文字サイズ

春本番!弱さとパーパスについて

ご来庁の皆さん、こんにちは。職員の皆さん、お仕事ご苦労様です。滋賀県知事の三日月大造です。

3月3日、上巳の節句、桃の節句、ひな祭りの本日、3月の知事談話をお届けします。

 

3月は卒業や退職、転勤など、別れと出会いの季節ですね。

今の、このメンバーで、この体制で、仕事をすることは、あと1ヶ月。

このひと月も、一日一日、お互いに感じることや考えることを大切にしたいと思います。

リセットや切り替えをするのに良い時期だと言われます。有効に活用しましょう!

 

さて、今月12日(日)には、いよいよ「びわ湖マラソン」を開催します!

伝統ある「びわ湖毎日マラソン」のレガシーを受け継ぎ、公道で、公認レースとして、初めて開催する市民マラソン大会です。

大津市の皇子山陸上競技場をスタートして、近江大橋を渡り、草津市から守山市へ湖岸道路で琵琶湖を存分に感じ、琵琶湖大橋の手前で折り返し、烏丸半島でゴールする42.195キロ。

当初は、私自身も挑戦しよう!とシューズを買って練習を始めましたが、大会実行委員長であることと、スターターをしなければならないことを理由、いや言い訳に断念しました。

雰囲気を味わいながらのコース状況の確認も兼ねて、一番後ろを約7キロほどゆっくり試走しますが、今回は、私の妻の初めてのフルマラソン挑戦を応援するサポーターに徹することにしています。

選手として登録・出走される方、仕事で協力していただく方、ボランティアで参加してくださる方、沿道で応援する方など、いろいろな形で楽しめればいいですね。

てるてる坊主が必要かもしれません。

 

現在、開会中の県議会2月定例会議では、新年度の令和5年度の予算案などの審議をしていただいております。

来週は予算特別委員会で部局別調査のための分科会が行われます。

来年度は「第2期基本構想実施計画」と、新たな「行政経営方針」の計画期間の初年度であり、私自身、県民より与えていただいた3期目の滋賀県知事として、初めて編成する予算案を、気持ちも新たに、心を込めて提案しています。

いよいよビヨンド・コロナ。コロナを乗り越え、新たな未来:「シン・ジダイ」をつくろう!と呼びかけています。

「シン・ジダイ」はあえてカタカナで表記し、「シン」には、新しいの【新】、一歩先に進むの【進】、未来に伸びるの【伸】、一本芯が通る【芯】、こころの健康重視「こころ」の【心】、親しいの【親】、真実の【真】、探求・深めるの【深】など、さすがにちょっと欲張りすぎですね。たくさんの意味を込めています。

それぞれが自分や自分の立場や仕事に合う形で考えていただければ、と投げかけているところです。

いずれにいたしましても、これからの新しい時代を切り拓いていくのは、滋賀に住む、滋賀で働く、滋賀とご縁あり関わる私たち!という気持ちを共有したい、と願っています。

府県境や国境も、さまざまな事ごとも越えて、シン・ジダイヘ。「健康しが2.0」へバージョンアップさせていきましょう!

 

話題を変えます。

新年の挨拶でお話しした、みんなで議論して県庁で県職員として働くパーパスを確認・共有しよう、ということと、「弱さ」を大切にして過ごしませんか、ということについて、この機会に想いや背景を少し述べたいと思います。

共通する想い、通底する願いは、「ひとりではない」「いっしょにいる」「みんなでやろう!」ということです。

 

一つ目の「パーパス」とは、ご案内のとおり、存在意義や働く意味を言語化したものです。

民間企業等で当社のパーパスは…と述べられることも多いですね。

翻って、「私たち滋賀県庁のパーパスは?」と問われて、私たちはなんと答えられるでしょうか。

公務員です。行政です。県民のためです。

いずれも外れていませんが、共感のフックになるだろうか?

問題意識の出発点はこんな考えでした。

「パーパス」を共有することで、仕事や行政経営に一体感を持てないか?

「大切にしたい価値」について、県民の皆さんらから選択していただく材料にならないだろうか?

私たちが、今、ここにいる。ご縁あって、県庁で県職員として一緒に働いている。

その「意味」を、改めて再確認するところから始めてみませんか?ということです。

「私たちは何のために、誰のために、今、ともに働くのか?」

それぞれが考え、職場の中で年代や立場も超えて議論し、全体の最大公約数として確認することができれば、それを県民の皆さんに、滋賀県内外にも発信・宣言したいと思います。

行政を推進するための、共感の輪の核、起点になればいいですね。

新たな職員・教職員を採用するメッセージにもなるのではないか?と考えます。

時として悩み、立ち止まり、考える時の「ものさし」にもしたいと思います。

まずは、経営会議等で意見交換するところから始めませんか?

「パーパス」の内容だけでなく、その議論の進め方も含めて意見を出し合っていきたいと思います。

できるだけ現場の新たな負担にならない形を一緒に考えていきたいと思いますので、積極的に参画してください。

 

 

もう一つ、「弱さ」を大切にしたい、ということについてです。

なぜ、こんなことを知事は言い出したの?と問われます。

これは、議場でも一部答えましたが、齢を重ねて年をとってきたことも影響しているのでしょうか。

自分自身の、また私たちの親の、まわりの人びとの「老い」や「病」、亡くなっていかれることも含めて「弱っていくこと」を実感しているのかもしれません。

この三年を超える、コロナとの付き合いは当然、影響しています。

根底にあるのは明治以降の近代において、戦後の高度成長期において、わが国が、世界各国が突き進んできた「やり方」や、その中で知らず自然と身についた「生き方」に対する「疑問」から出発しているのかもしれません。

「こんなに強いです!」「これほどすごいですよ。」「誰よりもこんなに優れています!」

自分自身や滋賀県を表現する際に用いることが多く、大事なことかもしれませんが、この手の表現の中にある競争や、この手法の先にある将来に、少し孤独感や孤立感、違和感を感じ始めています。

「こんなことで悩んでいます…」「これ、できません。」「ここがわからないんです…」「今、困っています。」「助けて欲しい…」

こんなことを、今よりもっと気軽に言える社会や職場との比較をしてみたいという想いから、「弱さ」を大事にしてみませんか?と投げかけています。なかなか難しいかもしれませんが。

 

いずれも簡単に結論が出たり、実践できるものではありませんが、今申し上げた私、知事の率直・素直な内心からの問いかけを受け止め、何か考えていただければ幸いです。

 

3月に入って、人生で初めて、メガネを買いました。最近、見えなかったモノが見えるようになった気がします。まだ公の場でかけたことはありませんが、視力も、心の眼も補強して、この春から過ごしていきたいと存じます。

今年の弥生も、無事に、思い出多い時間が過ごせますよう、ともにがんばりましょう!