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新年にあたっての知事あいさつ

平成28年、明けましておめでとうございます。

それぞれに、決意も新たに新年をお迎えのことと存じます。穏やかな三が日を過ごされた方も多いのではないでしょうか。年末年始も仕事に従事してくださった方々に敬意を表し、感謝申し上げます。私も今朝、霧の中を登庁し、感ずるところ多くありました。

今年は五輪イヤー、オリンピックイヤーです。4年後に東京オリンピック・パラリンピック、また8年後に滋賀での国民体育大会、全国障害者スポーツ大会を控えています。4年前のロンドン五輪以降、カルチュラル・オリンピアードと題した文化プログラムの重要性も指摘されています。文化とスポーツで県民生活を盛り上げる、また様々なものを創りあげていく、そういう大事な年になると思います。

同時に、エネルギー、治水・防災、道路・鉄道、観光という分野、広域の中で滋賀の立ち位置が問われ、試される年にもなると思います。知恵と力を合わせて、がんばっていきましょう。

今年は、昨年策定した「人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略」のプロジェクトを実行しながら成果を出し、もって、基本構想の中の基本理念に掲げました「新しい豊かさ」を具現化していく一年にしましょう。KPI(成果指標)の実現・達成はもちろんのことですが、それだけに捉われず、私たち県民の誇りだとか、幸福感だとかを高め、ほとばしり、にじみ出るような施策展開、その流れを皆さんと共につくってまいりたいと思います。

グローバルな時代だからこそ、ローカルのオリジナルなものを大事にしたい、またスピーディーな時代だからこそ、スローな生き方や食べ方も大事にする、そういう視座を持っていきたいと思います。

特に力を入れたいことを3つ申し上げます。

1つ目は、私たちがお預かりしている琵琶湖についてです。琵琶湖の保全と再生に向けて、その価値と魅力をしっかりと私たち自身が自覚し、全国に発信していこうではありませんか。

昨年、「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」が日本遺産に認定され、9月には琵琶湖を国民的資産として位置付ける「琵琶湖の保全及び再生に関する法律」を制定していただきました。琵琶湖に流れ注ぐ川の治水、山の治山、農業、林業、水産業、さらには水質の浄化、生態系や景観の保全、また、その関連企業等を琵琶湖の周りに集積させるウォーターバレーの創造、サイクルツーリズムなど、琵琶湖を真ん中に預かる滋賀県の強みと責任をお互い自覚しながら、施策をしっかりと前に進めていきたいと思います。

2つ目は、人と人。共に生き、共に学び、共に働く共生社会づくりの前進です。

「人は人の中で人になる」と私は思います。

医療・健康分野の施策の充実はもちろんのこと、昨年策定しました「学ぶ力向上滋賀プラン」、“共に学ぶ”を柱に据えた「滋賀のめざす特別支援教育ビジョン」を基に、現場の関係者の皆様としっかりと連携し、困難な状況にある方々に心、思いを致しながら施策を充実させ、着実に実行してまいりたいと思います。そして、就学前から、小中学校、県立・私立の高校、大学までの教育を充実させる取組を通じて、夢と生きる力を育む教育をしっかりとつくってまいりたいと思います。

同時に今年は、「働き方改革」を皆さんと一緒に進めていきたいと思います。

県庁が率先し、民間企業を含め県全体をリードしながら、働き方改革、ワーク・ライフ・バランス、男女共同参画、女性の活躍推進、この面で日本の取組をリードしていけるような滋賀県をつくっていこうではありませんか。男性も女性も意識改革を促し、「残業できる人だけが主力メンバーである」という県庁のあり方を改め、長時間労働を前提とした働き方を変えていく、そのための具体的な取組をしっかり進めていきたいと思います。

3つ目は、命と暮らしを守る備えの充実と危機管理です。

自然への畏怖の念を忘れずに、万が一の自然災害に備える投資や取組をしっかりと積み重ねてまいりたいと思います。

今年は東日本大震災の発災から5年になります。昨年、福島県を視察・訪問し、原発に万が一の事態が発生した時の被害の甚大さ、長期かつ広域に及ぶ影響の深刻さを痛感いたしました。原子力防災に関しても、141万県民の命はもちろん、近畿1,450万人の皆様方の命の水源である琵琶湖と、その集水域である山、川、草、木、土をお預かりするその使命を自覚しながら、しっかりと責任を果たしてまいりたいと思います。

1月15日には危機管理センターが開所します。危機管理の拠点として連携の場となるように、また、私たち県民の意識と知識を向上、高揚させる場として、大いに活用していこうではありませんか。

この3点以外にも、滋賀県には可能性と課題が山積しております。望む体制を強化するため、1月から、新しい2人目の副知事として、池永肇恵さんにご就任いただきました。

県庁・県政を熟知されている西嶋副知事を筆頭副知事とし、いろいろな意味で新鮮な感覚をお持ちの池永副知事との2人体制で、若輩の知事である私を補佐していただくことといたしました。池永さんの加入により、国との連携、国への発信の強化、そしてマネジメントにおける多様な考え、多様な価値観の反映を図ってまいりたい、良い意味での化学反応を起こしながら、県庁の仕事を進めてまいりたいと考えております。

結びになりますが、自分のことだけでなく、周りのこと、他の人のことを考える人が多い滋賀県、下流のこと、琵琶湖のことを想う人が多い滋賀県、私たち人間のみならず他の生き物のことにも思いを致すことのできる人が多い滋賀県を、私は誇りに思います。

前例だけに捉われず、異論や筋書き通りに行かないこと、時に対立することがあっても、それを楽しみややりがいとしながら仕事をしていこうではありませんか。

愛するこの滋賀県の「公務のタスキ」を次の時代により良いものとしてしっかりと引き継ぐことを誓い、皆様方に呼びかけ、平成28年、新年にあたってのあいさつといたします。共にがんばりましょう!