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知事定例記者会見(2019年3月26日)

平成31年3月26日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。桜の開花が待ち遠しい、そういう季節となりました。今日もよろしくお願いいたします。今年度、最後になるんでしょうか。また、新年度もよろしくお願いいたします。

すでにお知らせしていることでございますが、嬉しいお知らせが先週届きました。3月19日付けで、虎姫高校が国際的な教育プログラムを実施する国際バカロレア校に認定されました。全国の国公立高校で6番目、西日本地区の国公立高校としては初ということでございます。2020年度入学生から国際バカロレアディプロマプログラムを導入されるということでございます。来年度、2019年度から生徒募集を行い、2020年4月入学生の中から選抜される約20名が第1期生いうことでございます。御案内の方も多いと思いますが、この2020年という年は虎姫高校の100周年の記念すべき節目の年でございますので、ぜひこれからも大いに期待をしたいと思います。この国際バカロレアとはですね、高校において所定のカリキュラムを履修し、国際バカロレアが実施する世界統一の試験を経て、所定の成績を収めると国際的に通用する大学入学資格が取得可能となるという制度でございます。この国際バカロレアディプロマプログラムでは話し合いなどを通して、学びを深め、生徒が主体的に考え、思考力を高めることを目指して授業が行われるということでございます。単なる知識だけではなく問題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力などを重視する双方向かつ協働型の授業が行われ、話し合いなどを通して学びを深めていくということでございます。国際社会で活躍する人材やグローバルな視野を持ち、地域を支える人材を湖国から育てていきたいと思います。新しい学びのスタイルは県全体にも波及することを期待したいと思います。

「世界へ」、「世界から」と今年申し上げておりますが、その1つの最たるものだと思います。私も孫ができたら、入ったらどうだと勧めたいなと思います。

 

続いて、資料に基づいて、今日は2点申し上げたいと思います。

まず1つ目は、「滋賀県住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」についてでございます。この計画はですね、高齢の方、低額所得の方など住宅の確保に配慮を要する方々に対して、賃貸住宅の供給が促進されるよう取り組む施策の方針を定めるものでございます。私もこの法律の制定に関わった1人として、大変強い思い入れを持っているところでございます。この施策の推進には、住宅を供給する立場の大家さんの不安を、いかに解消・軽減するかが重要でありますことから、不安軽減の仕組み等を計画に明記いたしまして、配慮を要する方々がセーフティネット住宅に円滑に入居できるよう、その登録などを促進するものでございます。お手元の資料の2頁目の下段を御覧いただければと思います。ここに示されております通り、大家さんの不安をいかに和らげるのかと。例えば「孤独死をされたらかなんなあ」とか、「家賃滞納されないかなあ」というような、そういう御不安があるようでございまして、すでにある居住支援協議会の活動と併せて、現在、支援活動等を行っておられる団体を、今後「居住支援法人」として県が指定いたしまして、みんなが要配慮者の方々を支える仕組みを構築し、大家さんが安心して住宅を供給していただける取組を進めていきたいと思います。また3頁にありますように、その1つとして独自の取組であります「滋賀あんしん賃貸支援事業」、こちらではすでに1,400戸あまりが県に登録されています。これらの大家さんを中心に、セーフティネット住宅に登録されるようPRを進めていきたいと思います。また、添付書類の削減などのほか、現行2,400円徴収することとしておりました登録手数料、これを県議会でも御審議の上、お認めいただきましたので4月から廃止いたしまして、負担を軽減いたします。

このほか要配慮者の方向け専用住宅として登録され、その住宅を改修される場合、いくつかの要件を満たしますと、国から直接費用補助を受けられますので、その活用を呼びかけていきたいと存じます。

庁内の体制といたしましては、昨日、福祉部局において、「滋賀県再犯防止推進計画」を策定し、刑罰を受けたことのある人等の賃貸住宅への入居を促進するため、大家さんが入居を拒否しない住宅の登録を進めることとしたことから、住宅と福祉の2部局が連携した取り組みを進めて参ります。

また入管法改正に伴います多文化共生のさらなる推進の観点から、国際部局も交えた連携を今後図って参りたいと存じます。これらの取り組みを進めることで、大家さんの不安も和らげ、住宅の確保に配慮を要する方が賃貸住宅に円滑に入居できる仕組みを整えまして、誰一人取り残さない共生社会の実現に、この分野でもしっかりと寄与して参りたいと存じますので、ぜひ報道各社様の報道等の御協力賜れば幸いでございます。

続きまして、「平成31年度からクレジットカードを利用して自動車税が納税可能になります」というお知らせでございます。

準備いただくものは、5月7日にお送りいたします自動車税納税通知書とクレジットカードのみでございます。自宅のパソコンやスマートフォンタブレット端末を利用し、5月に開設いたします専用の納付サイト上で、納税手続きが完了いたします。一定の決済手数料がかかる等、利用にあたっての注意事項がありますので、県のホームページを確認の上、御利用いただきたいと存じます。納付サイトでの具体的な手続きの流れは別紙の通りでございます。

少しスライドも活用しながら御紹介をいたします。こういった画面があります。注意事項を確認の上、次に進みます。納税通知書記載の納付情報を入力いたしまして、右上の赤色のところですね、はい、次に進みます。入力した納付情報確認いたしまして、これでいいですかということで次に進みます。メールアドレスとクレジットカード情報を入力いたしまして、次へ進みます。これまで入力した情報を確認いたしまして「納付手続実行」ボタンを押すということでございます。最後に完了画面を確認する、たったこれだけで納税手続きが完了するという非常に便利で簡単でございますので、ぜひ御利用をいただければと思います。決済手数料はどれぐらいかかるのかというと、324円ということでございます。

続いて資料の裏面でございますが、「LINE Pay請求書支払い」の導入予定について御案内いたします。これはまだ御案内なんですが、LINE内の決済サービス「LINE Pay」。御利用の方も多いと思いますが、この「請求書支払い」を利用した納税方法につきましても、来る5月から導入する予定で現在準備を進めています。都道府県の納税での導入は神奈川県、福岡県に次ぎ3県目ということだそうでございます。この「LINEPay請求書支払い」の詳細につきましては、後日改めて紹介いたします。

今回のクレジットカード納税等の導入により、納税者の利便性向上に繋がると認識しておりまして、5月に自動車税納税通知書が届いたら、ぜひ御利用いただきたいと思います。引き続き、納税環境改善に努力をしてまいります。私からは以上です。

[京都新聞]

2点お伺いさせていただこうと思います。昨日、ダムについての3回目の勉強会が終わられまして、最終だったかと思うんですけれども、改めて全体の感想とダム建設に関する判断時期の目途を教えてください。

 

【知事】

1つずつ参りましょう。昨日、今後の大戸川治水に関する勉強会第3回目を開催いたしました。今回で一定、一区切りということで、4回目は予定しておりません。この間、昨年、この勉強会の設置を表明して以降ですね、現地視察を行ったり、また、様々な御意見等もいただきながら、この勉強会では、大戸川ダムの効果・影響の検証ということで、大戸川流域への治水効果と、そして、昨日テーマになりました瀬田川洗堰操作に与える影響というものを検証して参りました。大変、歴史的にもいろんな経緯経過があり、治水的には大変難しいこの琵琶湖淀川水系でございますが、この大戸川ダムの大戸川流域への治水効果については、平成25年台風18号、これはすでに経験した水害として、改めて検証し直したということとあわせて、平成30年西日本豪雨、平成29年九州北部豪雨、平成27年関東・東北豪雨、それぞれ雨量等は異なりますけれども、雨域も異なりますが、それらを大戸川流域に当てはめた場合、どういう影響効果があるのかということも、最新のモデル計算の手法を用いながら、検証をしていただきました。それぞれの事象が、それぞれいろんな出方があったんですけれども、大戸川ダムの容量内でピークカットできるもの、さらには、ピークカットもなかなかできないというような雨の降り方等ございましたが、大戸川流域への治水効果については、外水氾濫が抑制できるということでありますとか、浸水被害を一定割合、低減することができるということ。また、容量オーバー、ピークカットもできないという、例えば平成27年関東・東北豪雨などもございましたが、こういった事例では被害軽減はできないが、ダムでカットすることで、避難時間の確保ができるのではないかと、こういったことが指摘されたところでございます。また、昨日、主のテーマでありました瀬田川洗堰操作への影響ということにつきましては、これもいろんな前提条件があったんですが、4つのケースのうち、3つのケースで全閉時間が短縮されるということが示されましたし、全閉開始も遅らせることができるのではないかという御示唆、御指摘等もいただいたところでございます。

また、天ケ瀬ダムの後期放流に伴う制限、洗堰の制限放流の時間についても、これも4つのケースのうち3つのケースで短縮できると言ったようなことも示されたところでございます。なお併せて、関連いたします琵琶湖のピーク水位についても、データ等が示されたところでございます。これも雨の降り方で大きく変わるところがございますし、瀬田川の流れの具合やダムの操作等にもよるところがありますので、なかなか前提条件によるところが大きいのでございますが、一定、わずかな部分もございますが、一定、琵琶湖のピーク水位というものを抑えたり、下げることができるのではないかといったようなことも示されたところでございます。

昨日、以上のようなことが示された上、議論され、全体の取りまとめをいただきました。その中でも、今私が申し上げたようなことが、委員の先生方にまとめられましたので、これを受けまして、その内容等、咀嚼させていただき、その会場へ来られなかった、例えば資料を改めて見直しながら持たれる御意見と県民の皆様方の御意見もいただき、県としてこの勉強会を受けて、国・下流府県等にどのように意見等を申し上げていくのか、国でも現在検証委員会を開催されているということでございますので、そういったものも横目に見ながら、県としての政策判断をして参りたいと思います。いつやるんだ、いつまでにやるんだということについては、できるだけ早くやりたいと思います。今の時点でいつまでにということを申し上げることは、少し控えさせていただきたいと思います。

 

[京都新聞]

県議選の告示が3日後に迫って参りました。年度替わりの忙しい時期、天皇陛下の代替わりもありまして、関心があまり高まっていないように感じるのですけれども、知事としてはこの県議選でどんな議論を期待されますでしょうか。

 

【知事】

私も県議の皆様方の集いや、県政報告会にいくつか行かせていただいて、直接お話をしたこともございます。今、御質問の中にありましたように、御関心の程はどうなのかなというのを確かめながら歩いているんですが、それぞれの議員やスタッフの皆様方の御努力もあるのでしょう。伺ったところは比較的大勢の方がお集まりの上、県議の皆様方や私どもが行う県政報告等にお耳を傾けていただいたり、御意見をいただいたりしております。

例えば相次ぐ自然災害に対する御不安ですとか、長生きできるようになった、これはいいんだけれども、高齢化に伴う不安、また山間部・地方部においては人口が減少していくということに伴う御不安、事業の承継、農業の継続。こういったことに対する御懸念等々を吐露されていることが多かったように感じています。こういったことに、それぞれの議員の皆様方が、また議会としてある意味では党派会派として、どのような処方箋、解決策をお示しになっていかれるのか、もちろん県当局として知事として私なりの考えを申し上げながら、一方の二元代表制である議会が、その県政や知事にどのようなスタンスで向き合われるのか、これをこの時期に問われるということは、この時期の民意を当局に知事に示していただくという意味においても大変意義のある、そういう期間だと思いますので、もちろん様々な行事ございます。それらとの比較考慮の中で、いろいろと関心の高さ薄さというものも時として出るかもしれませんが、大いに御関心を持って、投票行動に結びつけていただくように私も願っているところでございます。

 

[京都新聞]

先日なんですけれども、給与の支払報告の未実施について、県の方が発表されまして、退職した非常勤の職員さんが住民税を追加徴収されたりということがあったと思うんですけれども、併せまして再点検の最中に公文書の紛失とか謝金の源泉徴収の誤りなども一緒に発表されたんですけれども、これも把握から3ヶ月近くたっておるような具合でして、先日その前に発表された県有施設のメーターの有効期限切れも丸4ヶ月遅れの発表で議会から批判がございましたけれども、知事、最近このように発表の時期が遅れておるということにつきましてはどのようにお考えになられてますでしょうか。

 

【知事】

まずそういった、私どもがお預かりをしている、担っている事務等にですね、不適切なことがある、ミスがある、このことをまず遺憾に思います。とはいえ、ミス・漏れがないようにやることに努めながら、人間のやることですので、誤り・ミス・間違いが起こってしまう。こういったときに、事象発覚後できるだけ速やかに事実把握の上、県民の皆様方に必要な公表をしようと。このことを改めてそのメーター問題のときに、改めて私も強く感じましたので、全庁的に他分野においても同種の事案がないか、それぞれの部局で抱えているミスや問題等がないかと。あるとすれば、しっかりと年度内に出そうじゃないかということを改めて指示したところでございます。その中で、いや実はということで抱えている事案等が一定まとめられた形で出された、出さざるを得なかったというようなことがあるんだと思います。

そういう意味で、すいません、県民の皆様方にも、またか、またかというような印象を持たれてしまったことは、私も大変残念だなと思っているんですが、これ以降はですね、物事にもよると思うんですが、どうだったんだろう、他にないのかなという、そういった確認が必要なこともあるのかもしれませんが、とはいえ、できるだけ速やかに、起こった事実・事象等について、まず一報、県庁内で情報共有すると同時に、県民の皆様方にもその事実をお知らせするという行動を、ぜひ徹底していきたいと思います。

 

[時事通信]

ふるさと納税の件ですけども、総務省が泉佐野市等々ですね、ふるさと納税がかなり増えた4つの市町に対して、特別交付税をですね、実質ゼロにするような措置をとったのですが、これに対する見解をお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。

 

【知事】

この特別交付税の交付は、このふるさと納税に絡めた措置でしたっけ。

 

[時事通信]

そうではないというふうには、言ってはいるのですけれど。総務省は、そうではないというふうには言っています。

 

【知事】

すいません、私も十分情報持ち合わせておりませんので、特別交付税は特別交付税としてのルールに沿って交付されると思います。ふるさと納税については、私どもも今、マザーレイクの応援寄附というものを見直して、より多くの皆様方に、滋賀を応援する皆様方に、その御厚志を賜れる制度、仕組みづくりというものに取り組んでいるところでございます。県内市町もそれぞれの創意工夫の中で、このふるさと納税制度というものを有効に活用しようということに尽力されておられます。返礼品等についても、過度、華美にならないように、その趣旨等、十分踏まえた対応というものがとられているし、今後もとられるべきだと思います。こういったものの競争により納税をお願いしよう集めようという、その思いに至ることは、そういう思いを持ってしまわれることというのは一定理解するのですけれども、持続可能性の問題や、公平性、公正性の観点から、やはり一定の節度というものはあって然るべきでありましょうし、こういった視点で、このふるさと納税制度についても、今後、運用なり必要な改善が行われるよう願っています。

 

[京都新聞]

統一地方選の関係になるのですけれども、今、地方議会での議員さんのなり手不足っていうのが深刻化してきていまして、滋賀県でも知事の元々の地盤であった栗東なんかが無投票が続いていますが、もちろん国政なり県政、一般市でちょっと色々次元は違うかもしれませんけれども、知事が思う、議員のなり手がなぜ今減ってきているのかっていう、その辺の認識と理由、もし思い当たることがあれば教えてください。

 

【知事】

主に地方議会ということで御質問いただいたと思うのですが、地方議会でいうと都道府県議会、市町村議会ということなのでしょう。それぞれ数も違えば、処遇も違ったり、それぞれの市町村、都道府県議会が抱えていらっしゃる課題も千差万別ですので、一概には言えないのだと思います。ただ一般的に、議会議員さんに対するイメージがですね、なかなか、よしやろうということに繋がっていっていない面もあるのかもしれませんし、活動するに見合うだけの処遇というものがあるのかないのかという比較考慮もあるのかもしれませんし、そういう面で、立候補がなかなか増えていかないという面もあるのかなと思います。

ただ、議会は議会の中でお考えになることだと思いますが、多くの御意見が政策決定過程に入っていくということは、これは民主主義の仕組みの中でとても重要なところだと思います。例えば、女性の参画がどうなのか、また、そういった文脈でいうと将来的な課題として、多文化共生の中で、この行政の仕組みをどう決めていくのかというようなことなども大変重要なテーマではないかなと、私自身は個人的には思っております。そういった事々をやはり、例えば議会開催時間をどうするのか、議会の処遇・身分というものをどういう形で認め、ある意味では担保していくのかといったようなこともあるのかもしれません。こういった事々をぜひ今回の議会選挙の中でも、一定でも御議論をいただき、今後に繋がれば良いのではないかなと考えています。

なお、無投票になる状況についても、これもそれぞれだと思います。立候補される方が、ある意味では現職の方々が、十分その地域の皆様方のお声を吸い取られているという、そういうある意味一面もあるのかもしれませんし、先ほど申し上げたような理由により、十分、一定数の立候補が出られない、出せないという状況にあるのかもしれません。私もこの世界にいた者、いる者として、ちょっとよく見たいなと思います。

 

[京都新聞]

 関連ですけど、知事も国会議員時代は地元で地方議員を擁立に動いたりもされていたと思うのですけど、擁立する側だったと思うのですけども、その時の苦労であったりとかですね、あるいはこの辺が改善されたら、もうちょっと出やすくなるんじゃないかとか、あるいはこういうことで反対されることが多かった、要は口説きに行っても、こういうことで断念せざるを得ないことが多かったとか、そういう体験談があれば教えていただきたいと思います。

 

【知事】

そのテーマで語り出すと大変長いのですが、やっぱりたくさんあります。少し綺麗事で言うと、理念と政策で目指す社会像を愚直に話しながらですね、共有していただきながら、一緒にやろうじゃないかということから入りますね。そのことに共鳴していただく方は、じゃあ、やってみようかなと、僕に私に出来るかなというところから考えていただきますね。それで一歩、もう踏み出し切れちゃった人はいいですね。でも、なかなかそうならないですね、家族は、仕事は、周りは。そういう中で、天の時、地の利、人の輪が揃った人は、立候補にたどり着くことができますね。さらにどちらかと言うと、出たい人よりも、出て欲しい人、出したい人というような視点、観点も重要かなということを学んできていまして、「出たい、出たい」、「やりたい、やりたい」というよりも、ちょっとこの地域の、このテーマのこの分野のことを議会に届けてよと。そういうなんていうのでしょうか、社会発意型のそういう立候補擁立、こういうことも大変重要なのかなと思っています。

さらにそれらを既存の例えば自治会、既存の何とか協会、業界、何とか団体ということだけではなくて、例えば子どもを保育園、幼稚園に通わせているお父さん・お母さんの中からとか、高校生・大学生の息子・娘がいて教育費がかさむ親の世代とか、医療福祉で大変不安を抱えているシニアの世代からとか、そういったいろんなテーマ、グループごとに私たちの意見をぜひ議会に、行政にと、こうこういうムーブメントが起こると社会として大変ある意味では、より健全になっていくのではないかなと思いますので、私にできることとすれば、時々の課題をお示ししながら、ぜひ色んな場面場面で一緒にやろう、立場違ってもどんどん出てきてくれ、言ってくれというようなことを促していくという役割もあるのかなと思っています。

 

[京都新聞]

その際の政党における役割ってどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

もちろん一定あると思います。公認推薦等、また、政策への共鳴等ですね、一定政党の役割っていうのはあると思います。その政党があるが故に、政策形成能力、政策立案能力というものが一定担保されるという、こういうこともあると思いますし、例えば国政に繋がる政党であれば、国政との繋がりにおいて語れること、聞けることっていうのもあるのではないかと思います。ただ、広く押しなべて見てみると、地方議会、より良い小さな単位の地方議会になればなるほど政党色というものは薄れる傾向にあるのではないかなと思いますので、政党の枠を超えた発言力とか活動力とか提案能力と、傾聴力というようなものも問われ、試されるのかなという印象を持っています。

 

[NHK]

統一地方選、立候補する側でなく、投票する側のことを伺いたいと思います。県議会議員選挙、回を追うごとに投票率が下がっています。特に20代の投票率が低いということを、資料を見て心配するのですけれども、先ほどおっしゃったように関心を持って投票行動に結び付けてもらいたい、どうやったら関心を持ってもらえるかということで、それでどういうふうに呼びかけられますか。

 

【知事】

10代後半、20代前半に差し掛かった私の子どもなどにも、折に触れ、問いかけ話し掛けてみるのですけれど、関心薄いですね。そういう意味で言うと、実感を伴って、今の例えば、低投票率化であるとか、関心の薄さというものを感じることがあります。ただ、例えば、もう一段話すことによって、例えば「学校のあり方変わるかもね」、また、「地域で行われるイベント楽しくしたいよね」、「自分たちの子ども育つ環境良くしたいよね」と、もう一段自分に近づけて話すことで、問い掛けることで、「じゃあ、どの人に入れたらどうなるの?」、「議会がどう変わったら、私たちの暮らしどう変わるの?」という議論に繋がりますね。そういうもう一段踏み込んだ何か問いかけなり、政策の語りかけ、私もよくやるのですけど街宣車で通り一遍のことだけ言う、もうほとんどの人が参加しにくい時間帯に演説会設定する、あまり読まれない広報ツールで色んな広報をお届けするということから、もう一歩進んだ対話能力というか、そういうものが議会もそうですし、選挙で選ばれる私ら知事にも、求められているのかなと思いますので、いろんなことを試していきたいと思います。例えば、私どもがやっている「こんにちは三日月です」で知事と話そうという場面においても、ややもすると選挙とか、そういうものでタブー視されて、そこと結び付けて語ることで、何となくちょっと違和感があるようなことがあったのですけれど、「変えようと思ったら選挙で変えられるんやで」もしくは、「やりたいと思ったら立候補して選ばれることで、できることもあるんやで」ということを、経験なり実体験を持って話していくっていうことも大変重要かなと思っています。

今日午後からも、子ども県議会の提案発案による観光パンフレット作成の結果報告の機会もありますが、例えばそういう場面なども、今日はたくさんの子どもたちが来てくれます、春休みということもあって。今は有権者じゃないのかもしれませんが、将来、例えばそういったこともできるのかもというようなことに繋がれば、1つの成果ではないかなと思いますので、いずれにしろ、あまり18歳だからとか、選ばれる側、選ぶ側だからとか、そういう線引きをすることなく、今一緒にいる社会をどう考えたらいいと思う、何ができると思う、どうなったらいいと思うという、そういう対話を積極的に積み重ねていきたいなと思います。

[NHK]

そこで県民に今どう呼び掛けて、投票してもらいたいとお考えでしょうか。

 

【知事】

どう呼びかけて?何かこう五七五で、よく標語とかありますけれどね。ただ、この3月、4月、5月、私も言わないといけないなと思っているのは、やっぱり平成から新しい時代に入りますね。いろんなところで使われる文脈かもしれませんが、やっぱり新しい時代にふさわしい社会のあり方とか、暮らしのあり方とか、こういったものを一緒に考えよう、一緒に決めよう、そして一緒に担おうというようなメッセージ。ちょっとクサいのですけれど、そういうなんて言うのかな、その素のメッセージを、これに具体の政策テーマと合わせて呼びかけて、「1票じゃあ入れてみよう」という、そういう行動に結びつけられるように努力をしていきたいと思います。

 

[時事通信]

県議選の話が出ましたので、昨年、政治分野の男女共同参画推進法というのが成立しまして、政党がね、努力義務という形で女性はなるべく立候補して欲しいっていうことになったのですけども、なかなか滋賀県議会もそうなのですけども、難しい状況ですけど、やはりこれは努力というところもあるかと思うのですけど、外国とかでは、ある程度ね、クウォーター制度っていうんですかね、なんか半分にしたほうが良いとか、そういうのがあったりするのですけど、そのあたりは、知事としてはどういうふうにお考えでしょうか。

 

【知事】

そのテーマでは、強い危機感と使命感を持っています。と言いますのも、議会を語る前に、昨日公表致しました新しい人事異動、県の体制においても、十分、男女共同参画という文脈で捉えた時に、幹部はそれぞれの職階ごとにどうなのというようなことを問われればですね、およそいろんな考えが県行政当局それぞれの分野に反映される体制になり得ているかというと、十分じゃないと。極めて十分じゃないという思いを持っています。ここだけの話、新しい総務部長にもこの点、少し年度を区切って計画的かつ戦略的に、どうしたら男女共同参画になるのかということを、これもさらにど真剣に考えようじゃないかと、そして、すぐにならないとすれば、計画的に育成していくいろんな機会を持ってですね、能力を高めていく、こういうことをやろうということを申し上げたところでございますので、ぜひ皆様方の側からもですね、そういったテーマでどんどん突き上げていただければと思います。大変重要なテーマだと思います。

 

[朝日新聞]

大戸川ダムだけではなくてですね、国の全体のダム行政のことでですね、ちょうど10年前、民主党政権がダムの見直しというのですね、前原大臣中心に全国のダムの検証をするというのをちょうど始めまして、その時知事もおそらく政務官なり副大臣で、見直しのスキームだったりとか、事業に関わってきたと思うのですけれども、10年経って、その見直しがどうなったかっていうのを調べると、大体7割ぐらいですかね、83あったダム、見直し対象のダム7割くらいが継続事業推進になっているということで、大戸川ダムもそうなのですが、知事の当時の思いとして、始める時に、検証をですね、大体どれぐらい継続になるという思いがあったのか、実際7割が継続になっていますけれども、それっていうのはどう、やっぱりダムが必要だというようなですね、世の中の動きというか、それに沿った事業者の判断になると思うのですけど、そこら辺というのは想像していたというものなのか、意外だったのか、そこら辺を今どういうふうに思っていらっしゃいますか。

 

【知事】

おっしゃった通り、平成21年9月に民主党政権が立ち上がり、その後、私は国土交通大臣政務官に任命をいただき、その当時課題であったダム事業の検証作業、この担当もさせていただいておりました。当時、83のダム事業を対象に検証しようということで、まずは検証のプロセスを作り、そのプロセスに沿って検証するということで、スタートを致しました。当時語られていたことは、繰り返し述べたことは、予断を持ってやらないでおこうということで、ルールを作って動かしていったことを強く覚えています。今、全体がどれぐらいの割合中止になり、見直し、継続になったのかっていうのは、私ちょっと定かではないのですけれども、一定数継続になったとしても、その残る一定数が、中止・見直しになったとすれば、その時点で事業のあり方を検証するプロセスを持てたことっていうのは大変意義のあったことではないかなと思います。

知事になって、また、最近のいろんな事象等を比較しながら思いますことは、雨の降り方なんかが、かなり変わってきているのではないか、全国各地でいろんな被害、水害被害が出ているということからすると、やはり、やれることは全てやらなければならないと。持てるものは全て持っておきたいし、とりわけ洪水調節施設等は、造ろう、やろうと決めてから随分時間がかかったり、その効果発現までに随分の時間を要しますので、そういった思いというのは、私もそうですし、行政当局も、また住民の皆様方もやれることは全てやろうというような思いがより強く出てきたり、議会、行政に届けられる傾向にあるのではないかなという思いを持っています。ただ、ハードだけで守れないということも随分、この間広がってきていますので、ソフト対策も含めて、どう命を守っていくのかという、これはまさに滋賀が流域治水ということで、リスク情報を皆さんに届けて、出来れば住み方を変える、家の建て方を変えるということを、全国の中では先んじて言ってきました。国もその後、水防災意識社会ということで、ある意味では、県と同様の立場に立った、こういう治水対策というものを標榜し始めていますので、「いや、ダムができたら、堤防を高めたらこれで大丈夫、安全だ」というところから、「いや、それでも超えてくるかもしれない、それでも守れない命がある」という認識が随分広がってきた10年だったのではないかなと思います。その意味で、新たな治水政策というものを指向していく、そういう機会にあるのではないかと思っています。