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知事定例記者会見(2017年5月16日)

平成29年5月16日
(県政記者クラブ主催)

記者会見に臨む様子

おはようございます。今回もよろしくお願いいたします。

5月も中旬になりました。今日も、今朝から県政経営会議が行われ、私の方からは、いよいよ梅雨時に近づいてきたので、大雨洪水等に対する危機管理体制について改めて再確認をし、再度徹底したところでございます。

今日は、私の方から2点話題提供いたします。

1点目は、昨日もミシガン州立大学の生徒諸君が訪問してくれましたが、滋賀県とミシガン州の姉妹提携が始まって50年を迎えるということに当たりましての、ミシガン・滋賀姉妹友好交流50周年記念事業を実施させていただくことについてです。

ご案内のとおり、1968年(昭和43年)11月14日、滋賀県は、五大湖に囲まれ豊かな自然を有するアメリカ合衆国ミシガン州と姉妹提携協定書を取り交わしまして、以来、経済、生活文化、青少年等多方面にわたり相互交流を深めてまいりました。この関係は、私が生まれる前に始まったものでございますが、多くの先人の方々が、この関係構築にまた関係発展にご尽力くださいました。心から敬意を表したいと思います。特に、4年前に亡くなられたリリアン・クマタ先生は、私は直接お会いしていないんですけれども、多くの方々がお心遣いをいただき、今も心を寄せていらっしゃる、そういう先生でございます。

この50周年記念事業につきましては、昨年8月、ミシガン滋賀友好親善使節団の名誉団長としてミシガン州を訪問した際、リック・スナイダー ミシガン州知事と話し合い、今年度は滋賀県で、来年度はミシガン州で式典を開催しようということで合意し準備をしているものでございます。

姉妹県州の象徴的な事業といたしまして、ミシガン滋賀友好親善使節団の派遣、受け入れを行っています。昨年は、私も使節団名誉団長として参加いたしましたが、この事業では、1976年(昭和51年)の派遣開始から、延べ2,312人の方がミシガン州を訪問し、1977年(昭和52年)の受け入れ開始から、延べ882名の方が滋賀県を訪問し、それぞれホームステイ等を体験されています。また、彦根市松原町のミシガン州立大学連合日本センターでは、平成元年の開設以来、2,800人を超えるミシガン州の大学生が日本語、日本文化を学んできています。

1968年に、当時の野崎知事とロムニー知事が交わされた姉妹提携協定書には、次のような一文がございます。「この提携は、永久に滋賀県とミシガン州民を結ぶ友好のきずなとなり、また滋賀県とミシガン州の発展のために一つの布石となると同時に、世界の人々の理解を推進するものであることを確信する。」というものでございます。アメリカ国内でも、わが日本のプレゼンスが低下している傾向がある中で、私たちの深く、長く、幅広い交流の歴史は、アメリカにおける日本のプレゼンスを高める上でも大きな力を発揮するものであると存じます。「滋賀とミシガンから世界へ」ということで、1956年にアイゼンハウアー大統領が姉妹友好交流の理念として掲げられた「People to People」(人と人との交流)をまさに実践している滋賀とミシガンの交流のモデルが、日米交流のモデルに、さらには世界の交流のモデルになることを願っています。市町の皆さんとも声を掛け合いながら、今年、そして来年と、一緒に50周年に向けた取組を進めていきたいと存じます。

今年のミシガン州と滋賀県の交流事業といたしまて、資料にあるように、大きく四つ実施いたします。50周年記念モニュメントの制作、高校生の交流事業におけるウォータースポーツの実施、友好親善使節団と使節団経験者、姉妹都市代表者の受入れ、記念式典およびレセプションの開催でございます。それぞれの事業について、時期が近付きましたら、別途追って資料提供させていただきますが、まず、5月21日に開催されます、50周年記念モニュメントの制作について今日はお知らせをするものでございます。

ミシガン大学芸術学部生15名を信楽に迎えまして、信楽で活動するプログラムの一環として、50周年記念モニュメント制作ワークショップを開催し、21日(日曜日)に参加いただいた方と共に、陶器タイルへのメッセージや絵つけ、そしてタイルの装飾を楽しんでいただきます。この交流は、湖でつながる滋賀とミシガンとの未来を、アートを架け橋にして陶壁に仕上げていくというものでございます。ぜひ、皆様方のご取材や、お問い合わせをいただければと存じます。

続いて2点目でございますが、私と守山市長と、国土交通省近畿地方整備局長のビワイチサイクリングの実施についてでございます。

県では、ビワイチの推進に向けて4月からビワイチ推進室を設置いたしまして、部局横断で取組を進めているところです。この度、国土交通省近畿地方整備局長が、これは定例なんですけれども、知事局長会議のため来県されます。この機会をとらえまして、整備局長、守山市長とともにビワイチサイクリングを行います。1周回れればいいんですが、その時間はありませんので、この5月に短い距離ではありますが、裏面にありますルートの通り回らせていただきます。わずかな時間でありますがこの体験を共有いたしまして、琵琶湖を活かしてのビワイチという、地方創生の取組に向けて国、県、市がさらに連携を強化する、そういう契機としたいと存じます。今回、私自身もサイクリングスタイルでさせていただく予定でございますので、しっかりとPRしていきたいと存じます。

私からは以上でございます。

[中日新聞]

アユの不漁について2点お聞きしたいんですが、4月末から少しずつ漁獲量が増えてきているという話が出てきていて、ただそれは一部の漁協だけという話もあると思うんですが、それについての知事の受け止めと、来期以降のアユの人工河川への放流について、対策をどういうふうに考えているのかお聞かせください。

[知事]

まず、先般、漁連の皆様方からご要望もいただきましたし、その際にも私からも申し上げたんですが、今年の冬からこの春、初夏にかけてのアユの漁獲量が激変しています。そのことには私も大きな心配をしています。自然のことですので、わからないこともたくさんあるんですが、まずはどういう原因によるものなのか、またその前には、状況がどうなのかということを、細かく詳らかに見ると同時に、その原因は何であると推定されるのか、このことをできるだけ早期に解明をしていきたい。その際には水産課のみならず琵琶湖環境部、琵琶湖環境科学センター等々、滋賀琵琶湖に関連する研究者、業者が連携して原因の究明をしていきたいと思います。

また、併せまして、アユのことのみならず、この琵琶湖の生態系がプランクトンも含め、水質も含めてどういう状況にあるのかということを、今一度私たち自身が確かめて、掴んで、そしてお互いに分かり合う、そういう機会にしていきたいと思います。

二つ目のご質問とも関連しますが、当座、今申し上げた原因究明と対策を、このアユの資源をどうしていくのかということについて、考えていかなければなりません。4月の下旬からこのゴールデンウィーク、5月の中旬にかけて若干回復の兆しが、と聞いておりますが、まだまだ量が十分でなかったり、あと、アユの生育がこの時にふさわしいものなのかどうかということも確かめなければなりませんし、もう少し見る必要があるのかも知れませんが、これらが今後のアユの生育を、次の世代に向けたアユの産卵にどう影響するのか、しないのか、この辺も見極めながら、短期と中長期の対策に分けて対策を講じていきたい。ご要望の中には事業者の皆様方に対する融資等ご支援の要望もございましたので、そういったご要望も踏まえて検討し、必要な対策について、時に必要な議会へのお諮りということも必要になってこようかと思いますので、そういったことも含めて検討していきたいと思います。

[中日新聞]

若干回復の兆しがあるということに対する知事の受け止めというと。

[知事]

まだ楽観していません。よく見たいと思います。

[中日新聞]

人工河川への放流についてですが、例年5月の下旬から飼育池で育てて、8月の下旬から9月の初旬にかけて、人工河川に放流していくという流れだと思いますが、増強する場合そろそろ判断する時期なのかなと思うんですが、それについての知事の見解を。

[知事]

まず、どういう状況に琵琶湖があるのかということを見ないと、放流したアユがちゃんと育つかということもございますので、そのあたりの見極めもしたうえで、どれだけの量をどういう形で放流するのがいいのか、ということを検討し講じてまいりたいと思います。

[中日新聞]

その場合、原因究明というのには時間が限られているのかなと思うんですが、今後のスケジュールはどういう感じになるんでしょうか。

[知事]

まず、次の産卵までに、その産卵に間に合う放流までに、全てが分かる訳ではありません。ただ、できるだけ早くこれが原因ではないかという高い確率で推論というか、そういうものをきちんと掴んだうえで、行った対策の効果が最大限得られる、そういう対策を講じてまいりたいと思います。

[中日新聞]

ビワイチサイクリングについて、知事と守山市長のお二人がサイクリングをして経験を共有するとあるんですが、経験を共有した上でどうしていきたいと、ここをちょっと伺えたら。

[知事]

ご質問ありがとうございます。経験を共有した上でさらにビワイチサイクリング環境の改善につなげていきたいと思います。具体的には安全に走行できる環境、より多くの方々にお楽しみいただける案内やサポートやレスキューの体制整備ですね、こういったことにつなげていきたいと。やはり、体験と体験の共有は前進改善につながると思いますので。

[中日新聞]

守山市長と知事が一緒にサイクリングするのをまだ取材したことがないんですが、以前にされたということを聞いたことがあるんですが、何回目になるんですか。

[知事]

もう複数回、5回くらいになるのかな。正確な数字はお知らせいたしますけれども、数えきれないくらい守山市長とは乗っています。彼はスペシャリストですので、付いていくのが大変なんですけれども。

[京都新聞]

サイバー攻撃が、政府機関や行政機関など、民間でも被害が出ているということですけれども、滋賀県庁は現状で被害があったのかどうか、今後の対応・対策についてお聞かせください。

[知事]

私も心配しています。現時点で、県に寄せられている被害状況、県内には、また、県の関係機関にはございません。が、どこでどのような形で受けるかわからない、こういうアタックですので、不審なメールは、添付ファイルは開かない、などなどのメッセージを県警からも発していただいているところですので、注意喚起をするとともに、しっかりと監視体制を敷いてまいりたいと思います。

[京都新聞]

庁内でも、県民の生命・財産にかかわるようなシステムというものもあるかと思いますが、その辺の対応は、知事は今のところどのようにお考えでしょうか。

[知事]

こういったICT、特にインターネットに関連する情報関連のセキュリティ対策については、例えば、中でさわるものと外とつながるものとの分離ですとか、できる対応、ウィルス対策ですとか、そういったことは順次、また常日頃行っています。が、なおそれを上回る攻撃等が繰り広げられているようですので、どういう攻撃が行われていたり、どういう問題が、トラブルが発生しているのかというような情報もよくよく入手しながら、なお万全な体制をとっていきたいと思います。

[時事通信]

クールビズの関係ですけでも、国のほうで28度の設定が不快なのではないかという議論が一時出たりしましたが、滋賀県としてはクールビズに関しましてどのようなお考えをお持ちなのか、もしございましたらお伺いできればと思います。

[知事]

クールビズは、ぜひ進めていきたいと思います。それぞれの方の体調や、また、その時々の環境に応じて、クールビズは積極的に進めていこうというのが、私たちの考えです。

28度が快適なのか不快なのかというのは、湿度にもよるところがあるかもしれませんし、ご本人の体調や、その環境にもあるのかもしれません。一定、労働安全衛生上の一つの温度として指標が定められていると承知をしていますけれども、そのことはあまり本質的なことではないのではないかと思います。温度が高い、低いっていうことはですね。

むしろ、良かれと思って冷やしすぎて、多くの方が逆に夏なのに室内で厚着をされるとか、それを適正に保つことで、より省エネに資するというような、そういう賢明な行動に、個人個人もそうですし、社会的な賢明な行動につながるような、そういう取組を促していきたいと思います。

[時事通信]

また国の関係で恐縮ですが、受動喫煙対策ですね。これは自民党と厚生労働省の方で、意見が分かれているような状況がありまして、受動喫煙を全面禁煙するべきか、それとも一部は分煙という形にするべきか、という議論があります。これに関して、知事のお考えと、県としてはこの辺についてどのようにしていけばよいとお考えなのか、お伺いできればと思います。

[知事]

まず、国全体のこの議論は大変注目して私も見ています。より健康であるために、この喫煙環境というものをどう考えるのかということだと思います。私も以前喫煙者で、今はまったく吸っていない。で、ちょうど国会の建物の中で分煙環境を整える過程にその対応をした一人の人間として、やはり受動喫煙というものは限りなくゼロに近づけるべきだと思う。吸う人の環境は一定、保たれ、守られてもいいけれども、好まない人に煙がいくという、このことは限りなくゼロに近づけるべきだと思いますので、受動喫煙ゼロの中でやはり2020オリパラを迎えたいという、こういうことですので、国もその流れになればいいなと思っています。

滋賀県においても、今回のこの国での議論もよくよく踏まえ、これから関西ワールドマスターズゲームズも行われますし、当然オリパラも様々な合宿地ですとか、様々な来訪も期待していますし、国体もやる、さらには文化とスポーツで健康な滋賀県をと標榜しているわけですから、そのことに資する対応を検討してまいりたいと存じます。

[時事通信]

自民党の方では、小さな飲食店とか、そういったところへの配慮というものを、分煙の必要性としてあげているところもあるかと思うのですが、全面禁煙ということになりますと、そういったところも対応をとらなくてはいけないと思うのですが、その辺りについて、事業者対応とか何かお考えでしょうか。

[知事]

議論・検討の中で、そういったことが考えられているということは私も承知しています。が、前段申し上げたように、望まない受動の喫煙というものは、私は限りなくゼロにすべきだというふうに思いますので、当然、狭いスペースであっても、小さい事業所であっても、望まない煙を吸う環境あるという、この環境は是正すべきだというふうに思います。

[京都新聞]

おそらく明日になろうかと思うのですが、関電の高浜原発が再稼働するのではないかということで、1年数か月ぶりになるかと思うのですけど、また、実際に再稼働すれば改めてとは思うのですが、今の知事の思われる高浜を取り巻く県との関係性の課題とかですね、さきほどビワイチで近畿地整の局長が来るということではあるようですけども、例えば避難路とか避難経路、やっぱり滋賀は琵琶湖が真ん中にあるので、非常に脆弱な部分もあるのではないかな、特に湖西の部分なんですけども、そういう話なんかもされるのかとか、知事が思っていらっしゃる課題とかは何かありますでしょうか。

[知事]

若狭湾にたくさん立地している原発に隣接する滋賀県、多くの方々が、日々飲み、使われる水、その水源となる琵琶湖、さらにはその水源となる山々をお預かりする滋賀県の立場といたしましては、稼働・非稼働にかかわらず、そこに現存するということからすれば、それをより安全に保つ、そして福島事故を教訓に、実効性ある防護体制、安全体制に管理された状態でそれらを見ていくということが必要である。ということから、常々申し上げておりますように、実効性ある多重防護体制の構築が必要だということでございます。

何をもって実効性ある多重防護体制と言うのか、ということについて、私は立地自治体だけではなくて、そういった万が一の影響が及びうる、その自治体も関与した形で行われるべきだということ。ハードの対策も必要ですけど、ハードだけではなくてソフトの対策、さらには、その原発の設備だけではなくて、周辺のもの、オフサイトのそういった施設も含めて。そういった手続や、そういった関与の仕組みについて、この原発はそうだ、この電力会社はそうだ、この自治体をそうだという、個々ばらばらの任意のものではなくて、やはり法定でルール化された、そういった体制を構築すべきだと。このことをもって、実効性ある多重防護体制の構築が必要だということを申し上げておりますが、それも一つの大きな課題。まだまだ道半ばだと思います。

さらに、原発というものですね、私たちは長年、そこから発電される電力にも頼ってきました。長年、この立地を受忍していただいている立地自治体の皆様方にも敬意を表さなければならないと思っていますし、今ある原発を安全に保つために、現場で作業員の方や技術者の方々が懸命に努力されているということにも想いを致したいというふうに思います。

ここにきて、福島事故から6年が経過して、その事故収束は果たしてどうなんだろうかというものを見てみると、一部帰っていいという区域に戻ってきているようですけども、除染の問題や汚染水の問題や、こういったこともまだまだ課題がある、費用も嵩む、という状況がございます。

また、動かせば使用済みの燃料が出てきますが、その置いておき方、中間処理、貯蔵、処分のあり方、ということに道筋ができているのか、いわゆる静脈対策というものの、もちろん国も検討されているようですけれども、じゃあこれでいきましょうという合意形成ができているわけではない。

ということからすると、果たして原子力発電というものが安定電源たりえるのか、ということについては、私たちは強い疑問を抱かざるを得ない。国民の皆様方も、県民の皆様方も、やはり減らしていくべきだというご意見が多数を占めているという、こういう状況でございます。

また、一旦事故が起こった場合に、また、その事故が起こらないようにするために、短期的な電気料金は下げられたとしても、長期的なコストというものの見合いにあう発電のあり方なのか、そういう意味で原発の経済性というものにゆらぎが出ているのではないかというふうに思います。ですから、再稼働を容認できる環境ではないと、常々申し上げています。

ただ、一方で、できることをもっと積み重ねていくべきだということもございますので、この原発に依存しないエネルギー社会にしていくための取組をですね、国もまずは相当程度原発に依存しようとしている、このあり方を早期にやはり見直して、もっともっとできる、省エネもそうですし、再エネ導入もそうですし、もっともっと原発を使わなくてもできるエネルギー社会に向けた施策の構築を、しっかり進めていくべきだということでありますので、これも一つの大きな課題だと思います。

少し長くなりましたが私自身の考えです。

[京都新聞]

今度、近畿地整の局長が来られたりするときに、何か具体的に思っていることはありますか。

[知事]

失礼いたしました。その意味で、今ある原発に何か起こった時に、どう逃げるのか、ということも大変大きな課題だと思います。その際に、どこを使ってどう逃げるのか、一部では、一部のエリアについては屋内で退避だということでございましたが、これについても熊本地震を教訓に、それが成し得るのかという問題提起をさせていただいておりますし、では動くということになった場合に、どこをどう使って、どれくらいの人が移動するのか、まだまだ県内の避難経路については十分ではないと認識しています。それはインフラそのもののスペックの問題もございますし、雪が降ったときに、今回の冬もたくさん雪が降りましたけれども、どう動いていただけるのか、動ける環境をどう我々が作れるのかということも、まだまだ課題はあろうかと思いますので、こういった環境を不断に改善していく。当然、道路のことは道路で、湖上のことは湖上で対応していかなければなりませんので、不断に検討を重ねていきたいと思います。必要な要望もしていきたいと思います。

[京都新聞]

ちょっと大きな話、知事ご就任になってからですね、もちろん長い原発なんかは一部で止まったりといいますか、廃炉という方針が決まったりはしておるとは思うのですけども、結局、再稼働に動いていっているという現状はですね、知事はいろいろ原発に対する疑問をお持ちになって当選をされている中で、こういう現状は改めてどう見ておられるのでしょうか。

[知事]

どう見ているかというと、なかなか難しい質問ですけど、できるだけ早く原発に依存しない社会をつくるべきだということからすると、また、稼働・再稼働を容認できる環境にはないという私の主張からすると、その主張とは違う、そういう方向だと思っています。それで将来に責任ある社会やエネルギー社会をつくっていけるのかということには大きな疑問を感じます。

[産経新聞]

原発再稼働の件ですが、先程知事が「到底、今は再稼働を容認できる環境に無い」というふうにおっしゃっていたのですが、関電側は再稼働をすると電気料金を値下げするという意向を示されていると思うんですけれども、このことについてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

[知事]

先程も申し上げたとおり、まだ前提として、どう料金が上がるのか下がるのか具体的な提示をいただいていない状況にございますが、短期的に料金が下がって、中長期的、特に長期的に私たちの負担がどうなるのかということに対する確証が得られないですよね、不安がまだまだ多くありますよね、福島の事故をみれば、そのかかる費用どんどん増えていますよね、それを誰がどう負担するのかっていうことも極めてまだまだ不確定ですよね、これで本当に収まるのかっていうことも確証が得られないですよね、また今後どう議論が収束するのか分かりませんけれども、使用済核燃料の処理の仕方を巡りその負担というものを誰がどう負担するのかということもみえてこないですよね、廃炉というものもだんだん出てきましたけれども、こういったことを誰の負担でどう行っていくのかということもまだまだ決まっていない状態のこともあると思います。その意味で、短期的な料金の引き下げだけを喜べる環境にはないのではないかというのが私の考えです。

[産経新聞]

先程アユの対策でも、短期的な対策と中長期的な対策が必要で、中長期的には原発というのは廃炉すべきというのは、ある程度みんなのコンセンサスはあるのかなと思いますけれども、今現状として原発が必要かどうかをみた時に、やはり知事は、原発はやはりいらないんじゃないかというようなお考えなんでしょうか。

[知事]

いらないと言っても今あそこにありますので、その現実には当然対応していかなければなりません。私は住民の皆様方の命や健康や安全というものを守る立場の人間として、また福島原発事故等、数年前に起こっているわけですから、今のその被害の状況もあって福島県はじめ色んな地域で苦しまれている方々がいらっしゃる。二度とこういう状況を起こさないという考えを持つ者として、この原発にも向き合っていかなければならない。従って私たちはそういう確証の得られる防護体制が取れないのであれば、動かす環境にはないのではないかということを申し上げているところでございますので、かつこの間、動かしてなくても回っている経済があるわけですよね、そういったものをどう見ていくのかということだと思います。

[読売新聞]

原発に関連してなんですが、先程の最初の質問に対する返答の中で、知事が以前からおっしゃっている多重防護体制がとられない限りは容認できないということで、多重防護体制の具体的な中で3点挙げられて、ハード・ソフトと、2点目がオフサイトの施設の在り方と、3番目は任意の原発の協定の有り様についてということですが、2点目のオフサイトの施設の有り様というところなんですが、個別の話になってしまいますが、今現状規制委員会の方で新規制基準が設けられて、それについても改められていると思うのですけれども、その新たな新規制基準でも、まだまだオフサイトについては不十分だと、新規制基準もまだまだ知事にとっては不十分だというふうなご認識だということで良いのでしょうか。

[知事]

全てを私は新規制基準に照らし合わせて、それが良い悪い、適性だ、十分だ不十分だということを申し上げているつもりはありません。規制基準は規制基準に則った内容があるのですが、私たちが隣接する自治体に、隣り合う自治体としてみていた時に、その原発の施設というもの、これらは何も立地自治体だけでみて、動かして良い悪いというものを決めるべきものではないのではないかというそういう視点でありますとか、その施設そのものだけではなくて、例えば放射能がどう出るのか出てないのかということを測定する体制の在り方ですとか。まあ、これについては一定私達の指摘もあって、随分改善してきていますよ。国の支援もあって色んな所に可搬型若しくは固定型のモニタリングポスト等も整備されてきていますので、一定改善はされてきておりますが、まだまだ十分ではないのではないかという認識ですね。更には、こういった施設を、施設・ハードだけではなくてソフト対策、情報提供含めて、ある意味ではリスクコミュニケーションや正しい知識の理解というものも含めてですね、きちんとその地域に醸成されているのかというと、まだまだその環境が整えられていないのではないかという意味でソフトの問題提起をさせていただいているところですので、何も新規制基準に合う合わないということだけで私たちは、このことを申し上げているわけではありません。

[滋賀報知]

防災危機管理体制について伺います。北朝鮮のミサイルが14日発射されましたけれども、中距離弾道弾ミサイルがというように北朝鮮の方は発表していますけれども、今後もこういうミサイル実験とか開発はある意味では加速化されるとみていいんだろうと思うのですが、そういう意味で地方自治体の体制も非常にロングランないしは継続してくると思うのですが、先だっての市長会で、まずこのミサイルで県教委の対応について非難がありですね、危機管理は総合行政であって知事が系統だってやって欲しいというような声もあったと思うのですが、この辺について知事のお考えを、横断的対応とか、どういうような庁内ルールを定めるか、県教委も含めて伺いたいのが1点ですね。

それから2点目は、同じく市長会で国体の全体像を示して欲しいということで、県は7月ですか夏には示していくということですが、これ具体的にもう時間もありませんので、どういう日程スケジュールで進めていかれるのか、2点お願いします。

[知事]

まず2点目の国体については、以前から申し上げておりますとおり、出来るだけ早くその時点で掴める全体像を掴んで、まとめてお示しをしたい、これが今の方針です。いつまでにということよりも出来るだけ早くということです

そして、一つ目にお尋ねのあった北朝鮮のミサイル事案ですね、これも私も報道と、あと政府発表のもので情報を知るしかないんですけれども、頻発していますので、私も軍事の専門家ではありませんのでよく分かりませんけれども、色んなタイプのミサイルが色んな飛び方で、いつでもどこでも発射できる体制になってきたということからすると、しかも1,500kmで、日本のほとんどがカバーされていることからすると、大変憂慮しています。従って自治体としてもしっかりとこのことに緊張感を持って、対応していかなければならないということで、いつもより感度を上げて体制を構築しているところであります。

この弾道ミサイルが発射されるかもしれない、飛んで来るかもしれないということを受けた県の対応、また教育委員会の対応、学校の対応をめぐる様々なご意見を市長会はじめ色んな方々からいただいております。それらについては真摯に受け止めさせていただいて、前例の無かったことですので、私どももよかれと思ってやったことが、実は受け手の皆様方にとって、私たちの意図する受け取り方をしていただけなかったとすれば、そういったものは真摯に反省しながら、今後に繋げていきたいと思っています。

危機対応事案、危機管理事案に知事が責任をもって臨むべきだということは、私もそのとおりだと思いますし、責任もって臨んでいるつもりでございます。文書の発信者の問題はですね、全体として知事が権限を持ちながら、その時々、例えば情報提供の部分、通知の部分を知事の指示のもとに、どなたの名前でどなた宛に発信するのかということもございますし、なお感度の高い、なお緊急を要する事象等については、これはもう言わずもがなですけれども、知事と市長等が連携して対応するということはしっかりと踏まえているつもりでございますので、今後ともそういった方向で対応していきたいと思いますし、なお今回の対応をめぐって改善をすべきところについては改善をしていきたいと思います。

[滋賀報知]

知事がまずトップで教育委員会に対しても司令塔でやっていくということは前提条件として考えていいのでしょうか。

[知事]

大きな意味においてはそういうことだと思います。県内にある学校については、知事である私が責任をもって対応をするということだと思います。ただその時々、司々で、どの方々が責任をもって文書を出されたり、連絡をされるかというのは役割分担の中で、整理されるべき事柄であります。

[時事通信]

高浜原発の件でお伺いしたいのですが、京都府の方には関電の方が来られて知事に説明をされたようなのですが、滋賀県の方にも関電の方が来られて説明をされたりという機会はあるのでしょうか。

[知事]

現時点、予定されていません。

[時事通信]

先程のミサイルの件ですが、県内では高島市の方に饗庭野演習場ございまして、PAC3ですか、あるという話らしいのですけれども、どこまでその辺の自衛隊との連携とか、県がすべきなのかは分かりませんが、その辺りどのようにお考えでしょうか。

[知事]

もちろん県内には饗庭野に航空自衛隊と陸上自衛隊、戦車大隊、並びに大津に陸上自衛隊の中部方面混成団の大津駐屯地、これは主に教育大隊ですけれども、これらが所在しています。それらが北朝鮮のこういったミサイル事案を含めどう対応されているのかということは、全国の国防の枠組みの中で対応をされている、その過程において県と何か細かくやり取りということは、それぞれの隊とはございませんが、常日頃、こういった自衛隊組織と顔の見える関係を作って危機事案にいざという時にご指導いただく、私達県民の身を守っていただくということについては大切にしているところですので、先般も大津の駐屯地で行われた記念式典に私自身も参列をさせいただいて、幹部の皆様方と直近の情勢等について情報交換をしたところでございますので、そういう感度というものを絶えず高く保っておきたいと思います。

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