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知事定例記者会見(2018年1月30日)

平成30年1月30日
(県政記者クラブ主催)

記者会見に臨む様子

おはようございます。1月も、もう30日ということで寒い日が続きますが、週末ちょっと張り切って散髪しすぎたら短くなりすぎました。今週もよろしくお願いします。

先ほど、資料提供させていただきましたが、本日、(仮称)米原風力発電事業計画段階環境配慮書につきまして、環境影響評価審査会の専門家のご意見および関係市町長のご意見をもとに、事業者に対しまして意見を述べさせていただきました。

今回の意見では、特にイヌワシ・クマタカへの重大な影響が懸念されておりますことから、審査会意見に一部内容を追加しております。なお、このことにつきましては、本日午後2時から担当課による記者レクをさせていただく予定でございますので、詳細をご確認いただければと思います。

それではお手元の資料に基づきまして、私からは3件皆様方にお伝えさせていただきます。

1点目は、2月2日金曜日、滋賀県公館におきまして、生活協同組合コープしがさんと連携協定の締結式を行います、ということについてでございます。

生活協同組合コープしがさんは、県内約19万人の組合員とともに地産地消の推進、食育等に力を入れておられます。県の施策とも合致することから、相互の連携を強化いたしまして、私たち県民の健康的で豊かな食生活の向上と、本県農畜水産業の持続的な発展を図ることを目的に、食と農に関する協定を締結いたします。

協定名は、『伝えよう「たべる*たいせつ」滋賀の健やかなくらしを支える食と農に関する協定』となってございまして、これまでの協定の場合、滋賀県と企業名を掲げた協定名とすることが一般的でございましたが、今回は、生活協同組合コープしがさんの事業と活動の重点テーマであります「5つのたいせつ」これは「たべる*たいせつ」「びわこ*たいせつ」「いのち*たいせつ」「ちいき*たいせつ」「くらし*たいせつ」ということだそうですが、その一つ「たべる*たいせつ」を引用させていただき、取り組む内容がよりイメージできる名称となっております。

連携事項は、県産農畜水産物の地産地消の推進と生産振興を初め、県産農畜水産物のブランド力の向上と販売拡大、食の安全安心確保に向けた取組に関すること等、6項目について連携を図ってまいります。具体的な連携内容につきましては当日説明をさせていただきますので、ぜひご取材等いただければと存じます。

大きな2項目目は、これも手元に資料がございます。

しがニュービジネスプランコンテスト2017決勝大会の開催について、ということでございまして、本県では、創業や起業の機運を盛り上げ、新事業に取り組む起業家を応援することを目的に、しがニュービジネスプランコンテストを実施しています。本コンテストは、平成27年度に一度実施いたしまして、今回が2回目でございます。今回は、SDGsとの適合性といった視点も盛り込み、今後県内で起業を目指す方を対象といたします「チャレンジ部門」と、起業から3年以内または第二創業を予定されている方を対象とする「イノベーション部門」の2部門を設けまして、昨年10月からビジネスプランを募集し、121件の応募をいただきました。書面審査、プレゼンテーション審査を経て、2月10日に開催する決勝大会のファイナリスト10組を配付資料裏面のとおり決定いたしました。ファイナリストのビジネスプランは、農業、医療・健康、ITサービス業と幅広い分野にわたっております。

今回のコンテストには、県内高校生からも応募を多くいただいたということでございます。残念ながら、このファイナリスト10組には残れなかったということでございますが、高校生ならではの発想によるプランも多かったということでございますので、若い世代の方々に、起業を将来の選択肢の一つとして広く知っていただく機会になったのではないかと考えておりまして、チャレンジいただいた高校生を代表して、大津商業高等学校の桝田さんにプランを発表いただくということも予定しております。

ファイナリスト10組からは、それぞれ熱い思いのこもったプランを発表いただき、オプテックスグループの小林会長を委員長とする5名の審査委員により、最優秀賞1件と部門賞2件を選んでいただきます。さらには、地域クラウドファンディングを運営されている株式会社Wallaby様にご協力をいただいて、当日会場にお越しの方の投票によって受賞者を決定する「オーディエンス賞」を設けています。この他、前回のコンテストで応援賞を受賞された「はたけのみかた」の武村幸奈さんをゲストスピーカーとしてお招きいたしまして、近況ですとかメッセージ等お話しいただく場も設けています。

この決勝大会を通して、ファイナリストのビジネスプランの実現や成長する機会になればと考えております。多くの方にご来場いただければと思いますし、出場者の皆様の飛躍を期待したいと思います。また、広報、ご取材等お力添えいただければ幸いでございます。

さて、シリーズであります、今月のイチオシ「花と緑の滋賀シリーズ」ということで、今日は、長浜市の湖岸で見られる木「アカメヤナギ」でございます。

湿地に生える大きな木ということでございまして、新芽と若葉が赤っぽい色をしているのでその名がついたということでございます。琵琶湖岸でよく見られ、ヨシとともに湖岸の生態系をつくり出す大切な存在ということでございます。県でも、「琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」を定めまして、ヨシの他ヤナギ等もヨシ群落として、その保全に取り組んでいます。

アカメヤナギは昆虫たちの食べ物や越冬場所として重要な環境であると、また水の中に出た根は、モロコやコイ、フナなどの産卵の場所にもなっているということです。アカメヤナギやヨシが茂る琵琶湖の自然湖岸は、昔に比べずいぶん減りましたが、長浜市では今も遠浅の湖岸が残され、浅瀬に点在するアカメヤナギの林が見られます。この辺りの風景はまさに「琵琶湖の原風景」と言われておりますし、画家ブライアン・ウィリアムズさんも描かれる絵画にもしばしば描かれておられます。

湖岸のアカメヤナギは、昔は薪や木材として人々に利用されていました。アカメヤナギを切ることで、その下のヨシが再生し、琵琶湖岸はヨシ原とアカメヤナギが混生する多様な環境が生み出されていました。人と自然が共生しながら多様な生態系を作り出してきた「里山」と同じ関係が、琵琶湖岸にもあったわけでございまして、「里湖(さとうみ)」と呼ばれています。

アカメヤナギは「里湖」の代表的な植物のひとつでございます。近年は、木の利用がなくなりまして、定期的な伐採が行われなくなりました結果、アカメヤナギばかりの湖岸が目立つようになってきました。アカメヤナギだけの単一な環境は、景観はもとより生態系の面からも好ましくないということでございます。そこで県でも、場所や本数を考えながらヤナギを伐採して、ヨシ群落の保全に取り組んでいるところでございまして、長浜市のアカメヤナギについても、市と相談しながら伐採するなど、適切な維持管理に努めているところでございます。

今の季節ですと、湖北町の湖岸もアカメヤナギの植生と、また、白鳥、水鳥たちのコラボレーション。その向こうにある雪景色の山々など、非常に写真撮影をされる方にも好まれている風景ではないかと思います。私もよく車をとめて、サイクリングしながら楽しむ風景の一つでもございます。

今日は長浜市から1名のゲストにお越しいただきました。長浜市役所市民広報課副参事の森岡賢哉さんです。

それでは森岡さん、せっかくの機会ですのでどうぞ。

(森岡さん)

長浜市役所市民広報課の森岡賢哉と申します。どうぞよろしくお願いします。私は市の広報のカメラマンといたしまして、市内のあちこちに撮影に出かけるわけなんですけれども、撮影者として今回アカメヤナギを紹介させていただきたいと思います。

アカメヤナギ自体は県内のどこででも見られる植物ということで、ありふれているんですけれども、長浜市では10kmぐらい続いていまして、特にアカメヤナギがつくる景観が残されているところ、先ほどおっしゃいました琵琶湖の原風景が残されているところとして、県内唯一だと思っております。まさに長浜の宝物だと思っております。長浜は夕日がとてもきれいな場所で有名で、全国から多くのカメラマンが見えます。ただ、夕日の美しさだけではなくて、湖の中の木立、そういったものが醸し出す雰囲気が人気の秘訣ではないかと思っております。例えば夕日をバックにアカメヤナギのシルエット、ドラマチックな情景であったり、水鳥たちが木の下で羽を休ませたりしている優しい風景だとか、季節ごとに日ごとに時間ごとに刻々と表情を変えるので、本当に魅力的な場所でございます。

特に、今この季節ですと、アカメヤナギが白い雪をたっぷりと蓄えて湖の中にすうっと立っている、そんな幻想的な風景も見られますので、どうか一度お越しいただきたいと思います。これからも人をひきつける風景、生き物たちのゆりかごとして愛され続けるアカメヤナギを取材いただきまして、発信いただけたらと思います。

カメラマンならではの描写力も豊かなご説明でございました。かなりフォトジェニックな風景でございますので、よろしくお願いいたします。

長くなりましたが、私から以上でございます。

[毎日新聞]

先週から、県議会の各会派の政策協議会が開かれておりまして、各会派から、政策あるいは政治的な距離感を問う、質すような話がたくさん出ていますが、中でも、前回知事選を戦った自民党からは、知事とともに歩めるのかそうではないのか検討しているというような挨拶もありました。

今年の夏の知事選に向けてのことだと思われますけれども、この点を三日月知事はどのように受けとめていらっしゃるのかということと、そもそもこの夏の知事選へ出馬するかどうかのご意向について改めて現時点での考えをお聞かせください。

[知事]

まず、2月定例会議を前に県議会各会派の皆様方と政策協議会を行っています。二元代表制の一翼を担われる議会、またそれぞれ主義主張、立場、地域を代表される方々との協議会は大変有意義なものであります。その中で、私自身の3年数カ月の歩み、また姿勢等をいろいろと質していただく、また論評いただく、このことを糧、励みにしてこれから頑張っていきたいと思っています。

なお、私の考えは以前から申し上げているように、日々刻々その務めを果たすということでございますし、直近であれば、平成30年度の予算案がいよいよ取りまとめの最終段階に入っておりますので、それをしっかりとまとめ議会にお諮りをする、その一心でございますので、その先その後のことは、その先その後に考えて述べたいと思います。

[毎日新聞]

自民党さんの部分で繰り返しで恐縮ですが、三日月知事とともに歩めるかそれ以外かという話だったんですが、前回戦った相手がこのようにおっしゃっていることについて、知事はともに歩めるのでしょうか、もし自民党さんがともに歩めると決められたとしたら。

[知事]

私は常に誰にも一緒にやりましょうと申し上げてきました。これは知事選挙直後、知事就任直後から全ての方々に申し上げてきましたので、むしろ、会派やそれぞれの政党会派からもそういうお声が聞けるようになったことは、むしろ心強いと思います。

テーマによっても、状況によっても、それぞれの会派によっても違うこともあるでしょうが、県政推進にとっては一緒にやれることは力になると思います。

[共同通信]

同じく政策協議会について出たことで、環境こだわり農業についてなんですけど、国からの補助金というか支出が前年度に比べて、ちょっと減っているということで、環境こだわり農業に取り組む農家さんたちへの交付金が減ってしまって、諦めてしまう農家さんがいるんじゃないかという懸念も、自民党の県議の方からも示されていましたけれども、改めて知事の環境こだわり農業への思いと、農家さんに環境こだわり農業を続けてほしいとお思いなら、県としてどんなことができるかというのを教えてください。

[知事]

まず私自身の思いなんですけれども、この環境こだわり農業というのは、私たち滋賀県内に、真ん中に琵琶湖を預からせていただくがゆえに、早くから広く生産者の皆様方の汗や努力によってつくられてきた、広げられてきた、私たち県民の誇る取組であります。国もその後ですね、国の制度とされ交付金も創設をされて、それらも私たちは力にする形で、この間の取組を進めてきました。効果としてはですね、農薬出荷量の減、また、琵琶湖等への環境負荷の減、生物多様性の保全、温暖化の防止等にもつながってきているところでございまして、私たちは今、この環境こだわり農業の作付割合を平成28年は45%だったんですが、それを、来年は50%まで引き上げようという、こういう目標を持って今、取り組んでいるところでございます。

しかし、ここに来てですね、国の制度の見直しが行われつつあると、来年度の夏ごろにはその内容が明らかになるということでございますが、その中ではですね、地域特認取組の単価が減額となる可能性が大きいということでございます。来年度の国の予算案を見ましても、随分私たちの要望を一部聞く形で増額予算をつくっていただいているんですが、しかし、共通取組に上乗せする形での地域特認への交付というものは一定額不足が見込まれるという、こういう状況がございます。

したがって、前段申し上げた誇りとするべき取組を、さらに広げなければならないというこの段階において、国の制度見直しが行われるということでございますので、2段階に分けて、生産者の皆様方のご不安に応えていかなければならないのではないかと。まず第1段階は来年度でございまして、来年度はもう既に種を買ったり、こういうものをつくろうという計画をされているわけですから、国の交付が十分でなかったとしても、何らかの補填というものを県がする必要があるのではないかという方向で現在検討をさせていただいております。

さらに再来年度、平成31年度以降につきましては、今、国で見直しの議論が行われているということでございますが、さらに、こういう私たちがやっている地域特認の取組というものが十分措置いただけない、とりわけ、本県で多く取り組まれている緩効性肥料、ゆっくりと効いてくる肥料というものの利用が対象から外れるのではないかという、こういう議論もあるところでございますので、こういうことを受けて早目にその情報提供を生産者にすると、こういうことと同時に、平成31年度以降は、国の制度見直しの議論を早く掴んで生産者に流し、万が一国の制度で減額になったとしても、その措置は県としてすることができないということを前提に、生産者の皆様方としからばどういう環境こだわり農業をつくっていくのかということを、対話の上、協議の上、再構築していかなければならないと考えています。

具体的には、今、予算の中にも一部盛り込みはじめていますが、さらなる環境こだわり農業、オーガニック近江米の取組なども試行しながら、次の時代を見通した環境こだわり農業というものをつくっていくべく努力をしていきたいと思っておりますので、そういうことで、生産者の皆さんにご理解ご協力をいただくと同時に、ブランド化したり販売促進につなげていくという取組をつくっていきたいと思います。

[共同通信]

重ねてお尋ねをするのですけれど、今のお話からするに、国の制度見直しで地域特認への単価減額についてはしょうがないので、その中で県としてやれることをやりくりしていくというような感じなのですか。国の制度の見直しについては何か反対というか、そういったお気持ちはお持ちではないのでしょうか。

[知事]

現時点で国の制度見直しをしょうがないと甘受しているわけではありません。あくまで滋賀県の取組についても十分に、できれば100%措置していただけるように求め続けています。今年度、春・秋に行いました国への要望の中にも盛り込んでいますし、ぎりぎり予算をつくる段階においても、要望させていただいておりますし、この来年度措置される予算の中から配分されるにあたっても、十分滋賀県の取組に措置されるよう求めているところでございます

今、国において検討されている新たな制度に対しても、滋賀県で取り組んできたことが、これは何も滋賀県のためだけではなくて、滋賀県民が守る、この琵琶湖の水を使われる方々の命と暮らしにも影響する取組だということもよく説明しながらですね、国にも理解を求めているところですので、現時点でそれを前提にやっているわけではございません。

[読売新聞]

冒頭に説明のあった、米原の風力発電所の滋賀県知事意見についてですが、詳細は担当課からということですけども、一つ追加された部分ですね、全般事項のところの「(4)本事業の取り止めも含めた事業計画の抜本的な見直し」とあって、表現が前回の審査会の意見よりも強くなっていて、そこに関して、滋賀県知事として、環境を守っていくのだとか、どういう思いを込められているのかを一言いただいてもよろしいでしょうか。

[知事]

詳細はまたお聞きいただければと思いますが、今回の事業実施想定区域は「滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針」に基づく、イヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーンに含まれていると、こういうことがございまして、かつ県が入手した資料では、実際にイヌワシ・クマタカ、この両種の生息が確認されているという情報を得ています。また、こういう希少な猛禽類など鳥類の渡り、通っていく経路にも位置しているということでございまして、風力発電ですと、バードストライクの危険性も想定されるということで、その意味から重大な環境影響が懸念されるとしています。

特に、危機的であると言われる西日本のイヌワシ生息状況、これは伺いますと、西日本全体で20つがい、うち滋賀県を取り囲む山地では6つがい、および繁殖成功率の低下状況からしますと、1羽でも、一つのつがいでもイヌワシの風力発電施設への衝突は避けるべきであると考えております。以上のようなこともあってですね、審査会の意見から更に厳しい内容の意見を述べることとさせていただいた次第であります。

[毎日新聞]

同じ風力発電ですけれども、脱原発の立場から再生可能な自然エネルギーの利用を推進されていると思うのですけれども、その一方で、自然エネルギーの利用に関しても、やはりこういう自然への負荷・影響が懸念されるというあたり、原発とのバランスはどのように考えておられますか。

[知事]

まず、私たちは原発に依存しない新しいエネルギー社会をつくろうということで、「しがエネルギービジョン」に基づき、再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでいます。この再生可能エネルギーの大半は太陽光発電が占めていますが、バイオマスや小水力や、こういった風力発電の可能性というものも伸ばしていきたい。

しかし今、ご質問、ご指摘があったように、その再生可能エネルギー、例えば太陽光の発電についても、大規模な開発との兼ね合いを指摘される案件もありますし、今回のこの風力発電の事案に見られるような、イヌワシ・クマタカの生息環境を脅かす懸念というものも一方である。もちろん原発に依存しないという観点からは、再生可能エネルギーを進めていくと、これはこれとして目標で進めていきます。同時に、そういった自然環境を壊したり、他の生き物の生息環境を脅かし壊すという形での再生可能エネルギーの普及というのは、やはりこれもやってはいけないことですので、その両方を相並びたてる形で進めていくということだと考えています。

なお、今回のエリアはそういった形で重大な懸念がありますが、滋賀県内の環境がこの風力発電に対してどういう環境になっているのかということを、よく生息環境等を調べながら、今後我々自身も知っておいたほうがいいのではないかと考えておりますので、その観点からですね、担当課には最新の情報に基づいてよく調べようということを指示しているところです。

[滋賀報知新聞]

総務省が公表した2017年の人口移動報告ですか、これによると東京とかですね、大都市に人口集中が加速しているということで、滋賀県は転出超過が715と比較的近畿の中では、三重県の4,000とかそういうレベルに比べて低いのですけども、まずは石破さんあたりから始まって、その地方創生が上手くいってないということについて、知事はどういう具合にこれを受け止められて、滋賀県の場合にそういう移住計画とか、知事は短期移住もされておりますけど、そういうものはどうなっていて、実際に動いているのか、上手くいっているのかですね、これは2点目で、3点目は、恐らく、いろんな住宅をタダにするとかそういう形じゃなくて、まず見ながらですね、魅力ある地域づくりが先にないと来ないということだろうと思うのですけども、いろんな切り口があるんですが、例えば、医療介護で言えば、永源寺の花戸さんのように、高齢者訪問して「おばあちゃん元気か」というところから始まって、そういう地域課題というのをクリアしていこうということになるのですが、そういう地域包括ケアという形からですね、さらに一歩進んで、地域を丸ごと支え合う仕組みみたいなものができればもう少し地域が輝いてくると思うので、その辺の縦割りから子育てとか、教育も含めていろんなものの地域を丸ごと支え合うという、厚労省がおそらく制度設計をするのだろうと思うのですが、近い将来、それについての知事のご認識を伺えますか。

[知事]

昨日ですか、総務省から住民基本台帳人口移動報告が発表され、2017年の本県の状況は5年連続の転出超過、その人数は転出超の715人とこういうことでございます。

この状況をどう見るかということでございますが、ご質問の中にもあったように他の地域に比べると比較的少なく抑えられている面もあるのかもしれませんが、やはり、東京を中心とする首都圏、また、愛知、大阪、福岡といった大都市圏に吸引される我が県から言えば、転出されてしまう、そういった地域に転出されてしまうこういう状況というものは、まだまだ根強く、また、歯止めがかからない状況であるのだと、この認識を強くしたところでございます。もう少し詳細これから分析をいたしますが、例えば20歳から24歳、いわゆる若者の社会増減というものだけ切り取ってみますと、確かに2000年代以降転出超過が継続しているんですが、こちらのほうは昨年1,091人、これは、その前の年が1,300人であったことからすると、一定転出超過数を200人程度改善できている、まあ、数字の面だけですけれども、あるということでございます。したがって、二つ目のご質問にも絡みますが、まだまだ一朝一夕にいかない課題ですので、粘り強くこの地方創生の取組を進めていく必要があるのだろうなということを考えています。

その際に、三つ目のご質問にありましたように、やはりこの地域づくり、その地域の魅力、また、その地域が生み出すモノ・コト、こういったことをやはりしっかりと見つめ直し、さらには発信をしていく、こういうことが大切でありまして、もちろん観光や産業、モノづくり、仕事、暮らすということも大事なのですが、支え合う仕組みですね、困ったときはお互い様だということだとか、それぞれの持ってらっしゃる能力をそれぞれ生かし合う、そういう地域づくり、これも滋賀が持っている力の一つですし、これからの人の暮らしや、社会住みやすさというものを表現する一つの指標だと思いますので、そういうものも見つめ直してしっかりと発信をしていきたいと思いますし、これからの時代はSDGsの視点にもありますように、一人ひとりにもっと目を向ける視点、さらには多様性を尊重する視点、こういう視点も重要だと思いますので、ぜひこういうものも参考にさせていただきながら、再来年度以降の基本構想の中にも盛り込んできたい、考えをつくっていきたいと思います。

[滋賀報知新聞]

今の流れの中で、もう少し特化してですね、医療介護の中での看取りですね。花戸さんもそうですけど、滋賀県は県民調査なんかでも4割ぐらいは地域で死にたいという、ところが実際は病院で死んだりしてですね、14%ぐらいしかなかなか自宅でお亡くなりになるということができないんですが、この看取りのことを滋賀県は比較的、先進的にやられていると思うのですが、この辺はどういうふうに拡充というか、知事はお考えですか。

[知事]

そこは私、3点思うところがございまして、一つは大きな意味で、まず大前提として生老病死、人の基本的な営みである生老病死、これにしっかりと向き合っていこうと。とりわけ死というものに対する向き合い方が、ややもすればネガティブであったり、ややもすれば避けがちであった、というところに対しても、しっかりと真正面から向き合っていこうと。そのことを前提にした暮らし方や、また医療のあり方、こういうものを捉えていこう、ということを私は旨としています。その上で、今ありましたように、できれば住み慣れた地域で、家族のもとで自分の最期を迎えたいという、そういう希望が大変多い。しかし一方で、それが叶っていない現実がある。こういうことは、希望は叶えられるように、そのための仕組みやネットワークというものをしっかりと作っていくということを目標にし続けたいと思います。

二つ目は、しかし一方で、そのことがかえって必要な医療を受けられなくしたり、施設というものをですね、安易に自宅や家族、また、押しつけたり押し戻したりするという流れにならぬよう、希望する人が一定数いても、それを希望しない方も一定数、希望してもそれがかなわない方もどうしてもいらっしゃるという現実を踏まえた、そういう資源の整備ですね、こういうことが必要であろうと。

最後、三つ目は、やはりこれ、願うのも人であれば、看取るのも人ということであるとすれば、花戸先生の例を出していただきましたが、そういったことに携わっていただく方の、やっぱり人材育成、そして人材と人材を結びつけるネットワーク、こういうものを、じゃあ高島と田上でできるかというとなかなかそうじゃないとすれば、やはりそれぞれの地域ごとにしっかりと作っていくということだと思いますし、昨年の夏、花戸先生の訪問診療に同行させていただいた折に、なるほどなと思ったのは、いろんな資料を、もう既にICTでカルテですとか、過去のいろんな訪問履歴ですとか、そういうものを山間にいてご自宅で見られる情報というものとセットで訪問されているということからすると、やはりこういうものを支える基盤というものは、ICTの技術というものもあるということを確信いたしましたので、そういうものも整備しながら、滋賀の基盤づくりに努めていきたい。

滋賀はおかげさまで長生きですので、単に長生きしただけではなくて、そういう自分が希望する最期というものが叶えられるんだという、こういうこともあわせ作ることで、さらに滋賀の魅力を高めていきたいなと考えています。

[京都新聞]

旧優生保護法の関係なんですけれども、滋賀県の公文書の関係で、過去に強制不妊が行われた方のうち、資料として残っているのは最大7人であるということが判明いたしました。知事に対して伺いたいのは、過去に強制不妊が行われたということに対する知事のご見解とですね、県としてこの件について実態調査をされるお考えがあるのか、また国に対してこういったもの働きかけるお考えがあるのかについてお伺いします。

[知事]

日々の報道に接して心痛めています。こういうことが事実だとすれば、また、被害者が多くいらっしゃるというこの現実は、大変胸の痛い、あってはならない、こういう事実だと思います。

まずは今、刻々と全容が明らかになっておりますので、そういうものを確認することで、今後、県としてやらなければいけないことがあるとすれば、しっかりと対応をしたいと思います。

[京都新聞]

この件では、たぶん公文書の管理のあり方とか、そういったものも問題になると思うんですけれども、特に個人の重要な情報に関わるような公文書の管理のあり方とかについては、今後見直されるようなお考えというのはおありでしょうか。

[知事]

まさに我々も、公文書の管理をどうするのかということは、有識者の懇話会をつくり検討してきて、いよいよ法律も見ながら県の条例をどう整備するのかという、この検討をさせていただいております。この中で、もちろん行政の意思決定、政策決定、政策立案にかかわる資料というものは、文書というものは、公文書として残しておくという、こういう視点と、また実際にそれがきちんと保存管理されているという、こういうことが必要だと思います。同時に、それをどういう形で保存するのか、どこまでを保存するのか、また、個人の情報が書かれたものを、どう我々が持ち、管理をし、さらには公開するのかということについては、これは一方、人権との兼ね合いの中で大変難しいテーマだと思いますので、国における議論ですとか、専門家の皆様方の見解ですとか、世界の流れですとか、こういったものも見ながらですね、慎重に、かつ丁寧に検討したいと思います。

[朝日新聞]

先ほどのお話に戻ってしまって恐縮ですが、自民党県議団の方のお話の中で、「一緒にやりましょうと言ってきたのでむしろ心強い」というお話がありましたけども、また同時にですね、「ともに歩める場合は我々が先頭切ってやっていく」というご発言も自民党会派の方からありましたけども、そこへの受け止めも含めて心強いということなのか、もしそこら辺の言葉への受け止めがあればお聞かせ願えるとありがたいなと思います。

[知事]

あのご発言は、家森代表が政策協議会の最終のご挨拶の中で述べられたお話で、それ以降私自身が、その意図、内容、中身等について確認する機会がありませんでしたので、詳細は分かりません。ただ、先ほどのご質問にも答えた、その「心強い」という意味は、ともに歩いていただく方が少ないより多い方が心強いと。一緒にやろうと言っていただけるとすれば、それは私にとっても、県政にとっても、大変力をいただくものであるということから申し上げたことでございます。

[京都新聞]

ちょっと県政とは外れますが、先日、野中広務さんが亡くなられたんですけども、三日月知事は国会議員時代含め、知事になられてからもあるかもしれませんけども、接点なり、思い出なり、野中さんに対する思いがあればお聞かせ願います。

[知事]

野中先生との接点はですね、実は国会議員時代も、かなりもう上の方でいらっしゃいましたので、国会議員時代はありませんでしたが、数回、ご講演の折にご挨拶させていただいたことがございます。また、鉄道員であったと、私自身もそうですし、そういうご縁ですとか、私自身が京都の嵯峨の生まれであるということでありますとか、そういう意味で何度か会話したこともございますし、とりわけ、生涯そうでいらっしゃいましたし、特に最近は人権の問題ですとか平和というものに対する思いを強く発露される、そういう言動をなさっていらっしゃいましたので、そういう面はとても尊敬をしておりました。今の時代に少ないと言われる、私たちが軽々しく言うのも失礼な話ですけれども、大変気骨のある先生でいらっしゃったなあというふうに思っています。心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

[毎日新聞]

民泊の規制条例のことで、南草津駅、1キロくらいでしたかね、マンションが密集しているところで平日を規制するという、2月議会にも上程されるということですけれども、パブリックコメントで非常に、この規制に賛成にしろ反対にしろ、この南草津エリアだけということを疑問視する声がありました。

もう一つが守山市から、守山市内も京都市の事情も考えると規制対象としてほしいという意見が来ているそうですが、どう受け止められますか。あと、県としては守山市の要望は受け入れないということだそうですけども、この理由とですね、今後再検討されるお考えはありますか。

[知事]

まず、現在、県ではですね、来る2月定例会議に、いわゆる民泊新法に対応するための条例案を上程すべく、準備をさせていただいております。現時点の案を作るにあたり、県内市町の意見照会、これを丁寧にやってきたつもりですし、また、パブリックコメントもいただき、69件ものご意見をいただいて、それらを精査した上で現在の案を取りまとめておりますので、また取りまとめようとしているところですので、現時点の案のものを議会にお諮りをしたいと思っています。

なお、このパブリックコメントの中にも、既にプレスリリースでお知らせしておりますように、さまざまなご意見がございました。賛成する立場からも、また懸念されるお立場からも、いろんなご意見がございましたので、それらはぜひ議会でご審議をいただくことになろうかと思いますし、この間、例えば、他の自治体の規制事例や状況等を踏まえたご意見等も、これは一部県内市町からもいただいているところでございますので、そういったお声にも丁寧に耳を傾けていきたいと思います。

ただ一方で、いわゆる民泊新法、この法の18条ではですね、条例で住宅宿泊事業の区域と期間を制限する場合には、生活環境悪化を防止するため必要と認められるものに、ある意味では限定すべきという、こういう法文もあるところでございますので、こういった法の趣旨に照らして、やはり抑制的な制限というものも求められているところでございます。

ただいずれにしても、まずは審議に付す中で議論をいただく、そして、施行をさせていただき、状況等を見ながら、迅速かつ的確な対応が求められると思いますので、そこはしっかりと即応をしていきたいと思います。

[毎日新聞]

あくまで現状のもので。

[知事]

現時点、県が出そうとしている案は、現時点において最良の案だと思っていますので、それを提出させていただきたい、議論に付していきたいと思います。またその上で議論をよく伺って、今後の対応を検討してまいります。

お問い合わせ
知事公室 広報課 報道係
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