでいられるように、私たち一人ひとりが性をポジティブに捉えることができるようになりたいものです。

 

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お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
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