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がんと向き合い、共に生きる滋賀づくり

皆さん、おはようございます。

1月後半は大寒波が日本列島を覆い、湖国・滋賀もとても寒い日が続きました。インフルエンザも流行しています。体調にはくれぐれも気を付けましょう。

さて、毎年2月4日から10日までの1週間は、条例に基づき設けられた「滋賀県がんと向き合う週間」です。「がん」への理解を深め、予防や早期発見に意欲を高めることを目的としています。

私事で恐縮ですが、私は、今から20年前、父のがん闘病に寄り添った経験があります。大腸、直腸のがんで二度の手術を受け、2002年5月、私たちが見守る中、旅立ちました。

幾度の、何種類もの検査、専門用語が並ぶ診断、選択や判断が難しい治療や難解な薬の説明に苦闘しました。何よりも、何が本人にとってベストな、いやベターな選択なのかとても悩んだことを覚えています。

最近、友人や先輩、県職員の皆さん、議員の方々、大学時代の恩師の闘病生活の状況について伺うことも増え、様々なことを感じ、学んでいます。

わが国では、約2人に1人が「がん」に罹患し、約3人に1人が「がん」で亡くなると推計されています。新たに「がん」と診断される人の約3割は、20歳から64歳までのいわゆる就労世代であるとの推計もあります。

本県においては、平成28年の全死亡者のうち約3割の方が、「がん」で死亡されています。その意味で、「がん」は誰もが発症する、治療、闘病の可能性がある病気だといえます。

今、私たちにとって大切なことは、「がん」にならないようストレスや喫煙などその因子となる事象を避け、制御することで、がんに負けることなく命を守るということに加えて、がんに罹患しても、がんと診断されても自分らしく暮らせることであり、そうしたことが叶う社会をつくることです。

現在、県の新たながん対策推進計の策定作業を進めているところです。がんと共に生き、自分らしく暮らしていくため、病院選びや治療方法、闘病中の生活など段階に応じて複数の選択肢があり、それぞれが自分にあったものを選択できる滋賀をつくってまいりたいと考えます。

「生きる」ことに加えて、「老い」や「病」、「死」という避けられないテーマにも正面から向き合い、必要な対策が効果的にとられることがより求められます。

認知機能が衰えた段階で「がん」と診断された場合にどうするのか。子どもが幼い段階でがん闘病することで生活はどうなるのか。子どもを授かり、産むことができる妊孕性(にんようせい)をどう温存するのか。薬や治療法の開発状況、その効果と副作用の情報等についてもできる限り分かりやすく、伝える努力を続けなければなりません。

一人ひとりに寄り添うこと、自分らしく生きること、誰一人取り残さないという理念をこのがん対策においても大切にしたいと考えます。そのことがすべての人の「心の豊かさ」にもつながるのではないでしょうか。

今、この話を聞いていただいている職員の皆さんやそのご家族の中に、がんをはじめ闘病中の方もいらっしゃると思います。治療や看病と仕事の両立には、ご本人の受容と決断、ご家族の協力と合わせて、職場の理解が欠かせません。

今月の「がんと向き合う週間」をきっかけに、病気、育児、介護、しんどさ、つらさといった個々人が抱えることに、周りが思いやれる職場を一緒につくっていきましょう。

県民の皆様のご期待に応えられる、より「健やかな県庁」というものをつくっていくために、働く人のための真の働き方改革を進めていくためにも、職場の対話を、職員間の対話を呼びかけます。

過日の県政経営会議において、私は、幹部の皆様に、「年度内、事業や仕事の完遂とともに、職場の人と対話してください。」とお願いしました。せっかく縁があって、今、一緒に仕事をさせていただいています。目の前の人、隣の人、職場の人と対話することで和をつくっていこうではありませんか。

今月も、元気にともにがんばりましょう