令和7年10月22日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
今日もよろしくお願いいたします。ずいぶん寒くなってきまして、明日は霜が降りる「霜降」ということでございます。秋の深まりを感じますね。高市新総理が選出され、内閣が組閣されました。まずは女性初の総理ということでございますので、女性も男性も総理になれる時代が来たんだということに感慨を覚えます。心からの敬意と祝意、そして一緒に頑張りましょうという意味でのエールを送りたいと思います。人として暮らしのことが、そして歴代最長と記憶しておりますが、長く総務大臣をお勤めいただいた方として、地方のことが伝わる、そういう政権運営にも期待をしたいと思います。奈良からは初と聞いていますし、関西からは宇野宗佑先生以来36年ぶりということでございます。大阪・関西で実績のある日本維新の会との連立政権ということでございますので、万博後の関西の発展のためにも御指導、またお力添えいただければありがたいなと思います。個人的には、松下政経塾の大先輩でいらっしゃいますので、松下幸之助塾主も喜んでいらっしゃるんじゃないかと思います。また、政務官、副大臣の人事も発表されているようでございますが、その前に、昨日、上野賢一郎衆議院議員が厚生労働大臣になられました。お人柄や、その御実績、湖北・湖東をはじめ滋賀県のためにも御尽力されてきたことを評価されてのことではないかと、うれしく誇りに思います。たくさんの課題、テーマを連立政権の文書の中にも記載されているようでございますので、難局でございますが、御活躍を期待したいと思います。あわせて、有村自由民主党総務会長や斎藤アレックス日本維新の会政調会長をはじめ、要職を担われる方々の御奮闘も期待したいと思います。物価高騰対策ですとか、医療制度改革、病院の経営をはじめ、社会保障制度改革、コメ問題含めた内政の課題、またトランプ大統領の御来日日程もあるようでございますので、外交を含め課題が山積しておりますので、丁寧な議論・検討の過程を経ながら、決めるべきを決めて前進する政治というのが必要だと思いますので、そういった中心、先頭になっていただくことを期待したいと思います。後でもいろいろ聞かれるかもしれませんが、多党化して、選挙で過半の与党が構成しにくい政治状況になってきたとき、どのように政権を構成するのかということについては、今までにない知恵や経験を集める必要があるのではないかと思いますので、この点も合わせて今回の経験が活かされるように期待したいと思います。
いよいよ今週末には、わたSHIGA輝く障スポ大会が開催されます。みんなでこちらにもエールを送りたいと思います。それに合わせまして「みんな集まれ!障スポ応援」という企画も実施いたします。2つありまして、1つは大阪・関西万博とのコラボ企画ということで、お手元の資料にもあるようでございますが、関西パビリオンに設置されていた9つの府県のレプリカスタンプを競技会場に設置しようということでございます。また、もう1つは、SNSを通じたトップアスリートら著名な方々の企画というものを実施いたします。飛び込みの玉井陸斗さんとか、女子バレーボール東レアローズ滋賀の皆さんなど御参加いただく投稿もすでに始まっているようでございます。障スポの競技は県内各地で14競技、する人、見る人、支える人、みんなが輝く大会になるように、おもてなしにも努めていきたいと思います。
また、全国大会ということで言えば、技能五輪、アビリンピックが愛知県で開催されました。技術・技能というものを高めることに力を入れていきたいと思っておりますので、この大会に大変注目をしております。ちなみに、技能五輪では県内から出場された12名のうち5名の方々が銀賞、銅賞、敢闘賞を獲得されたと。アビリンピックでは10名のうち4名が銀賞、銅賞を受賞されるという輝かしい成績も収めていただいておりますので、ぜひ皆で称えたいと思います。
それでは資料に基づきまして今日は2点申し上げます。1つ目は、滋賀県が今挑戦しています循環経済・サーキュラーエコノミーの推進に向けた実証事業、リペアチャレンジについてでございます。たくさんつくってたくさん捨てる、大量生産・大量消費の経済システムから転換していこうという中で、モノを長く使ったり、また直して使ったり、もって資源を循環させたりという、こういうシステムに移行していくことが必要です。そこで、モノを大切に使い続けたり、直して使ったり、資源循環のポテンシャルを最大限に生かす、循環する経済モデルをつくろう、発信しようと。このリペアチャレンジはその一歩です。廃棄物として処理されてきた家具類を題材にしまして、市町とも協力しまして、回収して、修理して、販売するという、この一連の流れをやってみようと。やってみて分かる、得られる労力、コスト、また需要、こういうデータ、知見、経験を集めて分析して、新たなモデルをどうやってつくったらいいのか、こういう可能性を探るということでございます。聞いていますと広域自治体としてこういう取組をやっているのは初めてということでございますので、これから事業者の方々、また今、県内全ての市町にまだ御協力いただけているわけではないんですけど、御協力いただく市町、その広域行政組合、大学、様々なパートナーと緊密に連携しながら進めていこうと。廃棄される家具のリペアという切り口から実践的な検証を重ねて、将来的にはこの経験を活かして、より広範な循環経済をつくっていければというふうに考えております。11月1日にその販売会をするようでございます。今までどれぐらい集まったのかということについては、後でも説明があるのかもしれませんが、3ヶ月で200点を超える家具類の回収があるということでございます。前にも置いてあるんですけど、こういった昭和レトロ家具のようなテイストでつくられたりということもあるようでございますので、皆様方にまたお披露目いただけたらありがたいなと思います。行政初のスタートアップで頑張ろうと、昨年の予算査定のときに職員と話して、今日もおしゃれにデザインされたポロシャツで、リペアチャレンジのポロシャツを着たスタッフがいますので、ぜひまた後ほどお話を聞いてみてください。
もう1つは、そろそろ寒くなって、インフルエンザなんかも流行り始める。また、鳥インフルエンザもすでに北海道で発生している、こういう季節になりましたが、昨年度、滋賀県で制定いたしました「感染症を考える月間」についてでございます。今年度実施する事業を御紹介します。この月間で感染症について考えるきっかけを提供したい。もって感染症に対する意識や知識をみんなで広く、深く持っていこうと。11月1日にオープニングイベントを実施いたします。このオープニングイベントでは映画化もされたダイヤモンドプリンセス号のDMAT、「フロントライン」という映画だったと記憶しておりますが、実際に乗船して対応を行われた隊員の方からお話をいただく企画ですとか、薬剤耐性菌をテーマとした公開講座もあります。もう1つは、こちらは11月25日に予定されているようですが、DMATと連携して入院調整本部の設置運営訓練を実施すると。当時いらした記者さんは少なくなっているかもしれませんが、当時どこの病院の病床がどれぐらい空いているのか、空いていないのかということで、随分調整に苦労した経験がございますので、県独自で開発した病床管理入院調整支援システム、これを実際に動かしてみて、どれぐらい活用できるのか、できないのかを試してみようという、こういう訓練・検証なども行われるということでございます。こういったもののほか、医療機関向けの研修会、普及啓発活動なども行いながら、感染症に負けない滋賀県を、健康しがをつくっていくために頑張っていきたいと思います。私からは以上でございます。
[朝日新聞]
まずリペアですけれども、知事自身は御自宅で家具をリペアされているようなことはあるんですか。
【知事】
家具のリペアまでは、器用ではなく、時間もなく、無いです。ただ、ガタガタするときにちょっと足かましたりとか、少し角度を変えたりということぐらいは、見様見真似でやったりすることはあります。
[朝日新聞]
今後は自分でもされていく予定でしょうか。
【知事】
やれたらやりたいです。私、もともと三日月の発祥は「そまびと」でしたので。甲賀の山奥で木を使っていろいろなものをつくっていたらしいので、こういうことをするのは、また見るのは好きです。
[朝日新聞]
高市政権に関してですが、知事は国会議員時代に高市さんとの面識はありますでしょうか。あるのならば、その印象を教えてほしいです。
【知事】
政経塾の先輩後輩ということもありますし、国会議員時代にもお会いしたことやお話ししたことはございます。印象としては、あのとおり、いろいろなことに熱心、そして国を想ったり、地域を想ったり、人の暮らしを想ったりということにはすごく熱い方です。まさかこの時期に総理になられるとは、当時は思っていませんでしたけれども、3回目ですか、総裁選に出てこられて、今回見事に総裁になられ、ずいぶん御苦労はされましたが、公明党の連立離脱とか。しかし、整って、内閣総理大臣に選出された、政権を構成されたということについては、とても素晴らしいことだなと思います。しかし、いろいろな難しい問題もたくさんありますので、御奮闘、御活躍に期待したいなと思っています。
[朝日新聞]
国会議員の定数削減という話が進んでいると思うのですが、これによる地方への影響は、何か懸念されるようなことはありますでしょうか。
【知事】
今回、日本維新の会と合意された中にも、「1割を目標に衆院議員定数を削減」と書かれておりまして、その次の項目に、協議会で議論することとか、「小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制の導入なども含め検討」と書いてありますので、まだこの中でどういう検討がなされるのかというのを見てみないとわからないなと思います。しかし、常々、人口だけで議席を割り振っていいのか、衆議院と参議院で同じような選挙制度でいいのかという問題提起はしてきておりますので、この点も踏まえた少数意見や地方の声もきちんと国政の場に届けられるような制度づくりは期待したいと思います。
[朝日新聞]
自民と維新の政策合意の中で、地方創生とか分権とか、地方をどうしていきたいかというような議論があまりなかったように思うんですけれども、石破政権から見ると、地方にとっては後退しているのかなという印象を受けますが、そのへん懸念はありますか。
【知事】
大きく柱立てで12項目ですか。大部にわたる連立政権合意書をつくられて、この中に地方とか地方分権という言葉は十分ないのかもしれませんが、ただ、地方において重視する項目はたくさん入っていますので、そういうものを実際に充実させることで、分権や地方創生につながることもあるでしょうし。昨日も中部圏知事会議で広域リージョン連携の議論をしたときに、関西広域連合でも今準備しています、中部圏でもやりました、北陸圏でもやられたということなんですけど、府県を越えて、この様々な施策をやっていくという、こういったことも石破政権時に打ち立てられて、ぜひ高市政権でも継続されるように確認すべきだ、要望すべきだといったことを私も申し上げたところであります。また、副首都という形で、これは「統治機構改革」の中に「首都の危機管理機能のバックアップ体制の構築」ということもございますので、こういったことは分権にもつながるということになるならば、1つ好ましいテーマになってくるのかもしれないなと思って注目をしています。
[時事通信]
2点伺います。1点目がリペアチャレンジについてです。今回、都道府県が主導して回収、修理、販売までを一体的に検証するというのは全国初めての取組だというふうに説明があったかと思いますが、改めてその広域自治での実施の意義について、市町や事業者との連携もあるかと思いますが、御見解があればお願いいたします。
【知事】
我々も実際にやってみて、一定期間であるとか、一定の数、消費者の方や事業者の方と向き合って、わかってくることもあると思いますので、こういった中で、最終こうですねという結論は出していきたいなと思うのですが、やはり持続可能に、経済の論理で回るかどうかですね。どれぐらい出てきて、どれぐらいよりよく回収できて、そしてどういった方々が買って行かれるのか。そういう意味で、回していこうと思うと、一定数がいるということで言うと、市町だけでは十分数が揃えられない、もしくはいろいろな品物が揃わない。こういうことを広域自治体、県でやれば一定カバーできるということもあろうかと思います。また、販売とか流通に一定のコストや手間もかかりますので、県という広域自治体が中心的に、事業者の方と協力しながら担うことで、市町の負担をカバーできるということもあります。ただ、産業廃棄物で出てくることもあるんでしょうけれども、一般廃棄物で出てくることなどからすれば、市町と県が協力するということは不可欠だと思いますので、この仕組みをうまくつくっていけたらいいなと思っていますし、国もこういう取組、経済産業省も環境省も注目されているようですので、連携して、これからにつながる仕組みをつくっていけたらいいなと思います。
[時事通信]
もう1点、国政について伺います。先ほどの知事の話の中にもありましたが、今回、維新との連立政権の中では、副首都構想に関する検討が進む見通しとなりました。これは東京一極集中の是正であったり、大規模災害の首都機能の確保というところが主な目的としても挙げられているかと思いますが、改めてこの議論に関する期待や重視することについて、先ほど地方分権についてのお話もあったかと思いますが、そちらの御見解についてもお願いいたします。
【知事】
合意文書の中にもありますが、「首都の危機管理機能のバックアップ体制」づくりですとか、首都機能を分散させること、多極分散型の経済圏をつくること、これはいずれも重要なテーマで、私たちも常々言ってきました。一極だけで担うのではなくて分散して担うべきだという思想で、具体の制度がつくられる、法律がつくられるということは、ある意味ではいいことだと思いますが、中身を見てみないとまだわからないところもあるので、そこはよく見て議論をしていきたい、また、必要に応じて地方の声を、全国の知事会を通じて上げていくということも考えていきたいと思います。
[NHK]
冒頭で高市政権について、地方のことが伝わるような政治というような言葉もありましたけれども、滋賀県知事として、安全保障とか経済とか、いろいろな課題がある中で、特にこれについては力を入れてほしいとか、いろいろなことがある中で、最も期待をかけている部分というのはどういったことでしょうか。
【知事】
自民党総裁に選出された直後の会見でもずいぶんおっしゃっていましたが、地方で使える交付金とか、医療、介護、特に医療の施設のこと、病院等の経営のことです。物価が上がり人件費が上がる中で、経営が厳しくなっているので、早急に手当しなければいけないといった趣旨のお話をされていました。この地方の様々な取組を応援したいという御姿勢や、特に課題になっている医療機関の経営をバックアップするというか、カバーする。こういったこの2つのことは、急いでやらなければいけない物価高対策という課題だと思いますので、これは期待もしたいし、我々もできることをしっかりやっていきたいです。特に後段申し上げた医療のことは、上野賢一郎厚生労働大臣が中心的に担われることになると思いますので、そういったところとの連携というのも欠かさずやっていきたいと思います。
[京都新聞]
2点あります。まず、先ほどもお名前が出た上野さんが厚労大臣になられたことを、改めてどういったことで期待されているのか、受け止めも含めて教えてください。
【知事】
上野賢一郎さんは私も長くよく知る方でいらっしゃいますし、長浜の御出身でお父様、お母様もいろいろな形でお話しいただいたり、大通寺さんの前の荒物屋さんで、地元で育たれて、そして志持って勉強なさって自治省に入られ、地方の勤務もされ、そして選挙に出られました。私が出た滋賀3区というところは、もともと上野さんが出るかもしれないと言われていた選挙区だったらしいです。その後は20年以上、一緒にこの政治状況を担ってきたり、戦ってきたりしましたので、そういう意味でお人柄もよく存じ上げております。誠実なお人柄で、何よりこの数年、政権の中枢で国会のお仕事、党のお仕事、さらには政府のお仕事を政務官や副大臣として要職に担われて、今回担われる厚生労働の分野でも、薬業のことであるとか、税のことであるとか、様々御尽力され、また滋賀のためにも、道路をはじめとするインフラ、日野川の改修などについても、本当に心砕いて頑張っていただいている方ですので、そういう方が今回大臣になられるということは、とても心強く思います。滋賀をよく知る方が、厚生労働大臣になられる。確か大臣は川畑達夫先生以来だと思いますので、そういう意味で、どの時代も大臣という仕事は大変だと思いますが、頑張ってほしいなと思います。
[京都新聞]
高市新総理が、首相においては女性初めての総理ということなので、この件について何か受け止めを教えてください。
【知事】
今回、女性で初めて内閣総理大臣になられたということですが、今後は女性初とか、そういったことが言われないような、女性も男性もこういった要職を担える社会、経済、政治の状況になればいいなと思いますが、とはいえ、初の総理になられたことについては、心からの敬意を表したいと思います。こういったお姿を見ることで、また次、またその次と、ああいうふうになってみたいなとか、こんなことをやってみたいなと思う次世代へのメッセージにもなるでしょうから、そういう面は期待したいと思います。私は学生時代、初当選された高市さんが、講演に来られた場面に大学生として参加したことがあります。とてもエネルギッシュに、未来のことを語っていらっしゃったことは覚えています。その時に松下政経塾というのは、1つの卒業後の進路選択に入ったように思います。しかし、すぐに行くことは父から諌められて、働けと、仕事をしろと言われ、JR西日本に就職させていただきました。あの時の高市さんの印象というのは強烈に覚えています。
[日本経済新聞]
政治の話について、吉村さんが国政の与党になって、関西広域連合の一員でもありますよね。知事は関西広域連合のトップとして、これからどういうかじ取りになるのか。先ほどおっしゃっていた副首都という形で、首都のバックアップをしていく。これは、関西広域連合がこれまで言ってきた目的の1つとして合致すると。あと、知事が前から言っているのは、中央官庁とか、国の中央にある役割のものを関西の方に持っていこうという、この辺のテコになるのかどうか、そういったことを期待されているのか、この辺りいかがですか。
【知事】
まず、今回、高市総裁が政権を構成される際に、日本維新の会吉村共同代表などと精力的に会談され、合意が整い、高市政権がスタートしたと。今回の合意文書にも吉村さんの署名があります。そういう意味で、今の政権の中心的な役割を果たしていかれるのだと思います。そこから得られる情報とか、その中で書かれていることに対する、賛同もそうですし、いろいろな要望、そういったこともつないでいく、そういう窓口として期待をしたいと思います。また、副首都のことは、その前から改めて再起動させていきたい、強く発信していきたいということは私も聞いていましたので、関西のためになる改革であれば、大いに応援もしたいということを申し上げておりましたので、大阪の力が高まったり、東京以外にバックアップできる機能を先ほど後段お尋ねいただいた政府機関の拠点を関西に誘致することも含めて、つながるということは関西にとっていいことだと思うので、そういう観点でより強く連携していけたらいいなと思います。
[日本経済新聞]
今回の維新の与党入りというのは、関西広域連合という組織を発展させる上では追い風になるという受け止めですか。
【知事】
追い風にしたいと思います。これは待っていて受け身でできることではないと思いますが、ぜひそういう関西ゆかりの政党、その代表、中枢の方が政権を構成するということに汗をかかれていらっしゃるということをうまく活かしながら、関西発展のテコにしていきたいと思います。
[日本経済新聞]
また、高市さんに対して、知事の受け答えを聞いていると、リップサービスが過ぎるのかなという感じがします。例えば物価対策、知事はさっき期待しているとおっしゃったけれども、彼女が言っている物価対策はどちらかというと全部需要喚起策だと思います。例えばガソリン税をなくすとか、あるいは積極財政とか、日銀の人に聞いても、今やることではないだろうっていう人が多くて、要するに、どちらかというと物価を上げてしまう対策、これは専門家が見ると普通そう思うし、抜本的な対策をすれば金利を上げるしかないかなというのは、みんな言っていることです。このあたりの不安、高市さんのタカ派よりの姿勢というのは別として、経済政策について、知事も石弘光先生のゼミに入っていたら不安に思うのが普通ではないかと思うのですが、そのあたりいかがですか
【知事】
今お尋ねいただいた、根っこにある物価が上がるという、このことにどう対処するのかというのは、私たち国民にとって、今の政権にとって最重要課題だと思います。その際に、税を下げるのか、もしくは財政主導するのかという、いろいろな手立て、国民の暮らしを守り、支えるという観点からの手立てについて、政権も考えられるでしょうけど、やはりつまるところ、輸入物価が大きくその物価高騰に寄与しているとするならば、この輸入物価をどうコントロールしていくのか。これは、やはり金融政策によるところが大きいと思います。したがって、これらについては、日本銀行をはじめとする金融機関のいろいろなコントロールによるところもあると思いますので、政府や財政の視点からは、やはり中立で見ないといけないところもあると思いますが、あと、短期的にできることと、中長期でこの海外諸国と伍して経済、通商政策をやっていくという、この競争力をいかにつけていくのかということが、為替で負けない、そういう購買力を保つことにもつながると思いますので、この短期でやることと、中長期抜本的にやることと分けて議論や構築していただくことも合わせて期待したいなと思います。
[日本経済新聞]
今回、連立の枠組みが変わって、公明党という自民党のストッパーが抜けた形になる。あるいは、これまでもう6回も当選して入閣がなかった上野さんが初めて入閣する。こういった状況というのは、今、知事御自身が考えている来年の知事選に出るかどうかというそういった判断に影響はしますか。
【知事】
時々起こっている様々なことは知事として常に見なければいけない立場にあると思っています。そういった起こっていることを入れて、そしてどういうアウトプットをするのか、また何を言うのか、どう処するのかということは考えないといけないと思っていますので、全てのことを入れて、自分自身の身の処し方というのは考えていきたいと思います。
[毎日新聞]
自民党と維新が一緒になったということで、政治的な立場が異なると、かなり危惧する意見を持つ方、タカ派的身寄りという、それは知事はバランスの取れた立場でいらっしゃるのでなかなかないかと思いますが、懸念されることはないですか。
【知事】
皆さんが何をもってタカ派と称されるのかというのはいろいろあると思いますが、一議員として主張されることと、内閣総理大臣として言われること、なさることというのは、これは当然それぞれお考えになられるでしょうし、国益を考え、他国との関係を考え、経済のことや暮らしのことを考えて、何を優先的に成していかれるのかということは、これはこれまでの御経験上、私が言うのも大変失礼ですけど、いろいろな知恵や経験をお持ちだと思いますので、そういうものに沿って御判断されるのではないかと思います。
[毎日新聞]
県税制審議会について、先日まで答申に出されましたけども、少し不思議に思うことがありまして、諮問された知事が、その審議する場に出て、意見を言ったり、感想を述べたりするというのは、公正といえるのでしょうか。本来は任せるべきものが、積極的に介入されることがなにか審議にプレッシャーを与えてしまう心配や懸念はないのでしょうか。
【知事】
改めてお問いを聞いていると、そういう面は気をつけなければいけないと思いました。それと同時に、税制審議会諸富会長をはじめ、審議会委員の先生方の御議論を主として、私が何か途中で口を挟んだり、何か方向性に対してものを申し上げたりということをしているつもりはないので、そこは今後も気をつけていただければいけないということと、税のことを議論いただきながら、交通や暮らしのこと、また森林のこと、やはりその税制審議会の中だけでは十分な情報や重要な情報が共有しにくい時に、もちろん担当者は入りますけど、総合行政の最高責任者である知事がいて、コメントを申し上げるということは、その税の審議にも有効に機能することもあるのではないかと思いますので、中立性とか公平性は保ちつつ、より議論が充実したものになるような参加の仕方を、これからも考えていきたいと思います。
[毎日新聞]
2週間ほど前に、昨年度の児童虐待相談件数が資料提供されており、前年度に比べて、件数が多く、児童虐待がなくなっていないという印象を受けたのですが、知事はどのように受け止められ、どのような対応をお考えでしょうか。
【知事】
まだまだ多くの子どもや、子どもを取り巻く親や大人の日々の暮らしに寄り添った対応というのが必要だと思います。当然、人権を侵害するような、傷つけたり、無視をしたり、悲しい思いをさせるような事象というのはない方が良い、あっても少ない方が良い。そして、一刻も早く救う、寄り添うということが大事だと思いますが、日々の暮らしの中でどうしてもそういったことが起こってしまうとするならば、どうすればそれを防げるのか、より早く、より有効に寄り添えるのかという、この不断の努力をしたいと思います。例えば、転居をした時にどうしても落ちがちになるとか、色々とその兄弟が多いときに、もしくは様々な特性、障害がある時にそういったことが起こりやすいとか、親の世代がそういうものを受けていたりすると、そういった可能性もあるのではないかと指摘されるようなこともあるので、この間分かってきたことなども十分活用しながら、今後の対応・対策に活かしていきたいと思います。
[朝日新聞]
高市政権の話に戻ります。大学生の時に高市さんの講演を聞いたという話に少し関心を持ったのですが、具体的にこれはどんな場面で、どういう話をされましたか。
【知事】
1993年だったと思います。高市さんが初当選されたのが。その直後だったと思います。東京の八重洲で行われ、松下政経塾が主催だったか、どこか別のところが主催だったかは定かではありませんが、松下政経塾を出られた高市早苗衆議院議員が講演に来られるという場面の御案内をいただいて、参加をしたというものです。当時大学生でした。
[朝日新聞]
何の話をされましたか。
【知事】
何の話をされたかまでは思い出せませんが、とにかく国会議員になりましたので、こんなことやってみたい、あんなことやってみたいというお話だったように記憶をしています。とても若くて、キラキラと、滔々と御話をなさっていて、当選されて直後の国会議員さんがこんなにいろいろなお話をなさるのかということに、すごく衝撃を受けたような印象を持っています。
[朝日新聞]
なぜわざわざ行かれたのですか。
【知事】
当時、自分が大学を卒業した後、どこで何をするのかということを考えていた時期だったと思います。就活とか。その一環で行ったのだと思います。
[朝日新聞]
それをきっかけに政治家になろうと思われたのですか。
【知事】
それがきっかけというよりも、その前からいろいろ政治には石弘光先生の御指導もあって、政治には関心を持っていましたので、多分そういう情報も目についたのか、届けていただいたのだと思います。
[朝日新聞]
国会議員になられて、政党は違うけれども、何か高市さんは特別な存在だったのですか。
【知事】
松下政経塾、これは党を超えて、いろいろな政党、もちろん地方行政、知事含めていらっしゃいますが、時々集まって、年代を超えてお話をしたり、高市さんは5期生で、私は23期生ですので、大先輩でいらっしゃいますが、共通の親しい先輩方もいらっしゃるので、そういう意味でいろいろなお話をしたことがあります。