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世界に開かれ、世界とつながり、世界から選ばれる滋賀

御来庁の皆さん、職員の皆さん、おはようございます。滋賀県知事の三日月大造です。

今月、令和5年7月の「知事談話」をお届けします。

今月の私の目標は、「待つことと聴くこと」、そして「現場」です。

昨年7月から、滋賀県知事として三期目の任期をいただいています。

早くも一年が経とうとしています。おかげさまで、皆さまとともに担い進む日々です。

心から感謝します。

これからも、私は、あなたのそばにいます。皆さんとともにありたいと思います。

県民との公約の進捗状況を含めて、この一年の取組など、今月21日に会見を行う予定です。

まず、梅雨前線、線状降水帯による大雨、河川の増水等で被害も出ています。

滋賀県においても、先月末の豪雨により増水した姉川で、漁具等の確認中に流され不明になっておられた方が、3日、御遺体で発見されたと報告を受けました。謹んでご冥福をお祈りし、御遺族にお悔やみを申し上げます。

梅雨末期、今月も、注意警戒を緩めず、リスク情報の早くてわかりやすい共有と適切な避難行動により、河川氾濫や土砂災害等から命を守る対策を徹底していきましょう!

今日は1つのことを皆さんとシェアしたいと思います。

「世界」とのかかわりについて、です。

私は、今、「世界」に開かれ、「世界」とつながり、「世界」から選ばれる滋賀をつくろう!と呼びかけています。

昨日も、世界とのかかわりにおいて嬉しい知らせが届きました。

世界文化遺産を目指す国宝・彦根城が、ユネスコの「事前評価制度」を活用して登録に向けイコモスとの対話を進めることとなりました。大きな前進です。

みんなで知恵と力を結集して世界遺産登録を実現していきましょう!

彦根市とも連携して挑み臨む体制の増強を検討し始めました。

私たちがお預かりしている琵琶湖は、日本最大の湖であり、国民的資産であると同時に、世界有数の古代湖でもあります。ラムサール条約の登録湿地にも認定されています。

琵琶湖・滋賀県から始まった世界湖沼会議は、今年で19回目。ハンガリーで開催されることになっています。

湖沼がたたえる淡水は人類生存の源でもあります。その価値を世界とのかかわりにおいて再評価する時期に来ているのではないでしょうか。

御案内のとおり、私たちの滋賀県、近江の国は、「世界とのかかわり」の中でつくられ、発展してきたと言っても過言ではありません。

6世紀から7世紀につくられたという大津北郊(ほっこう)古墳群からは渡来人の暮らしがあったことや野洲市と竜王町の境にある鏡山辺りの須恵器、東近江市の石塔寺(いしどうじ)三重石塔などから、朝鮮半島とのつながりも確認されています。

伝教大師・最澄は、当時、中国・唐に渡り密教を学び、帰国後、比叡山で天台宗を開いたと言われています。

中世・戦国時代には、「天下布武」を掲げた織田信長が安土山に「安土城」を築き、イエズス会宣教師らとも交流を持っていたことも確認されています。

過日、大津市の三井寺に現存する「智証大師円珍関係文書典籍」などがユネスコ「世界の記憶」に登録されるという吉報が届きました。「世界の記憶」といえば、滋賀県ともゆかりが深い「朝鮮通信使に関する記録」も登録されています。

いずれも先人が「世界とのかかわり」を大切にされていたことを伝えています。

視点を「世界」「世界史」から滋賀を俯瞰してみると、新たな「価値」が見出せないか?

視野を「世界」に向けて、市場(マーケット)を「世界」に求めた場合、可能性が拡がるのではないか?

総合企画部国際課が2月に公表した統計では、昨年末現在の住民基本台帳をもとにした「外国人県民」は36,158人で、前年より3,500人以上増え、過去最高となっています。

国籍はそれぞれであっても、医療や教育、福祉などの住民サービスは多国籍・多文化を前提とする必要があります。

すでに介護をはじめとする福祉職の多くを外国人県民の皆さんが担ってくれています。労働雇用も対象は世界です。

言うまでもなく、滋賀県内に多数立地する企業や工場は世界とのつながりや競争の中で事業を営まれています。産業誘致は世界の潮流を踏まえて対応する必要があります。

近江の茶も、近江の地酒も、輸出に活路を見出す動きが活発です。

戦争や紛争が交流や交易に影響することは、昨今のウクライナ情勢と穀物市場との関係から明らかです。

アフリカ大陸の人口が地球の半分を占める時代が近づいていると言われます。

どのような付き合い方をすればいいのでしょうか。

難民や避難民への向き合い方も、より感度を上げる必要があるでしょう。

特に「人権」に対する感覚は、世界とのかかわりの中で論じる視点が重要だと考えます。

すべての部局で「世界」をより意識して仕事をしてほしいと思います。

週末、妻と2人で、琵琶湖一周、鉄道とレンタサイクル、ウォーキングと城めぐりの旅に出かけました。「現場」でたくさんの魅力と可能性をつかみ取ってきました。

今月は伊吹山登山や沖島での鮒寿司漬け込みなども予定しています。

そろそろ来年度の施策を論じてつくっていく時期に入っていきます。

皆さんもどんどん「現場」に出かけて、「現場」の知恵を吸収し、「現場」の課題を可能性に変える工夫と努力を積み重ねていこうではありませんか。

暑さに負けず、今月もともに頑張りましょう!