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知事定例記者会見(2016年1月4日)

平成28年1月4日
(県政記者クラブ主催)

俳句初春や 聴き見て言うて つくる滋賀を発表する様子

平成28年、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

新春、年明け、仕事始めにあたり「初春や 聴き見て言うて つくる滋賀(はつはるや ききみていうて つくるしが)」と。此処には私が大晦日に彫った版画があります。

「見ざる言わざる聞かざる」ということがございますが、本質を見よう、現場を見よう、そしてしっかりと皆さんのおっしゃることを聴こう、さらには言うべきことを言おうということを自分自身に課して誓い、とりわけ聴くということを最初に持ってきたことに意味をつくっておりまして、とかく言う事の多い、見ることの多い仕事柄ではありますが、良く聴こうという事を旨としたいという事でございます。

おかげさまで穏やかな天候のもと、健やかに新年を迎えることができました。この間も年末年始なく仕事をされた方々に敬意を表し感謝申し上げたいと思います。

先ほどの職員訓示、年頭挨拶でも申し上げたように、今年は五輪イヤー、オリンピックイヤーですので、4年後に東京オリパラ、8年後に国体と全国障害者スポーツ大会を控えている滋賀県としてしっかりと文化とスポーツで盛り上げていこう、様々なことを決めてつくっていこうという事を申し上げ、同時にエネルギー、治水、防災、道路、鉄道、観光といった広域の中で滋賀県の立ち位置姿勢が問われ試される課題がありますので、そういうものにしっかりと向き合い、取り組んでいこうと、そのために知恵と力を出してほしいという事を申し上げました。

総合戦略は19のプロジェクトが動き出しておりますので、それらの結果を出していくのと同時に、もって新しい豊かさを具現化していくということですし、思いを込めたのは、グローバルな時代だからこそローカルのオリジナルのものを、スピーディーな時代だからこそスローな生き方食べ方をしようという視座を持とうと呼びかけました。

特に力を入れたいこととして、琵琶湖の保全と再生、その価値と魅力の自覚ならびに発信というものを呼びかけました。二つ目は人と人、共生社会づくりの前進ということで、昨年来学ぶ力向上プランであるとか、共に学ぶ特別支援教育ビジョンなどをつくりましたので、それらを実行していくと同時に県立・市立・私立を含めて、滋賀県の教育、とりわけ高校大学の教育を充実させる取組を深化させていきたい。また、人と人の中には、働き方改革に心を込めました。池永副知事に就任いただきましたので、これまでの経験を踏まえ、しっかりと女性の活躍推進、男女共同参画、滋賀県の取組をつくり進めると同時に、日本全国の取組をリードしようと、そのための具体の取組を着手することを宣言いたしました。三つ目は備えの充実と危機管理ということでして、東日本大震災から5年目となります原発防災についても国や電力事業者と立場を異にするテーマや局面課題もございますが、引き続き琵琶湖をお預かりする、集水域の山・川・草・木・土をお預かりする立場からしっかりと原発防災のあり方についても国に申してまいりたい、電力事業者に発信してまいりたいと思います。危機管理センターが開所しますので危機管理の拠点としてしっかりと活用していきたいと思います。

繰り返しになりますが、池永副知事に二人目の副知事としてご就任いただきました。国との連携強化、国への発信の強化、トップマネジメントにおける多様な視点価値観の反映、良い意味での化学反応を起こしていこうということを申し添えました。

最後に前例にとらわれず、異論や筋書き通りにいかないこと、時に対立も楽しみながら、やりがいとしながら仕事をしようということを自分自身にも言い聞かせるつもりで申し上げたところでございまして、これから今年一年も滋賀県らしく施策を進めつくってまいりたいと思います。

報道機関各位の真摯なご対応、ある意味では緊張感ある建設的なご提起賜りますことをお願い申し上げ本年冒頭の挨拶とさせていただきます。

私からは以上です。

[読売新聞]

昨年どうしても思うように進まなくて、今年こそはと思っていらっしゃる項目、これが残ってしまったという項目は。

[知事]

全部そうなんですけどね。全部思う通りいかなかったですし、また去年で終わった、やり終えたという事はないので、すべてにおいて継続案件だと思うんですけど、注目され悩んだな、厳しかったなというのはやはり原発・防災のあり方ですね。再稼働の手続が年末若狭湾、若狭エリアにおいても進められた。私どもは再稼働を容認できる立場にはないということを申し上げたにも関わらずということで、この件は今年も引き続き粘り強くやらねばならない課題だと位置付けておりますし、いよいよ国体・全国障害者スポーツ大会に向けた取組も決めるべきを決めていただきですね、そして具体の取組を進めていかなければならない、こういう局面に入ってきますので、プロスポーツチームの支援の在り方では昨年悩みましたけれども、一定のご理解をいただき答えを出したところでありますし、そういうトップアスリートの応援含め、また次世代のアスリートの育成含め、施設整備含め、しっかりと取組に着手していかねばということですし、琵琶湖の問題はおかげさまで日本遺産の認定ならびに法制定、大きく前進したところでございますが、喜びに浸る、感慨に浸る間もなく水草問題、また様々な課題がですね、山積しておりますし、改善どころかむしろ拡大しているではないかというご指摘もいただいているところです。これらは非常に滋賀県の取組が問われる、次の時代に非常に影響する課題だと思っておりますので、より気持ちを引き締めていかねばということです。思いつく限りそんな感じです。

[読売新聞]

北陸新幹線の問題で知事は関西広域連合の合意として米原ルートというふうにおっしゃっていたんですが、そのメンバーの中で足並みが若干そろわなくなるおそれが、舞鶴ルートという話がでておりますけれども、関西を一つとして米原ルートを引っ張ってくるというのが米原ルートの大きな強みだったと思うんですけれども、そこが崩れる可能性が出てきた今、何か対策として、滋賀として動きを変えられるとかお考えはありますか。

[知事]

崩れるとは私は認識していないんですけれども、関西広域連合は関西広域連合として約3年前に米原ルートが最適であると決めています。同時に負担分担の在り方とか、並行在来線の在り方についても提起しています。

その後、そこに含まれる形であったとすれば、それ以外のルートが営業主体の方から提起されるのではないかという報道でありますとか、その他のルートがあるのではないかという事とか、これまでの整備新幹線の整備の在り方とは異なるルールづくりを提起していますよね。費用分担、並行在来線のことも含めて。また、国の計画には無いルートを提起していますよね。

従って、いよいよ決めるという段階において、いろんな意見が出てくる。そういう段階ではないかなと思っておりますが、しかし私どもは、この国家財政の状況を鑑みるに、また、いろんな地域の特性を勘案するに、より早くより安く整備することの合理性でありますとか、また、つなぐべきを早くつなぎ、関西全体の可能性拡大という観点からは、使わなくてもいい資源があるとすれば、それをリニア新幹線の早期大阪までの開通にという事につなげたほうが、広い意味での公益に資するのではないですか、という主張をさせていただいたところです。

今後、それぞれ他の主体からも意見表明がなされ、政府与党において決定の段階に入っていくものと承知をしておりますが、関西は一つで取り組んでいけるように私自身も努力をしていきたいと思います。

[産経新聞]

さきほど原発防災のあり方についてお話が出ましたが、年末に安全協定の締結方針を示されて、年明けにも協定締結をされるということだったのですが、いつごろというのは決まりましたか。

[知事]

1月中を予定に準備を進められていると承知しておりますが、まだいつということが決まっている段階ではないと思います。

[滋賀報知新聞]

今月早ければ28日ぐらいですかね、高浜原発が稼働するという状況です。今までは多重防護体制が整っておらず、再稼働を容認できる状況じゃないということでしたが、これから再稼働するという状況が完全に変わるわけですが、まずそれについて伺いたい。

防災なりそれに備えるという事なんですが現実的にどういう風に原子力防災を今までとは違う新しい質的転換としてとらえられているのか伺いたい。

一つ目はまず、今までシミュレーション、大気から始まり水に始まり今は生態系ですね、今年度中には出されるようですが、魚介類がどこまで残存するかみていかれるんでしょうけど、まず一つは大飯原発と美浜でしたけれども高浜原発そのものでもう一度シミュレーションされる計画があるのか、大飯と非常に近いですからわざわざそれをする必要はないのか。

二点目は、大気のシミュレーションそのものが非常にリスクの高い気象条件を選んでいましたけれども、今は普通の状況でどのぐらいの影響があるかというのを県の環境科学研究センターでやられているようですけれども、それで現実的にどういう具合に体制を組みなおされるのか、もっと言えば、すでにシミュレーションの段階では水はもう3割から4割が飲料水に適さないものが発生して、それが7日間以上飲めないと。飲料水の備蓄体制を県はどのように考えているのか。それから浄水処理で3割から6割ぐらいまでしか除去できない、じゃあどうしていくんだという、高浜原発の再稼働に伴ってもう少し知事がおっしゃった備えの充実というのを現実的にそうしていくのか伺いたい。

[知事]

年末の様々な動きを経てこの年明け、今月下旬にもいよいよ再稼働、再起動かという局面というご質問がございましたが、私どもとしましては繰り返しになりますが実効性ある多重防護体制が確立していない段階で再稼働を容認できる環境にはないという考えに変わりはございません。

この後飛躍的に状況が改善すれば別でございますが、様々求めていることが改善しないという段階であれば国に対しても電力事業者に対してもそのことは申しあげていきたい。同時に現存する原発、動いていようと動いてなかろうと現存する原発の防災備え、これはしっかり整えていく必要があるという観点からですね、まず第一段階、電力事業者と協定を結ぶことを決めましたので、その中において安全対策等しっかり確認すると同時に万万が一の事態が発生してしまった場合の対応、これもお互いの役割分担を踏まえたうえで、しっかりと構築し積み重ねていきたいというふうに思います。その意味で国が一定示された方針また訓練の内容は、緊急事態が発生した場合に放射能の拡散があったとしても、5kmから30km圏内は屋内退避を原則として、そして実測に基づいてその後の行動についても指示がなされるという事でありましたが、私はかねてから申し上げていましたし、年末環境大臣がお越しになったときにも申したんですが、3.11以降の原発防災対策は少し想定を変えなければならないのではないかと考えています。それはもちろん実測に基づき屋内退避を原則としてということがございますが、人の立場、親御さんの考えからいたしましたら、万が一のことが起これば一刻も早く一キロでも遠くという考えを持って行動される方が多くいらっしゃり、そのことを行政として止めきれるだろうかという現実ですね、こういうことにしっかりと向き合い、想定を立てていく、その場合に交通のあり方、移動手段のあり方、こういうこともスクリーニングもそうですけれども、しっかりと体制を整えておくという必要があると思います。

また、シミュレーションの問題は、県では以前、前知事の時代にシミュレーションをし、さきほどご質問にもあったような形の想定をしておりますが、なおシミュレーションで残した課題ですね、生態系に対する影響ですとか、土も含めた、また集水域を含めた影響がどう出てくるのかということについてはなお、まだ十分な、そのことにも含めて考えると十分なシミュレーションになっていない面もございますので、それらを進化させて得られた知見をもとに、必要な対策を講じてまいりたい、したがって県としてもできる限りの調査研究さらには対策を講じていく必要がある、これは国だけに任せる、電力事業者だけに任せる、指示だけにしたがってやるのではなくて、県としても独自のものをしっかりとやっていきたいと思います。必要な体制ということについてはその都度検討し変えるべきを変えていきたいというふうに思います。

[滋賀報知新聞]

一つは高浜原発のみでシミュレーションを大気・水でおやりになるご計画があるのか。それと三点セットがシミュレーションでそろった段階でかなりの問題点、はたしてそのシミュレーションがオーソライズされたものかどうかというもう一つの問題はあるんでしょうけど、そうなるとかなりのはっきり言っていしまえば地獄絵みたいなものも出てるわけですよね、それに対して関西電力なり国に対してそのデータをもとにこれだけ琵琶湖に危険性があるんだという交渉の仕方というのを知事はおやりになっているのか、あるいは今後されるのか。せっかくこれだけの研究データまさによそがやってないような、三点セットがそろえば相当立体的なシミュレーションが完成すると思うんですが、それをどういうふうにお使いになるおつもりなのか伺いたい。

[知事]

その三点セットというのは。

[滋賀報知新聞]

大気、水、生態系。

[知事]

当然これまでやってきた調査結果を踏まえ、それをもとに調査研究を重ねてよりよいものにして国に対してもそうですし電力事業者に対してもそうですし、言ってみれば県民の皆様方、下流府県の皆様方も含めた説明なり世論喚起が必要だと思います。より力を入れてやっていきたいと思います。

[朝日新聞]

年末、大阪府市でダブル選挙の公約だったいわゆる副首都化に向けた有識者会議が動き出したという事があったんですが、今後中央省庁の移転とか、インフラだとリニア中央新幹線の整備とか言われていますが、まだ副首都化そのものについても明確な定義が定まっていない状況ではあるんですけれども、大阪が打ち出した副首都化というものに対して、つながりの深い滋賀県の知事として今現在どうみられていますか。

[知事]

まずご質問にストレートに答えるとすれば年末28日でしたか、その会議が立ち上がり、動かれ検討されたという事でして、内容すべてつまびらかではありません。「首都とは?」「副首都とは?」など概念整理を主になさったという事だけは間接的に承知しておりますので、そのことに私のほうから何かコメントを申しあげることは控えたいと思います。

ただ、関西広域連合でも議論していますように、東京だけではなく、これは危機管理の面からもそうですし、経済活性化という観点からもそうなんですが、双眼構造の、もう一つの力をもった都市圏をつくって、そなえていこう、日本を浮揚させていこうという、この大きな戦略の中にいま滋賀県も入って一緒にがんばっているところでございますので、その意味では大阪という地域がですね、府市一体となって志をもって力を伸ばしていこうと動きをされること自体は私はおおいに歓迎したいと思いますし、大阪府市域のみならず関西全体のことを考えた方針なりビジョンなりになればありがたいなというふうに考えています。

同時に滋賀の場合は、地の利の面だと思いますが、北陸圏とも近く中京圏にも近いそういうエリアならではの動きですとか役割こういうのを大事にしていきたいなと思いながら、今のご質問を聞いていました。

[朝日新聞]

大阪の府市だけではなくて、周辺の関西圏も巻き込んだような動きになればいいという事ですかね。

[知事]

動きになればというか、そういうことも射程に入れた内容であったり、これは関西広域連合の中での議論になるのかもしれませんが、そういうことのつながりを我々は大事にしていきたいなと思います。

[中日新聞]

1月10日告示の大津市長選関連ですが、以前にもお聞きしましたが、改めて県都のリーダーというものがどういう発言力や発信力を持ち、どのような存在であるべきとお考えですか。

[知事]

大津市長選挙のことは、私もそうですが大津市民の方が選ばれることだと思います。私は県庁のある市という事を申し上げたことはございますが、「県都」という言い方をしたことはございません。県庁が所在するしないに関わらず、規模の大小にかかわらず発展していくという事が大事だという立場であります。

ただ、667年に天智天皇が大津京を開かれ、律令制度、時刻・漏刻の設置でありますとか、様々な先進的な取組を当時は極めて遷都が困難だった時代になされたのが大津の地なんですね。天台宗も比叡山で日吉大社に守られて興された地域です。源氏物語を紫式部が書かれたといわれる石山寺があり、あれだけ全国を旅された松尾芭蕉が「自分の亡骸は此処に埋めてほしい」とおっしゃった地域なんですよね。そういう地域がその力を十二分に自覚され発展すればいいなと望み、選挙が有意義なものになるように期待しています。

[時事通信]

選挙の関係で、参議院選挙の関係で今年W選挙があるのではないかと言われていますが、知事はW選挙に関しては知事としてどのように感じておられますか。

[知事]

私も選挙に問い、選挙に出て、選挙で選ばれ、5回の選挙を経験し、有権者としても参加した年数が25年になり、直接間接色々な形で選挙に関わってきた者として、選挙というのは非常に尊いものであるということ、その機会に有権者の思いを表現することができる極めて尊い機会だというふうに位置づけています。

同時に今度の夏の参議院選挙は法が変わり有権者の年齢が引き下げられ、より若い人たちの意思も反映される選挙になると意味においては私は歴史上極めて大事な選挙でもあるというように考えておりますので、そういうことがきちんと反映される選挙になればと思いますし、解散については総理の専権事項ですので総理が判断されることだと思います。

[中日新聞]

先ほどの大津市長選挙の関係で、大津市民が選ばれるという事と、力が十二分に反映されるようにという事でしたが、県内の約4分の一の人口が大津市に住んでいて、そのような中で「元気がない。活気がない」言われて久しいのかなと思いますが、大きな市でもあり、今後県とも連携を深めていくと思いますが、その市をまとめる市長に求める資質や政治姿勢があれば教えてください。

[知事]

活気がない、元気がないと良くおっしゃいますが、なにをもってそうおっしゃっているのかという事ですよね。

私は必ずしもそういう面だけではないのかなと思っていますし、私が逆の立場に置き換えると南北に長いですよね、比良山から大石田上まで非常に多様でしょうから、いろんなご意見をまとめるのは大変だろうなと思いますし、JRや京阪の駅も相当ありますし、これは良い面でもあり厳しい面でもあるのは京都との近さが良くもあり悪い面もあると。自分がもし大津市長であったならいろいろと悩むことは大きいだろうと思います。

ただ、色々と蓄積のある地域ですし、多くの方が住まい、色々な施設が立地している地域ですので、私は皆さんの力が結集できるようなリーダーが選ばれたらいいなと思っております。私は市長をやったことがありませんので、どのような資質が良いのか悪いのかはわかりません。市民の方が選んだ方をもとにまとまる大津市政がつくられたらいいなと願っております。

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