世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems:GIAHS〈ジアス〉)は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、景観、農業生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムを国連食糧農業機関(FAO)が認定する仕組みです。
2023年11月現在、26か国86地域が認定されており、そのうち15地域が日本国内で認定されています。
日本農業遺産は、2016年に農林水産省によって創設された国内版の制度です。(2023年1月現在 24地域が認定)
リンク:世界農業遺産・日本農業遺産【農林水産省HP】
世界農業遺産認定に期待される効果
地域固有の農林水産業の価値が世界的に認められることで、次の3点の効果が期待できます。
当地域でもこれらの効果を得て、琵琶湖と共生する農林水産業を健全な姿で次世代に引き継ぐことを目指しています。
「世界農業遺産」プロジェクト推進会議を龍谷大学の皆さんと設置
「世界農業遺産」の認定申請に向けた検討スタート
「世界農業遺産」認定につながる営みや取組を発信するため、世界農業遺産プロジェクトfacebookを開設
「琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業推進協議会」準備会設立
「琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業推進協議会」準備会第2回総会
研修会「石川県能登地域」の事例を学ぶ
「世界農業遺産認定」をめざして 第4回シンポジウム
琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業推進協議会 幹事会
申請書提出について協議
「世界農業遺産に向けた認定申請の承認」および「日本農業遺産の認定」の申請書「森・里・湖(うみ)に育まれる 漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」(通称:琵琶湖システム)を農林水産省へ提出
「琵琶湖システム」が、一次(書類)審査を通過(国内申請20地域から9地域が通過)
世界農業遺産認定をめざして 第5回シンポジウム
(「日本農業遺産」認定報告会)
「日本農業遺産」記念キャンペーン(東京・ここ滋賀)
「日本農業遺産」認定記念キャンペーン(県内農産物直売所 等)
「世界農業遺産」認定申請書をFAO(国連食糧農業機関)に提出
(以下 FAOサイト掲載文(琵琶湖システムの申請内容)より引用)
The Lake Biwa System is centered on traditional inland water fisheries which have developed along with paddy agriculture that provides safe breeding grounds for spawning lake fish. For more than 1,000 years, the fishermen have been using and improving various types of passive fishing methods to catch migrating fish together with adapted social rules and local culture to ensure the sustainability of the natural resources.
Among these fishing systems, the eri fishing method using a fixed fish net allowing the selective retrieval of fish while avoiding catching juvenile fish. The eri is a traditional set-gear that has created the lakescape called satoumi, together with rice paddies achieving a sustainable conservation of the system.
Its conservation and sustainable management has been possible thanks to the local social system that allows fishermen organizations to conserve autonomously lake resources. A precious resource as Lake Biwa is home to 47 native fish species, including sixteen endemic species. The distinctive difference between rice-fish farming and the Lake Biwa System is that the lake fish have themselves chosen rice paddies - created and maintained by humans - as their spawning and early breeding grounds. This has led to not only ecosystem conservation but also the conservation of natural fishery resources that are targeted in Lake Biwa fisheries.
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略です。2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された国際社会が取り組むべき17の目標と169のターゲットのことです。
「誰ひとり取り残さない」ことを誓い、2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するため、経済、社会、環境の三側面の調和を目指しています。
滋賀県は、全国に先駆け、平成29年(2017年)1月、SDGsを県政に取り込むことを宣言しました。県基本構想をはじめ、様々な政策に対し てSDGsを活かすとともに、未来を担う大学生などの若者をはじめ、経済界や市町、関係団体など多様なステークホルダーが主体的に参画するパートナーシッ プにより、すべての人が幸せに生きることができる持続可能な滋賀を目指しています。こうした滋賀県のSDGsに関する取組が評価され、令和元年(2019 年)7月、内閣府により「SDGs未来都市※」に選定されました。
※SDGs未来都市とは、SDGsの概念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする地域の中から、特に経済・社会・環境の三側面における新しい価値の創造を通して、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市や地域が選定されるものです。
琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業は、国連の定める持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、特に、「2 飢餓をゼロに」、「6 安全な水とトイレを世界に」、「14 海の豊かさを守ろう」、「15 陸の豊かさも守ろう」、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」などの達成に寄与しています。