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知事定例記者会見(2022年8月23日)

令和4年8月23日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。

週末、米原市で行われました「中学生広場」に行ってきました。昔で言うところの「少年の主張」です。12名の中学生の意見・発表を聞くことができました。どれも大変素晴らしい発表でございまして、改めて「自分らしさって何だろう」「当たり前って何だろう」「どういうことを大事にしないといけないのか」、また、超高齢化ですとか、都市化が進む中で近所付き合いが希薄化しているというようなことに着目して「こういうことをやればいいのではないか」といったようなこと、SDGsの観点からプラスチックの代替品を進める取組などについて、意見をいただいたところでございます。

例えば、3Kに代表される介護職場のイメージを変えようということで、3Aという新たな呼びかけをしてはどうかということについては、県の呼びかけメッセージにぜひ採用させていただきたい旨を表明させていただいたところでございます。ちなみに、皆さんから向かって私の左側の胸に着けているシトラスリボンにつきましては、米原の双葉中学校の生徒会の皆さんがコロナによる差別・偏見をなくそうと「シトラスリボンプロジェクト」をされており、「三日月色のシトラスリボンを作ったのでぜひ着けてください」ということで、私のところに持ってきてくれましたので、着けて皆様方に発信をさせていただいているところでございます。

さて、昨日は第104回(全国高等学校野球選手権大会)の決勝が甲子園で行われましたけれども、近江高校は素晴らしい活躍をしてくれました。ベスト4。その偉業を称えたいと思います。応援に行かれた方、観戦された方も多いと思いますが、キャプテンの山田選手を中心に大変まとまった素晴らしいチーム力を発揮した戦いだったと思います。私自身もたくさんの感動をいただきました。大いにその偉業を称えます。

また、インターハイでは大津商業高校のアーチェリー部が団体女子で優勝ということでありますとか、堅田高校のウエイトリフティング部が男子55kg級で優勝という、こういった素晴らしい成績もありました。今月上旬に開かれました東京での「とうきょう総文2022」では、虎姫高校と彦根東高校の新聞部が4年連続の最優秀賞という、これまた大変な成績を収めていただきました。文化スポーツともに、高校生の活躍に目を見張るものがありますので、今後、大いに期待をしていきたい、また、応援をしていきたいと思います。

さて、コロナの問題につきましては、新規陽性者数については、前の週の同じ曜日よりも減少している日もみられますが、ほぼ横ばいの状況ということでございます。8月22日時点の確保病床に対する占有率は72%。一時期より少し下がりましたけれどもまだ7割を超えている。ただ今朝の速報では、70%を下回る状況もみられつつあるということでございますが、引き続き、医療の体制は非常事態にあると言わざるを得ません。

発熱外来への電話もつながりにくい状況になっていると聞いております。発熱などの症状がある場合は、安易に救急要請(119)を行うのではなく、受診相談センターに御相談いただきたい。この受診相談センターは(モニターに映している)一番上の番号です。大津市在住の方とそれ以外の方と番号が違いますけれども、それぞれございますので、こちらに電話をかけていただきたいというふうに思います。この受診相談センターでも電話がつながりにくいのではないかというお声をいただいております。鋭意、スタッフに対応いただいているのですが、かかってくる電話の多さから、特に朝の8時から10時までは問い合わせが多く、つながりにくい状況もあるようでございますので、少し時間をずらしてかけていただくとかかりやすいということもございます。

また、現在、食料支援につきましても行っておりますが、申請されてから陽性の確認をして、お届けまでに少なくとも早くて3日以上要しているという状況がございます。我々も鋭意取り組んでまいりますが、ぜひ、お一人お一人、それぞれの方をして、日頃から必要な食料品、また飲料水、日用品の備えをお願いしたいと思います。

コロナ患者に対応いただいている病院や発熱外来、消防、救急、福祉施設等の皆様方にはこのお盆休み期間中も、日夜、献身的に業務に従事していただいております。改めて感謝申し上げたいと思います。そういう意味で、お一人お一人の命を大切に守る、みんなで高齢者等を守ろう、さらには医療従事者等に感謝の気持ちを持って行動しようというメッセージを皆様方に改めてお届けしたいと思います。

もう1つは、刑法犯認知件数の直近の状況を皆さんと共有したいと思います。私自身も知事として大変注目している、この安全、安心ということで犯罪の少ない滋賀県にしていこうというのは重要なテーマでございますが、近年、減少傾向にありましたものが、今年に入って増加傾向がございます。上半期は3,105件ということで、前年の上半期よりも13%の増加という状況になっております。特に特殊詐欺につきましては、今年に入って被害の拡大に歯止めがかかっていない状況がございます。また、多額の被害が生じてしまう、取られてしまう「ロマンス詐欺」といわれる事件も増加しているようでございます。

そこで警察本部とも連携いたしまして「ポチっと作戦」です。犯人は言葉巧みに皆さんを騙すということでございます。特殊詐欺につきましては、家族で注意喚起をすること、固定電話を常に留守番電話設定にして相手を確認してからかけ直すということ、また電話をかけながらATMを操作する方への積極的な声掛けなど、被害をみんなで未然防止する行動をお願いしたいと思います。

また、窃盗犯罪もあるということでございまして、住宅侵入窃盗の約47%、自転車盗の約67%が鍵をかけていないことによる被害です。滋賀県の場合、鍵をかけずに、お家を留守にされる場合も多々あるようでございます。ぜひ、鍵をかけて防犯に努めていただきたい、このことも呼びかけたいと思います。

さて、資料に基づきまして私から2点、御紹介をさせていただきます。

まず、岐阜県知事との懇談会の開催ということでございまして、資料をお届けできていると思います。来週8月29日の月曜日に、安土城考古博物館を会場といたしまして、岐阜県知事との懇談会を開催することとなっております。岐阜県知事との懇談というのは、隣接する府県との懇談というのを積極的にやっておりまして、平成20年の11月以来、14年ぶりの開催です。当時は、岐阜県は今の古田知事と滋賀県は前の嘉田知事との間で実施をされたということでございます。本県では、先ほども申し上げたように、全国知事会や関西広域連合での取り組みに加えまして、近畿、中部、北陸圏の結節点である特色を生かしまして、各圏域との連携強化や情報共有、情報発信を行うために、隣接府県知事との意見交換にも取り組んでいるところです。

今回は岐阜県の古田知事との両県共通の話題や課題について、意見交換を行い、相互の連携強化や地域の魅力を高めていくということが狙いであります。会場である安土城考古博物館は、岐阜、滋賀の共通点として、戦国時代に織田信長が活躍した地域であるということから選定をさせていただきました。今回の視察を通して、戦国武将を通じた岐阜・滋賀の、美濃・近江・飛騨の観光振興について相互の関係を深めてまいりたいと思います。

予定している議題は、新型コロナウイルス感染症対策にかかる情報交換、観光施策での連携、世界農業遺産に関する取組、木育・自然保育の推進の4項目でございます。岐阜県が全国に先駆けて取り組んでおられる木育ですとか、本県の琵琶湖システムと岐阜県の清流長良川の鮎、互いの世界農業遺産登録を生かした魅力発信の情報交換を行いたいと思っております。

また、個人的には伊吹山の環境保全、回復の取組などについても、岐阜県知事に投げかけてみたいと思っております。古田知事は大変御経験も豊富で、尊敬する知事であられますので、ぜひ忌憚なく話し合いをする中で、今後の関係強化、連携強化を模索してまいりたいと思います。

続いて、こちらも資料をお届けできていると思いますが、私が理事長を務めております一般社団法人 滋賀県造林公社が9月20日から開始予定の「カーボン・クレジット市場」実証事業に参加することになりました。お知らせいたします。今回の実証事業は、政府、経済産業省が主導して行われるものですが、「カーボン・クレジット市場」の構築に向けて、J-クレジットなどを試行的に取引するものと伺っております。

滋賀県造林公社は、森林の価値の見える化を図るため、平成30年度よりJ-クレジット制度に取り組み始め、「びわ湖カーボンクレジット」の名称を活用しながら、様々な企業団体の皆様方とパートナー協定を締結するなどして販売を行ってまいりました。これまで相対取引のみで販売してまいりましたが、市場取引による販売チャンネルを増やして、新たな取引先の確保に挑戦してみようということが、今回、実証事業に参加する狙いでございます。公社理事長5期目を担うことになりましたが、その立場から本県の森林面積の約1割に当たる面積を管理している造林公社が、健全な森林環境の維持や木材生産を行うとともに「びわ湖カーボンクレジット」の活用促進に取り組むことが重要であると認識しております。実証事業への参加は「びわ湖カーボンクレジット」の知名度アップを図るチャンスだとも思います。ぜひ、このチャレンジチャンスをうまく生かしながら、販路開拓を図り、造林公社の環境貢献や「びわ湖カーボンクレジット」のPRにつなげていきたいと思います。

昨日の首長会議でも、この森林資源をさらに活用、「やまの健康」の取組、さらに促進という御意見がありました。CO2ネットゼロの見える化、吸収源対策、固定源対策としての見える化を昨日も議論したところでございます。その1つの取組として、しっかりと発信をしてまいりたいと思います。私からは以上です。

[共同通信]

昨日、大杉副知事が就任されました。改めまして、大杉副知事に期待されることをお願いします。

 

【知事】

大杉住子副知事が昨日に着任され、会見も行われ、既に一部報道でも紹介されております。とても楽しみにしていました。これまで池永さん、由布さん、中條さん、そして大杉さんと、私になりましてから、県議会にお認めいただいて、国の省庁から、女性の副知事の方に、県政推進の一端を担っていただくということで、お越しいただいております。まずは、大杉さんならではの、個性、持ち味を生かして、文部科学省でのお仕事、これまでの様々な御経験からくる新しい視点、新しい風を県政に吹き込んでいただければというふうに思います。

昨日、今日と、いろいろな協議をしていましても、一言一言に「それ何ですか」ということがたくさんあります。そういうことをわかりやすく説明することから始めていこうではないかということを県庁幹部とも取り組んでいるところでございます。

大杉さんも既に表明されていますけど、国との様々な協議・調整でありますとか、文化芸術・スポーツの振興、これは2025年には国民スポーツ大会・障害者スポーツ大会を開催させていただきますので、こういった取組、また、教育の充実、こちらは読み解く力・学ぶ力の向上もございますが、もって学力の向上、さらには高専設置の準備、加速にも力を発揮していただければと思います。特別支援教育、特別支援学校の環境問題につきまして、様々県議会からも御指摘を受けているところです。現場なども見ていただきながら、今後の方向性を一緒に探っていきたい。「子ども、子ども、子ども」と、子どものために、子どもと共にという県政を志向する観点から、さらなる取組の強化を一緒にやっていきたいと思いますし、女性の一層の活躍推進などは、大杉さんがロールモデルにもなっていただけるのではないかと期待をしているところです。そういう意味で、あまりいろいろやりましょうと言うとプレッシャーもかかるのかもしれませんが、一緒に悩みながら進んでいければと思っております。

 

[共同通信]

コロナの件ですけれども、昨日の時点では病床占有率72%と、かなり非常事態かなという認識を持っています。県として、今後どのように推移していくとみられているのか、それで何かこのように対策をしていきたいとかが、ありましたら教えてください。

 

【知事】

連日、担当部局とも協議しながら、今置かれている状況と今後の状況を共有しながら、対策を考えているところですけれども、まず、現状は下げ止まっていて高止まりしているという状況が続いているのだと思います。また、今後もこの状況が大きく、例えば、桁違いに下がってきて、以前のようにゼロになってということがすぐに来る状況かというとそうではない状況だと思われます。

お盆が明けて、これから学校再開し、また、これまでとは違う人の動き・流れになっていきますし、高齢者福祉施設等ではクラスターの発生も続出しているということでございますので、新規陽性患者の発生というのは、まだ続いていくということを想定しながら、滋賀県ではコントロールセンターをしっかりと機能させて、医療が必要な方に医療を届けていく。そういうこととあわせて、直近の状況を聞いていますと、このコロナの患者さんに対応していただける病院とそうではない医療機関とがあって、どうしてもコロナの患者対応していただく医療機関に、これまで以上に過大な負荷がかかっているという状況がございますので、少しそのコロナの患者の皆さんを広く診ていただけるような取組、働きかけなどもこれまで以上にやっていく必要があるというふうに思っております。

あわせて、昨年の夏と比べると桁違いの、一桁多い患者の発生、ならびに自宅療養者の方がいらっしゃいますので、その方々の不安にお応えできるように、例えば先ほど申し上げた受診相談センターの御案内ですとか、こういったことをしっかりと行っていくということとあわせて、発熱外来への問い合わせだけではなくて、そちらへの受診が増えることによって待ち時間が長くなったり、その医療機関がパンクしたりということがあるようですので、少し御自身で検査をして、そして、その後に登録をするような、今、都市部でもフォローアップセンターという名前で広げられている取組なども、次の波なども想定しながら準備していくことも必要ではないかと考えております。

 

[共同通信]

コロナの関係でもう1つ。知事も今おっしゃっていましたけれども、これから学校も始まります。そうすると子どもの感染も増えるのではないかと。教育という面で、本来受けられるべき教育が受けられないというようなことも懸念されるかと思うのですけれども、何か対策というか、どのようにしていこうというお考えはお持ちでしょうか。

 

【知事】

基本的には、コロナとの付き合い、戦いも3年目に入ってきまして、気をつけて対策を取っていれば、ほぼ全てのことはできる状況にはなってきています。制限のないお盆休みも、この夏、経験しましたし、様々な行事も対策を取って、再開、また実施されている状況です。対外試合なども甲子園をはじめ、観客も入れてやれている状況もございますので、部活動・特別活動を含めて、これは実施していただけるのではないかと思っております。

ただ、例えば、たくさんの患者さんが出て、どういうふうにすればいいのかとか、親御さんの不安にどのように対応すればいいのかといった個別の不安にしっかりと寄り添いながら、対策を講じながら、教育活動を継続、また、充実させていく。特に、体育祭や運動会、修学旅行なども行われますので、こういったことはできる限り行えるように、そういう視点で支援をしていきたいというふうに思っております。

[共同通信]

岐阜県の知事と懇談会があるということで、隣県の知事というと隣県はたくさんあるのですが、今回、なぜ岐阜の知事だったのか、どちらからの発案で、どういうふうな流れでこれが実現したのかというのを少し教えていただければと思います。

 

【知事】

まず、隣府県との懇談ということで言えば、私が知事になった、その以前からの関係で、例えば京都府とは職員交流そして合同職員研修ということをやっていました。福井県とも隣県の知事同士の懇談という場も、これはむしろ私の方から働きかけて再開させてきたということがございます。そして、岐阜県の知事とは、聞いていますと「日本まんなか共和国」というような形で、福井県、岐阜県、滋賀県、三重県ということで、國松知事以来、ずっと様々な交流をされてきた歴史があるようでございますが、この間、例えば広域連合ですとか中部圏知事会議ですとか、こういったことが重なって少し止まっていたというようなこともあったようです。それを受けて、嘉田さんのときに一対一の懇談が行われていたということですけど、どういう事情があってか、その後あまり開催されていなかったところを、岐阜県知事からも「ぜひ、これは隣同士やろうよ」という働きかけもいただきまして、私もむしろ大歓迎でしたので調整をしていました。

ただ、コロナで、ちょうど岐阜県知事とやろうというときには、必ず波が襲ってきて2回延期になって、今回ようやく実現できるのではないかという状況でございます。

 

[毎日新聞]

コロナの関係で、高止まりしている状態ということでこれからもそう簡単には減らないとおっしゃいましたけれども、県民とか国民とかは感染者数を減らしてほしいというような希望もあろうかと思うのですけども、減らすためにはどうしたらいいかというのは、県として知事として何かお考えはありますでしょうか。

 

【知事】

重症になって命の危険になる方を減らしていくということが重要だと思いますし、改めて行動ですとか、生活様式を勘案しながら、我々がやれる・やらなければいけない対策をしっかりと続けていくという、これがまず重要だと思います。それと同時に、単なる数だけに拘泥するのではない、コロナとの付き合い方というのも模索する時期にそろそろ来ているのではないかと思いますので、今、国でもそういう視点に立った全国知事会からの提案を受けた検討もなされていると承知をしておりますので、そういったことも必要なことではないかと思います。

 

[朝日新聞]

今のコロナの件ですけど、行動制限については消極的で、その必要はないというお考えということでしょうか。

 

【知事】

何をもって行動制限とおっしゃっているのかということはわかりませんが、以前にやったような、例えば外出を控えてくださいとか、営業時間を短縮してください、お酒は出さないでくださいといったような行動制限は、現時点、必要ないと思いますし、今のコロナ対策においてはなじまないのではないかと考えております。

 

[朝日新聞]

重症者とか亡くなる方を減らすには、全体の感染者を減らすというのも1つの選択肢だと思うんですけども、緊急事態宣言なり、まん延防止等重点措置なりがなじまないとおっしゃったのは、なぜ、なじまないのでしょうか。

 

【知事】

それぞれ変異してきた株の特性というものを注意深くみる必要があると思います。そして、全てを特定し、感染経路を含めて、濃厚接触者も含めて封じ込めて、抑えていける状況であれば、そういう対策というのも必要、有効なのかもしれませんが、これだけで感染者が広がっている状況下で、かつ多くの方がかかってもほぼ無症状・軽症であられるという状況からすると、そういった全体を厳しく止め過ぎてしまうという対策は、効果よりもむしろ副作用の方が大きい面もあるのではないでしょうか。したがって、今後の株の変異の状況にもよりますが、今の状況下においては、以前にやったような行動制限をお願いせずに、基本的な対策を取りながら医療へのアクセスをしっかりと回していく、その環境を維持していくということが重要だと考えております。

 

[朝日新聞]

安倍晋三さんの国葬だか国葬儀だか予定されていますけども、知事は参列されますか。

 

【知事】

最近そういう報道がすごく過熱してきていますが、まず、日にちだけは報道で承知していますけど、御案内もいただいておりませんし、もちろん知事としての

滋賀県内での公務もありますので、そういう中での調整ということにもなるのかもしれません。

 

[朝日新聞]

議論になっていますが、参列される場合は公費で参列されるということになるのでしょうか。

 

【知事】

それは、どういう形で御案内を受け、どういう形で参加するかにもよると思います。

 

[朝日新聞]

世論が割れているようで、今日も産経新聞さんに世論調査が載っていまして、国葬に賛成か反対かでは反対の方が上回っている状況でしたが、知事は、この安倍さんの国葬についての是非についてはどういう御意見でしょうか。

 

【知事】

一国の総理をお勤めになった方、長く内政外交に御尽力された方がお亡くなりになられた。また、あのような形で亡くなられたということに対して、弔意を示し、お弔いをするということについては、私は重要なことだと思いますし、岸田総理がそのような御判断をされたということについては理解したいと思っておりました。

ただ、そのときにも申し上げたと思うのですが、より多くの国民の皆様方がわだかまりなく参加できる理解の増進であるとか、形式の検討と提案というものはやはり求められるのではないかと思いますので、なお1か月余りありますので、そういったことに努めていただけるのではないかと思っております。

[朝日新聞]

つまり、国葬の実施に諸手を挙げて賛成するというニュアンスではないというふうに受けとめましたが。

 

【知事】

安倍元総理を弔うという行事というのは、何らかの形で行われてもいいのでしょうけど、国葬ということになれば、また公費を使って様々な要請をするということについては反対される方も多いと思います。

こういった形で、国論を二分するような状況では、例えば私もそうですけど、知事という公職を預かる者というのは、なかなか動きづらい状況にもなってきますので、こういうことはなるべく、そういう状況を改善した上で開催するというのが、本来、安倍元総理に対しても気持ちを届けるという意味においても大事なことかもしれません。また、外交でこの機を生かして様々な交流のあった方々と外交をやるべきだという目的に照らしても、国論が大きく二分する、もしくは反対が多い状況というのは、もう少し改善してからやった方がいいのではないかというふうに思っております。

 

[京都新聞]

今の国葬の質問に関して、重複するかもしれませんが、もう少し聞かせてください。京都や大阪などの4つの都道府県で住民監査請求が出されていて、この安倍元首相の国葬に知事や議長が参列する場合は公費を支出するべきではないというような請求が出ているのですけれども、知事はこれについてどのように思われますか。賛否が割れる状況で県民の代表として知事たちが参列すべきではないというような御意見も紹介されているようですけれども。

 

【知事】

報道ではそういった請求がされていることは承知をしています。まだ、滋賀県においては現時点、届いていないということでございますが、そういった御主張の御請求の内容などもよくみた上で、同時にどういう形で国葬が行われ、どういう形で参列要請、参列招待があり、かつ我々がその式にどういう用務・公務・目的で参加するのかということにもよるのだと思います。公務で行く場合は公費ということになると思いますが、公務という整理がつくのか、公費の支出というものに照らしてどうなのかという判断は今後、我々もしっかり検討していかなければならないと思います。

 

[京都新聞]

大阪の吉村知事などは案内があった場合は、知事として公務として行くのが当然だというふうな見解を表明された知事もおられますが、三日月知事はその点については慎重に考えていらっしゃる立場でしょうか。

 

【知事】

慎重というよりも、まだ招待されているわけでもありませんし、その国葬なるものがどういう形態で行われるのかということも定かではありません。かつ、我々がそういったところにどういう形で、私は東京に行く業務というのもほぼ知事になってからはありませんけれども、全てが公務ということではなくて私費で行かれる場合も、他の知事なんかでもあられますので、そういった業務と重ねて行くことができるのかとか、いろいろな観点もあると思いますので、この時点で何か断定的なことを申し上げられる状況にはないと思います。

 

[京都新聞]

先ほど朝日新聞さんからの質問に対して、国論を大きく二分する状況は改善してからやった方がいいのではないかという御発言があったかと思うのですけれども、それは国葬の延期をした方が良いというお考えでしょうか。

 

【知事】

決してそういうことを前提に申し上げているわけではなくて、もちろん大きな貢献のあった方の弔い行事だと思います。それを国葬でやるという、こういった決断というものも、時の総理のなされた決断ですので、私は大きな決断、一定の考えがあってのことと理解をいたしますが、例えば国会での追悼演説の取り扱いを含め、ありえないような形で提案されたことが報じられるなどあったことが、国民感情にも影響しているのではないかと思います。

また、国葬で、全て公でやるということになると、安倍総理が果たされた貢献だけではなくて、功罪の部分の検証というものが少し見えにくくなるのではないかという御指摘もございます。そういった事々などをどのように判断して実施をされるのかということだと思います。

政府も総理も、こうやって反対が多いとか、国論二分しているという状況下で行うということをよしとされてないと思います。こういう状況をどのように改善・克服されるのかというのを注視したいと思います。

[読売新聞]

カーボンクレジットですけど、排出権を売ることによる効果として、おそらく森林整備の財源が確保できるという意味だと思うのですが、効果としてどういうことを期待されるのかということと、今回の東証の実証実験ですが、こういった排出権の取引の機会が拡大することについて、期待といいますか、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

おっしゃった通り、こういったカーボンクレジットというものは、吸収源・固定源としての森林資源の価値を見える化するという意味において大変重要なことだと思います。したがって、今回、この市場で取引をさせることによって、どれぐらい取引が行われるのかというようなことも含めて把握をしながら、今後の可能性、また同時に課題というものもしっかりと探っていきたいというふうに思っています。当然、このことは、この市場ですとか、制度がより整っていく中で、おそらく森林についても一律に価値が認められるのではなくて、しっかりと吸収する、ある程度若い森林というものの価値が見直されてくるということにもなるとすれば、昨日も首長会議で話題になっていました、主伐・皆伐から再造林に向けた森林の若返りということも重要になってくるでしょう。また、こういった森林資源の価値が見える化され、取引され、一部でもこういった山に、森林所有者に還元されるとするならば、その生業というものに対する魅力ですとか、志向というものも改善する兆し・きっかけになるのかもしれません。

こういうことは期待したいし、琵琶湖の周りに森林が広がっている本県では、

比較的県民の中でもこういう効果というのは見えやすい。効果が見えやすいので、行動変容に繋げやすいテーマだと思いますので、県だけではなくて、造林公社としても積極的に取り組んでいこうということで、今回、この取組を行うことになりましたので、ぜひ経過ですとか、どういう結果だったのかということも含めて共有して、今後の取組に生かしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

今後、やってみて、いろいろと考える部分があると思うのですが、市場取引が拡大すると当然、クレジットのライバルがあるわけで、その中でこの滋賀県として、どのように特徴を出していこうと考えてらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

どれぐらいライバルがいらっしゃるのかということについては、定かではないですけど、したがって、やってみて、どういう評価が得られるのか、どういう取引になるのかというのは、みてみたいというのがあります。と同時に、滋賀県の場合、クレジットで取引・流通させるものの真ん中に森林資源、その下流に琵琶湖という、大変わかりやすい水資源がありまして、それは滋賀県民のみならず、下流府県1,400万人を超える方々の貴重な生命の水源として機能させている。涵養機能を含め、環境改善を含め、その水資源を保つためにも、豊かな森林資源が重要だというCO2プラスアルファの機能というものも発信することができますので、そういったことも、今後、うまく表現しながら、この取引などにつなげていければと。これまで企業の皆さんのパートナー協定というのもそういうことを試行しながら結ばれてきましたので、市場の中でも評価されるように努めていきたいと思います。

 

[京都新聞]

コロナの患者の全数把握の見直しが政府でなされていますが、保健所や医療機関の負担が課題だということで、全国知事会からも見直しを求めていて、今、考えている途中ということで、重症化リスクのある人だけをきちんと把握するという形での検討が進んでいると聞いているのですけれども、その辺り知事はどのように思われますか。

 

【知事】

まず、昨日も首長会議で、医師をされている首長の方から見直しの提起があったところです。そもそも、現状を求めていることができているのかといったような御指摘もあったところです。現場ではこれだけ数が増えて、1件1件の把握調査に、これまでどおり同じ時間をかけていれば、到底回っていかないという悲鳴も届いていますし、この全数把握というものに、今、感染症対策上の意味を持っているのかということも提起をされているところです。したがって、知事会からは、全数把握見直しについて国に対しての提起をさせていただいております。

同時に、全数把握をしない場合の代替というものをどのように行っていくのか。今も御質問の中にありました重症化リスクの高い方というものの見極めが、まだ滋賀県では医療機関で医師が判断して、コロナの陽性の診断を出していますけれども、都市部では自分で検査して、そしてそれらをやりとりしながら、陽性ということで登録をされているということがある中で、どのような形でこの重症化リスクというものをつかんでおくのか、またやりとりするのか、こういうことも課題になってくるのかもしれません。そういう事々をぜひ勘案しながら、今の状況、そして、これからの状況にふさわしい数の把握の仕方というものを見出していく必要があると思います。

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