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知事定例記者会見(2015年10月20日)

平成27年10月20日
(県政記者クラブ主催)

忍びつつ 七色かかる 秋の湖
アール・ブリュットのPR映像
虹色エモーションのPR映像

久しぶりの定例会見でございます。

今日から動画配信という事でございます。よろしくお願いします。

今月の一句という事で、「忍びつつ 七色かかる 秋の湖(しのびつつ なないろかかる あきのうみ)」過日、東京で日本忍者協議会を立ち上げて、私もその一員として参加いたしました。応援団として第11代目の海老蔵さんも応援に駆け付けていただいたのですけれども、滋賀、甲賀は忍者ゆかりの地でありますので、そういう観光のコンテンツも、忍びて忍ばずという積極的な発信をしていこうという事でございますし、後ほどご紹介しますが、虹色エモーションということで、虹予報を全国で初めて、協力もいただきながら発信していくこととしました。こういうかたちでも滋賀の魅力をお伝えできるように努力していきたいと思います。

本日は3点、話題提供をいたします。

御手元の資料1点目、アール・ブリュットのPR映像の作成についてです。

近年、日本でも注目されるようになってまいりましたアール・ブリュット、これは「加工されていない生(き)のままの芸術」という意味のフランス語でありますが、全国各地で作品が製造・発見され、多くの展覧会も開かれるようになってまいりました。

滋賀県には、福祉の歴史から育まれてまいりました滋賀ならではのアール・ブリュット、加工されていない生(き)のままの芸術というものが数多く存在します。お手元には冊子もお配りしております。

県では、その魅力を、県民の誇る文化として、県内外の多くの人に対して発信し、理解と関心を広げることを目的としまして、このたびPR映像をお手元の冊子だけではなくて、映像を制作いたしました。こうしたPR映像を作成するのは都道府県としても全国初の取組でございます。

世界的に評価されている県内在住のアール・ブリュット作家である澤田真一(さわだしんいち)さんをはじめ、古久保憲満(こくぼのりみつ)さん、木村茜(きむらあかね)さんの作品でありますとか、その制作風景を紹介するとともに、滋賀県とアール・ブリュットの歴史や県内での取組を紹介する内容となっております。

この映像は、現在開催中の近代美術館企画展「生命の徴(いのちのしるし)-滋賀とアール・ブリュット」ロビーでも放映をさせていただいております。このPR映像をきっかけに、より多くの方々にアール・ブリュットの魅力や滋賀県内の取組を知ってもらえるように、アール・ブリュットガイドブックと併せまして、映像を活用した発信に取り組んでまいりたいと思います。

【PR動画 再生】

というものでございまして、またご覧いただければと思います。現在来日中のジャン=マルク・エロー元フランス首相もこの滋賀県のアール・ブリュットの取組についても非常に関心を持たれているところでございまして、是非滋賀県の一つの魅力として世界に発信していきたいと思います。

2つ目の話題です。私自身がマレーシアとタイを訪問し、観光と食のトップセールスを行います。

来週の10月29日、木曜日から11月3日にかけまして、マレーシアとタイへの訪問を予定しています。訪問する両国は、昨年の宿泊旅行者数、これは観光庁の宿泊統計調査でありますけれども、対前年比でマレーシアが343%、タイが226%と大幅に伸びておりまして、今年に入っても上半期の推計値で、両国とも昨年を更に上回る170%前後と急増しております。

両国とも、日本食への関心が高まっているという状況です。

私自身は、両国の訪日旅行取扱い大手である旅行会社や主要なバイヤーを訪問しまして、観光や県産食材等のセールスを行ってまいります。併せて、関係事業者の皆さんによる商談会を開催して、具体的な旅行商品の造成や輸出・インバウンド等の販路拡大の促進に繋げてまいりたいと考えております。

また、交流会も開催しまして、県産食材を用いた料理を提供して、実際に食べていただくことで、本県の食の魅力というものもPRしてまいります。

今回の訪問にあたりましては、関西広域連合が任命しております「Kansai観光大使」や、7月に関西広域連合と包括連携協定を締結しました「イオングループ アセアン本社」にも訪問しまして、連合の取組とも連携して、関係強化にも努めて参りたいと考えております。

続いて3点目でございますが、先ほど紹介した 虹色エモーションの展開についてです。

現在、主に女性に向けて、女性だけではないのですけれども、観光情報の発信を虹色エモーションをテーマにびわこビジターズビューローを中心に展開しております。

その狙いとしましては、本県の多彩な魅力を虹になぞらえて発信することで、観光地としての「滋賀」の認知度を向上させようということ。また、旅の決定権を持つと言われています女性をターゲットに情報発信することで、より多くの方に本県へお越しいただこうということでございます。

先日の9日に東京の記者発表会でキックオフし、10月を中心にキャンペーンを展開しています。

まず、テレビCMでございます。既にご覧になった方もおられると思うが、少しだけご覧いただきたいと思います。

【CM 再生】

物憂げな女優の市川実日子(いちかわみかこ)さんが印象に残るという事で、内外からご好評をいただいているところです。都会から幸せに会うために琵琶湖へ来た女性を演じていただいておりまして、多くの方に心も身体も癒しに滋賀県に来ていただけたらいいなというイメージを持っております。

このCMは、10月下旬まで、首都圏、関西圏において、延べ視聴率各800%以上という過去にない規模で放映しております。

また、交通広告というものも活用しておりまして、東京、名古屋、新大阪駅等で電子掲示板を使って情報発信しております。

また、インターネットによる情報発信ということで、特に、一般向けとしては全国初の「虹予報」をお知らせしているほか、PR動画による情報発信も行っております。

【動画 再生】

このPR動画は、本県の多彩な魅力を、虹の7色にちなんで、歴史の「歴」のほか、「食」、「遊」、「癒」、「観」、「買」、「美」の7つのカテゴリーで紹介している。

例えば、今、ご覧いただいている「歴」では、比叡山延暦寺や彦根城、石山寺といった本県を代表する、歴史にまつわる観光地を紹介しております。

今後は、このようなインターネットによる情報発信を継続するとともに、雑誌、旅番組などパブリシティを活用した情報発信により波及的に展開していきたいと思います。

このような取組を通じて、観光情報WEBへの誘導をはかりながら、観光地として「滋賀」を認識していただいて、より多彩な魅力を知っていただければと考えております。

私からは以上です。

[中日新聞]

マレーシアとタイなんですけど世界的な観光地だと思うんですが、その中で滋賀の食材を中心に売り込むというのは結構ハードルが高いと思うんですが、どのあたりを中心に売り込んでいきたいという思いがあるんでしょうか。

[知事]

もちろんタイもマレーシアも世界的な観光地です。と同時にASEANの中核である新興国であります。海外の旅行に対する関心も非常に高いということでありますので、日本の、またその中の滋賀の魅力というものをこの滞在中発信していきたいと思います。

その中で特に今回は、たとえば観光関係では8社にご同行いただきます。宿泊施設とか観光事業者、琵琶湖汽船さんなど。あと体験観光を展開されている事業者さんですね。こういう滋賀ならではの体験観光をPRしたい。食関係では21社の方に同行参加していただきますので、近江牛、近江米、近江のお茶、野菜、地酒、こういうものを和菓子もそうですが、発信していきたい。

こういった体験、食、ならではのものをPRしてみて、それぞれ現地の皆様のご反応を確かめながら今後の商品開発、ルート開発につなげたいと思います。

[中日新聞]

先日、湖南の市長さんたちが知事を訪問されて、琵琶湖大橋について県が提案している150円ではなく、100円が適当ではないかという考えを経済部長の山仲市長が示しました。そのあたりの意見交換などももうちょっとやりたいというお話もあったんですけれども、11月議会に料金の提案なんかもするという方向性もある中で、議会を重ねている、すり合わせていく意向はあるのかということと、料金について山仲市長の意見を踏まえたご見解を教えていただけますでしょうか。

[知事]

半世紀以上にわたり私たち県民にとって大切な橋、琵琶湖大橋ですね。この料金問題をどうするのか、また周辺の道路整備をどうするのかは大変重要な課題であります。県民の皆様が強い関心をお持ちです。

また、わが県の場合、その前に近江大橋の問題があったり、道路整備に関する需要が非常に大きいですけれども、非常に厳しい財政状況にある中、こういう課題をどう乗り越えていくのか、こういう面もございます。そんな中で昨年度研究会をつくり、県議会にもご議論をいただいて、一定案を、料金徴収期間を有料事業として延長させていただいて、橋の耐震化でありますとか、周辺の道路整備をさせていただくこと、さらには料金の一定引下げをさせていただきETCを導入させていただくこと、こういうことをお示ししながら今議論をしていただいている。

先般湖南4市の市長さんをはじめ関係市の皆様が来られて、関連付随するさらなるご意見もいただいたところでありますので、今、最終どういう形で手続に乗せる提案をさせていただけばいいのかを検討させていただいています。

11月には首長会議が予定されておりますし、また日にちもございますのでこういった期間、機会を利用して最終調整を図っていきたいと思います。

[中日新聞]

北陸新幹線なんですけれど、先日与党の検討会が北陸三県から意見聴取をしたということで、その中で米原ルートを推す石川県ですとか、小浜ルートの福井とか、北陸の中でも足並みがそろってないということをどういうふうにご覧になったかということと、その中で米原ルートは乗換えが必要になる点ですとか、課題を挙げる声もあったんですけど、知事の北陸新幹線に対するご見解をお伺いできますでしょうか。

[知事]

この北陸新幹線のルートをどう伸ばしていくのかという課題も極めて我が国にとっても滋賀県にとっても大きな課題だと位置付けて、主体的かつ戦略的に議論に参加していこうと考えております。

先般10月7日ですか、与党のルート検討委員会において北陸3県の知事が出席されて、意見を表明されたことは私も承知しております。

それぞれのご意見があるのだと思います。したがって今の段階はそれぞれの地域のそれぞれの主体のご意見をしっかりと出して、与党において政府において、ご検討いただくということでありますし、できるだけ早くさまざまな方向、また意向、こういうものが示されることを私たちは強く望んでおります。

その意味において私どもは時間的なこと、費用的なこと、波及効果を勘案し、米原ルートが最もふさわしいのではないかという関西広域連合の決定と同じでありまして、このことを関西広域連合の皆さんと一緒に主張してまいりたいと思います。

新幹線の整備ルートを決めていくということは非常に難しいことでもありまして、たとえば国の整備計画は小浜市附近を通るということを明記しているわけですので、そういうものを覆していくということになります。さらには、多額の費用がかかりますので、そういったものを私たちは関西広域連合とともに受益というものに着目し、受益に応じた費用を分担するということ。さらには、在来線の経営につきましても経営主体であるJRが分離せずに引き続きJRをして担っていただくべきではないかといった主張も合わせてさせていただいております。

このことは、これまでルートを伸ばしてきたエリアとはある意味では異なる形態の整備方法でございますので、こういったことにご理解を得ていくということが必要ではないかと考えておりますので、内閣改造を受けてどうこの検討委員会がつくられるのか、作り直されるのか、動かされるのか定かではありませんが、状況を見ながら対応してまいりたいと思います。

いずれにしても全国新幹線整備法、全幹法1条にありますとおり、「国民経済の発展、国民生活領域の拡大、地域の振興に資することを目的に整備する」と書いてあるわけですから、これに沿ってどう議論されるかということだと思います。

[読売新聞]

先ほどの質問と少し関連してなんですけど、琵琶湖大橋の金額の改定の件で、特に議会の委員会では大きな異論は出てなかったかと思うんですが、首長さんたちがああいうご意見を出されていて、出されている案からの変更も含めて意見を交換されるということでよろしいんでしょうか。

[知事]

私どもとしては県議会にもお示しした案がいいのではないかということでお示しをし、議会でもご議論をいただいた。引き続きなのかもしれませんが、ご議論をいただいているところでございます。先般首長の皆様から金額面も含めてご要望や問題提起があったと承知をしておりますので、ご意見をふまえて、どう私どもが合わせていくのかということを最終検討させていただきたいと思います。

いずれにしても国もそうですけど地域の皆様にご理解をいただいた改革案をいうものが必要だと思っていますので、丁寧にやりたいと思います。

[産経新聞]

全く違う話題で恐縮ですが、近江牛について今年度中に新たな販売戦略をまとめるとうかがいましたが、現時点でどのようなことをやってみたいとか、ぼんやりとでも具体的なアイデアとかありますでしょうか。

たくさんのブランド牛が台頭してきているんですが、どのように受け止めてらっしゃいますか。

[知事]

近江牛は古くから親しまれ、大事に育てていただいた私たち県民が誇る食のブランドだと思います。ただ多くの課題があります。今おっしゃったように産地間の競争ですね。神戸牛、その他松阪もそうですが、近江牛に並ぶ、時には凌駕するブランドとの競争がございます。

また、為替の動向もございますが、グローバル化されてきた市場の中で飼料価格の高騰ですね。併せまして子牛。滋賀県では子牛を買ってきて肥育することを主にやってきましたけれども、子牛の価格が高騰してきているということが大きな課題としてあるのではないかと思います。

その中でまずは近江牛をしっかりと保ち、高めていく。そのためには品質もそうですし、価格をしっかりとつくっていくということが大切だと思いますし、そういう競争に負けない体力を生産者の皆さんにつけていただくということにおいては他の地域から子牛を購入してくる、そして肥育に特化して牛を育てる、そういうやり方だけではなくて、子牛も一緒に育てていくということが望ましいのではないか。こういうことも含めて進めていくのが望ましいのではないかというご意見もいただいているところでございますので、そういう可能性についても前向きに検討していきたい。

あわせて育てていただいた牛の命をどういただいて、屠畜をして流通させていくのかというところにも改善の余地があるのではないか。こういう3つの観点で販売戦略、振興戦略を練っていきたいと思います。

[産経新聞]

販売という面で、たとえば海外にトップセールスされるとか、具体的にこうしようというお考えは現時点でありますか。

[知事]

今、国内のみならず世界的に和牛ブームです。と同時に和牛の中では非常に品質のいい近江牛は他の地域に劣らない、いやよりすぐれた牛肉だと思いますので、積極的に感慨にPRしていきたいと思います。当然宗教上のさまざまな制約がございますが、まずは許される地域からPRしていくと同時に今回のTPPの大筋合意を受けまして、いろんなプラス面、マイナス面ございますが、プラス面の影響の一つに近江牛の海外戦略というものをしっかりと位置づけて取り組んでまいりたいと思います。

[産経新聞]

TPPを近江牛にとってはプラス面ととらえるということなんですけど、もうちょっと詳しくお願いできますか。

[知事]

輸入で入ってくる飼料の関税、こういったものが引き下げられることによるコストを削減するというプラス面がありますし、他国に輸出する時に価格競争力をもつ面もあるでしょう。一方で海外からは、一定量以上があればセーフガードが機能するときいておりますが、他国の牛肉とのより厳しい競争にさらされる、そういうリスクもございます。ですからリスク面をより小さくして、プラス面を伸ばすことによって、滋賀の近江牛の力を高めていきたい。そのことについて私たちも行政としてできることを積極的に行っていきたいと考えております。

[滋賀報知新聞]

TPPの大筋合意ということで、滋賀県の場合は近江牛と米に影響が出てくると思うが、まず米についての知事の考えを伺いたい。

二点目は兼業農家が廃業するに当たって農地の集約化ということで国が交付金を出す制度が昨年度から始まっているが、その基金は県が農地中間管理推進基金という形で設けられて、耕作を廃業して新しいなり手に貸すという人に交付金を配分していますが、昨年はちょうど1,863haの9.8億円に上っているんですが、今年は例えば自ら耕作しているところで600とか、集落営農組織で59とか上っているんですが、実際には基金が県に約3億しかない。そうすると手を挙げたはいいが半分以上が交付金を得られないというミスマッチングが起こっているんですが、まず国から交付金を要求しなかったという県のミスなのか、国の方の問題なのかというのが一点、それに対して補充するために国への交付金の要請なりあるいは県が単独で対応するのか、お考えを伺いたい。

[知事]

まずTPPに係ります影響等につきましては、今日ですね、まさに政府がどういうことが合意内容であったのかということをお示しいただけるということですので、そういうものをつぶさに見ながらですね、今説明会等も行われておりますが、そういうことも分析しながら、県においても本県産業や生活にどのような影響があるのかということをより注意深く調査分析しようということを私自身指示したところでありますし、関係する経済団体にも協力を求めております。

いまご質問の中にもありました米の問題で申し上げれば、現時点でわかっているだけでも米国そして豪州からの輸入枠が特別輸入枠として設けられるということで言えば、ただでさえ需給のバランスが需要よりも供給が大きく上回っているという状況に、さらに供給されるわけですから、価格低下圧力がより強くなるということでいうと、私は負のインパクトが、負の影響がありうると想定して対策を取っていくことが必要であると考えます。国においても特別の対策を今検討されているということですので、そういった対策の中にしっかりと本県の事情というものが組み入れられるように努力したいと考えております。

また、農地集約の課題はこれは国をあげて高齢化してく農業従事者、そして増えてくる耕作放棄地、こういうものをどうしていくのかということの中で、いま中間管理機構を設けて農地の集約を図っている。そのことに交付金を措置しそれぞれの地域で基金を設けながら対応している状況です。昨年度、本県で集約された農地に比して国からいただく交付金が大きく差があったという状況がございましたが、今年度はそのことを踏まえてどう対応していくのかということを農林水産省においても検討していただいているやのように伺っておりますので、その状況をつぶさに把握しながら連携を取って機敏な対応をしてまいりたい。特に集落営農が古くから早くから取り組むことができた本県においては、集約が比較的他の地域よりも容易に早く進められることがございました。したがって国の想定を超えた集約が図りやすい土壌だった、そのことが他の地域とのバランスにおいてどうのなのかということで、ずいぶん国においても調整に苦慮されたというふうに聞いておりますが、本県の事情をこの点についてもしっかりと国に伝えてまいりたい、機敏な対応をとってまいりたいと思います。

[滋賀報知新聞]

国に対して手を挙げたうちの半分以上が配分をもらえないということで、これに対しては当然基金不足ですからその分を国に要請するということですね、万が一それが国とミスマッチングした場合は、県が独自で対応を取るというお考えはありますでしょうか。

[知事]

そこは状況を見たいと思います。どれぐらいの乖離でおさまるのか、また、それぞれの集約にご協力いただく農地というものがどこにどういう状態で点在するのか、そういうところにもよると思いますので優先順位等もつけながら、対応を検討してまいりたいと思います。

[京都新聞]

地方自治のお話を伺いたいなと思うんですが、13日に沖縄県の翁長知事が普天間飛行場への移設に絡んで、辺野古への埋立て承認も取り消したということがありました。

それでもし是非論も含めてですが、知事が思われることがあればというのが一点と、それと併せまして、即、国・防衛相は国交省に対して不服審査をするというような形で、このあとおそらく法廷闘争、国と地方がガチンコ対決をするというようなことになろうかと思うんですけれども、一定、翁長知事の判断というものは県民の選挙を経て県民の命と暮らしを守るという観点からのご判断ということであれば、知事の役割としてうなずけるところはあるのですが、そのあたり同じように知事として、国と意見が異なるときにどうすべきか、また、そういうときに国が一方的にやると、地方の意味がないんではないかということも思うのですが、そのあたり思われるところがあれば教えてください。

[知事]

私はその経緯経過を含めて詳細にすべてを把握しているわけではございませんが、いまおっしゃったような国と地方公共団体が、沖縄県が、司法の場も含めて争うことになる事態になったということは、残念なことだというふうに思います。長い歴史の中で沖縄県民の方々に与えてきた苦痛、そして国が他国との関係において備えるべき安全保障の体制と、そして基地の整備というものとの間がですね、そこの協議調整が、合意形成ができていない結果だというふうに思います。私も国政にいた期間がございまして、ある意味では沖縄の皆様方にご負担をおかけした、ご心配をおかけしたその中にいた一人としても非常に心苦しい思いを持っています。非常に難しい課題ではあると思いますが、より丁寧に合意形成を図られることを願っております。こういう事態になるから、こういう事態を避けて、地方公共団体の意見を言わないというのではなくて、やはりそれぞれの地域、地方、自治体にはそれぞれ地域、地方、自治体の思い、事情というものがあると思いますので、そういうことをきちんと毅然と伝えていくという、このことには、私は沖縄県知事、沖縄県の皆様方の姿勢というものに私は敬意を表したいと思います。

[時事通信]

地方創生に向けた総合戦略が策定されたという事ですが、知事から見てこの総合戦略に関して、滋賀県ならではのところや他県にはない特徴的なところ、そういったところを教えてください。

[知事]

約一年かけてつくってまいりました。国から産官学金労言と言われましたが、国から言われるまでもなく議論の過程を、つくる過程を大事にしようということで素案、原案、骨子案という事で、その段階段階での案を示しながら政策コメントや議論を展開してきました。

推進会議でも申し上げましたが、若い皆さんにも問題提起しながら意見を伺い、この総合戦略をまとめたところです。

滋賀ならではの特徴としては、なんといっても琵琶湖があります。

琵琶湖というものを預からせていただいている我が県にとって、法律でも国民的資産と位置付けられましたし、その水辺景観も含めて日本遺産に認定されたという状況ですので、しっかりとこの琵琶湖の保全に取り組み、同時に滋賀県は全国の都道府県に比べてずっと人口が増加していた。ようやく最近になって減少してきたという総体の状況と、県内の中でこれから先も増え続ける地域と、早くから減少している地域との偏在があるということが一つの課題だと思いますので、そういったことに寄り添うべく19のプロジェクトをつくりましたが、その内9のプロジェクトを重点化して、そのうちの1つが琵琶湖に関するプロジェクト、そして、残り8つは主に人口減少地域において、重点的かつ優先的に行っていくということも明記しましたので、こういったところでもメリハリをつけて、基本構想のエンジンとして、これを進めてまいりたいと思います。

[毎日新聞]

先ほど来年度予算に関する編成方針を部長級会議で示されましたが、「スクラップアンドビルドのスクラップに取り組むように」と支持されましたが、明らかな無駄な事業というものは無くなってきていると思いますが、知事がスクラップすべきという事業があれば教えていただきたいのと、スクラップすべき事業をどのように洗い出していくのか、その方策について何かあれば教えてください。

それから、基本方針の中で新しい豊かさの創造・追求・具現化に向けてというような話がありましたが、新しい豊かさというのがどのような概念なのかを教えてください。

[知事]

特にスクラップですが、何をスクラップする、どうしてスクラップするという質問だったと思うのですが、ここで何をと申し上げるのは控えたいと思います。

ただ、この一年、私も知事として仕事をさせていただき、多くの県民の皆様方からご提案やご要望を承り、そのご負託ご希望に応えようとすべく色々な事業を組み立てるのですが、問題認識としてビルドアンドビルドになっているのではないか、この現有の、以前と比べて小さくなった体制で、そして厳しい予算の中で果たしてこれだけのビルドが出来るのかという問題認識を持つに至り、ビルドをするだけのスクラップを積極的にやろうじゃないかと、そのことによって例えば部局間連携であるとか、部局内においても課間連携であるとか、そういうものを促す、そういうメッセージとしても、このスクラップアンドビルドのスクラップの徹底をというのをあえて申し上げました。

私が申し上げるまでもなく、予算の編成過程で政策課題を協議する過程でそれぞれの部局内に於いて意識していただいているのですが、私がいつも「前向きに」という知事でありますので、よりスクラップの部分を皆に強いメッセージとして徹底したという事です。

「どのようにして?」という部分は、職員のみなさんから提案をこれまで以上に広く積極的に受け付けました。非常に多くの提案をいただき、多くのスクラップに資する提案もありましたので、そういった事もしっかりと勘案して行ってまいりたいと思います。

なお、新しい豊かさという理念は、今年度からスタートしています基本構想の中の基本理念として位置付けているものでございまして、今だけの豊かさではなく、モノだけの豊かさではなく、お金だけの豊かさでなく、自分だけの豊かさでない新しい豊かさを。その新しい豊かさとはなんだと言われると、全ての人が心で実感できる、将来も持続的に実感することができる豊かさというものを滋賀からみんなで創っていきましょうということで、このことは何も新しいことをするのではなく、古来より三方よしの精神で近江商人が大事にしてきた、また、中江藤樹先生の教え、貧しい子どもたちのために活動した糸賀一雄先生の取組、比叡山延暦寺が発信されている忘己利他の思想を含め、古来より近江に住み人や近江から出た人が大事にしてきた教えでもあるのではないかと。こういう事を改めて温故知新ではありませんけれども、振り返り、施策の中心に据えながら、いろんな事業をつくっていこうという事です。

今後、新しい豊かさの具現化という事が課題になると思っていまして、環境面、教育面、暮らし・産業の面、健康という施策、さらには交流、観光という切り口で新しい豊かさとはなんだということを皆さんと一緒に考えて事業を行っていきたいということです。

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知事公室 広報課 報道係
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