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滋賀のみどりと積み重ねていくこと

ゴールデンウィーク中に、県内の多くの田んぼで田植えが行われ、水田がキラキラと輝いています。県内各地で今年の豊作を祈願するお祭りも行われました。地域の行事に参加されていた方もいらっしゃると思います。びわ湖ホールなどでは、近江の春「びわ湖クラシック音楽祭」もその装いも新しく実施されました。私もひと時楽しく過ごさせていただきました。関係者のご努力に感謝申し上げます。

さて、この山々の新緑が美しい季節に、今月、全国「みどりの愛護」のつどいが本県で初めて開催されます。

本県は琵琶湖を真ん中に、琵琶湖につながる川、その源流の山々と、豊かな自然に囲まれています。

しかしかつて、山林の伐採等により、滋賀県南部の田上山地や彦根の荒神山ははげ山となり、土壌が流出し、土砂災害が発生していました。滋賀県に天井川が多いのは、元々の地質や地形に加え、水源の山々から土砂が流出してしまったことも影響していると言われています。

今、私たちが見ている山々は、昔から緑の森に覆われていたと思いがちですが、荒廃した山の姿から、山林の大切さに思いを致した先人たちが、子や孫の代のために木を植え、山の緑を回復させ、山々に森ができあがりました。

今でも、河川に流れ出る土砂を食い止めるための砂防工事や、河川に流入した土砂をさらう浚渫等の事業を行っています。これは県民の安全・安心な暮らしを支え、災害への備えを行うと共に、今ある自然の姿を守り、作り出していることにもつながっています。

「みどりの愛護」のつどいは、手付かずの自然を守り愛しむ取組ではなく、公園緑地の愛護などを通じ、緑化意識の高揚を図り、緑豊かな潤いのある住みよい環境づくりを推進することを目的としています。

全てがそうではないでしょうが、滋賀の自然はその延長上にあるとも考えられます。今では当たり前のようにある緑や自然は、元からあったものではなく、長い時間をかけて作り上げ、受け継いできたものだからこそ貴いものだとも言えます。

5月26日に開催される「みどりの愛護」のつどいは、私たち県民が身近に琵琶湖の自然や緑を感じられる都市公園である、湖岸緑地が会場となります。過去からの想いと、未来への望みをみんなで共有しながら、「みどりの愛護」のつどいが成功するように、一緒に頑張りましょう。

さて、今年度も1か月が経過しました。新採職員の皆さんは、滋賀県で働くことに徐々に慣れてきたでしょうか。職場の先輩はしっかりとフォローしてあげてください。

滋賀の自然と同じように、県庁での仕事も、先輩方が積み上げ、作り上げてきてくださったものです。その積み重ねが、時に成果と言う形で花開き、時に将来への礎となって活かされています。

我が国の社会福祉の父とも言われ、本県で障害福祉の道筋を付けられた糸賀一雄先生は、「自覚者が責任者」とのお言葉を残されています。緑豊かな山を取り戻すことの必要性を認識した人々が、1本1本、山に木を植えてくださったように、視野を広げて業務にあたり、大元にある課題を自覚したならば、それを次の人に任せるのではなく、1つでも前に進めるように取り組んでみてください。

先月末、各部局と今年度の組織目標の協議を行いました。それぞれに今年度の課題を共有し、目標や方向性を議論しました。特に、経営会議でも強調しましたのは、それぞれの職場で整理整頓をしよう、ということです。皆さん、机のまわりを見てください。整理整頓できていますか。机の前から、前の人が見えますか。是非、今月も身の回りの整理整頓、お互い気を付けて取り組んでいきましょう。

積み重ねてきたものと、時代に合わせて出てきたものに対応しながら、一歩一歩、着実に次の世代を見据えた仕事を今月も積み重ねていきましょう。