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知事定例記者会見(2020年10月13日)

令和2年10月13日
(県政記者クラブ主催)

久しぶりの会見でございます。10月ということで、今月の句を詠ませていただきました。

古びわ湖の恵みあたらし日野菜かな

週末、日野町で日野菜の収穫イベントに参加させていただきました。伝統野菜である日野菜の奥深さ、味わい深さを感じたところでございます。こうした伝統野菜の保全と普及にも努めていきたいと思います。

 

今日は速報ベースで、今朝判明分で3件の陽性ということでございます。引き続き、注意しながら、感染予防対策をとりながら、生活をしていくということに心がけて参りたいと思います。また、検査医療体制の増強を含めた改変、また国からは入院措置等に対しても、一定の指針が示されたということでございますので、それを受けた県内の対応について、早急に取りまとめ、皆様方にもお伝えをしたいと思います。

去る10月9日、9月定例会議が閉会いたしました。今回は緊急課題であります新型コロナウイルス感染症対策を中心に、過去最大となります731億円もの予算をお認めいただいたところでございます。前方のモニターにその主な内容等をお知らせしておりますが、人権啓発の推進、PCR検査の増強、季節性インフルエンザ予防接種、感染症医療体制の充実強化ならびに県内中小企業者の資金繰り拡充や生活福祉資金貸付金の増額など、生活や雇用を守るための取組を、しっかりと進めて参りたいと思います。

また、この前に行われました県政経営会議において、この9月定例会議でこうして御議決いただいた予算を早急に執行し現場にお届けすることと、請願等、採択されたことに対する対応の検討ならびに各委員会、本会議等で、県議会の皆様方もって県民の皆様方から御指摘いただいたことへの対応をしっかりと行うように指示したところでございます。

また、新型コロナウイルス感染症対策においては、皆さんのお手元に振り返りの冊子をまとめ、お配りをさせていただきました。3月、4月、5月と、まさに未知のウイルスと対峙した私たちの取組、悩みの中で行ってきた取組の課題でありますとか今後の方向性を、県民の皆さん、関係団体の皆さんの御意見も聞きながら、一定整理させていただいたものでございます。

私どもは、1月末に対策本部を設置いたしましたが、頻繁に行われるようになってすぐに記録はすべて残すように、そして個人情報以外はしっかりと公表に付していこうということを方針として定め、これまでも累次にわたる情報公開請求等にも対応させていただいているところでございます。

こうした記録は、歴史の記録として、その審判を仰ぐと同時に、1つの反省は10年前の新型インフルエンザの対策が、十分県行政に生かせてなかったのではないかという問題意識を私は持っておりますので、次なる感染症対策にしっかり備えていきたい。また、この感染症対策を、より良き自治の追求の機会にしていきたいと考えておりますので、ぜひ報道機関の皆様方におかれましても、冊子を御参照いただいての御指摘や御指導をいただければというふうに思っております。

この冊子につきましては、県民情報室、各地方合同庁舎の行政情報コーナー、県立図書館等で閲覧できますほか、各市町の図書館にも配布させていただく予定でございます。この後、行われる首長会議でも共有をさせていただく予定でございます。

 

3点目、琵琶湖北湖の底層溶存酸素の現状、すでに10月9日に資料提供をさせていただいておりますが、調査によれば、琵琶湖北湖の湖底付近の酸素がほとんどなくなってきていると、またその範囲も拡大しているということを聞いています。琵琶湖の健康を心配しています。

この琵琶湖は古くから私たちの暮らしを映し出す鏡であると言われておりますし、地球環境問題へとつながる、小さいけれども、大事な窓であるということでございます。

したがって、3つのことを行います。1つは調査を拡充します。調査範囲を広げます。これまで水深90mだったところを80メートルまで広げて、どういう状態になっているのかということを確認します。2つ目は、こうした調査結果をできるだけ速やかに、かつわかりやすく、県民の皆様方と共有する仕組を構築いたします。3つ目、こうした状況を県民、国民、人類にメッセージとして発信する、その内容を検討して参りたいと思います。

 

最後4点目は、国勢調査についてでございますが、国勢調査の回答期限は10月7日(水)まででございましたが、10月11日(日)現在のインターネット回答率が全国で38.3%、滋賀県は43.4%という状況にあるということでございます。コロナ禍でもありますので、インターネットによる回答、また御尽力いただいております調査員訪問による回収に御協力いただくと同時に、郵送による回答に御協力をいただきたい。10月20日(火)まで可能でありますので、ぜひ皆様方の御協力を、再度、お呼びかけ申し上げたいと存じます。

 

それでは資料に基づきまして、私からは2点、情報提供させていただきます。一部、新聞紙上でも報じられておりますが、スマート自治体研究会の取組についてでございます。

昨年、「スマート自治体滋賀モデル研究会」を設置いたしまして、行政のデジタル化に向け、今年度は県内14の市町とともに、共同調査研究に取り組んでいるところでございます。

この度、県民等がワンストップで手続を完結できるデジタル環境を作ろうということを目指しまして、まずモデル自治体として大津市、草津市および湖南市を選定いたしました。

モデル事業をスタートさせます内容は、大きく2つございます。1つ目は、私たち県民が自らの情報について、簡単な質問に答えるだけで、自分に必要な行政手続がわかる手続案内システム、これは仮称で「滋賀くらしの手続ガイド」というものを運用いたします。2つ目は、私たちのスマートフォンやタブレット、パソコンからマイナンバーカードを利用した本人確認、そして決済までを手元で行うことができる「汎用電子申請システム」を運用いたします。

これらのシステムを各自治体の住民の皆様に供用いたしまして、その御利用状況を取りまとめることとしております。モデル自治体では、10月から順次システムの試験運用を開始いたします。それぞれの自治体で実施される内容の詳細については、配布資料を御確認いただきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症の流行も契機といたしまして、「新しい日常」というものが志向されつつございます。国もデジタル化をさらに推進させようという動きがございます。昨日の全国知事会のデジタル推進本部でも紹介させていただいたんですけれども、本県の特徴は市町と連携して行っていく、市町と一緒に、例えば共同調達ですとか、そういったことにも取り組んでいくということを目標にしておりますので、ぜひ今後とも積極的に進めていきたいと考えているところでございます。

最後はJR南草津駅周辺の交通社会実験についてでございます。JR南草津駅周辺は、県内で最も乗降が多く、また大学等も立地しているということもございまして、今後も人口集中また人口の増加が見込まれる地域でございます。公共交通の利用者また交通量も多くございますし、駅の東口ロータリーは公共交通と一般送迎車が混在し、時には渋滞をするという状況でございます。到着時間が予測できないこともあり、バスの利便性が低下していると指摘されております。公共交通の定時制確保が課題となってございます。特に雨の日、4月、10月、新学期、前期後期がスタートするときが、大変難しい状況になるということも指摘されております。

こういう状況を改善するため、県と市が事務局になりまして、南草津駅周辺交通対策検討会を昨年5月に立ち上げて検討を進めて参りました。今回、公共交通の利便性また定時制を確保するため、交通混雑を緩和するため、交通社会実験を来週10月19日から行う運びとなりました。この実験では、東口ロータリーと接続する市道において、一般車両の通行規制を行います。交差点の交通量や通過時間、渋滞の長さなどを計測させていただきます。実験期間中は駅利用の方々に御不便をおかけすることもあるかと思いますが、ぜひ御理解を賜れればと存じます。

今回の実験結果をしっかりと生かし、草津市とも連携しながら、南草津駅周辺の交通環境改善につなげていきたいと考えているところでございます。長くなりましたが、私からは以上でございます。

 

[京都新聞]

コロナ対策ですけども、最近の県内の感染者の推移を見ていますと、0人から本日は3人というお話がありましたが、比較的少人数で推移しています。県は現在、警戒ステージと思われますが、このステージの見直し、このステージを今後どうしていくかに関して、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】

まず現在の状況は、一部お触れいただきましたけど、今日が現時点で3名、昨日は1名と、大きな数ではありませんけれども、連続して感染者が出ていると。また、周辺の自治体、とりわけ京都、大阪、こちらについても、滋賀と同規模もしくは少し上回る数で、連日感染者が確認されているという状況でございます。

また、他県を見ていますと、例えば劇団の練習中、もしくは様々な施設等でクラスターが発生しているという状況ですので、一定程度、抑えられていると思いますが、注意警戒は緩められない。対策をしながら、しっかりと両立をさせていく必要があるというふうに考えております。

また、懸念していましたシルバーウイークの御移動に伴う影響、これについては、専門チームの分析によると、大きな影響はなかったのではないかと見ています。一部懸念といいますか、注意せねばならないと指摘されていますのは、数は多くないんですけど、家庭内感染が継続的に認められているということでございます。

また、季節性インフルエンザ対策は、すでに予算も認めいただいて、それぞれの自治体、医療機関等で予防接種も始まっていますが、流行が半年早い南半球では例年に比べて報告数は非常に少ないという状況ですし、日本国内においても、例年に比べて報告数は非常に現時点で少ないということを聞いておりますが、今後の流行に備えて、早めにワクチン接種を呼びかけたい、お願いしたいと思います。

また医療提供体制についても、現在、入院、宿泊療養ともに感染状況が落ち着いた状況ですので、概ね安定した状態を維持させていただいておりますし、重症者の病床について現在は使用していない、宿泊療養施設についても、現状では使用していないという状況がございます。

ちょっと前置きが長くなったんですけども、今のステージをどう判断するのかということでございますが、ステージの基準そのものをどう持てばいいのか、県で持っているステージ判断、その基準、その後の状況、国で示された基準等もございますので、少し見直しを検討させていただいております。

 今週末、予定しております対策本部員会議で、一定の考え方、検討の結果をお示しすべく、現在検討させていただいているところでございます。

 

[京都新聞]

先ほど、基準の見直しについて言及されましたが、対策本部員会議で示すということなんですが、現状、知事としては現在の基準のどの辺を見直そうとお考えなんでしょうか。

 

【知事】

様々な課題があると思うんですけれども、例えば我々は5月に「コロナとのつき合い方しがプラン」ということでお示しいたしました。その後、私どもも医療提供体制が拡充されております。また、全国的な指標、国の指標も見直しが行われています。ですから、国ではこの基準ですけども、県ではこの基準ですという言い方をする必要がありますので、そのあたりを合わせていく必要があるのではないか。また、医療提供体制拡充により、持っている能力を例えば分母とするという基準の作り方をする必要があるのではないかと、こういったことを今中心に、検討させていただいいるところです。

 

[読売新聞]

今の見直しの話の続きで、ステージを判断する基準を見直すということかと思ったんですけど。今、県のステージは、特別警戒、警戒、注意と3つありますよね。それは変えずに、ステージそのものは変えずに、それを判断する基準の見直しという話ですか、今知事がおっしゃったのは。

 

【知事】

両方です。要は段階をいくつ持てばいいのか、そしてそれぞれの段階を移行する際の基準をどういうもので設定するのか、この2つです。

 

[読売新聞]

それは、両方見直す方向で検討されているという話ですね。理由は国がいろいろな指標を示していたりするので、そこを県と違っていてもわかりにくいので統一していこうと考えておられるのでしょうか。

 

【知事】

国もそうですし、先ほども申し上げたように、県として、医療提供体制を少し広げて持つ状態に至っておりますので、若干、そこに入れる数字等が変わってきている。したがって、まだ入院や検査体制のあり方も変わってきていますので、そういった今日的な状況をふまえて、見直しておこうということです。

 

[読売新聞]

今、少人数で感染者が続いているという状況かと思うんですが、県の判断基準には確か感染経路不明者が週に何人みたいな基準があったと思うんですけれども、最近少ないなりに不明の方がぽつぽつぽつぽつとずっと続いていて、これだとずっと警戒ステージから動かないんだろうなと見ておったのですが、その辺りも含めて変えていくおつもりですか。

 

【知事】

当然、そういう状況をどう見るのか、見なければいけないのかということも課題になってくると思いますし、入院ですとか、そういう基準について国も変えつつありますので、それをふまえてどう考えるのかということが主な課題になってくるのではないかと思います。

 

[読売新聞]

琵琶湖の酸素の問題について、3つ、やることがありますということで御説明がありましたが、調査結果を県民と共有するという部分とメッセージを発信するということをおっしゃいましたが、そのあたりを、もう少し具体的にお願いします。

 

【知事】

まず先週ですか、その時点での調査の最新結果の報告がございましたけれども、そういう状況をさらにわかりやすく、また、1つ目に申し上げたように、少し調査範囲も広げて調べて、どういう状況になっているのかということについてお知らせをしていきたい。

また、私もいろんな形でお伺いするんですけど、どうなったらこうなるのか。そして何をすればこうならないのか。ただ、琵琶湖というのは大きいですので、何か1人1人がやること、県レベルでやることが、琵琶湖の全層循環にどのように影響を持ち得るのか、持てないのかということについては、まだ全体像がわからないところもあるんですけど、できる限りこの状態をわかりやすく、映像や画像でもって、またデータでもって、タイムリーにお知らせをしていくことで、私たち県民と琵琶湖の状態との共有を図っていきたい。

そして、小さいけれども大事な窓であるという、この琵琶湖の健康状態から、どのようなことを学ぶべきなのか改めるべきなのかという行動変容を促すためのメッセージについて、検討しなければならないのではないかと考えて、今後、どういうメッセージを、いつ、誰に対してどのように発していけばいいのかということについて検討しようことでございます。

[読売新聞]

知事は2050年までにCO2ネットゼロというのは、もうメッセージとして出されていますけれども、それと別に琵琶湖のこの状況をふまえて、何かしらメッセージを出すということですか。

 

【知事】

CO2ネットゼロのムーブメントを起こそうというキックオフ宣言はしています。今、具体様々な取り組みを始めようとしていますけれども。議会では、これは県民の皆様方から請願も出され、そして、全会一致で議決もいただいております。そういったものの取り扱い含めて、どういうメッセージを出していけばいいのかということを考えていこうとしています。

 

[読売新聞]

酸素が足りなくなっている、2年連続全層循環がなかったという琵琶湖の現状について知事は、1つじゃないんでしょうけど原因はやっぱり気候変動だということでお考えですか。

 

【知事】

すいません。私は科学的な知見を十分持ち合わせていませんので、わかりませんが、気候変動も1つの要因ではないかと考えております。

 

[産経新聞]

私は「はんこ」の件でお伺いしたいと思うんですけども、今、国や他の自治体では、行政手続におけるはんこの撤廃について議論が進められていると思うんですけれども、滋賀県については、今後どういった形で議論を進めていこうと考えられているのか、教えていただきたいと思います。

 

【知事】

私もここに来る前に、はんこを押してきました。はんこを押さない日はないです。行政手続の多くが、決裁を含めてはんこで行われているということは承知しております。はんこを押さなければならない、それを回さなければいけないということが、行政の手続上、様々な課題を持っている、指摘されているということも承知しております。

ただ一方で、他に本人確認をする手段がないというようなことも事情としてあるのかもしれません。その辺り、丁寧に改革をしようということで、すでに10月3日に通知をしております。今、デジタル化も志向していますし、新たな働き方ということも、やっています。そのためには、手続の簡素化もしくは利便性の追求ということをしなければならないということから、押印、はんこを使ったものは、真に必要なものに限定するようにということについて、全庁的に見直しをされたしという指示を、情報政策課長、行政経営推進課長通知として、出しているところでございます。少し、その状況を見た上で、今後の対応を検討していきたいと思います。

 

[産経新聞]

例えば北海道ですと、年内にも方向性について整理していきたいということをすでに表明されているようなんですけれども、知事としてはスケジュール感としては、いつごろまでに、そういった方針を定めたいというふうに考えられていますか。

 

【知事】

現時点で、何かいつまでにというものを持っているわけではありません。

 

[共同通信]

昨日、大阪都構想に関する住民投票が告示されました。都構想に対する知事の見解と住民投票が始まったことに対する受けとめをお願いします。

 

【知事】

非常に大きな都市の、大きな改革についての住民投票ですので注目しています。かつ、関西広域連合の一員、関西を牽引する大きな自治体の行方ですので、そういう意味でも注目をしています。東京一極集中をどう是正するのかというときに、大阪府・市がどのような体制になるのかという意味においても、全国からも注目をされる、そういう投票ではないかと思います。その意味において、大阪市民の皆さんの投票行動を、ぜひしっかりと見ていきたいと思います。

 

[共同通信]

都構想自体に対する知事の見解というのは何かお持ちでしたでしょうか。

 

【知事】

 持っていません。

 

[時事通信]

日本学術会議の任命拒否問題についてお伺いします。まず、この問題について、知事はどのように考えていらっしゃるのかお伺いします。

 

【知事】

なぜ、こんなことになったのかなと思います。専門的見地からその時々の課題に対して、様々な御指摘をいただいたり、提言をされる機関だと承知をしておりますし、私自身も立法機関にいるときには、そういったところから出る様々な御提言ですとか、また会員である先生方とのディスカッションですとか、そういうものは大変参考にもなりましたし、ある意味では尊重もしていた。これまで行ってきたことと違う対応をされたとすれば、そのことに対する説明責任は伴うだろうと思っています。

 

[時事通信]

学問の自由との関係で、いろいろ指摘がなされていますけれども、その点については知事はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

 

【知事】

憲法に保障された学問の自由をどう保障するのかということも重要ですけど、私は知事として、公に論じること、公論、あと、様々な方向性に対する異なった見解が出てくること、出されること、異論。この公論・異論は大変重要なことだと思っておりますので、そういう角度で、こういう学術会議というものがどうあるべきなのか、あったのかということについても、私は注目して見たいと思っています。

もちろん、公費を使った特別公務員だから、また、学術会議のあり方そのものをどう考えるのかという議論は大いにしていただいていいと思うんですけど、やはり、その時々の県であれば県政、国であれば国政・政府の方針に対して、どのように、「こういう考え方もあるんじゃないか」ということで示していただける存在があるのかないのか。私は、やはりきちんとあった方が健全な組織として、組織の機能が担保されるのではないかと思っておりますので、そういう意味からも、学術会議のあり方というものを考えていただければと思っております。

[時事通信]

都構想の関係ですけれども、滋賀県は特に政令指定都市はないですけれども、県庁所在地、大津市があります。そのあたりのいわゆる、大阪では二重行政というものが指摘されてきたんですけれど、そのあたりについては、大津市との関係でお感じになったりとか、そういうことはございませんでしょうか。

 

【知事】

まず、先ほどお尋ねのあった学術会議のことでいうと、私は今回の6人の方の中のお1人に入っている宇野先生を大変尊敬し、いろいろな情報交流等をさせていただいているんですけど、彼が言う日本の民主主義の可能性を信じるという、彼が持っていらっしゃる学問的信条を、私も同様に知事として共有させていただきたい、大事にしたいと考えています。

その上で、今、お尋ねのあった都構想に絡めて、県内の自治体との関係性についてどう捉えるのかということでお答えすると、例えば、中核市である大津市とは、例えば保健所の問題。目下のコロナウイルスの対応でも、大津市は保健所を持たれて対応、県はその他の自治体について保健所で対応ということで、ややもすると、大津市だけで保健所対応しなければならないようなことが、現状ありましたけれども、しかし、全県にわたる、もしくは様々移動等が伴いながら、時には業務量が過多になり、非常に情報連携が重要だということでございますので、そういった連携をしっかりしようということで大津市長と話をしまして、そういう連携体制を構築してきたということがございます。

その実態に合わせて、連携すべきは連携し、ただ一方で、市町の事務、行政と広域自治体である県の事務行政とが重複したりするようなことについては、これは不断に見直しをしていかなければならないという課題もあるのではないかと思いますので、その辺りのことについては、政令市と府との関係と、本県の市町と県との関係が何か当てはまって、そのとおりだということは少ないのかもしれませんけれども、同様の視点で、何かダブっていることはないのか、無駄なことはないのか、もっとより良くする方法はないのかという観点に立った自治体行政のあり方というのは常に追求していく必要があるのだろうと思っております。

 

[中日新聞]

南草津駅の社会実験についてですけれども、やはり立命館大の学生など、このバスの利便性がちょっとなかなか厳しいというような声もこれまで上がってきました。改めて、この社会実験で期待するところ、このようなところを改善するのではないかとか、改めてお願いできますでしょうか。

 

【知事】

先ほども申し上げたとおり、この南草津駅は県内で最も乗り降りの多い駅でございます。そして、立命館大学をはじめ、多くの企業等も立地をしている。そして、この駅から通勤通学をされる、そういう方々もいらっしゃるということでございますので、よりよい交通結節点としての機能の発揮、また利便性の確保、こういうものを追求していきたい。

そのためには、やはり交通利用者の皆様方、また草津市民をはじめとする住民の皆様方の理解と協力というのが不可欠だと思いますので、そのことについて確かめる社会実験でもございます。

私は10年以上、この駅に立って状況を見ておりますので、よくわかるんですけど、1回ロータリーに入るとなかなか次の信号まで出られないというような状況もあったり、30分待ってバスに乗って、そして、バスが渋滞して1限目に遅刻という、大学の皆さん方からも強い問題提起もいただいており、かねてからこの地域の交通事情の改善というものは志向しなければいけないということを考えてきました。

しかし、一方で、とはいえ住民の皆さんの利便性の確保ということが必要で、例えば、信号現示の時間を変えるだとか、この個所を制限するために、他の迂回ルート・代替ルートを整備するなどの準備を、この間やってきたところでございますので、しっかりとこの実験をさせていただいて、データを取り、今後の対応につなげていきたいと考えております。

 

[中日新聞]

学術会議の関係で、やはりああいったことがあると、単純に直接的な何か自由が侵害されるというよりも、政府に反発するようなこと言ったらいけないんじゃないかとか、萎縮するような効果があるということが非常に指摘されているわけですけれども、県内でも県立大がありますし、そういう意味から、県内の研究者向けに、萎縮して学問がしづらくなるというようなことがないように何かメッセージとかありましたらお願いします。

 

【知事】

まず、事実関係として、どういう理由で、ああいう判断に至られたのかということについては、よく説明される必要があると思います。今、御質問にあったようなことが理由なのか、それ以外にあるのかというようなことを。

ただ、副次的な効果として、何となく選ばれる人と異なるような見解は出してはいけないのではないかという考えをお持ちになる方が学問界を中心に増えるのではないかという懸念、こういうものがあるとすれば、決してそう思わないでいただきたいし、むしろ根底にある学問の自由というものをしっかりと追求し、体現していただければいいのではないかと思います。

私ども、知事としてもそうですし、県政においては、やはり衆知を集める、本当の意味で衆知を集める。御批判も含めて、多様な見解を伺った上で、その時々あるべき方向性を見出していくということに愚直に取り組んでいきたいと考えております。

 

[産経新聞]

昨日の知事の朝鮮初中級学校の訪問のことでお伺いいたします。昨日、知事は、校長先生の御案内で各教室を見て回られたと思います。その際、朝鮮半島の地図があったと思うんですけれども、校長先生の説明のもと御覧になったと思います。そのときに、地図の中に我が国固有の領土である竹島が、韓国だったり北朝鮮の呼称である独島という表記で載っていたんですけれども、その点はお気づきになられましたでしょうか。

 

【知事】

私はそこまで気づきませんでした。

 

[産経新聞]

黙認していたとか、そういうわけではないですね。

 

【知事】

北と南が一緒だという形で表現されていることの方に重点を置いていましたし、地図そのものよりも御説明いただく内容の方に心を向けておりましたので、その表記について細かく見ておりませんでした。

 

[産経新聞]

もし、お気づきになられた場合は、その場で指摘されていた可能性はあったんですか。

 

【知事】

どういう内容で、どう記載されていたのかということにもよると思いますし、もちろん日本の領土としての問題は、しっかりと国として持つべき課題であると思いますし、そのことに異なる見解をお持ちである国や地域があるとすれば、そういったことについても、どのように、乗り越えていけばいいのかということを一緒に考えていく必要があるのではないかと思います。

[産経新聞]

いろいろな考え方があるというところですけれども、そういった地図がいわゆる教育現場で使われているということについて、どのような認識を持たれますか。

 

【知事】

いろいろな考え方があると思います。まず、昨日の訪問の趣旨は、学校として60周年を迎えられるこの節目、そして、このコロナ禍において、いろいろと我慢をしたり、苦しい状況に追いやられている子どもたちや教育現場を激励しようということで、とりわけ外国人県民の皆様方の状況に心を寄せようということで、近江米と近江牛をお届けするということで、あわせて、学校の教育状況を拝見させていただくということで、訪問いたしましたので、そういった異なる見解について何か確かめに行くとか、そのことに意見を戦わせにいくということで伺ったわけではありません。

 

[びわ湖放送]

先ほど冒頭で、県議会で採択された請願についてもしっかり対応を検討していきたいと知事がおっしゃっていましたが、この今回の請願の中で、県立大学の学生さんからコロナで前期の授業日数が減ったとかで授業料減免であるとか、遠隔授業の環境の改善を求められた請願があったんですが、これが全会一致で採択されたことについて、どのように知事は受けとめていらっしゃるでしょうか。

 

【知事】

そういった出された請願が、県民の代表である県議会で全会一致で採択されたということは、強い県民の声として、県政に届けられたと受けとめています。したがって、早急に対応を検討する必要があると思います。

 

[びわ湖放送]

知事は議会の答弁の中でも、これは滋賀県立大学に限らず、全国の大学の問題でもあるので、知事会などで検討したいとおっしゃっていましたが、その辺はいかがでしょうか。

 

【知事】

これまでも、このコロナ禍において、大学生が過ごす生活ですとか、教育研究、学習環境の改善、こういったことについて、全国知事会を通じて国に要望しようと、強く要望すべきだということを知事会の次世代育成支援対策PTのリーダー県としての主張をさせていただきました。

しかし、前期から後期、また後期になっても、そういったオンライン授業とキャンパスでの授業が並立して行われる、また引き続き不自由な学習環境等が続いてしまうという、この状況また長期化することによる影響、こういった声が本県の請願を通じて届けられたということだとも思いますので、そういう状況下において、例えば知事会でどのような検討をする必要があるのか、また本県において、県立大学等でどのような対応する必要があるのかということについて、これは早急に方向性を出していかなければいけない。また、必要に応じて、そういった方々がどのような思いでいらっしゃるのかということについても、耳を傾けなければいけないのではないかと考えているところです。

 

[日本経済新聞]

コロナの振り返りの冊子のことについて伺います。県の取組を検証する材料として、他の都道府県とか国にも参考になるものではないかと思うんですけれども、知事としてはこの冊子をどのように活用してほしいというお考えをお持ちでしょうか。

 

【知事】

いろいろな思いを込めて書きましたし、作りました。まず、1つは忘れないようにしたいと思ったんですね。この3月、4月、5月と、本当に怖かったし、皆さんもそうだったと思いますけど、わからなくて不安だった、どうなるのか不安だった。そういう中で取ってきた対応について、私どもはこう考えてこうしましたと。しかし、こういう課題があったと思います。県民の皆さん、団体の皆さんから、こういう御意見を寄せていただきました。国も変わってきました。したがって、今後はというようなことについても、一部記しておりますので、まずはこのコロナ禍対応初期の、この対応について忘れないように記録として残したい。

そして2つ目は、私ども行政、知事としてもそうですけど、情報を集め、専門家の知見を聞いた上で、これがいいのではないかということでやってきたつもりですけど、そこを顧みる材料にしていきたい。これはもう謙虚に、反省材料として、しっかりと使おうと。その教訓を今後に生かそうと。さっきも申し上げましたけれども、今回のコロナ対応をより良き自治の追求にしたいと。応答性のある対話をやろうと。したがって、知事への手紙もたくさんいただきました。また、振り返りを行うにあたっても1,200を超える御意見をいただきました。そういったことをふまえて県がどうしようとしているのか、私たち県民の声は届いているのか、届いていないのか。そのことを確認していただく材料としても、生かしていければと。部数は限られているんですけど、少し反応なども見ながら、今後こういったものをどう生かしていくのかということについてもさらに追求していきたい。特に、「はじめに」の部分は、もう1か月ほど前の言葉になりますけど、私自身がその時点で考えたことを率直に表現させていただきましたので、そのあたりも御参照いただければというふうに思います。

 

[日経新聞]

取組と成果については書いてあると思うんですが、政策を決めた政策決定の過程というのは書かれてないように、一読したところでは感じたんですけれども、それは必要ないというお考えでしょうか。

 

【知事】

今、御質問の中でいただいた御指摘は、私は謙虚に受けとめたいと思うんですけど、例えば、それぞれの項目ごとに一番最初に「取組」という形で書いております。その内容は、その実施した内容、そして本県が、もちろん国の方針にもよりますが、独自に判断しながら対応した施策の内容について記載をしておりますので、その決定のプロセスまで十分に書けているかというと、まだまだ不十分なところもあるのかもしれませんが、一定こういう取組を判断の上でさせていただきましたというところまでは書いております。

もし、必要であれば、そこに至る子細なものも含めて、いろいろ庁内の協議なんかもやってきましたので、皆様方とともに、さらにその突き合わせをしながら、その時点でどういう判断があったからこういう取組になったのかというような検証も、これは必要に応じてやっていかなければならないのかもしれません。

あと、民間臨調において、政府の対応についても検証結果が出されていますので、今、その内容を詳細に分析をして、もちろん国全体に関わることですので、その域を出ないでしょうけど、本県に参考になる御指摘等はしっかりとふまえて、次のまた振り返りに生かしていこうということを指示させていただいたところです。

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