地方公務員の給与を決定する際の原則として、法律において次のようなものが定められています。
地方公務員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならないとする原則です。職務給の内容については、滋賀県職員等の給与に関する条例において、職種に応じて給料表を定め、さらに、各給料表について、職員の職務の複雑、困難および責任の度合いに基づいて職務の級の区分を定めています。
地方公務員の給与は、生計費や民間企業の賃金、国・他の地方公共団体の職員との比較などによって定めなければならないとする原則です。
公務員は全体の奉仕者であり、その給与が国民・住民の負担する税によって賄われるということから、地方公務員の給与は、住民の代表である議会において条例によって定めることとする原則です。
【関連条文】 地方公務員法第25条第1項、地方自治法第204条の2
人事委員会の給与勧告制度は、団体交渉権および争議権を制約され、民間のように労使の交渉で給与を決めることができない地方公務員について、その代償措置として設けられているものであり、公務員の給与水準を民間の給与水準に均衡させることを基本としています。
民間の給与は、労使交渉の結果であるという意味で、そこには物価や生計費など、あらゆる賃金決定要素が含まれており、このような民間給与の水準に合わせることにより、公務員給与を社会一般の情勢に適応したものとするため、民間給与との比較を基本としながら、国や他の都道府県等の勧告状況も踏まえつつ、勧告を行っています。
なお、勧告では、給与水準の是正のみならず、給与カーブを修正したり、各手当を見直したりしながら、給与配分の適正化にも努めています。
【コラム】 公務員の労働基本権の制約について
【関連条文】 地方公務員法第8条第1項、第14条、第26条
人事委員会勧告を行うまでの流れについて、人事委員会勧告の手順としてまとめています。
本県では、毎年1回、4月1日現在で給与条例の適用を受ける常勤の職員全員について、給与等の実態調査を実施しています。調査の項目は、各職員の職種、学歴、年齢、給料および各手当ごとの支給額などであり、これによって職員の給与等の実態を詳細に把握し、その検証を行っています。
民間給与については各方面で様々な調査が行われていますが、公務員給与と直接対比して公民給与の比較の基礎とするためには、公務と類似する職務に従事する従業員の職種、学歴、年齢等の条件別の実態が精確に把握されるようなものであることが必要です。そのため、人事院および全国の人事委員会と共同で、毎年1回、4月1日現在の「職種別民間給与実態調査」を行っています。
職種別民間給与実態調査は、企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の事業所を調査対象としています。このような調査対象については、国家公務員および地方公務員全体の問題として、国において様々な議論・研究がなされた結果、最も適切な方式であるとされているものです。なお、これまでに、民間企業従業員の給与をより広く把握し、公務員の給与に反映させる観点から、調査対象企業規模の引下げや調査対象産業の拡大などの見直しが行われています。
公務員と民間企業では、その組織の規模、構成、従業員の平均年齢等が異なることから、公務員と民間企業従業員の給与を精確に比較するため、仕事の種類、役職段階、学歴および年齢の条件を等しくする者同士で比較をするというラスパイレス方式による比較を行っています。この方法によることで、公務員が仮にそのまま民間企業に在職しているとしたら、その給与は現在と比べていくら高く、またはいくら低くなるのかという計算がなされることになります。
※「ラスパイレス方式による比較」とは?
異なる2つの団体の給与水準を単純平均で比較した場合、その2つの団体の組織等の違いによる影響を受けてしまいます。例えば、同じ給与水準であるA社とB社の比較をしても、A社の方が役職者が多い、平均年齢が高いといった場合にはA社の方が結果として平均給与が高いという結果が生じてしまう可能性があります。ラスパイレス方式による比較では、役職段階、学歴、年齢等の条件を揃えることで、このような組織等の違いによる影響をできる限り取り除くことができます。
上記で算定された公民の給与較差に応じて、国家公務員に係る人事院勧告等の内容も踏まえながら、本県における給料表および諸手当の改定について、知事および議会に対し勧告します。
→過去の人事委員会勧告