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知事定例記者会見(2024年1月31日)

令和6年1月31日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

いろいろありました1月も末日ということになりました。能登半島の震災から1か月ということになります。多くの方々が被災をされていらっしゃり、今も避難されていらっしゃいます。お見舞いを申し上げると同時に1日も早い復興を祈りながら、滋賀県としても最大限できる支援をやろうということで取組を続けておりまして、1月19日に設置いたしました総合支援センターにつきましては、避難してこられた方からの御相談が10件、被災地の支援をしたい、またボランティアに行きたいという被災地支援の御相談が8件という状況でございます。職員の派遣は派遣期間を延長いたしまして、当面2月末までの第10クールまでを予定しておりまして、今第5クール目が行ってくれていますが、8クール目から市町職員も一緒に行くということになります。また石川県能登町、こちらのカウンターパート支援を行っておりますが、ふるさと納税の代理受付をさせていただいておりまして、600万円を超える御申請があるということだそうです。県内では日野町さんも同様の取組をされているということで、一定の金額が寄せられているということも聞いております。これからも関西広域連合をはじめ、関係団体と連携協力しながら取組を進めると同時に、滋賀県の防災力の強化のためにしっかり役立ててまいりたいと思っております。

また、昨日はビワマス釣りをされていた方々が3名お亡くなりになるという事故が起こりました。亡くなった方にお悔やみを申し上げたいと思います。大変ビワマス釣りが人気だと聞いています。5年前の倍増の釣りの許可承認を受けられる方がいらっしゃるということで、例年11月1日に承認の受付をしますが1日で満杯になるという状況だそうです。ただ、この時期の琵琶湖上での釣りには危険も伴いますので、ライフジャケットを着られていても、冬の琵琶湖は水温も低く浸かるだけで体温が奪われ、命が奪われるという状況もあるようでございますので、ぜひこういったことに気をつけながら、お楽しみいただきたいと思います。

なお1月28日日曜日から昨日30日まで滋賀県および関西広域連合のプロモーション活動で大韓民国ソウルを訪問してまいりました。コロナが明けて、また日韓関係も改善されということもあり、旺盛な訪日需要などを取り込みたい、とりわけ大阪・関西万博もありますので、また来年は日韓国交正常化60周年という節目ということもあり、韓国から日本、そして日本から韓国、相互に往来を活発化させようということでプロモーションを行いました。(スライドを見ながら)韓国の旅行業協会。これ日本では「ジャタ(JATA)」と言うのですけども、韓国では「カタ(KATA)」というのだそうです。ここでのプロモーションですとか、これはソウル特別市という市の副市長との面会でございまして、韓国では広域自治体というのが「朝鮮道」はありますが、「道」は大きなもので、府県を越えた広域自治体というものがないので、関西広域連合として行ったことに非常に興味関心を持たれ、相互に学び合おうという取組もしてきたところでございます。聞いていますと、韓国から日本に来られる方は700万人を超え、日本から韓国には200万人ちょっとということでございますので、相互に行き来をし合う取組をやろうじゃないかと。日本人のパスポート取得率が17%、韓国のパスポート取得率が60%ということなので、こういった事々がまだまだこれから伸ばしていく可能性になるのではないかといった意見交換もなされたところでございます。いずれにしろ非常に馴染みもゆかりも深い滋賀県としても、関西としても韓国との関係というものをこれからも大事に紡いでまいりたいと思います。

それでは資料に基づきまして、今日は2点申し上げます。まず昨年行いましたお城めぐり×鉄道のコラボ企画ということで、去年やったことですから、先に報告をさせていただきます。去年の5月から12月にかけて、お城めぐりと鉄道のコラボということで2件の企画を行いました。第1弾は、県内の駅で健康推進アプリ「ビワテク」と連携して、近江ゆかりの武将カードをプレゼントする。5月から12月までで「ビワテク」の新規のダウンロードが5,400人を超え、また武将カードは5,200枚を配布をしたということです。また企画の第2弾の「ニッポン城めぐり」の中で、滋賀県限定のお城のスタンプラリー「元亀争乱450年」を実施いたしましたところ、7月から12月までの間で、参加者の数は延べ43,000人ちょっと。9割以上の方が県外からの御来訪でした。(県内)鉄道運賃収入、これは推計額でございますが約1,900万円いうことでございます。また来県時に、使われたであろう鉄道運賃が約9,000万円と推定いたしまして、県内経済波及効果の推計額は1.6億円と見込んでいるところでございます。一定の効果があったということでございますし、コロナ禍で落ち込んだ公共交通利用の回復にも寄与できたのではないかと思います。ぜひですね、来年度以降も何らかの企画ができるように、プロジェクトチームなどで検討していきたいと考えているところでございます。

もう1つは、来月「北の近江」ということで現場の訪問をいたします。内容は資料に記載のとおりでございます。多くを申し上げませんが、特別養護老人ホームの訪問、こちらでは地域医療福祉のあり方について意見交換をし、「ONE SLASH」という地域グループと地域資源活用について意見交換をするということと、先般もこの場で申し上げたかもしれませんが高校生サミットに参加し、高校生と議論をさせていただく予定でございます。私からは以上でございます。

[毎日新聞]

お城めぐりですけれども、1億6,000万円の経済効果ということですが、これにつぎこんだ額はいくらぐらいでしょうか。

 

【知事】

200万ぐらいです。

 

[毎日新聞]

第3弾の具体的な案はまだ出ていないというわけですか。

 

【知事】

第3弾というのはまだ出せていません。これから考えようと思っています。来年度になるでしょうね。担当に聞いたらまだこれからということですが、第3弾をやろうと言っています。

 

[毎日新聞]

韓国では、何か具体的に交流に繋がる、あるいは観光に繋がる約束などはできましたでしょうか。

 

【知事】

今回サインまではいきませんでしたが、先ほど申し上げた韓国と日本、そして関西日本と韓国との相互往来、これを万博もあるのでさらに活性化させようと、特に韓国国内と日本との飛行機の就航ということでいうと、関空が一番多いのだそうです。そういう意味で日本の玄関口としての可能性というものに期待をされておられますので、韓国の観光公社との間で、関西広域連合とになると思いますが協定を結んで、そして相互往来を活性化させる取組をやろうじゃないかと。例えば教育旅行やパスポートの取得率の向上など、何かそういったことをやれないかという意見交換をしました。これからに繋げていきたいと思います。

 

[毎日新聞]

知事は韓国には何年ぶりに行かれましたか。

 

【知事】

知事としてはトランジット以外できちんと訪問するのは初めてでした。

 

[毎日新聞]

日韓関係の改善を実感されたということで、前と比較されたのかなと思いますが。

 

【知事】

日韓関係の改善を実感というのは、現地でいろいろな方と意見交換をするときに、「NO JAPAN」とか「0(ゼロ) JAPAN」とかそういう運動がコロナの少し前の2019年、20年辺りはあったそうで、現地の方々が大変居づらく、そしていろいろと気を遣うということがあったそうですが、近年は全くそういうことはなく、むしろ韓国から日本、日本から韓国という往来もすごく活発になってきているという(現地で聞いた話の)ことをとって申し上げたことです。

 

[毎日新聞]

ソウルでの滋賀県の知名度といいますか、認知度はどうでしたか。

 

【知事】

滋賀県ということでいうと、そんなに知られているわけではありません。というよりほとんど知られていないと思いました。どこもそうなのですけれど、東京・大阪・京都という、いわゆるメジャーな都市は知名度がありますけれども、それ以外の都道府県はまだまだこれからという状況です。ただ観光のことでお聞きしたところ、もう何度も行っているし東京・大阪・京都はいいと。それ以外の地方に行きたいというような需要は旺盛だと聞きました。かつ、韓国ではゴルフの人気がすごく熱いのだそうで、実際空港でもゴルフバッグを手にされた旅行客が大勢いらっしゃいました、日本便には。滋賀県は40を超えるゴルフ場があって非常に良いラウンドコースもあるので、そういう意味での知名度はございましたので、そういったところも一つこれからの訴求力になりうるのかなと思いました。

 

[毎日新聞]

知事は韓国語を勉強されていると伺っていますが、通じましたか。

 

【知事】

片言の習いたての韓国語で話しましたけれども、一定会話はできました。ただ、聞いたことに対して受け答えというレベルにはまだまだ到達しておりませんので、これからだと思います。ただ、「シジャギパニダ」という「始めたら半分だ」という韓国で有名なことわざがあります。最初の一歩を踏み出したら、もう半分できたことようなものだという意味の私が好きな韓国語のことわざなのですけれど、そういったことをセミナーで申し上げたところ大変盛況でした。

 

[共同通信]

琵琶湖の水位について伺います。今朝6時時点ではマイナス63センチでしたけれども雪の影響もあるのかなと思っています。ただ一方で平年よりは低い状態かと思います。知事から呼びかけ等があればお願いします。

 

【知事】

今日でしたが、どこかの新聞の読者コラムかエッセイの欄に琵琶湖の水のことを御投稿されていた方がいらっしゃったと思いますが、滋賀県に住んでいますと、琵琶湖の存在、琵琶湖の水というのは当たり前のように思いますが、全国、また季節によっては、特に世界各国では淡水フレッシュウォーターの存在、持続可能な状態というのは極めて重要な資源です。その琵琶湖の水位がここ近年稀に見る形でなかなか増えない、低下したままという状況がございますので、改めて水の価値、水資源の大切さ、こういったことに思いを寄せながら、大切に使うという思想と実践を発信していきたいと思います。先般、神戸市長が琵琶湖の水のことについて、水位が低下しているので神戸市でも使っている市民が多いので大切に使おうと、また琵琶湖のことを思おうという趣旨のメッセージを発してくださって、私から久元市長にお礼を申し上げました。これはぜひ、下流と上流、滋賀県とこういった都市部と連携してやるべき課題だというお話もいただいておりますので、発信の輪が広がるようにしていきたいなと思います。

[共同通信]

今月12日に安土城の発掘成果の記者発表があり、そのあと一般の方向けの現地説明会も大盛況だったと伺っております。今回の発掘調査の結果に対して知事がどのように思っていらっしゃるか伺います。

 

【知事】

安土城につきましては、御案内のとおり安土の地に織田信長が天下布武を掲げて建てられた。しかしその後の政変、歴史の中で信長は討たれ、そして安土城は燃やされ、倒されといったことになった。ただ、どんなお城だったのか。どうなったのかということが謎であり、ロマンだったわけです。昭和の時代も平成の時代も調べてきましたけれども、まだまだわからないことが多いということもありましたので、私が知事になって以降、調査をし、またゆかりのある機関、これはバチカン含め様々な御協力の依頼をしているところであります。調査によってわからなかったことがわかるということはとても楽しみです。私も一度現地に行ってみたいと思います。「破城」(という手法)で城を壊したんじゃないかという事実が解明されつつあるということも興味深いことですし、あそこにはセミナリヨがあったり、この世界史的な位置づけの中で、世界との関わりの中でどういうお城だったのか、どういう時代だったのか、また安土というところが、近江というところがどういうところだったのかということにも少し目線を広げて、探求していくということもやりたいなと思っておりますので、そういったことを呼びかけていけたらいいなと思います。

 

[共同通信]

今もお話に出ましたバチカンの調査ですが、現況はどういった状況でしょうか。

 

【知事】

今ここで何かお知らせする新たな情報というのはありませんが、大杉副知事が昨年(バチカンを)訪問し、また奥村議長も昨秋に御訪問いただいて、継続的に良い関わりを持ちながら御協力をお願いするということができていますし、来年万博に向けて、ぜひいらした折には、安土の地におみえになりませんかといったアプローチもかけていますので、いろいろなやり取りの中で新たな情報に触れられたらいいなと思っています。

 

[共同通信]

万博にも来られて、その後も呼びかけようという構想があるということでしょうか。

 

【知事】

万博というのがお越しになるきっかけになると思いましたので、万博だけではなくて、その機にぜひ滋賀県に、安土にという呼びかけをしているところです。

 

[中日新聞]

お城めぐりについてですが、経済効果が約1億6,000万円という大きな額だったことと、全国からいらっしゃっているという反響の大きさについてどう受け止めてらっしゃるか教えてください。

 

【知事】

これはとてもいい企画をつくってくれたと思っています。お手元の資料を御覧いただけると市町等で運営されているビワテクアプリという、これは私もダウンロードして歩数のカウントとかをしていますが、これを見せないとカードがもらえませんので、これを新たに導入される方が5,000人を超えたということですので、そういう意味でいろいろな歩きや訪問といったことにも繋がったんじゃないか思います。また最初は車で行って改札口で見せたらカードがもらえるということでしたが、駅員さんもいろいろと協力してくださって、電車利用者にだけ配るようになったということもあって、公共交通利用の促進にも一定繋がったのではないのかいうこともございました。コロナでちょっと減ったね、ダイヤも減らされたねということもあったので、乗る人を増やして、ダイヤを戻すということに繋げていけたらいいなと思いました。もう一つのお城のアプリの「元亀争乱450年」も私もここでこのPRをしてからこのアプリを入れて、今全国の城めぐりをやっているのですが、城攻めをするためにこの場所に行こうというインセンティブにも繋がりますし、この元亀争乱はなかなか大変でした。近くにいくだけでは取れなくて、現地に行ってQRコードを読まないと取れないという箇所もあって、よく工夫されてつくられているなと思いました。ぜひ1回にとどまらず、滋賀県はこういったお城・戦国関係のいろいろな文化財がございますので、これからに繋げていけたらいいなと思います。

 

[中日新聞]

こういったお城と関連した観光のポテンシャルということをどのように捉えていらっしゃいますか。

 

【知事】

来年度もこれはぜひやろうと思っていますが、シガリズムの中でお城をはじめとする文化財を生かして、歩いてめぐるとか公共交通でめぐるとか、行っただけではなくて食べるとか、いろいろな関わり繋がりを増やすことができると思います。可能性があると思いますね。滋賀県にはお城、文化財もたくさんありますので、そういうものを組み合わせてめぐっていただけるような取組を推進していきたいと思います。

[中日新聞]

別件ですが、先日の市長会議で産業用地の開発事業について、県の担当の方から説明があったかと思います。こちらは県が主体となって市町と連携して産業用地を整備するというもので、2か所整備して1か所は北部地域ということを考えていらっしゃるということでした。その中で企業の方からは産業用地についてすごく引き合いがあるというお話もありました。そのような産業用地の開発に向けての思いや企業から求められていることについて教えてください。

 

【知事】

直近の5年間だけでも2,000億円もの投資等が県内で行われています。滋賀県での産業用地開発、もしくは新たな投資は旺盛だと思います。したがって、まだまだお断りしているような案件もあるようですし、いろいろとお考えになっていらっしゃるところもあるようですので、滋賀県の自然と共生するものづくり等の取組に御共感いただける方にはぜひお越しいただいて、新たな投資をしていただく取組をさらに力を入れてやっていこうじゃないかということで、産業立地戦略をつくり、その戦略を実現するための支援策等の検討を今しているところです。その一つとして、産業用地の開発について、もちろん用地をわざわざ開発せずともいろいろとある土地の活用ということはあると思いますが、県と市が協力しながら新たな工業団地等を開発するということについては当面県内で2か所、(うち)北部で1か所という形で市町と連携してやれないかということを考えているところです。ワンストップでスピード感を持って我々行政も御相談に応じていくということですし、法規制のいろいろな諸問題がどうしてもあります。水にしろ、環境にしろ、農地にしろ。市長会の中でも農地との関係や規制のことなどいろいろと御意見していただくようなこともあったと聞いています。どうすれば乗り越えていけるのか、企業の皆様方の御期待に応えていけるのかという視点も持ちながら、取組を強化していきたいと思っています。同時に皆さんよくわかっていらっしゃると思いますが、食料をつくることのできる滋賀県は農業県でもあるので、優良農地はしっかりと守り使いながらやるという視点も大事だと思っています。だからこそ両方を持っている県という広域行政が部局間が連携して取り組むということの意義があるのではないかと思っています。

 

[中日新聞]

市長会では県の規制が厳しいので外してほしいという声や県の審査が厳しいというお声もありました。そういった規制の緩和なども今後考えていかれるのでしょうか。

 

【知事】

規制は規制として大切にしたいと思います。もし何か緩められる規制等があれば、それは議論をして検討して緩めていき、また必要であれば国にも求めていきたいと思います。ただ、現行の法規制の中でもできることというのはたくさんありますので、ワンストップで受け付けて、例えば農業に関する規制であれば農政部ともきちんと議論しながら、どうすれば乗り越えていけるのかという調整を県としてさせていただき、市町とも協力しながら企業の皆さんにお返ししていく。企業の都合だけで何かできるということではないと思います。ただ、何とか土地の有効活用がしたい、固定資産税をまちづくりにいろいろ生かしたいという市町さんの御意向も従前よりも増して強いので、そういったことにどうお応えしていくのか、例えば道路もない、水もないところに工業団地ということにはなりませんし、工場や会社は来たけれども通勤はどうするのだという事ごとなども公共交通や道路交通などとの兼ね合いの中で議論していかなければなりませんので、総合的に考えていければと思っています。

 

[NHK]

先ほど冒頭にお話があった能登半島地震について、明日で1か月になります。1月を迎えたところで、現地の様子はまだまだ避難者がおられ、中学生の集団避難など様々なことが起きていますが、知事としてその状況をどう見ているのか、また今後の支援についてお答えいただけたらと思います。

 

【知事】

私は、被災地の状況について現地に行けているわけではありませんので、現地に行っている職員からの報告、そして報道から知る限りでありますが、まだまだ停電や断水が続く場所も多いということですし、御自宅には帰れない、不便で不自由な避難所で生活をされているということもあり、大勢の方がそういう状態だというふうにお聞きしておりますので、まだまだやっぱり1か月というのは厳しい状況だなというふうに思います。ただ同時に、ずいぶん復旧が進んでいるところもあり、復旧に向けた動きというのも確認されつつありますので、この流れをさらに広げて、そして続けていく。そのために我々もできる支援を最大限やっていこうということだと思います。今回の能登地震、震災の中でわかったこともたくさんありますので、そういったことを県内の防災行政強化のために役立てていくという、こういう視点も持ちながら臨んでいかなければいけないと思っています。

[NHK]

支援について県としてどのように拡充していくのか、職員の派遣を継続していくのか、募金の活用などもどのようにしていくのか、改めて伺います。

 

【知事】

最後におっしゃった募金・義援金については、ふるさと納税を含めて多くの御厚志をいただける状態になっていますので、これは被災地等にきちんとお届けするというふうにしたいと思います。今後も、当面2月末まで、県そして市町、広域自治体とも協力しながら被災地の支援を行っていきたいと思いますが、やはり被災された市や町も、どうして今後、自分たちの市や町でずっと自走していくのかということもお考えになるでしょうから、そういった出口に向けた、今後どう自走していかれるのかということも視野に入れながら、この支援を行っていくという視点も、石川県とともに持っていきたいなというふうに思っています。ただ当面はまだまだ厳しい状況ですので、被災地の支援をしっかり重点的にやっていきたいと思います。

 

[NHK]

今の言葉の中でもありましたけれども、被災地の現状などを把握したうえで県としてどのように防災の取組を進めていくのか、そのあたりについてお考えはありますでしょうか。

 

【知事】

改めて今回の能登地震、震災を受けて、我々も地域防災計画、防災プランの見直しの作業を始めているところです。当然国からも様々な検討状況の共有があろうかと思いますが、県としても受援のあり方がどうなのか、特に福祉を必要とされる方の避難をどうするのか、トイレをはじめとする水の問題ですね、こういったことについては多くの課題が顕在化しておりますので、いろいろな視点でこの防災計画をより良い状態に見直すと同時に、きちんと持っている計画が進むように、動くように訓練等を積み重ねていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

3点ほどあります。1つは琵琶湖の水位について、今の渇水対策本部を解散する基準はあるのでしょうか。

 

【知事】

聞いていますと、なかなか解散というのは簡単にはできないようですね。だいたいマイナスの30センチぐらいまで、通常のレベルぐらいまでは確認したいと思います。担当も言っています。

 

[日本経済新聞]

渇水対策本部をなくす場合は組織をなくすのか、その前身の連絡調整会議の方にまた戻すのか、どういう手続きになるのですか。

 

【知事】

改めて確認しますけれども、マイナス60センチになってきたから連絡調整会議に変えますということは多分ないと思います。一度下がりましたので、当面この本部を存置していろいろな共有をして、一定回復してきたときにこれも全て解散というふうになると思います。

 

[日本経済新聞]

まだ解散に向けて何か話をしているという感じではないですね。

 

【知事】

ないです。

 

[日本経済新聞]

注視しているという感じですね。

 

【知事】

 まだ見ています。戻りはいつもより遅いので。

 

[日本経済新聞]

もう一つは、昨日、総務省が住民基本台帳人口移動報告を発表して、大阪圏は全体で転入超過、関西圏では大阪の他に滋賀県だけが転入超過で、これは6年連続だったのですが、かなり超過数が減って去年は12人だけです。その前は1,555人でちょっと超過幅が低くなってきた。これについて受け止めを教えていただけますか。

 

【知事】

やはりコロナも明けて大都市、とりわけ東京圏への回帰、東京圏への吸い込みというか流れ込み、この吸引力の強さというものを改めて感じているところです。とはいえコロナでわかったこともありますし、コロナ以降できるようになったこともありますので、何も全て東京にいなくても、例えば日経新聞の支局長のように中心で頑張っていらっしゃった方で、地方、滋賀県でやってみたいという人も大勢いらっしゃいますので、こういったことにいかに結びつけていけるのかというのがこれからのポイントではないかと思います。

[日本経済新聞]

それを実現するために何か具体的な、この辺りを充実させるというものはありますか。

 

【知事】

特効薬、妙薬というのがあるわけではないと思います。みんな悩みながらやっていると思うのですけれど、例えば先ほども話題になった産業誘致とか子ども・子育て支援とか、こういうものはベーシックなものとしてしっかり積み重ねていきたいと思います。韓国に行ったときにもいろいろと話していたのですが、韓国ではもう出生率が直近で0.7を切ってきているようなのです。やはりジェンダーに対する物の見方とか、若い人の生き苦しさ、生きづらさというか、何かそういうものを解放していかないと、なかなか地方においてこんな支援をするから、こんな誘致をしていますからというだけでは動かない、何か岩盤のようなものがあるのではないかと思いますね。少しその辺りを柔軟に、もしくは開かれた視点でやっていくことも必要なのではないかと思います。

 

[日本経済新聞]

最後もう一つ、この間大津市長選があって、佐藤さんが再選されてその後、佐藤さんとお話されましたか。

 

【知事】

御挨拶に来ていただきましたので、先週お話しました。

 

[日本経済新聞]

そのときは挨拶だけでしたか。何か一緒にやっていこうとかいうことはありませんでしたか。佐藤さんの話を聞いていると、選挙中に途中から公共交通のことを言い出すようになって。あまり言わない人だったのが、多分対立候補が公共交通のことを言っているからだと思うのですが、「公共交通の維持」と結構言うようになってきて。だからといって交通税に賛成かというと、その辺はよくわからないのですけれども。そういった話は特にしていないですか。

 

【知事】

御挨拶に来られたときに公共交通のお話はしませんでした。ただ(大河ドラマ)「光る君へ」もそうですし、疏水通船が抜けて大津港に来るので、大津港の活性化のことやいろいろなセレモニーのお話はいたしました。私からは、選挙というのは選挙で選ばれる人を強くもするし優しくもしますよね、ということを申し上げました。どういうことかというと、選挙を通じてお伺いできるお声のようなものがあると思います。詳細はわかりませんけれども、おそらく佐藤市長も選挙期間中にそういった交通のことなどをお聞きになることも多かったのではないかと推察いたします。

 

[日本経済新聞]

御挨拶はいつでしたか。

 

【知事】

1月の26日です。

 

[日本経済新聞]

何分ぐらい話ましたか。

 

【知事】

15分ぐらいですね。

 

[京都新聞]

風力発電施設計画に関して、先日岩手県で、国の天然記念物で絶滅危惧種のイヌワシの生息域を保全するために、風力発電施設の立地回避を求めるレッドゾーンを設定するという方針が示されました。滋賀県内でも高島市や長浜市にかけての山中で風力発電施設が計画されていまして、いずれもイヌワシの生息に影響があるのではないかと地元の環境保護団体などが心配していますけれども、県の方でもこうしたイヌワシの生息域で風力発電の規制をするといったようなお考えはありませんでしょうか。

 

【知事】

現時点、今お尋ねいただいた岩手県が検討されているようなやり方を滋賀県で考えているということはありません。一つの考え方、一つのやり方だと思います。ただ貴重な生き物が棲むエリア、そこに対する開発というものに対しては、環境アセス等で十分検討すると同時に、手続の各過程において意見を申し上げることもできますので、そのプロセスを大切に使っていくということが一つと、もう一つはこういう希少種がこの辺にいますということは、希少種の生息に対して危うくするような要素もあると聞いています。この辺に棲んでいますというと、そういったところにまた人も入られることもあって、そういう意味でゾーンを定めることの功罪の面もあるのかもしれません。したがって慎重に検討する視点も必要なのかと思います。

 

[京都新聞]

もう既に県の方では「イヌワシ・クマタカ保護指針」ということで、生息域、環境保全ゾーンというのをある程度広めに定められています。ゾーンは規制しますよというのをあらかじめ設定しておけば、開発業者さん、事業者さんにとっても計画の変更を考える必要がなくなるという点で、両方にとってWin-Winになる可能性もあるのではないかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

 

【知事】

今お尋ねいただいたようなことも含め、そして岩手県での検討事例のことも含め、我々も参考にはしたいと思います。今お尋ねいただいたような面もあると思います。あらかじめ言っといてくれればそこには行かないのに、やらないのにということもあるのかもしれません。ただそういったことが他にどのような影響を与え得るのかということも考える必要があるのかもしれません。

 

[京都新聞]

2点目は万博に関して。能登半島地震が起こって、万博はいろいろな点で準備が遅れ気味ということもあって、万博の準備を進めることが地震の被災地の復旧に影響するのではないかという心配の声が上がっているかと思います。先日の市長会議でも、このまま予定どおり進めていいのかというような、ある市長さんからの御発言があったというふうに聞いています。万博協会の副会長でもある三日月知事は、この点はどのように思われますか。

 

【知事】

先週、関西広域連合の経済界との対話の中で万博に向けた議論をいたしました。まず能登地震、震災に対する復興。これは今もやっていますし、現にこの復興はみんなで力を合わせて取り組んでいくということが必要だと思います。と同時に、万博もこういった災害からどのように命を守るのか、老いや病、加齢、そういったものからどのように命を輝かせていくのか、せっかく授かった命をどのように豊かなものにしていくのかという視点で、その時々の最高、最新の知見を紹介し合うという意味で、私は大いに意味のあることだと思いますので、震災復興に支障のない形でしっかりと行っていくということだと思います。むしろ関西の中では来年がちょうど阪神・淡路大震災から30年という節目にもなるので、こういった震災から立ち上がってきた姿、もしくは震災に負けない命というような表現の仕方もあるのではないかというこういう視点も出されていますので、そういったことを表現していけたらいいなというふうに思っています。

 

[京都新聞]

つまり万博を予定どおり進めていくことが、被災地の復旧の妨げにはならないというふうにお考えなのでしょうか。

 

【知事】

妨げにならないというよりも、妨げになるようなことはしていないと思いますし、もちろん限られた資源、限られた時間というものをどのように使うのかというのがあるかと思いますが、能登半島の復旧に対しては最大限それぞれの方々が入って、もしくは物も入れて、今復旧に向けて取り組まれていますし、今万博の準備をしているから、工事をしているから、被災地の復旧が妨げられているということを私は聞いていることはないのですけれども。だからそれは両方を並行させて進めていくことではないかと思います。ただ震災復興は長くかかる面もありますので。万博は来年やりますけれども、そういう違いもあるのかもしれません。

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