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第78回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手Fridays For Future Shigaと守山市立守山中学校の皆さん

知事から

今日は、いろんな活動をしてくださっているFridays For Future Shiga(以下、「FFFS」と略します。) と守山市立守山中学校の皆さんとの間で、身の回りのこと、自分たちの将来のこと、そのために大事な環境のことなどについて、話し合えたらいいなと思っています。楽しみにしています。

参加者の皆さんからの自己紹介など

本日の対話に至るきっかけなど

Aさん

 まず初めに、なぜ僕が今日この機会を作っていただきたかったのかということをお話ししたいと思います。

 あるとき、生活費稼ぎのためアルバイトに明け暮れる大学の後輩と、たまたま国政選挙の話をしていたところ、彼は、自分の一票では変わらないので、投票には行かないと言いましたが、政治が一番寄り添わなければならない人にとって、なぜこんなにも政治が遠い存在になってしまったのだろうかと思いました。

 今、投票率の低下が問題となっていますが、その理由の一つとして、主権者教育など政治の教育の不足があるのではないかと感じています。政治が暮らしや生活、社会とどのようにつながっているのか、教育の場で生徒が考え、理解することができれば政治や選挙への関心も高まり、投票率も上がり、もっとみんなが積極的に政治に参加するんじゃないかと思います。

 北欧では、選挙権を持つ前から模擬投票や議員との議論など多様な主権者教育をしており、こういった事例をみて、小中学生は選挙権を持っていなくても政治に声を届けられる権利を持っており、その機会ができればいいなと思っていました。

 今日は、このような機会をつくるために尽力していただいた先生方、県職員の方、そして三日月知事、本当にありがとうございます。

Bさん

 守山市立守山中学校で教諭をしております。よろしくお願いします。今年度は現場を離れて教職大学院で勉強をしておりますが、昨年度は環境主任として「しがCO2ネットゼロ」シンポジウムに事例発表者として参加させていただきました。その際に、同様に発表されていたFFFS代表のAさんと知り合ったことが発端となり、FFFSの皆さんには3月に守山中学校で環境教育(出前授業)をしてもらいました。

 学校現場では、政治的中立性を求められるため、(踏み込んだ教育が)できないこともあるんですけれども、こういった枠を超えた今日のような場が、(政治参加への)一つのきっかけづくりになるのなら、と思っております。

自己紹介

Cさん

 FFFSに所属しています。代表(Aさん)の後輩で、滋賀大学経済学部に通っています。よろしくお願いします。

Dさん

 守山市立守山中学校で剣道部に所属していて、生徒会もやっています。本日はよろしくお願いします。

Eさん

 守山市立守山中学校で吹奏楽部に所属しています。よろしくお願いします。

Fさん

 私は小学生の時に2年間子ども県議会の活動をし、そのときに子ども向けの観光パンフレットを作って、滋賀をよりよくしたり、魅力を発信することの大切さを考えました。また、湖岸清掃やコンポストなどを使って環境をよくする活動に取り組んできました。今日はよろしくお願いします。

Gさん

 私も剣道部と生徒会に所属しています。守山中学校では、3年間通じて環境保全に取り組んでいるので、それを生かしていろいろお話ししたいと思っています。

Hさん

 政治に興味があって、守山中学校では生徒会長をやらせてもらっています。よろしくお願いします。

Iさん

 守山中学校では陸上部に所属していて、いろいろなことに興味があり、来させていただきました。是非いろんな話ができたらうれしいです。

Jさん

 バドミントン部に所属しています。今日はよろしくお願いします。

Kさん

 FFFSに入っています。小学生のときに子ども県議会に行かせてもらって、すごく政治に興味を持つようになり、子ども食堂のことを知事にお話ししました。今日は、僕にもできることがあるかなと思って来ました。よろしくお願いします。

 

「環境に関すること」について

Bさん

 先日の出前授業の中では、二つのアクションを示していただきました。一つは、消費者アクションとして、自分の想いがお店の方に伝わっていくんだよということ。もう一つは、政治アクションとして、自分の意見を知事に直接お話しできる機会があるんだよということです。今日は、子どもたちが持っている中学生目線での環境についての意見をそれぞれ考えてきていますので、よろしくお願いします。

Hさん

 最近の川については、壁がコンクリートで埋められたりして、自然が壊されているなと感じています。ちっちゃい頃は、ザリガニとか魚を釣ったりして楽しかったんですけど、最近はあまり見なくなったので、以前の自然豊かな川を取り戻したいなと思って、知事に二つ提案させていただきます。

 一つ目が、工事をするときはコンクリート化するところを最小限にして自然を残してほしいです。二つ目は、工事をするときは、できるだけ自然由来の材料を使ってほしいです。このことで、自然豊かな川を保全できると思います。

知事

 今の提案は、大事なことだと思います。最近はコンクリートだけじゃなくて、ブロック化して間に土が入る、草が生える。そういう製品を積極的に使用していくようにしますし、その素材も、削れたらビニールになって湖に流れていくといったことのないよう、できるだけ自然由来のものを使えるようにしていきます。これからも研究や努力、改善をしていきたいと思います。

 どういう自然由来のもので川の安全を保てるのか、あなたもそういう研究をする技術者を目指してよ。

Hさん

 僕がですか…。頑張ります。

Gさん

 私の住んでいる所からは琵琶湖は見えず、両親も大阪出身であまり滋賀県のことは知らないので、もっと琵琶湖の魅力を県内の人にまず伝えたいなと思っています。私たちの世代は琵琶湖についていっぱい学ぶんですが、親世代とかは全然知らないと思うのでもっと教えてあげたいです。そういう施設を作ったりしてくれるとすごくうれしいです。

知事

 話を聞いていて、僕らが中学生時代にはなかった視点があるなと思ったのは、親世代が知らないので作ってあげてくださいってこと。県外ご出身のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんだったりすると、三世代で学べる施設とか機会をどんどん作れたらいいなと思います。琵琶湖博物館は、“おとなのディスカバリー”といって、大人も顕微鏡を見て生き物について観察しようとか、琵琶湖の生態について学ぼうとか、そういうことに注目しています。そういう視点をこれからも是非大切にしてほしいです。

Dさん

 私の家では、ソーラーパネルの値段が高くて、取り付けられなかったので、県が少し負担してくれる取り組みがあったら、ソーラーパネルも取り付けやすくなり、環境をもっとよくできるんじゃないかなと思います。

知事

 是非いろいろな手段を使って太陽光発電がもっと広がるように、特に、個人住宅の屋根とか、建物の屋根を使った発電とか、まだまだ可能性はあり、これを進めていきたいと思います。

Fさん

 海の上でのソーラーパネルでの太陽光発電が研究されているので、琵琶湖でも場所があれば、設置してほしいです。

知事

 琵琶湖の生き物に太陽の光が注がれなくならないように、船が通るのに邪魔にならないよう、場所をうまく考えれば可能性はあるのかもしれない。もう少し考えたいと思います。

Kさん

 地球温暖化対策って制限とか規制、そういうイメージが僕の周りでは強かったんですね。だけど、楽しく取り組めてそれが地球にやさしいというアプローチの仕方で対策に取り組めたらいいなと思っています。

 例えば、プラスチックゴミを出さないためのレジ袋の有料化がありますが、そうではなく、今日はお気に入りのカバンで買い物をしましょうとか、あれはダメ、これもダメではなくで、これをやろう、あれをやろうというポジティブなアプローチで取り組めたらいいなと思っています。

知事

 大賛成です。そうやなと思った、言うとおりやと思います。我慢とか制約、制限じゃなくてポジティブなメッセージを是非一緒に考えていきましょう。

 今ちょうど、CO2の排出をゼロにしようとしているんですが、これにもそういう視点を大事にしたいと思います。

Fさん

 MLGsのことについてです。滋賀県で独自の目標をつくるのはすごくいいと思います。これをもっと広く知ってもらうためには、まずは県内の人に教育をすることが大切だと思います。そのためには、この目標をいろんなところで見かけるようになってほしいと思って、例えば、今、農作物に「おいしがうれしが」のマークがついていますが、そのような感じで、これは自然由来の農薬を使っているけれども、一定条件をクリアしたらMLGsマークを付けて販売できるようにする。そうしたら、こんなのがあるんだと目に留める人が多くなると思います。博物館とか美術館とか、あと資料館でも見る機会を増やしてほしいと思います。

知事

 今言ってくれたMLGsというのは、琵琶湖版のSDGsで、マザーレイクゴールズ(MotherLakeGoals)です。琵琶湖を母なる湖(Mother Lake)と呼んでいるので、それを守るために13のゴール、目標をつくりませんかという呼び掛けを7月1日から始め、これから広めていこうとしているところです。

 話を聞いていて、MLGsを物を買ったり、食べたりするときの行動と結びつけるっていいいじゃないですか、という点については、そのとおりだと思うので、いろいろな対策を考えてみます。

 皆さんも、学校で、家庭で、MLGsを話題にして紹介してあげてください。

 

Bさん

 今の中学3年生は、小学生の時から守山中学校の生徒に訪問してもらって守山中学校での取組内容を耳にし、それを知ったうえで、入学してきます。そういった中で、スーパーエコスクールである守山中学校で、環境を意識しながら学校生活を送っていると思いますが、授業の中で学んだことを意識しながら、日々の生活で心掛けていることや、中学生になって変わったな、ということがあれば、是非この場で皆さんが伝えてもらえばと思います。

Kさん

 教育のことなんですが、友達がテストのために、「持続可能な社会」、「持続可能な開発」という言葉を覚えようとしていること、何回もノートにその文言を書いていることに疑問を抱きました。テストのためだけに地球のことを考えるんじゃなくて、自分たちがこれから暮らしていく世界のために何が持続可能なのかを考えること、そういった環境教育が大事だと思いました。

 

知事

 そのとおりなので何も反論できないね。何もコメントできません。ややもすると、バッジだけ付けていればいいとか、テストで答えられればいいということになっているのかもしれず、それは変えていかないといけないですね。だからこそ学校で学んで、何か身近なことからやってみるというのが大事なのかもしれません。

Fさん

 ポイ捨てをしないのも大切なんですけれども、自分が行動を起こし、掃除とか広報して考えていくというのも大事だと思います。

知事

 大事ですね。私もなるべくゴミを出さないように、まだ使えるんじゃないか、牛乳パックを裏返せばまだ使えるんじゃないか、そういったことをなるべくしようと思っています。取組がおしゃれでクールで楽しいことになるともっといいですね。是非学校でもいろいろな取組を生徒会で考えてみて。

Hさん

 ペットボトルのキャップの回収をしたりしています。

Aさん

 今、滋賀大学で自主企画プロジェクトというのを提案し、その中で学生食堂から出る生ゴミを、自分たちが作ったコンポストで堆肥化し、周辺で畑を営む方たちに活用してもらって、資源を循環させようと考えています。また、先日鑑賞した映画では、家庭から出る生ゴミを地域単位で設置したコンポストに投入し、それを利用する場面があり、地域単位の取組も面白いなあと感じました。

知事

 面白いですよね。県内でも地域や集落単位で行われているところがあります。ただ、暑くなってくると、「なぜ俺の家の前が集積場なんだ。臭いと虫を何とかしてくれ。」ということにもなってくる。そういう意味でいうと、大学なんかはキャンパスも広いし、すごくいいですね。

Eさん

 私は、琵琶湖のゴミが増えているのは問題だなと思っていて、川に捨てられたゴミが琵琶湖へ流れ着くことも多いので、河口の清掃回数を増やしたらいいと思います。

知事

 おっしゃるとおり、いろんなところからのゴミが琵琶湖へ流れ着くので、川の出口や入口でちゃんとシャットアウトすれば、琵琶湖に流れ込まないというのは、そのとおりなんですが、河口は結構深いし、広いからなかなか難しい面もあります。

 昔は、琵琶湖と川の間に内湖というのがあって、そこでは川から流れてきたゴミが一旦たまり、その上澄みのきれいな水が琵琶湖に流れていたんです。ところが、ちょうど皆さんのおじいさんやおばあさんの時代に、食料をたくさん作らないといけないということで、内湖を埋めて田や畑にした場所が琵琶湖のまわりにたくさんあります。今それをもう一度内湖に戻そうというプロジェクトを始めているので、是非そういう、川から流れ込んでくるゴミに着目した取組を充実させていきたいと思っています。

「魅力ある滋賀にするために~中学生目線で思うこと~」について

Iさん

 小学5年生が「うみのこ」で学習することを、大人や県外の人たちだったり、いろいろな人に体験もらえばいいかなと思います。

知事

 「うみのこ」は私たち滋賀県民の誇りにできるプロジェクトだと思います。今は日程が許す限り、県外から応募してもらって、親子で体験航海というのを始めています。ただ、まだまだ少ないので、外来魚のことや水質のことなど、もっとたくさんの人に知ってもらえるようにしたいと思っています。

Jさん

 今の話と直接関係ないですが、ビニール袋を有料化してからゴミが増えたように思います。エコバッグを持っていかない人が増えて、ビニール袋もらえないからアイスの袋などを、そのまま道端に捨てる人が増えてしまって、そのゴミが流れているのでは、と思いました。

知事

 有料化には、そういう副作用・反作用もあるかもしれない。そういうことのないように、呼び掛けもそうだし、何か仕掛けを考えていかないといけないですね。

Cさん

  ちょっと違う話になりますが、親が共働きのため、自分が家事をしなくてはならず、勉強もできなかったりするため、家事の負担を減らし、親ももっと楽にさせてあげたいということから、例えば、子ども食堂や家事の負担を減らす取組をしてほしいなと思います。

知事

 一人でご飯を食べないといけない人たちを、できるだけみんなで温かいご飯を食べられるようにしようとか、つながりのなかで楽しく過ごせる時間をつくろうということで、子ども食堂があるので、できる限り増やしていけるようにしたいと思います。

 あと、参加しやすいように、できるだけ小学校区に一つあるようにしたいなとも思っています。

Fさん

 今日、私がホームページにアクセスしたときに子ども向けサイトが見つからなくて困ったので、子どもにわかりやすいサイトが欲しいなって思いました。例えば、琵琶湖、歴史、産業、伝統文化とかトピックを出したり、ゲームとかクイズを載せて、楽しく学べるようになっていればいいなと思いました。

 以前、(子ども議会で)観光パンフレットを作成したときに、すごろくとかそういった工夫がいいねという話をしていたので、楽しく学べるのは、より感動が深いと思います。持続可能な開発目標も、(楽しく学べるようにして、)子どもに教育してもらわないと続かないと思うんです。

知事

 子どもからの視点は必要。ちょっと一度考えてみます。子どものことは子どもたちで考えるのがいいので、その時は協力してください。

Fさん

 是非、お願いします。

Hさん

 友達が猫を欲しいという話をしていたので、近所で猫を何匹か飼っているおばあさんの話をしたんですが、里親の施設とか、どこで飼えばいいのか・手続をすればよいのか、よくわからなくて、結局ペットショップで買ったんです。また、家の周りには野良猫が多く、薬入りの餌で殺して川に投棄するおじちゃんがいるが、猫がかわいそうなので、里親を見つけるための施設がもっと増えたらいいなと思いました。

 

知事

 すごく大事なことだと思います。是非それを広めたいと思います。今では集落毎に、捨て猫を増やさないようにとか、動物を巡るトラブルを起こさないようにしようという取組がだんだん広がっていています。高齢の方の家の中が猫だらけにならないよう、福祉に結び付けるとか、飼いたい人、飼える人が飼育できるようにするとか、里親などすごく大事だと思います。

Kさん

 猫についてのもめごとは近所にいっぱいあって、おばあちゃんが餌を与えたら猫が集まりすぎたり、畑を荒らすということで、おじいちゃんがわなを仕掛けて殺したりということがあります。 

知事

 畑を荒らす、人間を傷つける、日頃はかわいいけど増えすぎると大変といったことは、みんなで考えないといけない。と同時に、飼う人の責任もきちんと教育なり啓発もしていかないといけないですね。

 最初に、Aさんから選挙とか政治とか、そんな話題が出たけれど、それについて意見はありますか。

Kさん

 学校で、政治の話をしたら、「何、子どもが政治のことを言うてんねん。」とか「お前が政治を語るのは、まだ早い」みたいに言われるんですが、僕らがそういうことを考える権利、それが今三日月知事に伝えさせてもらっていることなのかも、と思っています。

知事

 冒頭Aさんが言ってくれた、困っている人のために政治とか選挙、政治家がいるべきではないのか、どのような施策をやればいいのかなど、大事なことだと思います。今日、皆さんから出た話として、川、ソーラーパネル、ゴミ、猫、みんな政治につながっていきます。

 例えば、誰が知事になり、議員になって、どのようにして予算を使うのかなど、全て関係してくるから、みんなが関心のあることを、一票一票で決められたり、変えたりできる。だから、常に見ておくこと、考えておくこと、機会があれば参加することが大切ですね。

Aさん

 こちらに来る前に、パンを買いに行きましたが、みんなが買い物をするときには必ず消費税というものが付加されます。それは別の形で生活に戻ってきたり、教育費に充てられるかもしれないし、もしかして防衛費に充当されるかもしれない。だからみんな一人一人の生活自体が政治という意識で暮らせればいいなと思います。

知事

 時々新聞を読んだり、テレビを見たり、いろいろなことをいろいろな角度から見るといいでしょう。先生に質問したり、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんに聞いてみたりして。私はこう思うんだけどどう思う、って尋ねてみると、また違う意見が出てきて面白いかもしれないですね。

Fさん

 県の広報誌も毎月発行して、家まで配達してもらえる制度があればいいなと思っています。私の両親は奈良県出身なのですが、向こうの市では県の広報誌を毎月家のポストに入れてくれるので、滋賀県も情報を得られる機会を増やしてほしいです。

知事

 現在、県の広報誌は2か月に1回の発行で、新聞に折り込んで配布していますが、新聞を購読されていない方には届かないので、全てのお宅に届けよう、また、毎月発行しようということになれば、予算が必要となります。そのための予算を確保するのか、それ以外のことにお金をかけるのかということを、みんなで決めることが大切だと思っています。

 ただ、広報誌も大事だけど、ホームページやサイトを充実させた方が更新もしやすいのではとも思いますので、ちょっと考えてみます。ありがとうございます。

広報課長

 新聞を購読しない方にも広報誌を届けられるように、ポスティングという手法を考えているところです。もうすぐ変わると思います。