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知事定例記者会見(2024年3月26日)

令和6年3月26日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。たくさん話題があるのですけれども、大橋悠依さんがパリ五輪代表に内定されました。東京オリンピックでも素晴らしい成績をあげておられますけれども、その後の選考過程はモチベーションを上げたり、体調を整えたりということでいろいろと大変だったのではないかと推察いたします。プレッシャーもあったでしょう。そういうものを乗り越えて、パリ五輪選手内定ということでございますので、心から御祝いを申し上げたいと存じます。本県ゆかりの選手として、パリ五輪内定は第1号ということでもございます。みんなで応援したいと思います。また、オリジナルいちご新品種「みおしずく」でございますが、「みおしずく」のピューレ入りジャムパンが開発されたということでございまして、山崎製パン株式会社様が開発され、来週4月1日から1か月間販売されることになったということでございます。商品は「いちごロール」と「いちごブレッド」と「いちごフランスパン」。平和堂をはじめ、関西エリアのスーパーやコンビニでお買い求めいただけると聞いております。

またもう一つは、ふなずしについてでございます。ふなずしを代表とする近江のなれずし製造技術が、昨年、令和5年3月に国の登録無形民俗文化財に指定されました。それから1年ということに合わせて、お手元にパンフレットがあると思いますが、本県のなれずし技術を紹介するパンフレットを5,000部作成しました。年末には私も樽開けをさせていただき、(記者の)皆様方にも御賞味いただきましたけれども、このふなずしについて、様々な方々からつくり方やその魅力、祭事との関わりなどについて御紹介をいただいておりますので、御参照いただければと存じます。県のホームページでも御覧いただけますし、県の文化財保護課でも配布をさせていただいております。郵送で送ってくださいという方には、その対応もさせていただくということでございます。ちょうど今は、このふなずしの原料、二ゴロブナの漁の時期だそうでございまして、来週には私も漬けるだけではなくて、フナの漁にも少し連れて行ってもらおうということで、今企画を計画をしているところですので、また取材等がどのような形で可能なのかということは追って御案内をさせていただければと存じます。まだ内容の詳細は聞いていないのですが、西郷隆盛氏の自筆の書簡が滋賀県で発見されたということにも、とても興味を持っています。また内容を詳しく勉強したいと思います。

さて、2件資料に基づき御紹介をいたします。まずは、県内の子どもを対象にした医療費助成制度が拡充されます。この間、様々な準備、調整をしてきまして、4月1日から全ての市町で整ったという御案内でございます。この子どもの福祉医療助成制度は、子どもの健やかな成長を支えるため、必要な医療費の負担を軽減するための制度です。対象となる方が県内の医療機関での受診時に健康保険証と受給券を提示いただけると、保険適用総医療費の一部負担金の助成を受けられるものでございます。今の現行の乳幼児福祉医療費助成制度では、就学前の未就学児、0歳から6歳を対象に県内市町で全額助成させていただいております。4月以降は、新たに15歳から18歳を対象とする高校生等福祉医療費助成制度をスタートさせることによって、もって18歳まで医療費助成が県内全ての市町で整うということであります。全ての市町が来週、4月1日の診療分から高校生世代まで拡充された医療費助成制度を開始されると伺っております。この間、首長会議などで議論し、予算化し、来年度できるだけ早くスタートさせたい、できれば4月から全ての市町がこの形でスタートさせたいと申し上げておりましたが、そのことがおかげさまで多くの方々の御尽力で整ったということでございますので、御周知方、お力添えいただければ幸いでございます。

もう一つは、「生物多様性しが戦略2024~自然・人・社会の三方よし~」を策定しましたという御案内でございます。生物多様性の保全は気候変動対策、また循環経済の取組と並んで大切な取組だと捉えているところです。世界の目標、国の戦略を踏まえまして、滋賀県としても、生物多様性の損失を止めて、回復軌道に乗せていこうという、いわゆる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現を目標として掲げさせていただいております。量と質の両面からみんなで取組を進めていこうということで、象徴的な保全目標の1つとして、5,000ヘクタールの保護・保全地域の増加というものも目指すこととしております。5,000ヘクタールというと、ちょうど南湖ぐらいの大きさということでございます。琵琶湖の南湖ぐらいの大きさ。2030年までに陸と海の30%以上を保全するという世界目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」。この目標を超えて県土の42.9%を保全することを目指すことになるということでございます。資料にも記載のとおりでございます。マザーレイクゴールズ、MLGsにも通じる保全と活用と行動の3つの方針のもと、社会経済活動の基盤となる滋賀の生物多様性を守っていきたい、また未来に引き継いでいきたい、この取組をぜひ市町、地域団体、企業の皆様方、市民、町民、議員の皆様方、多様な方々と連携しながら進めていきたいと考えているところでございます。取組の具体例として、こちらも資料に記載されてないですね。例えば、環境省が認定する自然共生サイト、こちらを県内でも増やしていきたい、現在10か所あるところを25か所に、また、「しが生物多様性取組認証制度」という滋賀県独自の取組がありますが、この認証事業者数を100か所まで増やしていきたいということなどなど。またトンボをはじめとする多様な生き物調査がございますが、こういった取組をさらに推進、促進していきたいと考えているところでございます。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[朝日新聞]

子どもの医療費助成の拡充について、かねてからずっと知事がおっしゃっていた重点政策の一つだと思うのですが、これまで各市町は中学生世帯の補助がなかったのを今回揃えることができたのは(県の子ども)交付金を活用される予定なのでしょうか。

 

【知事】

それぞれの市町がどのお金を活用されて中学生世代の助成をなさるのかというのは全てを把握しておりませんが、当然(県の子ども)交付金を活用される市町もあるのではないかと思います。

 

[朝日新聞]

4月1日から高校生世代までの拡充が実施されるということで、改めて知事の思いをお伺いしたいです。

 

【知事】

このテーマは、子ども政策、「子ども・子ども・子ども」というときに、県内市町ごとに違いますので、それらを揃えるべきだ、また拡充すべきだ、県の支援を増やすべきだという、こういった御主張、御要望、御提案をいただいておりました。私の3期目の公約の中にも、その医療費助成拡充について検討するということを示しておりましたので、そういったことが一定拡充、全ての市町で揃って整ったということは、まずはとても良かったと思っています。ただ、子どもを取り巻く様々な課題、可能性というのはまだまだたくさんございますので、まずはこの制度が確実に、適切に運用されることを確保すると同時にですね、さらにどういった取組をしていかなければならないのかということは考えていきたい、取り組んでいきたいと思います。

 

[朝日新聞]

 子どもを取り巻く課題はまだまだあるということなのですけれども、新年度5年ぶりに「子ども若者部」が新設されて、新具体的に子ども政策で新たに取り組んでいきたいことを教えてください。

 

【知事】

「子ども・子ども・子ども」。滋賀県の「ともにいきる」施策の中でも、第1番目に強く掲げさせていただいております。それらを全庁的に、先頭に立って推進する組織として、「子ども若者部」を新設いたします。例えば、この医療費助成もそうですし、子どもの権利というものを保障していく、子ども基本条例を制定することでありますとか、今年度から取り組んでおります子どもの育ちと学びを保障していくプランですね。このプランに基づく取組を不登校の状態にある子どもも含めて、必要な調査を行わせていただくことにしておりますが、こういったことがきちんと運用されるというこういった事々はとても重要な取組だと思っています。また、学校の環境の問題、特別支援学校の分離・新設含め、新たな一歩を踏み出していきますし、県立高校の魅力化もやっております。笑顔あふれる学校づくりということで、様々な人的な支援の拡充などもしようとしておりますので、こういったことをぜひ現場で進めていきたいと思います。

 

[京都新聞]

今朝の琵琶湖の水位がプラスマイナス0センチということで、平年も3センチということなので、ほぼ平年並みに戻ったかと思うのですけれども受け止めを聞かせてください。

 

【知事】

今朝まだ琵琶湖を見られていませんが、雨でしたので、多くの雨が昨夜から降り落ちて、琵琶湖の水位がプラスマイナス0センチまで回復したことは私も承知しておりまして、ほぼ平年並みということです。私達が飲み、使う水もそうですし、いよいよ田植えのシーズン、農繁期に入ってまいりますので、農家の方々も一安心されるのではないかと思います。命の水源ですので、その状態、水位もそうですけど、水質、さらには後ほど質問あるのかもしれませんが、アユの不漁の問題、生態系まさに生物多様性という観点で、どのような健康状態にあるのかということは常に見ていきたい。またそのことを、全国、世界に発信していきたいと思います。

 

[京都新聞]

農繁期に入る農家の方が不安視されることはこれでなくなるということですか。

 

【知事】

これでなくなるというのは、このプラスマイナス0の今日時点での数字をもって、そのことまでは言い切れませんが、ただ従前のようにすごく減っていて取水制限をやるかもしれないという状況よりは、一定ダムやため池にも水は確保されるでしょうから、まずは一安心されているのではないかと思います。ただ、今後もこういった利水の問題については注意深く見ていくということが必要だと思います。

 

[京都新聞]

話題は変わりますが、自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件に関連してお尋ねします。昨日自民党で長く幹事長をされていた二階俊博さんが次の衆院選に出ないということを表明されましたけれども、知事も国会議員時代からよく御存じの方だと思うのでどのような感想を持たれたか教えていただけますか。

 

【知事】

長く、国政のために尽力された方が次の選挙に出られない、ひと区切りつけられるということについては、深い感慨を持って接しております、その情報に。御自身で決められた出処進退ですので、そのことに私達が何かを申し上げるということはありませんが、長く国政に尽くされたことに対しては感謝もしたいし、敬意も表したいと思います。いろいろなことを教えていただきましたので、そのことを私は次の世代として体現していくということが重要だと思います。

 

[京都新聞]

ただ一方で幹事長時代に受け取った多額の政策活動費を含めて、政治資金収支報告書に記載しなかったお金の使い道が御自身の口からしっかり説明されていないというところで批判もあろうかと思うのですけれども、このあたりはどのように見られていますか。

 

【知事】

御自身の出処進退とは別に、そういった資金の収支もしくは使途、一定の報告がされているということと、その報告内容に基づく様々な御説明、これは常につきまとうものでもあるし、これからも問われていくことだと思いますので、それは御自身を受けて説明をされていくものだと思います。これで何かそのことも全て終わりだということではないと思います。

 

[京都新聞]

先週には県議会の方で国会や政府に裏金事件の再発防止を図るように求める意見書が2件可決されていますが、知事としてはこの政治資金の透明性、また不記載事件の再発防止について思うところがあれば聞かせてください。

 

【知事】

私も収支報告を定期的に出させていただく仕事をしておりますので、その透明性、公正性というのは常に意識をしているところでございます。こういったことに不信、疑念を持たれることがないように努めていくということが大事だと思います。

 

[NHK]

子どもの医療費助成についてお伺いします。これまで市町で足並みを揃えることが一つの課題となったと思いますが、先ほど一定拡充できたことは良かったと思っているとお話されていましたが、市町との足並みを揃える上で大変だったこと、苦労された局面もあったかと思いますが、そのあたりをお伺いできればと思っております。

 

【知事】

お手元にどこまでの資料が配布されているのかわかりませんが、(配布資料の)2枚目の左側の入院、通院の現状のところを御覧いただければおわかりのとおり、高校生世代、(配布資料の)2枚目右側の一番上、(高校の)3年間に県が補助しにいくといっても、中学生世代まで追いついていない、助成されていない市町もあったわけで、そういったところにどのように御理解いただくのかこういうことか、なお課題として残っているのは自己負担の取り扱いについては市町ごとで異なりますので、そういったことに対する義務ですとか、ここは検討、議論の中でも苦労したところであります。ただ、県でつくる交付金の活用なども視野に入れられて御理解いただけた、みんなでやろうということになったことは安堵しております。ただ、県内市町は整えられましたけど、都道府県によって違うなど、やはりこれは国で一定保障、また拡充していくべきテーマだという考えは依然変わっておりません。全国知事会でも繰り返し累次にわたり申し上げておりますので、このことは引き続き国に対して求めていきたいと思っています。

 

[京都新聞]

(先ほどお話にも出た内容の関係で、)アユの不漁についてですが、1月は記録的不漁で、その後の推移はどうなっていますでしょうか。

 

【知事】

3月に入っても依然として低調な状態が続いていると聞いています。これは漁業者からの聞き取りということです。ただ、3月の後半に入ってエリでの漁獲は上向き傾向な量などもある。例えば、1日に200キロを超える漁獲があったという報告があるとか、川に上ってくるアユを捕まえるヤナ漁での漁獲も始まってきているということですので、今後の状況、推移を見ていきたいと思います。

 

[京都新聞]

水位が0センチになったとのことですが、先日の話では(アユの不漁と)水位の関係というのはわからないとのことでしたが、エリ周辺の水位の上がり下がりということが影響しているのではと考えておられる漁師の方もおられます。水位が戻ってくる中で漁獲量も増えてきていると見ることもできるかと思うのですが、そのあたり、水位との関連というのはその後何かわかりましたでしょうか。

 

【知事】

すみません、私にはわかりません。ただ来週沖島にも行きますので、漁師の方とも船に乗りますので、どういう状況になっているのか直接聞いてみたいと思います。当然水の流れも変わっていれば、エリの周りのそういった動きも変わっているのかもしれません。そうすると以前入っていたものが入らなくなるということもあるのかもしれませんので、それが水位による影響なのか、少し聞いてみたいと思います。

 

[京都新聞]

先立って漁協の合併の式典でも共済制度について琵琶湖が対象外になっているということで、琵琶湖を対象に入れるように頑張っていこうというお話だったかと思うのですが、そもそもなぜ琵琶湖が対象外になっているのかというのも私達にはわかっていない部分もあるのですが、県として何か後押ししていく考えなどはあるのでしょうか。

 

【知事】

漁協の再編というのは、今現在県内に(漁協が)30あって、一つ一つが例えば小さかったり、いろいろな課題があるということで、一つになろうということで、現在漁協をして、また県も支援しながら取組を進めています。現在、まずは19漁協で発足をされたと。引き続き全ての漁協が参加できるように取組を進めていこうということでございます。おっしゃった共済制度が海にあって琵琶湖にない、内水にないというのはなぜなのかというのは、その経緯、理由は定かではありません。そういうものがなくても賄ってこられた部分もあるのかもしれません。ただ、これだけ自然環境が変わってきて、漁が良いとき悪いとき、もしくはみんなで助け合わなければならないとき、どのような制度を持っておくべきなのかということの中で、この「県1漁協」、そして助け合いのこういう制度の創設ということも視野に入れられていると承知をしておりますので、時代や環境に応じた制度をつくっていくということも必要ではないかと思います。

 

[中日新聞]

「生物多様性しが戦略」について、30by30(サーティ・バイ・サーティ)の目標は、もう既におそらく県内では保護地域が41.6%ということで超えているから2030年の目標を42.9%にしているのかなと感じたのですが、5,000ヘクタールという目標を掲げた根拠というか、その目標の理由をもう少し詳しく教えてください。

 

【知事】

まず前段お尋ねいただいた、既に30%を超えているよねというのは確かにそうなのですけれど、保全地域になっているところでも例えば伊吹山のように裸地化してその多様性の危機にある地域があるという状況もございますので、それは量だけではなくて質も含めて担保していくことがまず必要だと我々は認識しております。二つ目に後段お尋ねいただいた5,000ヘクタール。これはどういうことを根拠にということなのですけれど、担当者がつくってくれたものを読みますと、2050年を目途に琵琶湖の面積割合、これは16.7%、この16.7%にさらに30%を積み増しした46.7%、つまり琵琶湖プラスサーティ―、30を目指すことを考えていると。そのためには、面積としては現状から約2万600ヘクタールの増加、1年当たりでは約760ヘクタールの増加が必要となり、この計算をもとに2024年から2030年の7年間で約5,330ヘクタールの増加が必要と試算されるということをもとに、プラス5,000ヘクタールとのことです。

 

[中日新聞]

先ほど伊吹山の件もありましたが、今現在、県内の自然の中での危機的状況やどういうところを危惧されているのか、現状をどう捉えていらっしゃるかお願いします。

 

【知事】

これから山笑う季節に入ります。また野や川ではいろいろな生き物が遡上したり、また動き出したりということになりますが、そういった種が従来のように多様に存在するのかということとか、大切な固有種が固有種として残っているのかということとか、そういったことというのは知らない間にいなくなっていたり掛け合わされていたりということもございますので、注意深く観察していくということが必要なのだと思います。象徴的なものとして伊吹山のように獣害というか(シカによる)食害、そして裸地化というようなものがずっと続き、積み重なってしまっているという、こういったこともございますので、今回の戦略の策定を機にみんなで目を向けて、調べていく、知っていく、保全のために行動していくということが重要ではないかと思います。

 

[中日新聞]

「ふなずし」のパンフレットについて、知事御自身も自ら漬けてらっしゃって、年末にすごく美味しいものを食べさせていただいてありがとうございます。改めてこういった「なれずし」の魅力やどういったところを発信していきたいか、御自身の思いをお願いします。

 

【知事】

そうですね、こちらも固有種である二ゴロブナを、「なれずし」は二ゴロブナだけではないのですけれど、「ふなずし」ということであれば二ゴロブナを獲って、塩漬けして、飯(いい)に漬けると。こういう伝統的なつくり方、食べ方ですので、まずは文化、この食文化を大切に守ってきたと思います。ただ我々の世代もしくはより若い世代等々でまだまだご存じない方とか、知らないままちょっと忌避されているとするならば、そうじゃないよ、美味しいよ、体にも良いよ、楽しいよということをみんなに伝えられたらなということで、その一環でこういう広報物を作成しているということですね。自然の恵みとして、また文化の営みとして大切にしていければと思います。

 

[日本経済新聞]

(生物多様性しが戦略の)保護地域と保全地域について。法律とか条例によって保護されてるという地域ですね。こうやって自然保護・保全地域を増やそうという一方で、半導体とかいろいろな産業立地も考えていかなければならない。そういった企業を誘致するためには、そういった地域もちゃんと確保しなければいけませんが、これは両立できますか。

 

【知事】

両立できると思います。滋賀県に立地する企業様は両立を志向して来られています。もう今はむしろそういったことがお取引や雇用やいろいろなことの材料になるのではないでしょうか。

 

[日本経済新聞]

そうですね。それはこの保全地域を増やすことについて企業に協力してもらっていくという、そういった立場ですかね。

 

【知事】

いや、それは両面あると思います。当然、保全地域における協力もあれば、より強いお願いをする「保護」の地域においても様々な取組でエリア指定はしてきたけれども、どのようにそれを活用するのかとか、どのように保全するのかという、そういう課題というのはずっとつきまといますので、そこに企業の皆さんがいろいろな形で協力していただくということはこれまでもありますし、これからさらに求めていければと思います。

 

[日本経済新聞]

滋賀県の条例が全部頭に入っているわけではないのですが、他の自治体、東京などでも新たな住宅あるいは工場を建てるときに、あるいは公開空地みたいのを何%とか、あるいは緑を何%とかかなり細かく決めているところもあります。そういったものが滋賀県にあるかどうか。それから今後、条例できちんと自然環境を守るという条件で工場を建てるとか、住宅を建てるとか、そういったいわゆる規制ですけれども、これを強化していくことを考えてらっしゃるかどうか。

 

【知事】

まず今回のこの戦略を動かしてみて、今おっしゃったように、ここで建てられるものにどのような制約や規制をお願いしていくことが望ましいのかということも考えていきたいと思います。いたずらにきつい規制だけをかければいいかというとそうではなくて、そこにどのような合理性やまた適正性を持たせるのかということも重要だと思いますので、その辺りのことについては戦略を運用する過程で考えていければと思います。

 

[毎日新聞]

4月から国税として森林環境税の徴収を始めるということです。滋賀県では既に琵琶湖森林づくり県民税を徴収されていますが、一方で造林公社からの収益が見込めないという状況で、県民にとっては何か森林保護というとお金がかかるんだなという、変な印象を与えかねないかなと思います。今後どのように丁寧に森林の大切さ、保護の必要性を知事として訴えていかれるのか、御説明いただければと思います。

 

【知事】

造林公社の問題につきましては県議会でも御説明し、先般、包括外部監査の監査委員からも指摘事項として受けましたので、来年度、県としてどのような考え方でどのような対策を講じていくのかということは、しっかりと検討していきたいと思います。主に過去の、これまでやってきたことの、分収造林事業の債務等をどのようにファイナンスしていくのかという課題だと思います。もう一つお尋ねいただいた森林、森山というのをどのように考え、また必要なものをどのように負担・分担していくのかというこの議論は、ある意味本質的な重要課題だと思います。公益ですね。私達が受ける公のベネフィットというものをどのように捉えて、それらを大切に守っていくために必要となる費用等をどのように賄っていくのかということ。その一つの方策として(琵琶湖)森林づくり県民税というのがあるのですけれども、さらに国の森林税でこれから都道府県や市町村に配分されていくのですけれども、こういったものをどのように活用するのかということも、これはぜひ県民の皆さんとよく議論をしていきたいと思います。まず山の状態、森の持っている機能等を皆さんに御理解していただくということも重要ですので、木育の拠点づくり、エコツアー等々、水源地域においても組成していくというようなことも重要でしょうし、県産材を活用して、様々なところに木のぬくもりを感じられるようにする。この演台もそうですね。こういったことをさらに進めることによって、伐って、また育てていくというこの循環をつくっていくということも重要だと思いますので、いろいろな観点から取り組んでいくことができるのではないかと思います。

 

[毎日新聞]

最後の質問になりますが、もし(米国大統領選挙で)トランプが勝ったら、滋賀県には何か影響ありますか。

 

【知事】

国民の皆さんの選択で、どなたになられてもきちんとお話をし、将来に向けて健全な関係を築いていくというのが重要だと思います。私はそのことは必ずできると信じています。

今年度最後の定例会見になると思います。この間、特に今年度はコロナを乗り越えて、そして「健康しが」を進化させて、「ともにいきる」という、こういう県政をつくっていく過程において、報道機関の皆様方にも真摯に向き合っていただき、様々な御指摘をいただいたところ、感謝申し上げたいと存じます。ぜひこれからも開かれた県政、みんなと一緒につくる県政というのを大事にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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