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知事定例記者会見(2017年12月26日)

平成29年12月26日
(県政記者クラブ主催)

今年の漢字「一」を発表する様子

12月26日となりました。今年も残りあと5日となりました。

メディアの皆様方には今年1年も何かとお世話になりました。ありがとうございました。また、来る年もよろしくお願いいたします。

そういうこともございまして、今日は3点話題提供させていただくんですが、まずは、今年の漢字ということでございまして、おととしは「歩」、去年が「米」ということだったんですけど、今年は何だということを問われ、今年は「一」ということで、1月にSDGsに取り組むことを宣言いたしましたし、ビワイチには推進室をつくり多くのお客様にお楽しみいただいています。桐生選手が日本一、双葉中リレーメンバーも日本一と、うれしいニュースを届けてくれましたし、何より滋賀県民長寿日本一と、これは東京大学大学院の調査研究並びに厚生労働省の発表がございました。国内外に目を転じますと、政治の状況では「何とか第一」というのが、「何とかファースト」という言葉があふれた1年でもございました。

そして任期が最終年になると。また、一をのぞむ心境で頑張っていきたいということで、句のほうは、「一しるし また一のぞむ 年の暮れ」としました。せっかく日本一の評価をいただきましたので、さらに日本一、高みを目指してまいりたいし、12月は新たな1月、新たな1年に向かう、そういう頃でもございますので、しっかりといろんなことを考えながら過ごす年の暮れにしたいと存じます。

お手元に、それぞれの部がどんなことが印象に残った事柄があったかということの資料もつけておりますので、皆様方の映像ですとか、紙面の中でご活用いただければ、また、ご一読いただければと存じます。

続きまして2点目は、この冬の知事の短期居住についてでございます。

私が最も大切にしている姿勢の一つに現場主義があります。これを体現する形として、それぞれの地域での短期居住を行ってまいりました。8回目となる次回は、年明け1月8日の月曜日の祝日でございますが、この8日から11日木曜日までの4日間、長浜市木之本町杉野にて実施することといたしました。杉野への居住は3回目となります。

これまで、この冬の湖北におきましては、その暮らし、オコナイ、さらには観音信仰の魅力を体験体感してきましたし、さらに、それ以外のことについてもですね、学ぶ機会をつくりたいということで今回、この短期居住のプログラムを調整中でございます。

現地での活動は、お手元資料にありますように四つ予定しています。

一つ目は、西浅井町大浦でのエリのアユ漁に伺いたいと、天候のこともございますので、ぎりぎりまでわからないところはあるんですが、昨年から、昨シーズンから不漁に見まわれておりますし、今シーズンも、現時点では昨シーズンの2倍以上の漁獲はあるものの、平年に比べると依然少ない状況がございます。漁に同行させていただいて、琵琶湖で何が起きているのか、漁師の方のお声も、船で、また湖上で伺ってまいりたいと思います。

二つ目は、冨田人形共遊団の皆さんとの意見交換でございます。地域に古くから伝わる冨田人形、これを次の世代に保存継承する取組、また、海外との文化交流にも積極的に取り組まれている共遊団の皆さんと意見交換を行いたい。

三つ目は、木之本の伝統産業でございます、和楽器用糸の製造現場の視察といたしまして、木之本町が誇ります有名な老舗企業であります、丸三ハシモト株式会社を訪問いたしまして、生糸から琴・三味線用の糸を製造する現場を視察したいと思います。

最後、四つ目は、自伐型林業に取り組む、地域おこし協力隊の皆さんとの意見交換でございます。自伐型林業につきましては、後ほどもイチオシでご紹介いたしますが、これは、持続可能な森林経営として全国的にも注目されている新たなビジネスモデルでございます。今回、自伐型林業に取り組みながら、定住に向けて起業もされた地域おこし協力隊の皆さんと意見交換を行いたい、今後の県の林業振興や移住促進の施策を考えるヒントにしてまいりたい。

杉野に滞留しながら、滞在しながらですね、余呉地域も積極的に見て回りたいということで、丹生ダム建設予定地の事情等もできる限り見て回りたいと考えているところでございます。

それでは、私からの最後といたしまして、今月のイチオシということでございまして、今回紹介いたしますのは、米原市の自伐型林業でございます。

米原市では、琵琶湖を守るためにはまず水源の山からという高い志のもとで、市民団体の皆さん、行政の皆さん、そして移住者の皆さんが、協働・協力をされて、琵琶湖水源の森を守りながら利用する、住み手よし・買い手よし・環境よしの三方良し林業であります自伐型林業への挑戦を始められておられます。

この取組を広く知っていただくために、今日は、米原市林務課の堀澤主任、東草野まちづくり懇話会の法雲座長、藤田事務局長の3人にゲストとしてお越しいただきました。せっかくの機会ですので、皆さんからお話をいただきたいと思います。

(法雲座長)

東草野まちづくり懇話会座長の法雲と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。私たちの「東草野地域」は、姉川の最上流に点在する甲津原・曲谷・甲賀・吉槻の4集落からなる山村地域で、合わせて約130世帯、300人が生活しています。しかし近年は過疎高齢化が深刻で、このままでは集落が消滅してしまうのでは、と危惧しています。

この現状を克服して若い人たちに帰ってきてもらうには、何よりもまず、地域に仕事を創ることだと考えました。東草野では、昔はほとんどの家が、炭焼きで生計を立てていました。今風に言えば、再生可能エネルギー産業の中心地でした。そこで、今は放置されていて獣害の温床になってしまっている地元の山林にもう一度光を当てて、この資源を何とか生かせないかと、いろいろ考えて、「自伐型林業」にたどり着きました。

お手元の資料のとおり、10月から『水源の里まいばら自伐型林業みらいつくり隊員』の3人に来ていただきました。現在は東草野地域で、森林作業の研修、古民家の改修、田舎で実現可能な複業づくりの研究などに取り組んでもらっています。彼らが任期終了後も林業を続けながら定住し続けていけるよう、そして、さらなる雇用が生まれて地域が活力を取り戻せるよう、今後も新たな事業として小規模なバイオマス発電の試みなどにも挑戦して取り組んでまいりますので、応援のほどよろしくお願いします。

(藤田事務局長)

東草野まちづくり懇話会事務局の藤田と申します。座長の話を少し補足させていただきます。東草野地域では、平成27年度から、「自伐型林業キックオフフォーラム」を皮切りに「自伐型林業担い手育成塾」などの企画を開催してまいりました。実際に山に道を付けて炭焼き窯を復元させたり、というような取組もやってまいりまして、10月から来られました、みらいつくり隊の皆さんには、この活動を引き継いで地域の自伐型林業の担い手・リーダーとして活躍していただこうという予定になっております。

東草野地域の大半は雑木林です。雑木林、里山の保全といいますと、ボランティアが前提になっていまして、行政の事業としての支援制度も乏しいというなかで、今回、みらいつくり隊を中心に、米原市さんとも協働しながら、雑木林を地域の経営資源として守りながら生かす、ローカルでソーシャルなビジネスを創りだしていくということに挑戦できることは、とても画期的なことだと思っています。

みらいつくり隊の任期は平成32年3月までの2年半になりますが、この間に、お配りしているイメージ図に近い地域づくりがどこまで実現できるか、私たちの挑戦に今後もご注目いただければと思います。

ありがとうございました。

この取組は、私も今年の1月に、少し下手の大久保に居住させていただいて、皆さんと意見交換しながら、こういった構想、アイデアも伺ったところでございます。

こういう取組が県内各地にもございます。山村地域、またひいては全国の山村地域の課題克服に向けた一助になればと、私も注目し期待したいと思います。

今、お話の中でありました、水源の里まいばら自伐型林業みらいつくり隊の皆さんが、実は本日もお越しいただいておりまして、3名の方は後にお座りいただいています。後ほど、ご取材等いただければと思いますが、鈴木孝平さんと、西村良子さん、目野美輝代さんでございます。ご紹介させていただきます。

少し長くなりましたが、私からは以上でございます。

[毎日新聞]

今年の漢字は「一」ということで、世界的に「○○ファースト」がはやったという話もありましたが、県議会では県益を最優先すると名のついた決議が先日ありまして、内容は河川治水政策のことでご存じのとおり、大戸川ダムの早期建設、そのための下流府県への働きかけ、あるいは知事合意の見直しということを働きかけるように知事に求めておられますが、この件について、まず知事ご自身の受け止めと、今後対応をどうなさるのか、あるいはしないのか、するとすればどんな形でと考えていらっしゃるかということを教えてください。

[知事]

議会で閉会日の21日に、今、お取り上げいただきました県益を最優先する河川政策の推進を求める決議が賛成多数で議決されました。この決議には、後段に、「よって、県当局においては、滋賀県民の生命と財産を守る県益を最優先する河川政策に真摯に取り組むとともに、四府県知事合意の撤回に向けた措置を講ずるよう強く求める。以上、決議する。」と記されておりますので、もちろん、県民の皆様方の生命と財産を守る河川政策に取り組んできておりますが、なお県議会では、こういったことに、より力を入れて取り組むようにという、こういうご指摘だと思いますし、また四府県知事合意の撤回に向けた措置を講ずるよう強く求められる決議が可決されたということでございますので、いずれにしても議会の決議は重く受けとめたいと思います。

そして、この決議に基づく対応をどうとれるのか、とるべきなのか検討をしたいと思います。

[毎日新聞]

決議に基づく対応というのは、決議の中の具体的に書いてある、四府県知事合意ですとか、いわゆる大戸川ダムのことについて、ということでしょうか。

[知事]

そういったことも含めて、どう対処するべきか検討したいと思います。

大戸川ダムについては、大戸川の治水には効果を持つものでございますし、天ヶ瀬ダムに流入する流量を一部、その施設によって食い止めることができる施設です。

四府県知事合意がなされたのが、平成20年の11月だったと記憶しておりますが、来年には合意から10年経つことになりますので、そういった意味においては、その後行っている治水政策、事業、河川整備等の効果をしっかりと検証することも必要でしょうし、大戸川ダムを含む案が国の検証によって有利だと、最も有利だと結論づけられたことを受けて、実施時期は検討するとされています。中上流部の河川改修と事業等の効果を見てということもございますので、そういったことがどう進捗しているのかどうか、効果をもたらしているのかということについて、国においてどう確認されているのかということを、県も共有しなければならない。また桂川、木津川、淀川、宇治川というものが混ざり合って合流して、淀川、そして大阪湾に流れ込むとすれば、下流府県ともそういった認識をすり合わせなければなりませんので、こういうことをする段階に来ているのではないかという議会のご指摘は、強く受けとめたいと思います。

[共同通信]

来年、知事選がありますけれども、兵庫県の井戸敏三知事が去年、同じ7月に再選されましたけれども、井戸知事がまた出ると表明されたのが3月ぐらいだったんです。それで、遅いと批判を受けていたみたいなんですけれども、知事もそろそろ表明しないと、同じような批判を受ける可能性もあるかと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

[知事]

兵庫県がどのような政治状況で、どのような経過を持って、そのようなお話が出たのかというのは、承知をしておりません。

私の任期は来年7月で区切りが来るということでございますので、そこに向けてどうこうするかというものについては、よく考えたいと思います。その上で、必要なときに必要なお話をさせていただきたいと思います。

[時事通信]

先ほどの知事選の件ですけれども、態度表明時期ですけれども、具体的にはいつごろをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

[知事]

かねてから申し上げていますが、やはり節目というのは大切にしなきゃならんのだろうなと思っているんです。そういう意味で、この年末は一つの節目、そして年度末は節目、任期が終了するときは節目、と言えるのでしょう。その節目節目で、どうであるのかということをよく顧みるとともに、その後を展望するということだと思います。これは何も知事である私個人のことのみならず、県という行政体の中でその位置づけがどうなのか、また県内でどうなのか、さらには県議会とどうなのか、等々、さまざまなことを勘案しながら、節目に検証するということが大事なのではないかと思います。

その際に一つのタイミングでとなりますのは、そういった節目に加えまして、いま取り組んでおります来年度の予算案の編成作業がいよいよ大詰めにきておりますが、その予算案をどのような形で議会にお諮りするのか、もって県民の皆様方にお諮りし、お示しするのか、というときにはですね、来年度の予算案を提案するわけですから、来年度以降の県政運営にどう処するのかということは問われる、また、答えなければならない、そういうタイミングではないかと思いますので、そのときには一定の考えを述べなければならないのではないかと考えています。

[時事通信]

具体的には来年の2月議会というのが想定されるんですが、そう理解してよろしいでしょうか。

[知事]

議会等で予算案をお諮りすると。その予算案が、来年度全体、その後のことも展望する本格予算ということになれば、当然、任期以降どういうことを考えているのかということについても、一定申し上げなければならないときに来るのではないかと思っています。したがって、この年末年始、よく皆様方のお話を聞きながら、県政に足りないところ、また私に足りないところをよく伺って歩き、考えてまいりたいと存じます。

[時事通信]

そうしますと、骨格予算になるのか、それとも本格予算になるのか、どのように現時点でお考えでしょうか。

[知事]

県政を途切れなく、かつ、天の時、地の利、人の輪を生かすという意味においては、しっかりと組むということがまず前提だと思いますが、そういったことも含めて、いろんなことを考えて予算案を作りたい、また、お示ししたいと思います。

[時事通信]

今のところは本格予算を想定しているという理解でいいのでしょうか。

[知事]

骨格のみ提案するということは想定しておりません。現時点では。

[NHK]

今日の午後にもアユの関係の会議が開かれます。アユの不漁については、先ほど少し触れられましたけれども、ある程度の原因解明のところまでだったと思われるんですが、来年度もこれから取り組んでいかれるというお気持ち、これまでも表明されていましたので、今の時点でアユに関してはどういうふうに取り組んでいかれる思いでしょうか。

[知事]

アユのことはとても心配しています。どういう状況になっているのか、話ができませんので難しいんですが、このアユの不漁問題から見る琵琶湖の健康状態というものをよく確かめたいと思います。もちろん、短期的に分かる、また、直接的につながる原因や影響もあるでしょうし、長期的にトレンドで見なければならないこと、また複合的に原因等を解明しなければならないことがあるのではないかと思いますので、いずれにしてもしっかりと原因調査を、これは何も漁業関係者だけではなくて、あらゆる側面から調査研究をし、琵琶湖の健康状態を確かめたいと思います。

同時に、このアユという漁業資源は、滋賀県民、滋賀県にとって大変波及効果の大きい、生活にも大変深く根づいている、そういう産物でございますので、このアユ漁をしっかりと、この12月、1月、状況を見極めながら、漁業関係者との対話を重ねて、経済へのマイナスの影響が出ないような対応も必要に応じてとっていく必要があると思いますので、いずれにしろ、緊張感を持ってアユ漁を見ていきたいと思います。

[滋賀報知]

先ほど質問があった大戸川の決議について伺いたいんですが、自民党の決議というのは非常に、知事がおっしゃったように10年ということで、この10年非常に異常天候ということで、四知事合意の時代からかなり情勢は変わってきた部分もあると思うんですけども、まずあの決議を見ますとですね、2点問題点があるように思うんですが、一つは県益の捉え方ですね。要するに1000億の事業としてですね、県が4億ぐらいですか、あとは京都とか大阪が300億か、ちょっと忘れましたけど、そのぐらいの負担で、4億で1000億のダムができればいいじゃないかという、一つの県益論があって、もう一つは、嘉田さんの時代は、作る必然性が低ければですね、無駄な公共事業というのは、結局それは県民なり国民の負担になってくるということで、淀川水系の流域全体の圏益と言いますか、そういう形で受忍できる範囲で全閉操作があれば、河川の周辺がちょっとぐらい水につかって野菜が被害を受けたとしても、受忍できる範囲であれば下流を思うと、下流は逆に上流を思って、その関係があればいい、というのが一つの流域治水論だったと思うんですが、知事は、この滋賀県益というものと、淀川水系全体の圏益という、その辺をどういう具合に改めてお考えか、1点伺いたいのと。

それから、知事がおっしゃった状況ですね、河川整備の、それで恐らく、恐らくというのは木津川にしろ、桂川にしろ、もちろん宇治川もそうですけど、河川改修なり掘削なりしてですね河道を広げたりすると当然流量が増えてきますんで、ある段階がくればですね、当然ダムをどうするか、大戸川ダムを作らなければ流量が増えてくるという、その判断がですね、迫っているというよりも、国交省が、近畿整備局が、ダムが有効という一つのサインがあって、もうぼちぼち河川改修が終わればですね、本格的に大戸川ダムを作ることによって、三川合流地点とか、淀川の本流に流れるものを水位低下をするために、どこかで判断せざるを得ない。あるいは、それはもうやらなければ、全閉操作をすることでダム化することによって下流を守ると。その代わり、これは嘉田さんなんかの理論ですが、下流を守るためにですね、被害が出た場合は下流はその被害を負担すると。そこまでしなければ、この大戸川ダムの問題も、淀川水系の流域の圏益を守るという流域治水論は成立しないんだろうと思うんですけど。ちょっとしつこくなりましたけど、大戸川ダムの判断をする時期が刻々と迫っていると思うのですね。そこを知事の状況認識、検証すると、改修成果を。それはもう近畿整備局に聞かれれば分かることで。その辺どういうふうにお考えになっているのか。2点お伺いします。

[知事]

まず、具体のご質問にお答えする前に、私も国会議員として、政務官として、副大臣として、今、知事として、一県民としてもそうですけども、治水政策をみるときに、やはり100年単位、時には500年、またさらには中国の都江堰なんかもそうですけど1000年単位でみるという、そういう視点がいるということと同時に、やはり滋賀だけっていう局所的なことではなくて、琵琶湖さらには琵琶湖の上流、そしてその下流と、そこには当然合流してくる河川があり、その河川の改修状況によって流量が決まる、変わる、そういったものの影響をどうみるのか、こういう視点が大事だろうと思いますので、この琵琶湖を含みます淀川水系の治水というものは、日本国内でも、いや世界をみてもですね大変希有な、人類の知恵が求められる、そういうテーマではないかなという思いで、今この課題を捉えているということが一つ。

もう一つは、ご質問の中に言及されましたが、ダムを含むおよそ公共事業については、その効果をしっかりと見極めて実施していくということはおっしゃるとおりだと思います。この効果というものには、二つあって、一つは時間軸でどうなのか、さらには、費用対効果でどうなのかということがあると思うんですね。そういう検討なり議論の中で、この大戸川ダムを含む淀川水系の河川整備計画、さらにはその先にある基本方針というものが議論され決められてきたという、こういうことだと思います。そういう点からすれば、まず県益というものについてはですね、当然滋賀県内の治水を考えるということが知事である私に課せられた使命であると同時に、当然、下流のこともみながら、その上流のことも考えながら治水政策を行っていく、現実の中で、困難の中でもすり合わせていくと、そして一歩でも二歩でも先に進められるものを進めていくというのが、私の使命であると思っていますし、そして県議会から課された決議だと受け止めております。

また、大戸川ダムについては、国の検証過程において、実はこの検証のプロセスというものは、私が政府にいたときに一定関与してつくってきた、その中に大戸川ダムも含めて検証作業を行ってきたという、この経過のあるプロセスでございますが、この国のプロセスにおいて、大戸川ダムを含む案が最も有利であるという結論が出され、中下流の河川改修の状況を確認しながら、検証しながらということでありますので、そういったものをよく国とも、下流府県とも検証し共有するということが大事だと思います。

やはり大事になってくるのは滋賀県にとって、滋賀県から流せる水にとって肝になってくるのは、天ケ瀬ダムの存在だと思います。この天ケ瀬ダムへの流入量があるから、例えば洗堰の全閉を含む操作がありますし、その後の琵琶湖から流れ出る後期放流の課題もございますが、この今、天ケ瀬ダムでは再開発事業が行われていて、平成33年度目途で今事業が進められていると承知しておりますが、この間これまで、若干遅れぎみに推移してきたという、こういう経過でございますので、今どうなっているのかということを確認する必要があるでしょうし、淀川水系の場合は桂川と木津川が、京都から三重からと合流して淀川を流れていくということからすれば、この桂川、平成25年には渡月橋のところでヒタヒタになるまで、一部溢れながら水を流した、この桂川、その後狭窄部狭くなりますけれども、そういったところの河川改修がどうなっているのか、木津川の上流には上野遊水地をはじめ、複数のダムもあります。現在、川上ダムが建設中でございますが、こういったものの進捗がどうなってくるのか、その進捗によって流量がどう変わるのか、こういったことをみながら、やはりその上流の大戸川を含む大戸川ダムを含む事業等をどう進めていくのか、というのが大事になってくると思いますので、一定時間かかると思います。同時に、県だけで知事だけで何か物事が判断できるということではないのではないかと思いますので、よくそのあたり国とも議論をしたいと思います。

[京都新聞]

今日発表されている短期居住についてお伺いします。次回が8回目になるということですが、知事は何のためにこれを続けておられて、これまでどういった成果といいますか、メリットというか、得られるものがあったのかお伺いできますでしょうか。

[知事]

私は京都生まれ大津育ち、前職では草津、栗東、守山、野洲という湖南地域で主に活動をしてまいりました。今現在、滋賀県知事として仕事をさせていただいているのですが、県内津々浦々、山々村々それぞれでございますので、できる限り、そういった地域の事情をよく知ろう、知るためにはもちろん伺ってお話聞いてという知り方もありますが、実際に住んで知ること、一緒に食べて、一緒に飲んで、一緒に語って知ることっていうことは大変意味のあることではないかと考え、知事就任直後から実施させていただいております。

居住によってですね、どういうことが効果としてあるのかということでございますが、数字となって、形となって、なかなか現れにくいのですけれども、県の知事である私の中にそういった地域の事情が深くインプットされるという有形無形の効果はまずあると思いますし、今現在進めておりますのは、先程ご紹介いただいた自伐型林業をはじめ、林業を成長産業化することで、過疎化をはじめとする課題大きい山村集落の活性化を図っていこうという、この県の施策をつくってきた。これはやはり短期居住の中で強く私に印象付けられたことによって、進めてきている施策ではないかと思います。併せて、山に暮らし山を生かしという県の事業もつくってきておりますので、いずれにしろこの山村集落の課題をよく認識した上での施策づくりに今後も生かしていきたいと思います。

[京都新聞]

ちなみに今回、同じ所に3回目ということですけど、これはなぜここにこだわっておられるのでしょうか。

[知事]

深い意味はございません。継続することでより分かることもあると、当然知事である私の居住させていただける環境というのが、まず、第一にあるのですが、継続することで分かること、また最初に行って、2回目に行って、3回目に行かせていただいて変わってきていることや、まだ進んできていることなども、まだ進んでない部分も含めて確認させていただく必要もあるのではないかと考えているところです。

[京都新聞]

最後にちょっといやらしい話ですけど、これ経費負担とかはどうなって、いくらかかっていて、どういう形で負担されているのでしょうか。

[知事]

ちなみに、この通勤というものも一部発生いたします。通勤に例えばバス代や電車代、公用車の費用もございますが、この居住先は仮住まいという整理をさせていただいておりますので、生活の本拠を移すものではないという整理で通勤手当の支給はございません。なお、居住をさせていただくところの家賃等は、私のいただく費用の中で、要は県の公費とは別に私費で支弁させていただいているところです。

[京都新聞]

新生美術館についてなんですが、見直案を示されて、それをまた見直すということで、1年以上開館が遅れそうだという見通しをお示しされていますが、今後具体的な開館時期としてはいつぐらいを見込んでいらっしゃいますでしょうか。

[知事]

この新生美術館は今は休館中でございますが、県立の近代美術館が老朽化してきているということもございますし、文化とスポーツで滋賀を盛り上げていこうというこのタイミングに、仏教・神道美術、さらにはアール・ブリュット、そして美術館に収蔵している近・現代美術、こういったものを活用する形で新しく生まれ変わらせたい、新生美術館として、プロジェクトを進めているところです。ただ、どういう構造にするのか、どういうコンセプトで臨むのか、一定基本計画をつくり、ご説明しながら臨んできたところですが、その入札等で、やはり市場との間で乖離が生じてしまった。それを、クリアするために見直す案について、十分な合意形成が図れていないということでございますので、少し立ち止まらせていただいて、広くご意見をもう1回伺って、さらにどう臨むのかということを考えたいと思います。

今回入札が遅れてこういう意見を伺う期間を持たせていただくことによって、当初の開館予定でありました2020年3月という開館時期は遅れることとなります。少なくとも1年以上は遅れる見込みとなります。少なくとも1年以上でございますので、少し、元々定めさせていただいた、この会見でもコンセプトとスケジュールを守りたいと申し上げておりましたが、そのスケジュールの方については、やはり見直さざるを得ないと思います。この点については、開館を待っていただいている方々、またご努力いただいている方々に深くお詫びを申し上げたいと思っております。いずれにしても、よくご意見を伺って、せっかくつくり直す美術館ですから、後世のためにより良い美術館がつくれるよう努力して参りたいというふうに思います。

[京都新聞]

時期的には、やはりまだ見通せない部分があるということでしょうか。

そうですね、ちょっと今想定している開館時期よりも、少なくとも1年以上遅れるということ以外は、いつ頃ということを申し上げ上げられる情報を持ち合わせておりません。

[中日新聞]

米原と岐阜に跨るところに風力発電施設の建設が計画されているという中で、先般、日本イヌワシ研究会が県などに生息環境を著しく損なう可能性が高いとして意見書を出されたということがありました。それについて、知事として意見書の内容も踏まえてどのようにお感じになられたのかということと、来月に知事意見を出されると伺っていますが、その辺にどのように影響されるのかというのをお伺いできますか。

県としては、ご案内のとおり「しがエネルギービジョン」というものをつくって、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの積極的導入に取り組んでいます。同時に、太陽光パネルもそうですし、この風力発電もそうですけれども、設置することによる様々な影響等々がありますので、そういったことと調整しながら、克服しながら、設置をする、活用するということだと思います。

その点で、今ご質問のあったこの風力発電事業については、イヌワシ研究会の皆様からも、ご懸念を、この事業の中止を求める意見書をいただいておりますし、昨日でしたか、米原市から、また環境省からこれは経産大臣にあてた意見が出されていると承知をしています。いずれの意見の中にも、例えばこういうイヌワシやクマタカ、鳥類の生存等に重大な影響が懸念されるということでございますし、住民の皆様方の生活環境への影響も懸念があるという指摘等がございますので、こういったことも勘案しながらですね、今後、審査会、また関係市町のご意見も踏まえて知事意見をつくり、また述べてまいりたいと思います。

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