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滋賀とミシガンから世界へ

皆さんおはようございます。

7月になりました。暑い夏へ、日が照り、水田の稲が伸びる頃ですが、昨日のように雨も多く降る時期です。お互い元気に頑張りましょう。

先日、びわ湖ホールを訪れ、小学生を対象としたイベント「音楽会へでかけよう!」を視察させていただきました。子どもたちの舞台芸術への理解と感受性を育む体験事業の一つとして、世界にも通用する一流の劇場「びわ湖ホール」で素晴らしい生演奏に触れていただく事業です。本物のオーケストラの迫力、そして奏でられるハーモニー。私も子どもの頃にこんな体験ができたらなぁと、今の子どもたちをうらやましく思いました。

さて、昨日7月1日は「びわ湖の日」です。私たち県民にとって大変思いを強く持つ日でもあります。改めて琵琶湖のことを想いながら、私も朝から堅田漁港にて、ふるさと観光大使の西川貴教さんと一緒に一汗かかせていただきました。琵琶湖をお預かりしております私たちの地道ながらも一途な取組が、命の水源を守り、飲み水とされている近畿府県の皆さんへの安心にもつながると思います。

その「湖」を縁に、今から50年近く前の1968年、わが滋賀県はアメリカ合衆国ミシガン州と姉妹提携を結び、以来、活発な交流を続けてきました。先月6月8日から13日にかけて、私も初めてこのミシガン州を訪れ、滋賀のPRや交流活動を行うとともに、ミシガン州との交流の歴史と絆の深さを改めて認識し、今後の交流発展の可能性を感じましたので、皆さんと共有したいと思います。

アメリカ中西部に位置するミシガン州は、滋賀から1万km以上離れていますが、毎年交互に友好親善使節団を派遣しており、使節団への参加者はこれまでに3,126名に達しています。昨年夏には、滋賀県から48名が使節団としてミシガン州を訪れ、今年秋にもミシガン州からの使節団の皆さんが来県されます。

また、1989年には彦根市にミシガン州立大学連合日本センター(JCMU)が設立され、両国合わせて8,000名を超える学生が、互いの言語や文化を学び、相互理解を深めてまいりました。

ミシガン州においても、ボランティアベースで献身的にこの交流を支えていただいている「ミシガン・滋賀姉妹県州委員会」の皆さんが、ホームステイ先の紹介など、大変丁寧な対応にあたってくださっています。今回のミシガン州訪問でも、委員会の皆さんと昼食会を開き、これまでの活動をお聴きしましたが、彼らの存在なくして、この活発な交流はなかっただろうと思いました。

そのミシガン州との絆を更に深めるべく、今も滋賀県職員が現地駐在員として奮闘し、代々そのバトンを引き継いでくれています。先日お亡くなりになられましたけれども、姉妹県州委員会の活動を導いてこられた故リリアン・クマタさんは、次のように語られたそうです。

「それはあなた方が“ここにいてくれるから”。滋賀県の職員が“ここにいてくれること”が有り難いことです。だから私たちは活動を続けてこられたのですよ。」

こんなに嬉しい言葉はありません。外務省の方からも、日米間の姉妹県州交流でこれほど密接なつながりを持っている例は全国的にも珍しいと言っていただき、大変誇りに思いました。

加えて、観光交流局の皆さんを中心に、庁内の関係部局や近代美術館、琵琶湖文化館、陶芸の森などが横つながりで、4年前から準備し、温めてきてくれたあるプロジェクトが、現地ミシガン州で見事な花を咲かせました。

それが今回の訪問の一つ、「マイヤーガーデン滋賀プロジェクト」です。「マイヤーガーデン」とは、ミシガン州の大手スーパー「マイヤー」が創業の地グランドラピッズ市で運営している広大な庭園であります。今回新たにその庭園に日本庭園が開設されるのを機に、滋賀県のPRを行うチャンスを頂きました。

県内の秀逸な美術品や文化財を紹介する滋賀特別展が、今年1月から開催されております。これまで20万人が訪れ大変好評とのことで、私が訪問した日には早くも第3期がスタートいたしました。貴重な仏像や着物、信楽焼、湖東焼などの美しさに現地の人々が魅入っていました。

また、日本庭園開園に合わせ、私主催の茶会(ティーセレモニー)を開かせていただきました。リック・スナイダー州知事や佐々江駐米全権大使などの方々をお招きし、朝宮のお茶や信楽焼の器、滋賀ゆかりの道具類を揃えて、滋賀の心をお伝えしたところです。

その日の日本庭園開園レセプションでは、地元政財界の重鎮の方々約600名がお見えになる中で、日本文化に、また滋賀にスポットを当てていただいたこと、そして私もステージに上がって英語で、とても緊張しましたが、スピーチをさせていただけたことは、大変有り難く名誉なことだと思います。このような又と無いチャンスを逃さず、見事にキャッチして滋賀をPRする場を創り出していただいた関係者の皆様方に感謝しています。

ミシガン州において、交流活動を行ってきたのは県だけではありません。彦根市とアナーバー市、大津市とランシング市、竜王町とスーセーマリー市など、県内11の市町がミシガン州の都市と姉妹関係を築いており、まさに滋賀県全体がミシガン州と深く結ばれていると言ってもよいでしょう。

3年後の2018 年、わが滋賀県とミシガン州との姉妹提携は50周年を迎えます。半世紀の時を重ねて築いてきた友好の絆をさらに深め、次世代へと引き継いでいくためにも、若者やアートなど新たなテーマを設けた交流も可能性があるのではないでしょうか。

1968年に当時の野崎知事とロムニー知事が交わされた姉妹提携協定書には、次のような一文があります。

「この提携は、永久に滋賀県とミシガン州民を結ぶ友好のきずなとなり、また滋賀県とミシガン州の発展のために一つの布石となると同時に、世界の人々の理解を推進するものであることを確信する。」

現地では日本人留学生の数が減っており、わが日本のプレゼンスが低下しているという話も伺いました。そのような中で、私たちの深く幅広い交流の歴史は、アメリカにおける日本のプレゼンスを高める上でも大きな力を発揮するものと思います。

滋賀とミシガンから世界へ。1956年にアイゼンハウアー大統領が姉妹友好交流の理念として掲げられた「People to People」(人と人との交流)をまさに実践している滋賀とミシガンの交流のモデルが、日米交流のモデルに、さらには世界の交流のモデルになることを願い、市町の皆さんとも声を掛け合いながら一緒に、来るべき2018年、姉妹提携50周年に向けた取組を進めていきたいと思います。

今日から議会では一般質疑が行われます。ともに真摯に元気に頑張りましょう。