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知事定例記者会見(2023年9月5日)

令和5年9月5日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。

まず、びわ湖ホール。ちょうど25年前の9月5日に国内でも有数の大規模舞台転換を可能とする四面舞台を持っている「滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール」として開館をいたしました。公共ホール初の専属声楽アンサンブルを擁しております。歴代芸術監督のもと、オペラの自主制作にも取り組まれ、力を入れられ、県民の皆様をはじめ、多くの方々に国際的水準の舞台芸術をお届けしていただいているところです。

この4月には、3代目の芸術監督として阪哲朗さんをお迎えいたしました。今月17日、日曜日には祝祭を意味いたします「ガラ」・コンサートを開催いたします。阪芸術監督の指揮のもと、オペラの名曲とともにびわ湖ホール25周年をお祝いしようというものでございます。チケットは好評販売中とのことでございます。ぜひ、御鑑賞いただければと存じます。

今月2月に発生いたしました琵琶湖博物館水槽破損事故を受けて、琵琶湖博物館が設置されました第三者委員会から、9月1日に博物館長に報告書が提出されました。既に報道機関の皆様には公開をさせていただいているところです。原因の推定につきましては、アクリル製水槽の特徴に関する知識について、設計、建設、展示の各段階で関係者間の共通理解が不足していたと考えられ、必ずしも単一の原因ではなく、各項目が複合的に働いている可能性があると指摘されたと聞いております。

報告書の内容を受けて、現在使用しております水槽の点検を着実に行いますとともに、水族展示の完全再開を望む皆様のお声に応えるべく、破損した水槽の再整備を行いたいと考えております。新しい水槽の整備は、設計から施工、展示工事まで一貫して安全を実現するための体制を確立いたしまして、来年度末、令和6年度末までに実施させていただければと考えております。

もう一つ、伊吹山について。今年7月の大雨で伊吹山では、表登山道がある南側斜面において大規模な土砂流出が発生いたしました。そのことを受けまして、滋賀県と米原市では、南側斜面における中長期的な復旧対策等を検討することを目的に合同プロジェクトチームを8月31日に設置いたしました。その第1回会議を9月13日に開催することとなりました。

「伊吹山を守る自然再生協議会」、こちらには地元の方々、専門家の方々にも御参画いただいておりますので、そういった協議会の御意見等もお伺いいたしまして、このプロジェクトチームでは主に行政として、どういったことをしなければならないのかを中心に議論をさせていただくことといたします。北の近江振興の大切なテーマとしてもプロジェクトを進めていきたいと考えております。また生物多様性保全の観点からもこの伊吹山は大変重要ですし、その生物多様性の損傷には心を痛めているところでございますので、そういった観点からも象徴的な取組として進めていければと考えているところでございます。

またもう一つ長浜3病院の再編、長浜市長の方針表明を受けまして申し上げます。昨日、9月4日、長浜市議会で湖北圏域の病院再編に関し、長浜市長が市立2病院の経営形態をいわゆる指定管理とする方針を表明されたことについて、県内の医療を支えるべき県の立場から申し上げたいと存じます。住民のためにこの圏域の医療を守るための重要な視点が三つあります。一つ目は住民目線で医療を確保しようということ。これは病院の機能分化や診療機能の集約により、高度医療から慢性期まで切れ目なく持続可能な状態で医療が受けられるということ。二つ目は日本赤十字社との協力関係の維持でございます。日本赤十字社は救命救急センターなど、これまで蓄積された質の高い政策医療を提供してこられています。引き続き協力をお願いしたいと考えております。三つ目は資源、リソースの最大活用による住民負担の軽減であります。民間も含め、あらゆる施設を最大限活用し、また住民負担のできるだけ少ない医療資源の最適配置、確保を図っていきたいと考えているところです。

昨日出された市長の方針は、この三つの視点に立って、湖北の医療を守ろう、より良くしようとするものと受け止め、県内医療を支えるべき県といたしましても、その判断を尊重したいと考えております。今後はこの方針発表をもとに、関係者間の議論が円滑に進むよう、県としても応援を行っていきたいと考えております。

それでは、資料に基づいて今日は2点、短く申し上げます。まず1点目、今週9月9日土曜日、滋賀県の姉妹友好州であるアメリカミシガン州のグレッチェン・ホイットマ-知事が滋賀県を訪問されることとなりました。前回、私が米国ミシガン州にまいりまして、ホイットマー州知事と面会をさせていただいたときに、「ぜひ滋賀県訪問を」ということを提案させていただき、ちょうど来週、東京で日本・米国中西部会というものが開催されるため、その来日に合わせて滋賀県にも来ていただけることになりました。

今回来県されますのは、州知事はじめミシガン州政府関係者、企業、経済団体関係者と聞いております。在デトロイト日本国総領事も州知事に同行、来県され、総勢20名を超える代表団だと伺っております。予定しております訪問、御案内箇所は、彦根城の玄宮園、ミシガン州立大学連合日本センター・JCMU、そして石山寺などでございます。行程の最後に、琵琶湖ホテルにてホイットマー知事と私との会談、そして記者会見を行う予定でございます。初めての御来県と聞いておりますので、心を尽くしておもてなししたいと思いますし、滋賀県や琵琶湖の素晴らしさを体感・体験していただければと考えております。今年度ちょうどミシガン州とは友好交流55周年の節目でもございますので、今後に向けて実り多き御来県、そして会談になるように努めてまいります。

あと一つは、こちらも資料をお配りしておりますが、北の近江振興に向けた知事の「北の近江」現場訪問ということで、今回第3回目を高島市で行います。この北の近江振興プロジェクトは、「住み続けたくなる、還りたくなる北部」をつくろう、「挑戦する若者が集う北部」になるといいね、また「訪れたくなる北部」だったらなおいいね、ということで進めているところでございます。今回は高島市。「住み続けたくなる、還りたくなる北部」に向けた手がかりを探りたいと考えております。

まずは、「近江鴨(おうみがも)」と銘打って、高島でヒナから育てられた合鴨を販売されています株式会社グッドワン様を訪ねます。食のブランド戦略、地域の強みについて語れればと。また、コミュニティスペース「waccas(わっか)」というところを訪れ、施設の運営者であり、御自身も移住者と聞いております田中加奈子さんと意見交換をしたいと思います。そして最後に、マキノ町在原(ありはら)で実施されています「しがのふるさと応援隊事業」で活動されている学生さん、また地元の方々との意見交換を行いまして、この地で紡がれてきた生活文化の中にある大切なことなどを探り、見出すことができればと考えているところであります。現場で当事者と、とりわけ若い方々と意見交換をし、北の近江、また北部振興の知恵やヒントを探ることができればと考えているところであります。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[京都新聞]

長浜市の病院再編について2点お尋ねします。今回の再編に当たっては、独立行政法人化も含めていろいろな案が検討されたと聞いています。昨日の長浜市長の発表では3病院の経営一体化に当たって指定管理者制度を導入するという方針が示されましたが、これについて知事としてはどのように評価されますでしょうか。

 

【知事】

まず、市長からは市民の皆さんの立場に立って、安心して健康で暮らし続けられる未来をつくろうということで、多くの医師が集まるマグネット病院群を作ろう、ということを表明されたと承知をしております。そのために3病院の経営一体化ということですね。市立市民病院、これは湖北病院を含めて市で運営されている病院と、長浜日赤とがあるということでございまして、種々、メリット・デメリット、課題等を検討された上で、指定管理というものを志向されているのではないかと承知をしております。先ほども申し上げたとおり、住民目線に立った医療を確保していく、また日本赤十字社と協力関係を維持していく、さらには持っている資源を最大限活用し、住民の負担を最小限にしていくという観点からは、私は一つの方向性、一つの有効な方向性ではないかと考えたところであります。

 

[京都新聞]

もう1点は診療科の再編についてですけれども、医師の働き方改革に備えて重複している診療科を早急に再編しないといけないということにあたって、市の方は県のリーダーシップに期待されているようなのですが、それについては県としてどのように関わって対応されていくのか、お答えください。

 

【知事】

このエリア内、圏域内で複数、重複して存在する診療科等につきましては、高度急性期、急性期から回復期、慢性期まで、それぞれ機能分化しながら重複せずに持ち、運営していくということが重要だと思います。これはかねてから指摘されていた課題ですね。ただ、それぞれ経営主体の違いが課題になっておりましたので、そこに向けて大きな一歩が示されようとしておりますし、当然のことながら、根幹となる課題、その診療科の重複是正ということについては、医師の働き方、持続可能な働き方を追求するということからも、大変重要な点だと思いますので、県もしっかり間に入って、また大学とも調整しながら、湖北圏域の地域医療構想調整会議、この事務局を長浜保健所が持っておりますので、この枠組みの中で役割を果たしていきたいと思います。

 

[日経新聞]

ミシガン州知事の来県について、今回、友好姉妹提携55周年ということですけれども、知事との会談で何か新しい協定を結ぶとか、例えばミシガンの企業の滋賀県への誘致がらみの話をするなどの予定はありますか。

 

【知事】

この機にどういう協定を結ぶのかということについては、今、最終調整中です。非常にエネルギッシュで、私自身も会って話して刺激を受ける同年の地方自治体リーダーであられますので、できる限りの合意事項を探りたいと思います。当然これまでやってきた草の根の交流、民間交流がベースになると思いますが、そこにどういうものを積み重ねていけるのかということが可能性だと思います。

 

[日経新聞]

 何らかのMOUみたいなことを交わす可能性もあるということでしょうか。

 

【知事】

この時点でまとまったことを、そのときのリーダー同士がサインをしておくということは重要なことだと思っていますので、そこは追求したいと思います。

 

[日経新聞]

自身の経験ですと、この手のデレゲーション(派遣団)が来ると記者はだいたい1台のバスでついて回ることが多いです。今回、取材したい記者は応募してくださいという案内をもらいましたが、これは日程を公表されて、例えばひこにゃんとの対面に関心がある人はその現場にきてくださいということになるのでしょうか。

 

【知事】

基本そうなると思います。おそらく取材をしていただける場所、機会というのを設定させていただいて、御興味関心のあるところに行っていただくということになると思います。

 

[日経新聞]

 デレゲーション(派遣団)の中にミシガン州内の企業、それから経済団体関係者が入ってますが、具体的にどんな企業なのか、後でけっこうですのでわかっている範囲で教えていただければありがたいです。

 

【知事】

わかりました。またその時点でわかってることを最大限お知らせしたいと思います。通常、開発公社の皆さんと一緒に来られることが多いです。そこにいろいろな企業、もしくは企業出身の方が混じっていらっしゃると。特に年2回ある日本・米国中西部会に参加されるために来られて、ここも企業の皆さんの対話が結構行われますので、そのラウンドテーブルを目指してこられるということになるのではないかと思います。

 

[日経新聞]

ホイットマー知事は、デトロイトを抱えているところなので、滋賀県だけではなく、この前後に名古屋には行くと聞いているのですけれども、前後の予定がどうなっているのか、わかる範囲で教えていただければありがたいです。これも後でけっこうです。

 

【知事】

また事務的に調整し、わかる範囲で、お伝えできる範囲で紹介したいと思います。

 

[読売新聞]

長浜の病院問題について追加で伺いたいのですけれども、診療科の再編のところで3年から5年で指定管理への移行ということを昨日、長浜市長が示されたかと思います。この期間について、診療科の再編を進めていこうとしている県として、この期間は遅いとか、そのあたりの受け止めはありますか。

 

【知事】

どういうことを考えられ、そういう期間を設定されているのかということは、よく伺いたいと思います。大きな取組ですので一定時間が必要だということは理解をいたします。ただ同時に、それぞれ診療科が分かれたまま、経営がそれぞれ別のままということだとなかなか医師の確保が困難になってくる状況というのは年々高まっていきますので、そんなに時間をかけられないテーマでもあります。そのあたりを長浜市さん、また関係者の皆さんと共有をして、方向性を見出していきたいというふうに思います。

[読売新聞]

診療科の再編について、湖北圏域の地域医療構想調整会議でも進めていくということですが、実際来年から医師の働き方改革が始まるということで、長浜市が県のリーダーシップをかなり期待していると先ほどの質問にもありましたけれども、調整、具体的にこういうところをしっかりやっていくというところを改めて聞かせていただければと思います。

 

【知事】

これまでもやってきましたし、特に医師を養成し、派遣していただく大学病院との調整、ここには県の力がかなりいると思います。全県お願いもしていますし、いろいろと取り組んでいただいてますので、京都大学や滋賀医大を中心に、それぞれ医師を派遣していただく医療機関、大学病院等々がどういう目途を持っていただけるのか。やはり(医師を)出していこうと思っても、例えば、行った先で担当される方には夜も昼も朝ももちろん頑張っていただくのですけれども、少ない人数で回していかなければならないという、この状況は早急に改善してほしい、改善しなければならないと聞いてますし、私たちも思っています。

2024年度当初からそのことが叶わないとしても、何年たったらどこまで行くのだという目途というものが持てるか持てないかということは、とても大きいと思いますので、ここを見出していくということが重要ではないかと思います。長浜市さんもそういうことを念頭に置かれてこの間検討されてきたと承知をしておりますので、そういったことをきちんと大学側に伝えながら、さらにまた意向を伺っていくという作業も必要かもしれません。

 

[読売新聞]

そのような具体的なスケジュール感をいつ頃までに示したいという考えはありますか。

 

【知事】

昨日方針が示されて、経営一体化に基本的な考え方を明確にして、日本赤十字社にも提案して、具体的な協議を始めていくということですので、まずはその一歩を踏み出した上で、時期の目途を探っていきたいというふうに思います。

 

[滋賀報知新聞]

少し前に公表された、今年度第1回しがWebアンケートプラス調査の調査結果について伺います。こちらは8月23日に資料の公表があったのですけれども、人口減少の要因分析等に向けて、県外在住者の滋賀県に対するイメージ、意識、認知度などについてアンケートをとられたと。アンケートは大都会、都心部の首都圏、埼玉、千葉、東京、神奈川と京阪神、京都、大阪、兵庫、奈良の1000人を対象にWebで取られたということなのですが、拝見していると「将来的に滋賀県で暮らす予定はありますか」という問に対して、77%が暮らすつもりはないと。ただ一方で、暮らすつもりがあるとか暮らすつもりはないけれど滋賀県に何らかの形で関わりたいといった、いわゆる関係人口になりそうな回答が1割、その他、滋賀県は子育てをする上で住みよいかとか、就職をする上で住みよいか、滋賀県にとっての強みやメリット、またウィークポイント・デメリットでは、全部「わからない」が過半数以上を占めているというアンケート結果が出されました。まずこのアンケート結果に対して、知事の率直な受け止めがあれば教えてください。

 

【知事】

(そのアンケートが)どういう趣旨で、いつ行われたかというのは、今、詳らかな情報を持っていないのですけれども、やはり対象と聞くテーマによっていろいろ結果というのは変わってくるのだと思います。もう少し見た上で、例えば地方創生や北の近江振興に役立つような情報があるのかないのか、担当者とともに探りたいと思います。

 

[滋賀報知新聞]

各項目で「滋賀県についてどう思いますか」という質問で、「わからない」という回答が一番多かったというのは、単純に滋賀県の魅力についてまだまだ御存じない方が多いのかなというふうに私は思ったのですけれども、滋賀の魅力発信、最終的には滋賀で暮らしてもいいなというような印象を持ってもらえるような情報発信、広報のあり方について、今後何かお考え等がありましたら教えてください。

 

【知事】

今回、県外の方を対象にされているということですので、そういった方々に滋賀というものが、例えば関係人口の引っ掛かりとして、移住場所選択の引っかかりとして、どのようにあるのかないのかということですし、そのベースとなる土台として「滋賀のことを知っている?」「どんなところがいいところ?」ということをどうやって皆さんに知らせていくかということですよね。あまり砂漠に水をまくようなことはできませんし、効果的な情報発信を滋賀県らしくやっていくということだと思います。それに尽きるのではないでしょうか。

 

[びわ湖放送]

琵琶湖博物館の水槽の今後の対応について、先ほど知事は令和6年度末までに実施とおっしゃっていたのですが、これは新しい水槽を作ることに令和6年度末までに着手するということでしょうか、それとも完成させるということでしょうか。

 

【知事】

令和6年度までに管理・情報共有体制を確立するとともに、新しい水槽を完成させて、お客様をお迎えするのが令和6年度末ということでございます。

 

[びわ湖放送]

改めて、新しい対応で進めていくこの琵琶湖博物館について、将来に向けて、この博物館がこういうふうになったらいいなという知事の思いを一言お願いできますでしょうか。

 

【知事】

まず、琵琶湖博物館は、湖と人間の関わりについて、また生き物の生態について近くで、ときには触りながら、そして詳しく学ぶことができる、体感することができるという大切な施設です。したがって、主力展示である水族の展示というものも大変重要な展示だと思っています。ただ今回、今までになかった水槽が破損するという、このことはよく言うのですけれども、もしお客様を迎えているときに起こったならばどういう事故になっていたのかと、考えるだけでも怖くなるのですが、そういったことの原因の究明、そして必要な対策を検討した上で、できるだけ早期に、より安全な状態で展示を再開させようということで行ってきましたので、一定原因がこうではないか、こういう対策が必要ではないか、こうやれば令和6年度末で完成させてお客様をお迎えすることができるのではないかということが示せたということは、また一歩、新たな琵琶湖博物館をつくる上で、重要なステップになるのではないかと思います。ただ着実に、この工程を皆様に御安心していただける状態で進めていくことが求められると思いますので、そのために頑張っていきたいと思います。

[NHK]

伊吹山に関して、知事も実際ちょうど土砂崩れがあった後に登られていますけれども、そのことを踏まえて、県としてはこの会議にどのように関わっていけるのか教えていただければと思います。

 

【知事】

米原市さんと一緒にこの合同プロジェクトチームに主体的に関わって、当然専門家の方々、よくよく伊吹山のことを御存じの再生協議会の皆様とのコンタクト、コミュニケーションを密にとりながら、すぐにやらなければならない応急の対策と中長期で取り組まなければならない対策とをある意味では分けて、整理して、すぐに取りかかれることはすぐにやるという、こういう観点で臨んでいきたいと思います。

 

[NHK]

今、米原市さんとしても登山道の復旧をいつぐらいをめどにやろうかと広報されていたと思うのですが、県として、例えばシカに対する対策など登山道だけではないところで、県としてどのようなことを今後やっていこうと考えてらっしゃいますでしょうか。

 

【知事】

まず早急にやらなければならないことの一つに登山道の安全対策があります。これは現地を確認して工法など検討した上で、雪が降るまでにできる限りのことをやろうと現場で対応してくれていると承知をしております。その他、米原市さんからは先般御要望いただいた際も、土砂災害対策の堰堤の設置ですとか、植生が今よりも悪くならないようにするための対策、こういったものを求められましたし、特にシカの食害対策でいうと捕殺して下山、搬出する際の資機材等についても喫緊の課題だというようなことを伺ったと承知をしておりますので、そういったことをどれだけこの応急の対策に入れていけるかということの検討というものも必要になるかもしれません。

 

[読売新聞]

琵琶湖博物館の第三者委員会の報告書について、知事から先ほど「もし人がいれば大事になっていたと考えるだけで怖くなる」という発言もありました。今回、水槽破損の原因について、報告書を読んでいて水槽の設計ミスではなかったと断定はしているのですけれども、その一方で、水槽にそもそも飾りの岩が取り付けられるということが想定されていなかった、その点で情報共有不足があったということなどが指摘されているのですが、全体として見たときに、これは建築の全体を管理していたのはおそらく県であったり、県が委託した施工業者だと思いますが、情報の管理ができていなかった状態で建設計画を進めたというのは、これは一種の設計ミスというふうに言ってもおかしくないようなものだと思いました。そのあたりについて、知事としてこの原因究明をどのように受け止めていますか。

 

【知事】
まず1990年代に開館した琵琶湖博物館。その重要な展示である水族展示のアクリル水槽。正直に申し上げて、その特質なり、どういうことをすればどういう影響が出るのかという知見が当時十分ではなかった面もあるのではないかと理解をしております。聞いていますと、アクリルというのは水圧と吸水で変形して膨張すると、それで保っているという特性があるにもかかわらず、水槽の背中の部分に大きな擬岩をずっと貼り付けてしまっていて、そこを固定させてしまっているということとか、前面下方に金具をつけてそこでもまた固定をしてしまって、そのあたりの膨張、水圧をある意味では逃がし、保つという、そういうところが十分ではなかった。よって、水槽に必要以上の歪みを生じさせてしまっていたのではないかということだと思います。必要以上に拘束させることによって歪んだ状態をつくり、力を不足させてしまう。加えて溶剤の影響で発生したクラックが破損の原因にもなったということですね。また水槽の設置から30年近く経過してて、アクリルの経年劣化というものもあったのではないか。したがいまして、こういった特性のあるアクリル水槽を作る、もしくはその形状をどうするのか、それらを設計する人、作る人、管理する人の間で情報を共有して、こういう特性があるから、こういう作り方をしよう、止めようという、またこういう管理をしよう、こういったところを見ながら点検しようということが、今回のこの水槽破損事故を教訓に確立されなければならないことだと思います。この時点でわかった最大限のことを生かしながら、今後の対策を取り、同時に設計を行って、次の新たな水槽を作っていくということに着手していきたいと考えております。

 

[読売新聞]

その点に関して、1990年代当時に、実際に県の方がその水槽にアクリルパネルを設置するのに擬岩を取り付けるということ、それが業者間にどのように情報共有されていたのかという経緯、その辺りについて調査したけれどわからなかったということで、第三者委員会の報告書ではその前後関係などは不明だったと。取り付け業者の方に情報が行っていなかったのかどうか、そもそもの段階として設計時にアクリルパネルに擬岩を取り付けることが業者に伝わってなかったのか、そのあたりの経緯が、一切調査したけれどわからなかったということが第三者委員会の報告書には載っています。第三者委員会では、ここは原因追及の場ではなく再発防止を考える場であり、犯人捜しをする場ではないという話が出ていていましたが、実際、当時の県の責任については、知事としてはどのように考えているのかと思います。もし仮にけが人が出ていたとしたら、刑事事件になってもおかしくないような話なので、第三者委員会の調査が不十分とは言わないですが甘いような印象を受けたので、知事の受け止めを聞かせてください。

 

【知事】
そういった印象を持たれて、これこのままでいいのかということについては受け止めたいと思います。確かに、冒頭申し上げたように、これがもしお客様を迎えているときの事故であれば、もっと人的にも被害が出て、そしてその責任、原因究明というのは今よりもさらに厳しいものになっていたということは、これは容易に想像がつきます。ただ、現在この時点で、その責任なり、当時の経過を追求、探求するということにどれだけ時間をかけるのかということと、最大限メーカーなり、そして科学的知見を持つ方々の見解を集めて、原因を推定して、この時点で必要な対策をとり、再開に向けて動いていくのかということとの比較考慮の中で私たちは今、この一歩を踏み出そうとしておりますので、今後、作ったものの事故が起こらない対策を徹底していくということが肝要ではないかと思います。

[読売新聞]

昨日、抜き打ちの防災訓練があり、私が直接取材したわけではないのですけれども、現場で取材した記者の話ですと、文化財に関する情報集約、例えば彦根城などの重要な文化財に関する情報集約があまりなかったのではないかという意見を聞いたのですが、そのあたりをどういうふうに受け止められているのか総括を聞かせていただきたいです。

 

【知事】

昨日(朝の)8時半に抜き打ちの緊急防災訓練、主に参集訓練が行われました。それに先立つこと4日前に、土木交通部で勤務時間内の大規模地震の初動訓練も行われています。この2件について、今朝、県政経営会議でこの時点での情報共有を行いまして、その中では両件とも、まずは安否確認から始めなくてはいけないのですけれども、その後、その情報の収集と共有のあり方にいろいろと反省点があったのではないかということが述べられています。最終また整理して共有しようということになっているのですけれども、例えば、緊急輸送道路の通行止めの伝達タイミングというものがこれで良かったのかということか、本部員会議の資料作りに汲々としすぎていて、その時点でわかった被害状況を基に何をしなければならないのかということを議論する時間にすべきじゃないかというようなことなど、今の時点でわかってる反省点だけでもいくつかあったように聞いております。果たしてその時点、発生直後に、文化財の壁が落ちているということと、どこで何が起こっていて、火災は、命は、緊急輸送道路は、ということの兼ね合いからすると、時間の経過とともに出てくる情報の中に(文化財の被害情報が入ってくること)、文化財というのは大変重要だと思いますし、そういうことなどを整理した上で、何を優先すべきなのかということも、もう一回我々は整理をしないといけないということは課題になっております。検証したいと思います。

 

[読売新聞]

今現在、そういう意味で、災害時の文化財保護課の動きとして、文化財の被害情報をすぐに集約するというフローチャートとかマニュアルみたいなものが既にあるのでしょうか。

 

【知事】

当然基本的なフローはあると思います。ただ、今回重視したのは、まず私たち自身が生き残れと。生き残った者を集めて、県民の皆さんにとって必要な情報の集約と判断をしていくということがどれだけできるのかできないのかということを訓練したということですので、改めてこれ土木、そして防災以外の部局も、それぞれ行ったときにどういう課題があるのかということを洗い出そうと言っていますので、その中でまた振り返ってみたいと思います。

 

[中日新聞]

先週末にも水上バイクで死亡事故があったと思います。その点に関して、罰則だったり、今のお考えをお伺いできればと思います。

 

【知事】

琵琶湖、水辺、そして水上バイク等で楽しまれることというのは、琵琶湖のマリンレジャーの一つの特徴でもありますので、そういったところは大事にしたいと思います。ただ一方で、水そして水上、水中というのは危険を伴うものでもありますので、そういったことに対する注意喚起、ある意味での啓発、呼びかけというものを、これは不断に行っていかなければならないというふうに思っています。水上バイクに関しては、琵琶湖等水上安全条例ですとか、滋賀県迷惑行為等防止条例というものがあって、基づく様々な規制や、呼びかけ取組等が行われておりますが、こういったものと照らし合わせて、どういう課題があるのかということについては、起こった事例を参考に、今後不断に検証していかなければならないというふうには思います。

 

[中日新聞]

事故の当事者が比較的滋賀県民外のことが多い気がします。近くの他府県に何か呼びかけとか、そういうことは考えていらっしゃるんでしょうか。

 

【知事】

琵琶湖のレジャーは、得てして今お尋ねいただいたようなことであります。例えば、外来魚は釣ってもリリースせずに回収しようねという琵琶湖ルールなども、県外の方にどのようにお伝えし、守っていただくのかということもそうですね。したがって、琵琶湖をはじめとする自然を楽しむ方々にどうやって訴求していくのか、このことは大変重要なテーマだと思いますので、そういう観点からも、この水上バイク事故に対してどのように向き合い、処していくのかということを考えるというのは大変重要なことだと思います。

 

[毎日新聞]

先日、来年度予算の編成に向けての県政運営の会議で、冒頭知事は、変革の時代であるという話の中で、「資本主義体制でいいのか、根本的に見直す必要はないのか」という趣旨のことをおっしゃいましたが、資本主義をどうしようとお考えなのでしょうか。

 

【知事】

私は、知事になる頃から、誰も犠牲者にならない社会・経済の仕組みづくりが必要なのではないかと申し上げてきました。例えば都市部、先進国の豊かさをつくるために途上国や地方部が犠牲になるとか、こういう経済のあり方、社会のあり方は持続不可能ではない。そういう観点からすると、例えば環境問題もそうです。グローバルサウスの資源問題もそうなのかもしれません。児童労働もそうなのかもしれません。見かけ上の利益をつくるために、また生産や消費を行うためにどこかで環境を害し、過酷な労働を強いられ、持続可能な状態ではないことが続いているとするならば、そこは一つ、資本主義の問題点として指摘されるべきではないかと。だから私たちは今、新しい豊かさ、誰も犠牲にならない、今だけではない、モノだけではない、お金だけではない、豊かさというものを滋賀県から追求しようじゃないかということを呼びかけて、新しい豊かさを研究するプロジェクトなども動かそうとしております。このプロジェクトは、これまでやってきた資本主義だけを前提にしていては議論がどうしても小さくなりますので、広く深く議論するとていうことを呼びかけたところであります。

[共同通信]

琵琶湖博物館の件で今回問題にされていたのが、業者を含む関係者の連携不足というところでした。新しい水槽を再建されるに当たって、例えば業者を選定しているですとか、どのように連携していくとか、もう決まっているのでしょうか。業者の選定はこれからですか。

 

【知事】

まだこれからだと聞いています。ただ、選定のプロセスは選定のプロセスできちんとつくりますが、設計する人、工事をする人、その後運営・管理する人の間で情報を共有して、それらが点検のあり方とか、必要な安全対策というものに結びついていくような、そういう仕組みを構築せねばならないということだと思います。

 

[共同通信]

ビッグモーターの件について、進捗状況を教えていただけますでしょうか。

 

【知事】

この時点で何か皆様方にお伝えする新たな事実の判明等はないということでございます。(県内に)3店舗あるうちの草津の店舗の前の街路樹が枯れていて、街路樹が生えていた土を採取して、どういう成分が検出されるのかということを調査していただくということです。その調査の時間がかかりすぎているじゃないかということについて疑問を持つやり取りの中で、当初使っていた薬品とその後判明した薬品とがちょっと違う薬品名が出てきたというようなこともあって、さらに時間をかけて、調査をしているというようなことも聞いてますので、この時点で皆様方にお伝えする事実等が確認できていないということだと思います。

 

[共同通信]

死生懇話会のサロンについて、2024年1月13日までの間に5回予定されているという発表が先日あって、これは来年度以降も引き続き行う前提でのこのスケジュールと考えていいのでしょうか。

 

【知事】

来年度以降についてはまだ前提ではありません。未定です。施策構築なり、来年度の予算の中でどのように取り扱うのかということは、また別途検討いたします。今年度は今年度で、死を直視して生きていること、ともに生きることを大事にする社会を滋賀県からつくろうということで、この死生懇話会でいろいろな方と議論していくサロンというものを設定して取組を展開していくということです。

 

[日経新聞]

ミシガン州知事の行程で一つ聞き忘れたのですが、先週末にいただいた行程を見ると滋賀県の企業が参加するイベントがないような気がするのですが。今回のデレゲーション(派遣団)は、向こうの企業が来ているけれども滋賀県の企業と例えば何か対話するとか、企業同士でのそういった予定は今のところはないというふうに考えてよろしいですか。

 

【知事】

オープンな形で、皆様方にも御取材していただける形で設定されている現時点での行程というのはないということだと思いますが、例えば私がお迎えする前、(滋賀に)入られてすぐに、米国ミシガン州に進出を予定されている企業を訪問される御予定などは一部計画をされていると聞いています。

 

[日経新聞]

具体的には何という企業かわかりますか。

 

【知事】

まだ調整中と聞いてます。

 

[日経新聞]

ミシガン州知事が来たときに、州知事あるいは州知事のデレゲーション(派遣団)の一部がその企業と接触するということは。

 

【知事】

それはおそらくもう既にミシガン州の方で調整されていて、そちら(その企業)に行くからという通告が当方にあったものと承知をしております。

 

[日経新聞]

わかりました。この公式の予定の中に滋賀県の企業(との接触)が入るということは今のところないということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

その時点で最新のものであるとすればそれが最新のもので、またそれ以降加えられるものがあるとすれば、また更新して御紹介するということです。

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