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知事定例記者会見(2021年7月20日)

令和3年7月20日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

皆さんおはようございます。よろしくお願いいたします。

7月20日は、7年前に私が就任した日でもありますし、3年前の今日は2期目がスタートした日でもございます。したがって、改めて原点に返るということで、

 

(俳句)世の泥と 波をつきぬく 蓮の華

 

と、ちょうど蓮の花がきれいな季節でございます。しかし、コロナの波、いろいろな課題・問題等ありますが、ぜひ、そういうものを突き抜く蓮の花のように可憐でありたい。また、潔くありたい。斯様(かよう)に思うところでございます。

まず、議会中、梅雨の豪雨の土石流等で、被害に遭われた方、亡くなられた方が大勢いらっしゃいます。今なお捜索中の方もいらっしゃいますが、改めて被災された方にお見舞いを申し上げたいと存じます。

本県におきましても、土砂災害警戒区域(のうち、土砂災害の発生原因となる自然現象の種類が土石流となるもの)が2,500か所を超える状態でございます。順次、指定等を進めてきておりますが、改めてこの土石流の対策を強化していく必要があると考えております。

静岡県においては、この当該地域の検証を進めていらっしゃるということでございますし、国においても土石流災害のデジタルマップ、土石流を受けてのデジタルマップを利用した全国における盛土可能性個所の抽出を行われていると。今後、点検の参考となるデータを提供されるということでございますので、県においても、点検対象となる個所の抽出を現在、進めているところでございます。例えば、林地の開発許可区域でありますとか、大規模盛土造成宅地でありますとか、公共事業における主要な残土処分地。現在、こういったところの点検をさせていただいているところでございます。市町とも情報を共有いたしまして、今後、対策を行っていきたい。したがって、庁内に土石流対策庁内連絡会を立ち上げます。防災危機管理監を責任者とする連絡会を立ち上げ、庁内の連絡体制を強化していきたいと存じます。

まず、コロナの状況でございますが、県内の感染状況は指標の多くがステージIIの水準にある。第4波を振り返りながら、今後どのような状況になるのかということを県の専門スタッフが分析をしてくれましたので、その情報を皆様方と共有したいと思います。

4波を振り返りますと近隣府県ですとか、本県においてもそうですが、人口10万人あたりの新規感染者数が5人を超えてくると、増加速度が早まって10人を超えると急増していく傾向がみられると。ちなみに大阪府の状況ですが、(モニターのグラフの)この赤のラインが10人を超えてくると急激に感染者数が増える。3日間で(新規感染者数が)1.5倍。そして、(人口10万人あたりの新規感染者数が)15人を超えて20人になるまでには、(人口10万人あたりの新規感染者数が10人になってから)5日間で(人口10万人あたりの新規感染者数が)2倍になるというような形でどんどん増加速度が早まっている。京都府も、このような形で同様の傾向がみられるということでございますので、この10万人あたりの感染者数が5人を超えるという、(モニターの)この灰色のライン。次の画面が本県のグラフ。現在、本県は(モニターのグラフの)ここにいるのですけど、このオレンジのラインが5人のライン。そして、赤のラインが10人のライン。そして、赤の折れ線が前回の第4波のときの推移です。現在、この黄色のラインで推移をしておりまして、昨日時点で10万人あたり4.9人。そして、本日にも、これが5人を超えていくのではないかということが指摘されておりまして、5人を超えてくると、10人に至る速度が上がり、さらに10人を超えてくると、また、さらに感染速度が上がる。また、20人を超えると病床逼迫の度合いが強まるということでございますので、早め早めの注意喚起ということもあり、感染再拡大の兆しが見え始めている今、県民の皆様方と警戒をしていきたい。注意をしていきたいと考えております。

折しも、今週は4連休があります。オリンピックも開会します。学校が夏休みに入るということもあり、多くの方が移動されたり、また、集われたりということがございます。そこで、一人ひとりの行動でこういった再拡大を阻止するために次の3点について、改めてお願いをいたします。

1つは基本的な感染対策を徹底してほしいということ。また、緊急事態宣言対象地域、まん延防止等重点措置実施区域等への往来や会食を極力控えてほしいということ。また、県内においても、認証マークのある認証店舗での御利用をしていただくなど、感染リスクを下げる工夫と努力を、みんなでしていこうではないかという、この3点を改めてお願いいたします。ぜひ、今から感染対策を改めて強化・実施・徹底することによりまして、前回の波よりも小さい波にしていきたいと考えております。繰り返しになりますが、こういった対策を徹底できなければ、1~2週間後には大きな流行を迎えることになります。本県の医療体制が再びひっ迫する事態となる可能性がございますので、こういったことを県民の皆様方と共有していきたいと思います。

また、再びそういう局面になる場合に備えるために、県内のコロナ受入れ病院には、病床の確保を引き続きお願いすることといたします。宿泊療養施設は677室。第4の施設も含めて確保しておりますが、病床についても引き続き確保をお願いすることといたします。

ワクチンにつきましては、先週、首長会議も行い、その御意見等も踏まえ、16日に国の河野担当大臣に対しまして、県と市長会、町村会で、ワクチンの配分に向けた緊急要望を行いました。第11クールで、8月2日の週、8月9日の週に109箱を配分。うち、18箱は県の調整枠として配分いたしましたが、以前よりも少なく、また、今後のことも不安だという状況がございます。今後、第12クール、また9月以降、安定的な供給を国に求めていきたいと思います。

先日、7月13日の首長会議では、64歳以下の世代のワクチン接種の予約が以前に行った高齢者に比べて低調であるということを懸念するお声をいただいております。集団免疫を確保、獲得していく観点からも、重要な課題でございまして、正しい情報を入手していただく。その情報に基づき行動していただくということを含め、こういった若い世代の理解が深まるよう市町とも連携いたしまして、情報提供や広報を進めていくことといたします。

最後になりますが、先週末、6月議会が終了いたしました。補正予算をはじめ、多くの議案を議決いただきましたが、議決いただいた6月補正予算の速やかな執行と、長引くコロナの中の影響を受けられる県民・事業者の皆様方向けの9月補正予算の準備を指示したところでございます。今後も、コロナ禍でお困りの方々に、間断なく、きめ細かな支援をお届けし、感染症予防対策と社会経済活動、文化活動との両立を図ってまいりたいと思いますので、よろしく御協力方、お願いをいたします。

それでは資料に基づきまして、3点申し上げます。

まず1つ目。これもコロナの関連でございますが、飲食店の時短要請について、県独自の検証を行ってまいりましたので、この時点での結果を公表させていただきます。飲食店への時短要請については、経済活動への影響、また、私権、私の権利の制約につながりますことから、慎重に検討し、おかげさまで本県においては、こうした措置をとることなく対応することができてまいりましたが、今後に備え、飲食店への時短要請の有効性について、他府県の事例等から分析を行ってまいりました。具体的には、資料にございますとおり、国の調査も参考にしながら、時短要請などの措置が出されてから効果が発現するまでを、14日間と仮定いたしまして、その経過後の新規感染者数の推移をみることで測っていこうと試みたところでございます。

当然、前提でございますが、これらの検討にあたりましては季節変動、変異株の影響、ワクチン接種の効果などにより、今後はこれまでとは感染動向が異なる可能性を十分踏まえる必要があるということをあらかじめ御了承いただきたいと思います。

対象といたしましたのは、近隣府県で本県が特に影響を受けると考えられる大阪府、京都府。大都市圏との関わりが本県と類似していると考えられる奈良県、和歌山県といたしまして、それぞれの府県の10月以降の感染動向を独自の時短、まん延防止、緊急事態宣言など措置が切り替わるごとにどうなってきたのかをみました。分析を行いました結果が、6ページ以降、まとめのところでそれぞれ小さい四角囲みで、記載をしてあります。

例えば、6ページにございますように大阪府。また、9ページにございますように京都府におきましては、それぞれの府独自の時短要請は感染拡大の抑制に関係した可能性は否定いたしませぬものの、新規感染者数の明確な減少は認められなかったのではないか。一方で、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言については減少傾向がみられたのではないかということでございます。11ページに奈良県、そして、13ページに和歌山県、まとめのところで結論を記載しておりますが、こちらの両県につきましては、時短要請時点、または直後に既に減少傾向でございまして、時短要請そのものによる効果は確認できなかったとのことでございます。両県においては、県独自の時短要請の効果よりも、大阪府の感染動向による影響の方が大きかった可能性が示唆されるとのことでございます。また、14ページ、15ページに国の調査の結果を載せておりますが、まん延防止等重点措置において減少効果があった可能性が示唆されておりますが、その効果には地域差を認める、地域差があるということが指摘されております。

これらを踏まえまして、16ページの下欄でございますが、本県といたしましては、県独自の飲食店への時短要請は、減少効果があらわれない可能性があり、今後も慎重に判断する必要があること。時短要請を行うとなれば、まん延防止等重点措置については一定減少効果がみられることから、独自の時短要請と同時に、国へのまん延防止等重点措置の要請を検討すること。できるだけ、独自の要請とまん延防止とを時差なく実施できることが望ましいのではないかということでございます。これらの検討にあたりましては以上でございます。少し内容が仔細にわたりますので、御確認の上、御質問等をいただければと存じます。

次の話題は、第54回滋賀県政世論調査についてでございます。この恒例の世論調査を実施するにあたりまして、無作為抽出で選ばれた3,000名の方々に調査票をお送りいたします。私のイラストと直筆メッセージ入り封筒が、御手元に届いた方は、そのまま捨てられることなく、まずは封筒を開封してください。中身を確認することから御協力をお願いしたいと存じます。回答方法は、調査票に直接記載し、専用封筒で返信いただく方法と、しがネット受付サービスからインターネットで回答いただく方法がございますので、お好きな方法、より回答しやすい方法で、御協力をお願いいたします。

今回の調査は、定例テーマでございます県政全体に関する満足度、そして県の広報広聴活動と、単年度テーマであります脱炭素社会づくりについて3項目を実施することとしております。また、4項目目といたしまして、今回の調査から県政に関して自由に御意見を御記入いただける設問を新設いたしました。文章でお書きいただくことはもちろん、絵を描いていただく、短歌、俳句、どのような方法でも結構でございますので、滋賀県への思い、また御意見等をお寄せいただければと存じます。以上が調査の概要となります。

皆様からの回答到着後、速やかに集計いたしまして、おおむね8月下旬に単純集計結果の速報を出します。また、回答者属性、設問間クロス集計分析結果等の詳細につきましては10月上旬を目途に改めて報告をさせていただきます。調査協力の御礼といたしまして、昨年度も御好評いただきました選べる粗品プレゼントを用意しておりますので、ぜひ御応募いただきたいと思います。

また、今回は特別な招待状を同封させていただいております。これは県民の皆様の声をもっとお聞きする。コロナを受けて、より良き自治を追求する、声なき声に耳を傾けるという取組の一環でございまして、対話型世論調査の招待状となっております。招待状に記載されているQRコードにもアクセスしていただいて、ぜひ御参加をいただきたいと思います。私も、全てではございませんが、多くの場面で、一緒に討議をさせていただく予定でございます。ぜひ、皆さんと一緒に討議をしながら「変わる滋賀続く幸せ」を実現してまいりたいと思いますので、よろしく御案内方、お願いをいたします。

最後は「やまの健康」に関してでございます。この「やまの健康」の取組は、農山村の価値や魅力、地域資源を生かした物やサービスを使って、県民の皆さんが自然と共生する健康で幸せな暮らしを実現することを目指しております。琵琶湖を健康に保つためにも「やまの健康」ということでございます。この取組をさらに進めていくために、事業者の皆様の「やまの健康」普及啓発に資する取組への補助事業を今年度から新たに実施いたします。

具体的には、農山村でとれる食材を生かした商品やメニューの開発、「やまの健康」の啓発を兼ねた商品開発、自社の森林活動を「やまの健康」イメージキャラクター、ちょっと強面、でも実は優しい「やまのおっ山」を活用してPRをいただくなどの取組を募集いたします。1団体当たり経費の2分の1を、50万円を上限に助成を行います。8月20日までの期間、応募を受け付けます。5件程度の事業者の皆様と一緒に「やまの健康」を推進していきたいと考えております。「やまの健康」に関連する事業活動を通じて、滋賀の山の魅力を感じる取組を広げていきたいと考えておりますし、来年の全国植樹祭開催に向けて、山に関心が集まるよう、人の手と力が入るよう、この取組をしっかりと動かしてまいりたいと存じます。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[産経新聞]

時短要請の効果が、滋賀県においてはあまり現れない可能性があるという、この検証結果についての受け止めをお願いします。

 

【知事】

県独自の飲食店への時短要請というものは、減少効果が、この分析結果からは現れない可能性があるということでございます。やはり飲食店の時短だけではなくて、人と人との接触を減らすという意味において、それ以外の大規模集客施設でありますとか、そういったことと連動させることで、この感染抑制という意味においての効果は得られるのではないかということでございますので、そういったことを念頭に置いた対策の検討というのが必要ではないかと思います。

 

[産経新聞]

効果があまり現れない可能性があるということですが、今後、今回の検証結果を踏まえられて、感染拡大時に時短要請を実施されるのか。それとも、時短要請を実施せずに、例えば、おっしゃったようにまん延防止等重点措置を国に求めるなどの他の方法で、感染を抑えていくというお考えでしょうか。

 

【知事】

まず、必要なことは果断なくやりたいと思います。当然、まん延防止等重点措置の中には、飲食店への時短要請も入ります。ただ、今の制度の建て付けは、国に要請する前に、県独自の時短要請をかけておくようにということを言われておりますので、その辺りの時間をどれぐらい短縮できるのか。そういったことが鍵になってくるのではないかと思います。

ただ、感染抑制のためには、感染者を減らすということの目標のためには、飲食店だけではなくて、むしろ、それ以外の施設も含めた対策というものを取っていく必要があるのかもしれないと考えております。

 

[産経新聞]

この検証結果についてですが、大阪府や京都府、奈良県や和歌山県の感染状況も検証されていますが、これを、例えば、その当該府県であったり、あるいは国と今後共有されたり、内容はこういう結果でしたというのを伝えられる御予定というのはありますでしょうか。

 

【知事】

それぞれの府県、また、国においても、こういった対策の結果・効果がどうであったのかという検証は順次なされると思いますし、恐らく波によっても、相当違いが出てくる可能性がございます。必要に応じて比較をしたり、また、検証を行われたところと情報共有をさせていただいたり、どのような分析ができるのか、さらに極めていきたいと思います。

 

[朝日新聞]

非常に興味深い検証だと思うのですが、かゆいところに手が届かないというか、担当課に聞いたほうが良いのかもしれませんが、時短要請は減少効果が現れない可能性があるけれども、まん延防止の方は一定減少の効果がみられる。この両者の違いが出たのはなぜなのでしょうか、というところがわからないのですけれども。例えば、時短要請には従わなかった店が多いなど、その辺りの分析をされていませんでしょうか。

 

【知事】

そのかゆいところがどこなのかというのは、十分お伺いしないとわからないのかもしれませんが、ぜひ詳細は担当課にお聞きいただければと思います。

今、最後にお尋ねいただいた時短要請に従われなかった事業者がどれぐらいあったのかということは、今回の分析には含んでおりません。したがって、その影響がどのように出てきたのかということについては、この分析の中では明らかではありません。

ただ、まん延防止等重点措置と、それぞれの府県独自の時短要請との違いは、やはり、まん延防止等重点措置だと、飲食店以外の大規模集客施設等への、例えば時短要請ですとか休業要請をあわせてかけますので、人の動きというのは独自の時短要請よりも大きく止まる可能性、動かなくなる可能性があると思います。そういったことが現れているのではないかと担当者は申しておりました。

 

[毎日新聞]

時短が必要ということになれば、まん延防止等重点措置と同時に発出したいというお考えでありましたけれども、先ほど説明あったように、今の建付けだと、県でやれることをやった後にまん延防止等重点措置を要請しなさいという、国からそういった指示があるかと思うのですが、そうすると、まん延防止等重点措置の制度自体を変えるように、今後何か働きかけをするとか、知事として何か国に要望するとか、その辺のお考えはありますでしょうか。

 

【知事】

全国知事会においても累次にわたり、まん延防止等重点措置について、非常に要請から発動までの時間が長過ぎて、効果が十分に得られないのではないかという問題提起がありました。

国会に諮り、そして政府で検討するというようなことで、概ね1週間から10日の時間を要してしまう。もうその間に感染がさらに広がったり、既にそれ以外の影響が出てきたりというようなこともございますので、大きくこのまん延防止等重点措置の制度自体を見直すという議論も必要だと思います。

加えて、まん延防止等重点措置をやる前に、県独自のことをやってからということについては、私ども今回対象にした府県では、先ほど申し上げたように、それぞれ独自の時短要請は減少効果が現れない可能性があるのではないかと指摘しておりますが、他の府県の状況もあるでしょうし、もう少し広くみた上で、どの程度、近くする必要があるのか考えていきたいと思います。

ただ、この時点で得られる1つの結論としては、感染抑制効果を発現させようと思えば、それぞれ独自の時短要請よりも、もっと大きく人の流れを止めていく措置の方が、分析対象にした府県の結果からは効果があったのではないかとみられますので、そういうことを考えていく必要があるのではないかと思います。

[日経新聞]

政策の評価というのは、重要な、有意義なことだと思うのですが、今回の場合は、他府県の政策をある意味勝手に評価するということになるのだと思います。それに対して躊躇など、そういったことはなかったのでしょうか。

 

【知事】

この感染症対策は、それぞれの都道府県が、それぞれの状況の中で、試行錯誤も含めて対策を講じられますので、それぞれの府県においてやられたことと、やられなかったことについて、公表データを基に検証させていただきました。

一定、必要なことをやらせていただいたのではないかと思っておりますが、例えば言葉の表現として、今回の分析だけで、結論・結果を断定的に言うことなどについては、できる限り、配慮や工夫をするようにということで、担当者が努力をしてくれたということがございます。

 

[日経新聞]

感染防止と経済再生への両立ということに関連して、ワクチンパスポートについて伺いたいと思います。

申請受付が近く始まりますが、今のところ、海外渡航のみを目的として活用するという方針だと聞いています。一方で、国内移動の要件緩和であるとか、飲食店の利用などについて、ワクチンパスポートを活用すべきではないかという考えがありますが、知事御自身は、国内の経済再生にワクチンパスポートを生かすということに関して、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

 

【知事】

まず、海外渡航等で活用されるということについては、市町と円滑にそのシステムが動いていくように努力をしたいと思います。ただ、それ以外の目的に、このワクチンパスポートを活用するということについては、現時点、私は消極的です。

やはり、ワクチンを、いろいろなお考え、またいろいろな事情によって、打たない方、打てない方もいらっしゃるわけですから、それが済んだことをもって、何かメリットを付与していく。一方、そのメリットが付与されないということについては、これはワクチン接種をめぐる差別等につながりかねない、それらを助長することにつながりかねないと危惧、懸念いたしますので、私は消極的です。

 

[滋賀報知]

冒頭、感染を増加させないために早めの注意喚起というので、これから夏休みやオリンピックで移動があるだろうというので、3点お示しいただいたのですけれども、以前、感染再拡大警戒局面であると発表されたときに、マスコミからの質問でもあったのですけれども、一律に移動を規制するわけではないという知事のお考えを伺いました。この1年間、動かずにおられた方がワクチンの接種も進んで、ようやく移動ができるようになったと。第3波の時の規制の話が出たときには「家の中でもマスクをしてください」とか「家の中でも、例えば向かい合わせで食事をする危険を避けましょう、時間をずらしましょう」とか「食事以外の時はなるべく会話を少なく」といった具体的な話があったかと思います。現在、ステージIIですけれども、何かそのような具体的なガイドラインがあれば、ワクチンを打ったことで「ようやく家族と久々に会える」という気持ちの人もいると思うのです。何か、今現在の具体的なガイドラインがあれば、教えてください。

 

【知事】

当面、この感染再拡大の兆しがあるので気をつけましょうということについては3つです。今おっしゃったように、お盆の帰省ですとか、御旅行ですとか、とりわけ滋賀県の場合は、そういったお墓参り等も、親戚が集われるということもありますので、こういう時期に改めてどういうことに気をつければいいのかというのは、少しわかりやすくまとめようということを今考えておりますので、今日時点のものを、少しわかりやすくつくって、皆さんにお知らせしたいと思います。

 

[滋賀報知]

先週の土曜日の7月17日に、東近江市でワクチンを保存していた冷蔵庫の電源プラグが抜けかけていたということで、約1,500回分のワクチン廃棄をすることになったと。この件について、何か知事のコメントがあれば伺わせてください。

 

【知事】

配分されたワクチンは貴重なものですから、有効に使うということが基本になりますし、もちろん、東近江市さんもやろうと思ってやられたわけではないのでしょうけれども、いろいろな状況が重なって、そうなったということについては残念なことだと思います。県においても、そういったことがないように、他山の石で注意しようと。電源バッテリー大丈夫かと。ヒューズが落ちて、電気が入らないということがないようにしようという注意喚起を昨日行ったところでございます。

 

[滋賀報知]

先日、総理大臣が、ワクチンの接種の希望者への完了のめどというのを、11月の早い時期にということを、テレビ番組の中でおっしゃったという報道を目にしました。一方、県内ではこの間の首長会議でも、先ほど知事の御指摘もあったように、若い世代の予約が低調であると。県としてはその啓発、広報というのをしっかりやっていくというお話もあったと思うのですけれども、目標が11月までというのを一定共有されている中で、今後、その若い世代への啓発をどのようにされていくか、何か具体的な案があれば教えてください。

 

【知事】

今、おかげさまで県民全体のうち1回目接種された方が27.9%、そして2回目終了された方が16.9%。これは7月18日現在でございます。おかげさまで、おおむね順調に、このワクチン接種が進んでいるとみております。高齢者についても、88%の方が1回目、そして6割を超える形で2回目の接種が終了されているということですので、例えば、高齢者については7月末完了めどというのは、おおむね立ったとみております。

そして、今、お尋ねのあった希望される方、11月のできるだけ早く、我々は11月中ということで申し上げておりましたけれども、そういうものをしっかり共有しながら、着実にこの集団免疫をつけていくということに努力をしていきたいと思います。

首長会議でも、若い方の接種券を配っても予約の入りが低調だという御指摘がございました。お仕事の都合もあるでしょう。だからこそ、職域接種等で補い合っていく、また、広域接種等でカバーしていくということが必要だと思います。そのためにも、やはり計画的に、ファイザー社製、モデルナ社製、こういったワクチンをしっかりと市町村に、また、接種をされるところに配分してほしいと、その配分のめどを示してほしいと。それさえ示されれば、我々は体制をしっかりと構築できておりますので、それを改めて強く(国に)お願いしたいと思います。

[中日新聞]

時短の検証の件ですけれども、関西の2府2県の検証結果が入っていて、非常にわかりやすいのですが、滋賀県は結局どうだったのかというところが、ちょっと資料の中には入っていないので、そこについてお伺いしたいのですが。

滋賀県のこの第4波での対策、特に時短要請等はなかったですけれども、その結果としての感染の波というのは、今回のこの検証結果も踏まえて、どうであったかと。今回の滋賀県が取った政策というのは、感染対策にとって、どれぐらい上手くいっていたかというところを振り返ってお願いします。

 

【知事】

大きく言えば、もう4波が収まって、その次すぐ5波は来ていますので、今の時点で県がこの対策について、何か評価するというタイミングでもなければ当事者でもないのではないかと思います。ただ、他の府県に比べて、その感染者数の波が急激に高くなることなく、そして、医療の体制が整ってない状況で早くその波が来るということなく、逆の言い方をすれば波を低く、そしてそのピークを遅く、対策をすることが出来たのではないか。これは、県民の皆様方、また、医療関係者の皆様の御尽力・御協力のおかげさまで、こういうところがあると思います。

ただ、例えばこういった時短要請を更に強力な措置をかけた場合に、もっと低く抑えることができたのではないか。もっと早く下げることができたのではないかという、こういう仮定に基づく検証というのは、あり得るのかもしれません。ただ、それには逆の意味の副作用が伴いますので、そういったことをどうみるのかということはあると思います。ただ、いずれにしても、5波が他の地域にも来ていることを踏まえて、取り急ぎ行った今回の検証結果を基に対策を検討していきたいと考えております。

 

[中日新聞]

感染の波を低く抑えることもできた。あるいは早く来ることを抑えることができたというところですけれども、時短要請をかけないながらも、そういう一応結果を出せたという手応えをお持ちでいるのは、他にどういう対策が有効だったというふうに感触を持ってらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

何が有効だったかとか、そういうふうにできたということよりも、結果的にそうなったということですし、これには多くの県民の皆様が基本的な感染対策を徹底していただくことでありますとか、いろいろな活動の際に、配慮・注意をしてくださった。また何より、医療・保健関係者の皆様が積極的疫学調査ですとか、医療資源を守りながらの治療でありますとか、他の症状や病気・けが等の医療活動にも対応しながら、コロナ感染症対策をしっかりと行っていただいて、医療崩壊をさせることなく、これまでの波については乗り越えることができてきたので、ぜひ、そういう体制を今後もしっかりと、これまでの波の教訓を踏まえてとっていきたいと思います。

 

[中日新聞]

この結果というのは「これまで飲食店ばかりが悪者にされて」というような声を挙げてきていた飲食店等の当事者にとっては、飲食店だけに時短をかけてもそんなに影響がある訳ではない可能性があるという結果は非常に意義あるもので、勇気づけられる方もいると思います。全国でも、そういう結果をしっかりと出して対策してほしいと思われる事業者の方々がたくさんいらっしゃると思います。この結果について、周知だったり発信だったりを今後、どうしていかれるお考えなのか、お願いします。

 

【知事】

短期の検証でしたので、まだまだ不十分な点はあろうかと思いますが、県のスタッフが鋭意、頑張って検証してくれましたので、その結果としてこういう形で皆様方に公表させていただいております。そのことを以て県民の皆様方や多くの皆様方にお知りいただいて、更なる御批判やいろいろな御指摘等もいただくことがあると思います。そのことによってまたこういった検証、分析の手法を磨いていきたいというふうに思っております。

ただ、お尋ねいただいたように、このことで飲食店等の時短にどういうメッセージになっていくのかということについては、やはり両面あると思っています。飲食店の時短要請だけで何か感染が減るかのような誤解というのは、持たない方がいいということと、さはさりながら、人と人とが相集い、近い距離で話し、マスクをしていても、食べる時、飲む時は外し、ついつい(マスクを)し忘れて、盛り上がって話してしまうという、この感染リスクを下げよう。したがって飲食店の時短要請であり、酒類の提供禁止だというこの措置を講じざるを得なかったことについては、一定、理解をいたします。ただ、それには、補償ですとか、協力金ですとか、そういった支援策とセットでないと、その事業者の協力をしっかりと得られない、また、長続きしないといったことになると思いますので、この点はやはり留意しなければいけないのではないでしょうか。

 

[京都新聞]

この時短要請をめぐる検証の結果から翻って、第4波において知事御自身が、時短要請をめぐって政策判断を重ねてこられたと思うのですけれども、この結果から翻って御自身の政策判断について、どのような御評価をされておられるかお聞きしたい。

 

【知事】

もう少しみる時間、考える時間をいただきたいし、私どもだけではなくて、他の機関なり、客観的な評価分析等も待ちたいという思いは前提としてありますが、私どもも必要であれば、時短をお願いすること、更には、それを経た上で、国にまん延防止等重点措置を要請することも辞さずに構えておりました。ただ、おかげさまでそういう事態に至るすれすれのところで、それを回避できたということでございますので、そこには至らなかった。何もそれを避けようと思ってやっていた訳ではなくて、あくまで慎重に検討いたしましたが、そういう事態にはならなかったということです。

ただ、一方で、時短とセットで支払われる協力金、もう既に時短はお願いしなくてもお客様が来られないという状況下で事業者をどう支援していくのかという、感染対策とは別のテーマが、例えば年末年始、そして4月、5月にはございました。こういったことに行政なり国がどう向き合っていくのかという課題は、なお残ったままだと思いますので、この辺りのことをやはりしっかりと考えたうえで、制度をつくっていかなければならないのではないかと思っております。

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