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世界に誇る信楽焼の技術とその可能性

皆さん、おはようございます。

今日から6月です。いよいよ梅雨入りを迎えますね。あじさいも咲き、梅の実も香り始め、暑さも本格化する時期になります。

4月に新規採用された皆さん、また、異動された皆さんも新しい職場や仕事に慣れて来た頃だと思いますが、体調管理には十分気を付けてください。

今週は「世界禁煙デー」および「禁煙週間」における取組として、県庁内、合同庁舎敷地内は全面禁煙となっております。私もたばこを吸っておりましたが、今は吸っておりません。たばこを吸われる方々には、ご不自由やご不便をおかけするかもしれませんが、どうか身体に気を付けながら、一緒に仕事をしていきましょう。

さて、先月の19、20日の2日間、「日本創生のための将来世代応援知事同盟とくしまサミット」に出席するため、“阿波の国”徳島県を訪問しました。

その際、徳島県鳴門市にある大塚国際美術館を視察しました。ここでは、陶板と呼ばれる陶器でできた薄い大きな板に、世界の有名絵画を再現した作品が1,000点以上展示されています。そして、その展示されている陶板作品はすべて大塚オーミ陶業株式会社の信楽工場で作られています。陶板での絵画の再現というのは世界に例がなく、その大きさ、美しさなど大塚オーミ陶業にしかできないオンリーワンの技術であるとのことです。その技術が信楽で培われたということは、滋賀県として誇るべきことだと思います。

今年の4月には、日本古来の技術を継承する生粋のやきもの産地「日本六古窯」の一つとして信楽が日本遺産に認定されました。信楽焼は、鎌倉時代に、古琵琶湖の粘土層の土を使って、すり鉢や甕などが焼かれるようになったことが始まりとされ、その後、茶壺や火鉢、タイルなどの各時代の需要に応じた焼き物がつくられ、発展してきました。

しかし近年では、生活様式の変化や安価な海外製品の増加などの影響を受け、信楽焼の生産額は年々減少しています。平成4年度の約160億円をピークに、平成27年度は約35億円となり、20年余りの間で約5分の1に減少しています。

こうした現状に対し、信楽陶器工業協同組合では、付加価値のついた新製品開発に将来性を見出そうと、県の信楽窯業技術試験場と共同で研究に取り組まれています。

その取組の一つが「信楽坪庭」です。

オフィスビルの狭い空間に、信楽焼を単品ではなく箱庭的な空間デザインとしてセットで配置することで和の空間を演出しようというものです。東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据え、首都圏や海外のオフィスへの販路開拓に力を入れていらっしゃいます。今年の4月には、香港の商談会でもPRされ、手応えをつかみつつあるとのことです。

このように、信楽では、これまで培ってきた高い技術力を活かして、暮らしの中の新しい価値の提案を行っています。私たちの世代、そして将来世代が「メイド・イン・滋賀」のものづくり技術、地場産業に誇りを持ち、生業として続けていけるようにするために、こうした様々なチャレンジと国内外への発信が必要です。7月には彦根にジェトロ滋賀貿易情報センターが、また、10月下旬には東京・日本橋に首都圏情報発信拠点「ここ滋賀」もオープンします。県としても首都圏や海外での魅力発信に力を入れてまいります。

そして、今回紹介した信楽焼における技術の継承やイノベーションによる持続可能な産業化への取組は、現在、県として参画を表明している国連の持続可能な開発目標“SDGs”の考え方にもつながるものです。“SDGs”は、経済成長、環境保全、「誰一人取り残さない」という社会的包摂を調和させながら取り組むものであり、産業だけでなくあらゆる分野に関わってまいります。

本日は、国連からトーマス・ガス氏をお迎えし、経済団体との共催により、“SDGs”のシンポジウムを行ないます。職員の皆さんも、様々な機会を通じて、“SDGs”への理解を深めていただき、世界と同じ方向を歩んでいるかどうか、世界のあらゆる取組を牽引する姿勢であるかどうかを測るためのものさしの一つとして、その視点を取り入れ、自身の業務を見つめ直し、再評価や新たな気づきにつなげてもらいたいと思います。

ともに元気にがんばっていきましょう。