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平成27年仕事始めにあたっての知事あいさつ

平成27年、2015年、明けましておめでとうございます。本日、ここで、皆様と時間と空間を共有させていただけることを誇りに思うとともに感謝します。雪寒対応、宿直、医療業務等々、年末年始も仕事をしていただいた方々がいらっしゃいます。この場をお借り致しまして、皆様のお仕事に心から敬意を表し感謝申し上げます。

雲間から 明るく昇る 初日の出
と詠んで迎えた元日の朝です。でも夜は雪が降り出して、地域によっては大変な状況もございました。

雪解けて 明日はびわ湖の 深呼吸
そういう心境で春への歩みも感じてまいりたいと思います。

終戦から70年という節目の年を迎えます。戦争で尊い命を失われた、奪われた方々に思いをいたし、平和、人権、民主主義、これらを大切につくることをまずともに誓い合いたいと思います。総じて穏やかだと評される未年ではありますけれども、年始の大雪なども考えると色々ありそうです。心して臨んでまいりましょう。

そんな新年からの取組といたしまして、健康第一! 朝にラジオ体操の放送を始めたいと思います。私も今日朝からラジオ体操してきましたが、仕事の前に体をほぐし、そして心の穏やかさを持ちながら、冬の寒さも続きますが、体調に気を配りながら、ともに健康維持を心がけてまいりたいと思います。

さて、今年は、私自身、知事として初めて本格的に予算を組み、実行していく年であります。滋賀県政の運営にあたりまして、「挑む、粘る、進む」、この3つを意識して取り組んでまいりたいと思います。ただ、知事として独善、独断、独歩独走にならぬよう、職員の皆様方との対話、県民の皆様方との対話、協議、これを丁寧に行ってまいりたいと思いますし、何より副知事はじめ皆様方が常々言っていただいています県庁力の最大化で、県民の皆様方のご負託、ご期待に応えられる、そういう滋賀県政を一緒に築いてまいりたいと思います。

特に今年は、県政において重要な計画の策定を予定いたしております。

■新基本構想と新しい豊かさ

まず、何といっても新しい基本構想の策定、そして実行です。滋賀の強みや経験を活かしながら、滋賀から「新しい豊かさ」を創ろう。このことを追求し、発信していきたいと思います。「新しい豊かさ」とは、「物だけ」「今だけ」「自分だけ」ではなく、将来も持続的に享受・実感できる、そして全ての人たちが心で感じることのできる豊かさというものを滋賀から創っていく、そういう思いで、基本理念を定めさせていただいております。この滋賀県においてもいよいよ人口が減少し始めるという局面に入りますが、この状況を単に悲観するだけではなくて、むしろ高度成長期に、人口増加時期に失ったもの、得られなかったものを、しっかりと得ていく、作っていく、そういう時代にも一緒にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

この「新しい豊かさ」を形づくるものとして、3つ、皆様方に申し上げたいと思います。

■全ての人々に居場所と出番を

一つめは、全ての人々が居場所と出番を持てる、そういう滋賀県をつくりたい。

子どもも若者も、性別に関わらず、国籍に関わらず、障害の有る無しに関わらず、自分の意思、希望に沿って、社会とのつながりの中で、夢の実現に向けて道を選ぶことができる、頑張ることができる、誰にとっても活躍のチャンスがある、そういう滋賀県を目指したいと思います。

近江八幡に加え新たに草津にもオープンいたしました「マザーズジョブステーション」や「おうみ若者未来サポートセンター」、「働き暮らし応援センター」など、女性や若者、ハンディのある方々、皆さんの働く意欲を大切にし、その思いに応えられる豊かな社会に向けた取組をさらに充実させていきたいと思います。

また昨年の秋に、滋賀県社会福祉協議会が事務局となっていただきまして「滋賀の縁(えにし)創造実践センター」が正式に設立されました。誕生前(おめでとうの時)から看取り(ありがとう)の時まで、自分らしく生き生きと地域で過ごすこと暮らすことができ、そのことを支え合えるしくみづくりとその実践を目指し、福祉制度のはざまで支援の手が届きにくい方々に対する配慮もしっかりと整えながら、それぞれの専門分野を超えた連携をつくっていくネットワークづくりをしようと。これを「新しい福祉」、もう一回滋賀から、日本の、世界のモデルとなる「新しい福祉」というものを皆さんと一緒につくっていく、そういう元年にもしてもらいたいと思います。

■世界から滋賀へ、滋賀から世界へ

二つめは、世界の動きの中で滋賀を見よう。「滋賀から世界へ、世界から滋賀へ」この思いで一緒に仕事しようじゃありませんか。

昨年、知事就任後、私は3回海外の国を訪問させていただきました。世界湖沼会議でイタリアを訪れた際には、滋賀発の湖沼会議に賞賛のお言葉を頂きましたし、日中知事省長交流事業(中国の省長の皆さんとの会合)では、環境保全と両立を遂げる経済成長に見習うべきだという言葉を頂きました。また、ベトナムでも同様です。訪問先でいずれも感じましたのは、滋賀の持つ潜在力。県民の皆さんがつくっていただいた様々な実践力。このことが世界から評価され始めています。

しかし、まだまだ潜在力に終わっていて、それを上手く拾い出し、PRできていない、発信できていない、このことも課題だと思いました。ぜひこのようなことを堂々と世界に発信しながら、世界から滋賀へ、そして滋賀から世界へ、この流れを皆さんと一緒につくっていきたい。

折しも5年後には、もうあと5年しかありませんけれども、東京オリンピック・パラリンピックがあります。2024年、もうカウントダウンが始まりましたけれども、国体、全国障害者スポーツ大会が開催されます。

文化面では、昨年私も訪れましたけれども、近江八幡市での「BIWAKOビエンナーレ」、高島市での「風と土の交藝」。街を、住まいを活かしながら、手に職で、技術力で、感性で、街ぐるみで、アートを表現というこの活動に、多くの方々から大きな賞賛、評価の声をいただいております。アール・ブリュットもそうです。

ぜひこうした世界とつながる、例えば、観音様の信仰の文化もそうです。田園や山々、琵琶湖の風景もそうです。こういうものを大切に守りながら、世界に発信し、これからの「スポーツと文化の10年」を盛り上げていきたいと思います。

ぜひ国や市町の皆さんとしっかりと連携しながら、これは行政だけではなく、県民の皆さんと一体となって進めていくということに、心がけてまいりたいと思います。

■大規模災害への備え

三つ目は、防災。阪神・淡路大震災から20年の節目を迎えます。20年前、私は新長田の駅、神戸駅で、支援勤務の駅員を経験しましたけれども、ぜひ改めて、自然への畏れを新たにいたしながら、避けられない災害であるならば、備えをし、助け合いで、災害に負けない、災害の犠牲にならない、そういう滋賀県を一緒につくっていきたいと思います。ぜひ防災のための意識、知識、組織を皆さんと一緒につくってまいりましょう。

特に、原子力防災もそうです。今年は様々な課題が予想されます。力を合わせて頑張ってまいりたいと思います。

■行政経営方針

今申し上げた3つの取組をする、「新しい豊かさ」を追求するときに、今年特に皆さんと一緒に意識したいことは「経営」という視点です。

同じ成果を上げるときに、どれだけの時間をかけるのか。同じ事業を営むのに、どれだけの予算をかけるのか。一つの事業を行うのに、どれだけの人が関わるのか、ということを常に意識しながら、県政を進めていきましょう。

そして、繰り返しになりますけれども、行政だけで、県だけで出来ることは限られています。県民の皆様、あらゆる主体の皆様との協働、そのための対話と共感を一緒につくってまいりたい。そういう意味で、「行政経営方針」を新たに策定し、実行に移してまいります。「攻める」「見える」「前向きな」滋賀県行政を一緒につくってまいりましょう。

■結び

最後になりますけれども、そのためには何といっても、私を含め、皆さんの日々の働きが大切です。知事就任の時に申しましたけれども、心身の健康、ワークライフバランスにぜひ一緒に心がけましょう。ついつい無理しがち、ついつい何々しがち、かもしれませんが、どうかお互い労り合って、労い合って、助け合って、県民の皆様方のための滋賀県政の仕事、一緒にやっていこうじゃありませんか。繰り返しになりますが、お互いに労り合って、労い合って、助け合って、仕事をしましょう。

この一年も色々な課題がありますが、可能性を信じ、この時期に一緒にいられることを誇りに思い、身を奮い起こし、仕事をしてまいることを共に誓い合って、平成27年、2015年、新年冒頭のあいさつとさせていただきます。ともに頑張りましょう。