文字サイズ

知事定例記者会見(2023年5月16日)

令和5年5月16日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もよろしくお願いいたします。大変、風も空も新緑の爽やかな空気で、私はこの季節が大好きです。週末は平和堂HATOスタジアムオープン記念式典に出席してきました。おかげさまで天気ももって、盛大に開催することができました。この間御協力いただいた方に感謝を申し上げたいと思います。2年後に予定しております国民スポーツ大会、全国障害者スポーツ大会、わたSHIGA輝く国スポ・障スポの開閉会式主会場の会場として整備いたしましたので、県民の皆さん、内外の皆様方に、健康作りなどに、またスポーツのイベント等に大いに御活用いただきたいと思っております。

5月14日には信楽高原鉄道列車事故犠牲者の追悼法要に参列させていただきました。1991年(平成3年)に発生した日本の鉄道事故史上大変大きな、甚大な事故でございました。改めてこういった事故を繰り返さない。安全文化を醸成していく。それぞれの現場現場で体現していく。そういうことを肝に銘じたところであります。現場で指示させていただいたのですが、毎年実施されている信楽高原鉄道とJRさん、甲賀市の皆さんがされている活動に第3種鉄道事業者として、上下分離の施設を管理させていただくスタッフも一緒に参加させていただいて、公共交通、鉄道交通の安全文化創造のために、協力し合うということを申し上げたところであります。甲賀市長もぜひ一緒にやろうということです。また皆さんに御案内をしていきたいと思います。

昨日ですけど、びわ湖マラソン大会の実行委員会の総会を開催いたしました。第1回の先般3月の大会の総括をした上で、来年3月10日、日曜日に第2回目を開催しようということになりました。7,000人を超える方からの御応募、2,000人を超えるボランティアの参加。数は把握できていないですけれども、天気も良かったということで、大変多くの応援の皆様方の御参加をいただいて、第1回目としては大成功だったと思っております。ただコース設定に無理があったんじゃないか、朝のスタート会場の問題、また時間の問題、様々課題があったようでございますので、それらを改善した上で、2回目に繋げていきたいと考えているところであります。

またもう1点、知事への手紙をホームページ等で受け付けているところです。私自身も大変大事にしている取り組みなんですけれども、今月の初めに昨年12月にオープンした滋賀ダイハツアリーナのことで御意見をいただきました。具体的にはトイレの問題です。子どもと入れるトイレの数が少ないので、(トイレに)行けなくて困ったということと、この方は授乳をされるお子さんがいらっしゃるんだと思いますが、授乳室の個室に荷物掛けがなくて困ったと。子育てをしている人の意見を取り入れて改善してほしいという、匿名であったんですけれども、お声をいただいたところであります。まずはこういう御意見をいただいたことに感謝したいと思います。本来は新しく作った施設ですので、設計段階でより配慮した、そういう施設整備をすべきところ、十分配慮が行き届いていなかったことに気づかされました。したがって、今担当部局に改善の指示を行ったところです。まずトイレにつきましては、ベビーチェアの設置数を増やしていきます。最終的には館内のトイレのうち、約半分は子どもと同室できるトイレに変え、また授乳室につきましては、授乳スペース内に荷物を置く場所、具体的には棚ですとか荷物掛けの設置を行うということを予定しております。また、他の施設も同様の問題がないか確認をさせます。加えて、こういった当事者の声が施設整備に反映されるよう、そのつくり方の議論の進め方についても、もう一度見直しを行うことをさせていただきます。もちろん工期の問題、スペースの問題、予算の問題、いろいろとあったことで、今回の事態になったのではないかと思いますが、改めて、県の施設、公共施設のつくり方についても、改善をしていきたいと思っております。改めて御意見いただいたことに感謝をすると同時に、私といたしましても、応答性のある対話というのを重視しようということは常々申し上げておりますので、今後とも、こういった知事への手紙含め、皆様方のお声、御意見等をお寄せいただきますようお呼びかけ申し上げたいと思います。

資料に基づいて2点申し上げます。まず1点目は、イタリア・ローマで世界農業遺産の認定証を授与されますということでございます。昨年7月に世界農業遺産に認定されました、森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす「琵琶湖システム」につきまして、認定証の授与式に出席いたします。授与式は来たる5月22日、認定機関の国際連合農業食糧機関(FAO)の本部があるイタリア・ローマで行うということでございます。新規認定されたところに認定証が授与されるということです。滋賀県琵琶湖地域からは大杉副知事の他、生産者を代表される魚のゆりかご水田協議会のメンバー2名と、漁業者1名が出席予定です。式典では、大杉副知事が地域を代表して認定証を受け取り、プレゼンテーションを行うということでございます。生産者代表の皆さんにつきましては、授与式に合わせて開催されます、認定地を紹介する展示で「琵琶湖システム」の解説等を行い、世界に向けてアピールする、また世界各地域との交流を深めるということでございます。認定を受けた世界の様々な地域の取組状況を参考にいたしまして、琵琶湖地域の世界農業遺産の更なる活用、ブランド化、魅力発信に繋げていきたいと考えております。

また既に資料提供させていただいておりますが、このイタリア訪問の機会を捉えて、大杉副知事が「安土山図屏風」の探索に向けまして、屏風の送り先だといわれております、バチカンの関係機関を訪問いたします。訪問先には、私の親書を大杉副知事には持参していただきまして、今後の交流、また屏風探索への御協力についてお願いをしたいと存じます。滋賀県が屏風を探していること、多文化共生の安土、さらには当時(織田信長が)戦乱を収めて、安寧の地を開こうとした安土の様子がどうだったのかということについて、県が国の御協力いただいて行う調査とともに、真相を明らかにするきっかけにしていきたいと考えているところでございますので、報道機関各位のお力添えもいただければ幸いでございます。

もう1つは、福祉読本「ともにいきる」を電子版でリニューアルいたしましたという情報でございます。私ども滋賀県では2011年度(平成23年度)と2012年度(平成24年度)に、小学生向け、中学生向けの福祉読本を作成いたしまして、小中学校で御活用いただいているところでございます。作成から10年以上が経ちまして、学校の先生や障害のある当事者団体の方々からいろんなお声をいただきまして、そのお声を踏まえて、形式、内容の両面から、この3月にリニューアルをさせていただきました。主な改良のポイントは3つございます。1つ目は、形式について、印刷した冊子だとどうしても部数が限られるということで、動画やワークシートを取り入れてほしいという、こういうお声を受けまして、教材(冊子)の電子データと、動画の2つのコンテンツで作成をさせていただきました。動画は、手話・字幕付きで1本約5分、「ともにいきる地域って何だろう?」「わたしたちにできること」などがテーマになっているということでございます。また誰にとっても読みやすい文字、これを「UDフォント=ユニバーサルデザインフォント」というらしいんですけれども、こういうものを活用ですとか、見やすい色、レイアウト、イラストや写真で具体的にイメージしていただけるものにしたということでございます。冊子の一部をスライドで御紹介いたしますと、このページでは、街の様子、いろんな方々、いろんな動きを御紹介しているというものです。何に困っているのかなということを、いろんな場面場面で、いろんな人に応じて、見て、そしてみんなで考えるどうしたらいいのかな、どういう対応がいろんな人に配慮した対応になるのかな、こういうことを紹介するというものでございます。内容につきましては、平成31年(令和元年)4月施行の「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」の理念である「共生社会」でありますとか「合理的配慮の提供」といった新しい内容も盛り込んでいます。滋賀県のホームページに掲載しておりますので、小中学校における授業以外にも、幅広い年齢層の方々、いろんな場面場面で、御活用いただけたら嬉しいなと思っております。また県では現在、平成17年、2005年3月に策定いたしました「淡海ユニバーサルデザイン行動指針」の改定を進めているところでございます。こちらも御注目いただければと思います。冒頭御紹介申し上げた、いろんな県立施設のバリアフリー、利便性の改善を含めて、2年後には障スポ大会も開催させていただきますので、あらゆる面でこういった取り組みを充実させていきたいと思います。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[中日新聞]

「ともにいきる」を電子版でリニューアルしましたというお話ですけれども、どのように活用してもらいたいかということを改めて教えてください。

 

【知事】

先ほどの絵の中には、いろんな困り事と、あと少しの配慮で歩きやすい、住みやすい、過ごしやすい、そういうヒントがあります。例えば丸印させていただいている妊婦とおぼしき方の通路に人が座ってゆく手を阻んでいるということですとか、ベビーカーを押す人がトイレの利用の前で、少し困ってらっしゃるのでしょうか。外国人と思しき方がお困りなんでしょうか。点字ブロックのところに駐輪されているということがあるんでしょうか。こういういろんな例をみんなで共有して、どうすればいいのかということを子どもの教育の中で、いろんな学習の中で、議論していただく。また、子どもたち、学校だけではなくて、家庭や地域でも、こういう話をすることで、ともにいきるという共生文化が醸成されると思うんですね。こういうことが合理的配慮というものが自然になされていくことにつながるんではないかと思います。

 

[中日新聞]

12日にこども家庭庁から、全国の保育所で昨年の4月から12月に園児の心身に悪影響を及ぼす不適切な保育が914件確認されたと発表があり、滋賀県でも13件が不適切保育だと認定され、そのうち、保育所での不適切な保育が11件あったという発表でしたが、改めてこの数字について知事の受け止めをお願いします。

 

【知事】

国の調査で県内の施設でも、いわゆる不適切な保育が確認されたことは、これはよくないことだと思いますので、これらをどのように改善していけばいいかということを一緒に考えていきたいと思います。この調査では、いわゆる虐待というところまではなかったんじゃないかということですけれども、とはいえ不適切な行為ですので、これらを改めるために努力をしていきたいと思います。またどうしてこういうことが起こるのかということについては、いろいろな理由や原因、背景があるのかもしれません。国でもガイドラインが示されて、対応改善が促されているところでありますが、そのための研修をやったり、巡回支援を強化したりということがあるようでございますが、根本的に少ない人数で多くの子ども、忙しい中で大切な子どもを見ていただいているということにも原因や背景の一端があるのではないかと思います。今、全国知事会を通じて、保育士の配置基準の見直しを強く求めているところです。国も先般3月に示された「こども・子育て政策の強化について(試案)」という中に、配置基準の見直しについても処遇改善とともに検討すると明記されておりますので、この成り行き等も注視しながら、今後の対応状況、我々も努力をし、改善していきたいと思います。

 

[中日新聞]

今回の調査は不適切な保育の基準が曖昧で、各自治体でもばらつきがあったと思いますが、とはいえ滋賀でもあったということが問題だと思います。この調査を受けて、新しく何かやっていこう、考えていこうということはありますか。

 

【知事】

昨年来、世間の中でも不安が大きく広がる事件や事態がありましたし、今回改めて調査され、こういう結果が出たわけですので、関係団体、また市町ともこの情報を共有いたしまして、どういう取り組みをすればいいのか議論し検討していきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

今週末に広島サミットがあり、隣の京都市では早速コインロッカーが21日まで使えなくなるということになりましたが、滋賀県としては何かセキュリティの強化とかは考えてらっしゃいますか。あるいは国から要請等はありましたか。

 

【知事】

今、何か私達県民の生活に大きく影響する、G7広島サミットが行われることに伴う対応があるというのは聞いておりませんが、滋賀県警察からも(広島へは)応援等に行っているのではないかと思います。もし何かあれば、また確認の上、必要な対応があればとっていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

バチカン訪問について、基本的には屏風探しということですが、バチカンと文化交流もしたいということが親書の中には書いてあるということですが、バチカンとの文化交流というのは具体的にはどういったことが想定できますか。

 

【知事】

当時の状況は伝わるところによりますと、聖フランシスコ・ザビエル氏が来日されて、他の宣教師とともに布教活動を国内でも行われて、1580年ですか、日本で最初のセミナリオが(安土に)建設されて、いわゆるローマカトリックとは、早くから関わりの深い場所を作っていたんじゃないかと思います。これは私も重視する多文化共生の重要なテーマ、また場所だと思いますので、バチカンとの交流の中で、当時の記録なんかが残っているとすれば、どういう目的でどういう背景で、どういう御苦労の中で、こういった活動がなされていたのかということを、例えば紐解くということですとか、当時の町の様子や当時のお城の様子などはどう伝えられていたのが記されていたのかというようなことも知れればいいかなと思っております。その後、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ先生も来日され、教育活動、福祉活動に従事されました。近江八幡市の名誉市民第1号でもあられます。いみじくも今(安土は)近江八幡市と一緒ですので、個人的にはヴォーリズ先生はなぜ近江八幡に来られ、近江八幡で天に召されたのかということなどを調べて、改めて検証しようという勉強会をしているところなんですけれども、こういったことに繋がっていけばいいなと思っています。したがって単なる屏風探すだけということよりも、むしろこういった長い歴史関わりのあるバチカン、ローマカトリックとの交流の歴史を学ぶ、そういうきっかけに繋げていければと思っています。

[日本経済新聞]

実際に屏風が見つかる可能性というのはどうなんでしょうか。

 

【知事】

これまでに探しに行かれた方々、調査団がいらっしゃったというのは聞いていますが、そんなに容易なことではないと思います。世界から諸々の事々が集まった中で、いろんな取引、いろんなやり取りもされたでしょうから、そういうものが現にある場所がわかっているなんてことはなかなか難しいと思いますが、可能性はないわけではないので、そこに向けて挑戦しているということだと思います。

 

[日本経済新聞]

バチカンの要人に(安土城の)調査現場を見に来てもらうなど、来日を要請するということはあり得るんでしょうか。

 

【知事】

今回、副知事が会談させていただいて、いろんな意見交換をさせていただいてですね、先方の御意見や御感触、御反応なども受けた上で、今後対応は考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

先日発表された不適切保育について、県内で認定したのは保育所で11件ということなんですけれども、実際保育所から国の方には130件以上の報告があったと聞いています。今回の調査の中では県や市町に具体的にそのプロセスを確認する手順がなかったりとか、情報共有の仕組みがあまり構築されてなかったというところも浮き彫りになったかと思うんですけれども、行政として不適切な保育の調査や、対応に積極的に関与していくお考えがあるのかどうか教えてください。

 

【知事】

今回の結果は結果として受け止めて、おっしゃったように、こういった事態、事案、ケースなどが日々、もしくは定期的に報告される、また迅速な対応がなされるということについて、どのような対応、必要性と可能性があるのか、これらも市や町、現場をよく知る方々と一緒に考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

保護者側からすると保育所は預かってもらっているところという感じで、気になることがあっても、負い目があって言いにくいというか、そういうところもあると思うんです。なので静岡県の例でも、市は知っていたんだけど、対応が素早く行われなかった、放置されているように見えたというところがあったかと思うんですが、今回監査の仕組みなどもガイドラインに入ってると聞くんですが、保育士の配置基準の見直しとかそういうところももちろん大事だと思うんですが、しっかり相談窓口を設けてらっしゃるので、相談があった場合は調べる、そして対応するといったようなところも打ち出していくべきじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

 

【知事】

今おっしゃったことも大変重要で、事実、国のガイドラインにも、そもそもこういった不適切な保育が行われない未然防止、それを担保、保障するための保育士の資質、認識こういったものを上げていく。また職場環境の改善。こういったことが1つ目にありますし、相談や通報を受けた場合、迅速に対応方針を協議して、対応していくということ。また、事実確認、立ち入り調査をするということについても、これは実地を確認しながら、徹底して行うということですとか、先ほど私が一部触れましたけれども、保育現場の負担を軽減するということなど、こういったことが書かれておりますので、書いてあるだけではなくて現にこれらを行っていく、回していくための体制、ルールをどのようにすればいいのかを含めて、現場の方々とよく協議、また実践していきたいと思います。

 

[京都新聞]

大阪府が高校無償化の所得制限をなくす方針を示されたと報道されていますが、滋賀県でも現状、一定の年収のある方は無償化の対象外になっていると思いますが、所得制限をなくすことについて、知事のお考えを教えてください。

 

【知事】

一つの考え方だと思いますし、府民や市民との約束、またそれらを述べるための公約などで、問われ、そして支持され、実施されているものだと思います。ただ限られた予算等をどういったところに振り分けていくのかということについては、それぞれ自治体ごとの財政事情や考え方というものがあると思いますので、それらに沿って、必要であれば、支持されれば、実施されるという類のものだと思います。

 

[京都新聞]

現状そういった(所得制限をなくす)方向で何か具体的に検討されているということはないということでしょうか。

 

【知事】

今の時点で何か同様の政策等を実施するということはありませんけれども、この、「子ども・子ども・子ども」という政策推進中にあって、今も切れ目のない支援策をつくっていこう、そしてテーマ別にどういう政策があるのか、どこが足りないか、どこが空いているのかというマッピングをしようとしております。そういう中で足りないところを埋めていくためのテーマの1つとして、こういった高校大学の授業料、教育費用の無償化というのも大きなテーマとしてあると思います。どのように対応すればいいのかについては、しっかりと議論していきたいと思います。

[京都新聞]

大阪府の吉村知事の方針では、現状無償化の対象になっていない大阪府外の私立高校に通う子どもまで、無償化の対象を広げようという意向を示されており、府県をまたいだ通学が実態としてあると思われる中で、広域的に足並みを揃えていかないと滋賀の子どもと大阪の子どもで不公平が出てくると思いますが、そのあたりの無償化の可能性、これは所得制限があってもいいのかもしれないですが、どのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

今回こういったこと(大阪府の高校完全無償化)がどういう条件で、どういう準備をして、どういうスケジュールで行われるというのを、まずはよく伺った上で、県の対応を考えていくということだと思います。同時に、今おっしゃったように、一部の自治体で、その自治体を超えて通学される地域外の学校に対して適用される制度が実施された場合に、住んでらっしゃるところによる不公平感、違いというものをどのように考えていくのか、こういう議論を惹起することは当然あると思います。だから全てが住んでいるところに関わらず一応一律だというのは一つの理想ではあると思います。それらを整える順序というか、そのための財源配分というのは、なかなか簡単ではないと思います。私達は今、例えば医療や教育、これについては自治体ごとに、またその財政力によって差が出るのではなくて、国がここまでを保障すべきだというものについては、国で一律財源体制を保障して実施すべきだということを先般、国との協議の場で申し上げたところであります。その過渡期において、またその自治体の考えによって、どうしても違いが生じてしまうことは実態としてあるのかもしれませんが、よくその辺りのことについてもどこまで揃えに行くのかという議論はしていきたいと思います。関西広域連合等でもまた話題になるのかもしれません。意見交換等ができればと思います。

 

[京都新聞]

子どもに関する支援策に所得制限があることの是非について、どのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

これは大きくいうと、子どもに関わることは世帯の収入、経済状況によって左右されない、機会が十分に保障されているというのが原則だし、理想だと思います。ただどこまでを公的に保障しにいくのかということについては、これは一定国民のコンセンサスがいるテーマだと思いますので、議論を積み重ねていくということが重要ではないかと思います。

 

[毎日新聞]

冒頭におっしゃった、甲賀市、SKR、JRと公共交通、鉄道交通の安全文化創造のために協力していくことについて、どういうことを考えておられますか。

 

【知事】

毎年、甲賀市、SKR、JRさんが現場の清掃活動をされています。そして事故の事実、またそこからの教訓を学び話し合うような機会を持たれていると聞いておりますので、そういったものを近江鉄道のスタッフとも共有することができないか等、投げかけているところです。

 

[毎日新聞]

コロナが5類に移行して1週間以上が過ぎ、この間の感染の把握は定点観測があったと思いますが、知事の耳に現場の情報等は入っていますでしょうか。

 

【知事】

現時点、落ち着いた状況だと聞いています。ただ、(感染状況については)定点で定期的に把握されることになっていて、一番近い将来では18日にそういうものがまとまるので、その後1週間、またその後2週間後となります。どういう状況になってきているのかということについては、丁寧に把握し、また状況に応じた対応を取っていきたいと思います。現時点でいただく相談の状況、そして感染されて入院される病床の状況、さらには学校を休んでらっしゃる数の状況、クラスターが発生する状況などなど、聞いていますと落ち着いた状況にあるということです。

 

[毎日新聞]

病院等から大変だというような相談もないということでしょうか。

 

【知事】

現時点、大変だという報告、相談があるということは聞いておりません。

 

[朝日新聞]

今年の年頭の挨拶、あるいは記者会見の場で、新しい豊かさ研究会をつくって、新しい豊かさについていろいろと多くの人と話し合っていきたいということをおっしゃったと思います。この新しい豊かさ研究会は現状どういう状況でしょうか?

 

【知事】

新しい豊かさを研究する方向性を整理しようということで、様々な方々との意見交換を積み重ね、そして今後の進め方等について、検討させていただいているところです。昨年度からなんですけれども、庁内で数回、有識者も交えて議論しておりますが、まだ県として、この研究会として銘打ったものをどのように進めていくのかということについて、確たる内容が定まっているわけではないです。ただ、私が知事になりまして以降、ずっと申し上げておりますのは、今だけの、ものだけ、お金だけ、自分だけの豊かさではない、全ての人が心で実感できる将来も持続的に感じられる豊かさというものをどのようにつくっていけばいいのか。その一つとして健康というものがあるので、現在健康しがをつくろうということで、様々な政策をつくっているところでありますが、いよいよ2030年が近くなってきたり、コロナもあってか、生まれてくる子どもの数はさらに減ってきたり、長生きできるようになってきたけれども、それに伴う課題があったり、ウクライナの情勢しかり、様々な地政学的な問題が勃発してきているということがありますので、県としても、どのようなものを大事に暮らしていけばいいのかということを見出す一つの場として、この新しい豊かさ研究会というものを形づくれればと思っています。いずれにしろ、どういう形で、どういうところを目指してやるのかなということについては、さらに検討し、皆様方にもお示ししていきたいと思います。

[朝日新聞]

どういう方に参加していただくかということは検討されて、その研究会というのは改めてつくられるということですか。

 

【知事】

つくりたいと思っています。これまで何回か他の自治体含めて、こういった類の研究会をやるときに、固定的に委員の先生に入っていただいてやるというパターンもあれば、お聞きしたいテーマに応じて、国内外の専門的な知見をいただくという、こういうやり方もあるのかもしれませんので、いずれにしろ、今御質問いただいた研究会というものをどのようにイメージされてるのかというのは、ただではありませんけども、今日的に一番いい方法でやれるように内容を考えていきたいと思います。

 

[朝日新聞]

この新しい豊かさとかあるいは幸せということだと思うんですけれども、こうしたのは人それぞれ価値観が違ったりするので、これだっていうことで一つに統一するというのはなかなか難しいことだと思いますし、もちろんこれを上からトップダウンで、これが新しい豊かさだよと、これが幸せだよということは、やっぱりそれは、そういう話ではないんだろうなと思うんですよね。とはいえ、こういうことについて話し合っていくというのが非常に重要なことなのかなと思っていて、それぞれ違っていてもそれを話し合うことでそれぞれ共感したり、共鳴したり、認め合ったりすることでそして一つ何かベースみたいなのができていくのかなと思います。こういうのが政策を打ち出してこれを進めていく上でやはりこういうのがベースになってくるというのは非常に重要なことだと思います。だから例えば子ども政策をつくるにしても、その目指すところは何なのかっていうところで、それは新しい豊かさっていう価値観や概念を、いろんな人たちで認められたところがあってこそ、やはり認められ、受け入れられていくのかなと。特に個人それぞれに負担を求めていく、例えば税負担を求めていく交通税みたいな話だと、誰が得するとか、誰が損するから良いとか悪いとかというよりは、例えばみんなで支え合うことが豊かな社会であるということが実感できるとか、それがどういう形になるかわからないんですけども、そういった何かその、共通したその価値観をみんなで話し合って、それが一つになるというよりは、何か認め合うみたいな場というのが、この政策を進めていく上では非常に重要になってくるのかなと思うんですけども。そういう進め方について知事としてどのように考えてらっしゃいますか。

 

【知事】

記者の御指摘や御意見、また御質問にはいつも共感するところが多いです。今おっしゃったこともその通りだと。豊かさとか幸せというのは一律、一応ではありません。ましてや、何か行政から、知事から、こうだろうということで与えられ続けられるものではありません。いろんなもので構成され、いろんなもので感じられるものだと思います。だからみんなで話し合って、またみんなで認め合って、そのプロセス、そういった営みこそが、実は幸せとか豊かさに繋がっていくのではないかというのは、私もそう思います。だからこそ死生懇話会も立ち上げて、根源的な問題ですけれども、みんなで考えよう、こういう場づくりをさせていただいておりますし、今回のこの新しい豊かさ研究会、仮称ですけれども、ここでもですね、そういったみんなで考えて、方向性を見出していくという、こういうやり方というのは大事にしないといけないなと思います。この方針を出して以降ですね、私自身もいろいろ考えるときに、そもそも豊かさとか幸せとは無縁の生活や感情を持ってらっしゃる方々に、新しい豊かさとか、例えば幸せという言葉はどのように届くんだろうというようなことも考えているところで、もう少し別の言い方とか、別のアプローチというのもあっていいのかなと思うことなどもございまして、今そういうことも含めて、考えを調整しているところです。

 

[共同通信]

昨日、文化庁が京都で本格スタートしました。知事が期待されるところは今までも伺っているんですけれども、一方で半数の部署は東京に残ったままで、出張が増え、オンライン対応できる数が少ないんじゃないかというようなことも報道で指摘されています。その辺の受け止めはいかがでしょうか。

 

【知事】

まずは大きな一歩を記していただきました。踏み出していただきました。中央省庁が、明治政府以来、初めて地方、そして隣の京都に、関西にきたわけですので、私達はそのことを生かして、その機関と連携して、どのように文化行政を充実させていくのか、魅力を発信していくのかということに注力をしていきたいと思います。(京都移転に)伴う国会とのやり取りですとか、いろんな仕事の関係での出張、オンラインの会議、こういうものは知事としても国民としても課題共有しながら、どういう解決策があるのかということは、一緒に見いだしていければいいかなと思います。

お問い合わせ
知事公室 広報課 報道係
電話番号:077-528-3042
FAX番号:077-528-4803
メールアドレス:[email protected]