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法人事業税・外形標準課税Q&A

納税者の皆様から寄せられた質問を中心に、Q&Aとして取りまとめました。

〈凡例〉
法:地方税法(昭和25年7月31日法律第226号)
令:地方税法施行令(昭和25年7月31日政令第245号)
取扱通知:「地方税法の施行に関する取扱いについて(都道府県税関係)」(昭和29年5月13日自乙府発第109号)

総論

1.資本金の額は8,000万円だが、資本金等の額が1億円を超えている法人は、外形標準課税の対象となりますか。

1. 外形標準課税の対象となるか否かは、各事業年度終了の日の資本金の額または出資金の額が1億円を超えているか否かにより判定することとなり、外形標準課税の対象とはなりません。

2. 期首に資本金の額が1億円を超えていた法人が、期中に減資を行ったため、期末では資本金の額が1億円以下となっている場合には、当該法人は外形標準課税の対象となりますか。

2. 外形標準課税の対象となるか否かは、各事業年度終了の日の現況によって判定することとしているため、期首の資本金の額が1億円を超えていた場合であっても、期末時点で資本金の額が1億円以下となっていれば、外形標準課税の対象とはなりません。

3. 単年度損益がマイナスである結果、当該事業年度の付加価値額がマイナスとなった場合には、付加価値割額は零となると解してよろしいか。また、付加価値額がマイナスとなった場合における繰越控除はないと解してよろしいか。

3. 前段、後段ともお見込みのとおりです。

付加価値割(報酬給与額)

4. 報酬給与額に該当する給与であるかどうかは、どのように判定するのですか。

4. 報酬給与額に該当する給与とは、役員や従業員等に対する報酬、給料、賃金、賞与、退職手当その他これらの性質を有する給与をいいます。
ここで、法人が役員や従業員等に対して支給する金銭等が報酬給与額に該当するか否かの具体的な判定は、当該金銭等が、原則として所得税において給与所得または退職所得とされ、法人税で損金算入されるものを報酬給与額とし、所得税において事業所得、一時所得、雑所得または非課税所得とされるもの、もしくは役員賞与など法人税において損金算入されないものは報酬給与額とはしないこととされています。(法72の15、取扱通知4の2の3)ただし、外国に勤務する役員または従業員等に対して支給する給与は、当該役員または使用人が所得税法に規定する非居住者に該当する場合であっても、報酬給与額の対象となることがありますので、ご注意ください。(Q13参照)

なお、現金だけではなく現物給与も報酬給与額の対象となります。

5. アルバイトに支払う給与は、報酬給与額に含まれますか。

5. 報酬給与額の対象となる役員または使用人には、非常勤役員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、臨時雇い等名称のいかんを問わず、雇用関係またはこれに準ずる関係に基づき労務の提供を行う者全てを含めるため、アルバイトに支払う給与も報酬給与額に含まれます。

6. 役員に対する賞与・報酬は、報酬給与額に含まれますか。

6.役員賞与は、法人税の所得の計算上損金に算入されないため、報酬給与額に含まれません。
また、役員報酬は法人税の所得の計算上損金に算入されるため報酬給与額に含まれますが、不相応に高額な部分で損金算入を否認された額は報酬給与額に含まれません。
なお、これら損金に算入されないものは、単年度損益(繰越欠損金の控除前の所得)に含まれることとなり、付加価値額としては変わらない仕組みとなっています。

7. 退職給与引当金に繰り入れた金額は、報酬給与額に含まれますか。

7. 退職給与引当金に繰り入れた金額は、当該事業年度の法人税の所得の計算上損金の額に算入されないため報酬給与額には含まれません(実際に退職金として支払い、損金の額に算入されたものが報酬給与額に含まれます)。

8. 健康保険の保険料や福利厚生費は、報酬給与額に含まれますか。

8. 健康保険の保険料のようないわゆる法定福利費や、福利厚生費については、一般的には、所得税において給与所得または退職所得とされないことから、報酬給与額には含まれません。
ただし、名目上福利厚生費とされているものであっても、所得税において給与所得または退職所得とされる場合には、報酬給与額に含まれます。
[法定福利費]

  • 健康保険の保険料(健康保険法第161条、第163条)
  • 政府に支払う厚生年金保険の保険料(厚生年金保険法第82条)
  • 雇用保険の保険料(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第30条)
  • 労働者災害補償保険の保険料(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第30条)
  • 船員保険の保険料(船員保険法第59条)
  • 児童手当拠出金(児童手当法第18条)
  • 障害者雇用納付金(障害者の雇用の促進等に関する法律第53条)
  • 法定補償(労働基準法第76条他)

9. 通勤手当や在外手当は、報酬給与額に含まれますか。

9. 通勤手当や国外勤務者の在勤手当(在外手当)のうち所得税において非課税とされる額に相当する金額については、実費弁償的性格を有するものであることから、報酬給与額に含めません。
ただし、所得税において非課税とされる額を超える部分に相当する額は報酬給与額に含まれます。
なお、報酬給与額とされない在勤手当(在外手当)とは、所得税法施行令第22条に規定されている非課税とされる在外手当(国外で勤務する者がその勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して支給を受ける給与のうち、その勤務地における物価、生活水準および生活環境並びに勤務地と国内との間の為替相場等の状況に照らし、加算して支給を受けることにより国内で勤務した場合に比して利益を受けると認められない部分の金額)のことを指しています。

10. 出向先法人(X)が出向元法人(Y)に対して支払う金額が、Yが出向者に支払う給与の額を超える場合には、当該超える部分については給与負担金としての性格はないことから、当該出向者に係る報酬給与額は、Yにあってはゼロ、XにあってはYが出向者に支払う給与の額となると解してよろしいか。

10. お見込みのとおりです。

【出向者Aに係る報酬給与額】
Y:0万円
X:800万円(給与負担金等のうち給与(賞与等を含む。)分)

(注) この取扱いは、出向先法人(X)が実質的に給与負担金の性質を有する金額を較差補てん金、経営指導料等の名義で支出する場合にも適用があります。
なお、給与の形式的負担者である出向元法人(Y)が、出向先法人(X)から給与負担金等を受け入れている場合で、その内訳(給与、賞与、法定福利費、退職金相当額、通勤手当等)がわからない場合には、出向元法人(Y)の報酬給与額の算定に当たり、これら給与負担金等の総額を控除するのではなく、出向者に関し支出する額の内訳(報酬給与額となるものとならないもの)により、出向先法人(X)からの給与負担金等をあん分し控除すべき額を算出する方法など合理的な方法により算定してください。

11. 出向期間中、定期的に出向先法人(X)が出向元法人(Y)に対して、出向者の退職金を負担するために「退職給与負担金」を支払った場合には、出向先法人(X)の報酬給与額に含まれますか。

11.出向期間中、定期的に出向先法人(X)が出向元法人(Y)に対して、出向者の退職金を負担するために退職給与負担金を支払った場合には、退職給与負担金は出向先法人(X)の報酬給与額に含まれず、実際に出向者に退職金を支払う事業年度において、当該退職金が出向元法人(Y)の報酬給与額に含まれます。(取扱通知4の2の14(3))

q11_1

【出向者Aの退職金に係る報酬給与額】
Y:n+10年度1,000万円
X:n年度〜n+5年度毎年度0万円

12. 出向元法人(Y)が確定給付企業年金等を締結している場合において、出向先法人(X)があらかじめ定められた負担区分に基づき出向者に係る掛金等の額を出向元法人に支払った場合には、出向先法人(X)の報酬給与額に含まれますか。

12. 出向があった場合の出向者の退職給与その他これに類するものについては、形式的支払者の報酬給与額とすることとされています。(Q11参照)
ただし、出向元法人が確定給付企業年金契約等を締結している場合において、出向先法人があらかじめ定めた負担区分に基づきその出向者に係る掛金、保険料(過去勤務債務に係る掛金、保険料を含みます。)の額を出向元法人に支出したときは、当該支出した金額は当該出向先法人の報酬給与額に含まれます。(取扱通知4の2の14(3)ただし書き)

【出向者Aに係る報酬給与額】
Y: n年度〜n+5年度毎年度0万円
n+6年度〜n+10年度毎年度100万円
X: n年度〜n+5年度毎年度100万円

13. 海外子会社(Q14の恒久的施設に該当する場合を除きます。)に出向する者に係る給与等の取扱いは、どのようになりますか。

13. 報酬給与額とは、原則として、所得税において給与所得または退職所得とされるものをいい、所得税において事業所得、一時所得、雑所得または非課税所得とされるものは報酬給与額とはならないとされていますが、内国法人が外国において勤務する役員または使用人に対して支払う給与は、当該役員または使用人が所得税法に規定する非居住者であっても、報酬給与額の対象となります。(取扱通知4の2の4)
したがって、海外子会社への出向者の給与は、当該出向者が所得税法上の居住者、非居住者であるかを問わず、国内出向の場合と同様に実質的に負担する法人の報酬給与額となります。

q13_1

【海外出向者に係る報酬給与額】
内国法人20(国内付加価値額)
海外子法人80(法人事業税の対象外)

q13_2

【海外出向者に係る報酬給与額】
内国法人20(国内付加価値額)
海外子法人80(法人事業税の対象外)

 
海外子法人は恒久的施設にあたらないことから、内国法人の負担となる額は、国内付加価値額に含まれることとなります。

14. 海外支店(恒久的施設に該当する場合に限ります。)に勤務する従業者に支払う給与は、報酬給与額に含まれますか。

14. Q13のとおり、内国法人が外国において勤務する役員または使用人に対して支払う給与は、当該役員または使用人が所得税法に規定する非居住者であっても、報酬給与額の対象となりますが、当該役員または使用人が外国で勤務する場所が恒久的施設に該当する場合には、当該給与は、当該法人の外国の事業に帰属する報酬給与額となります。(取扱通知4の2の4)
したがって、海外支店に勤務する者に対する給与は、その者が所得税法上の居住者、非居住者であるかを問わず、いったん報酬給与額として取り扱ったうえで、海外支店が恒久的施設にあたる場合は、海外支店に帰属する給与を国外付加価値額として控除し、結果として、法人事業税は課税されないこととなります。

q14_1

【海外支店に勤務する従業者に係る報酬給与額】

内国法人100(国外付加価値額)→「外国の事業に帰属する報酬給与額」として控除

q14_2

【海外支店に勤務する従業者に係る報酬給与額】
内国法人100(国外付加価値額)→「外国の事業に帰属する報酬給与額」として控除
海外支店に勤務する者に対する給与は、居住者、非居住者を問わず、報酬給与額として取り扱います。
(注意)海外支店は恒久的施設に該当することから、海外支店に帰属する給与は、国外付加価値額として控除することとなり、
国内付加価値額には含まれず結果として課税されないこととなります。
→資本割を付加価値額で按分する場合に使用します。

15.法人が他の法人からその法人の従業者の派遣を受けている場合、支払う派遣料の75%が法人の報酬給与額となるのですか。

15. 労働者派遣法または船員職業安定法に基づく労働者派遣等を受けている場合には、支払う派遣料の75%が報酬給与額に含まれます。この場合、労働者派遣等をした法人については、派遣労働者に係る報酬給与額から支払いを受ける派遣料の75%を控除します。
一方、労働者派遣法または船員職業安定法に基づかない派遣の場合には、派遣料の75%を報酬給与額に含める制度の対象とはなりません。

16. 労働者派遣法に基づく労働者派遣契約を結んでいる場合に、派遣を受ける法人が派遣労働者に係る交通費を別途負担することとしている場合には、派遣料に別途負担する交通費を加えた金額の75%が当該法人の報酬給与額となるのですか。

16. 支払う派遣料の75%が報酬給与額に含まれるため、派遣料の内に交通費が含まれている場合には交通費を控除せず、派遣料とは別途交通費を負担する場合には交通費を加算せずに計算を行います。
なお、当該契約料について、派遣労働者に係る旅費等給与以外の費用が内訳として明示され、区分することが可能であっても、これを控除せずに計算することとなります。

17. 取扱通知4の2の5にある「名目上請負契約とされている場合であっても、仕事を請け負った法人の使用人が注文者である法人の事務所等において役務の提供をしており、その状況が当該使用人と注文者である法人との間の雇用関係又はこれに準ずる関係であると認められるとき」とは、具体的にはどのようにして判断するのですか。

17. 請負契約に係る代金は、労務の提供の対価ではなく、仕事の完成に対する対価(民法第632条)であることから、注文者の法人の報酬給与額に含まれず、また、仕事を請け負った法人が従業者に支払った給与は、仕事を請け負った法人の報酬給与額に含まれます。
しかし、契約の形態が「請負契約」とされている場合であっても、仕事を請け負った法人の使用人と注文者である法人との間で雇用関係またはこれに準ずる関係であると認められるときは、当該使用人に対する労務の提供の対価に相当する金額は、注文者である法人の報酬給与額として取り扱うこととされています。(取扱通知4の2の5)この「仕事を請け負った法人の使用人と注文者である法人との間で雇用関係またはこれに準ずる関係であると認められるとき」とは、個々の実態に即して判断することとなりますが、例えば、消費税法基本通達1-1-1において以下の事項について総合勘案して判定するものであるとの考え方が示されており、報酬給与額の取扱いにおいても、同様の考え方により、「雇用関係またはこれに準ずる関係」があるか判断することとしています。

  1. その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
  2. 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
  3. まだ引渡しを了していない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
  4. 役務の提供に係る材料または用具等を供与されているかどうか。

付加価値割(純支払利子)

18. 株式の配当金は支払利子には含まれないと解してよろしいか。

18. お見込みのとおりです。

19. 純支払利子を計算する場合において、支払を受ける利子に対して所得税や住民税利子割が課されている場合、受取利子の額からこれらの税額を控除する必要はないと解してよろしいか。

19. お見込みのとおりです。

20. 借入金の返済が遅れた場合に、遅延期間に応じて一定の利率に基づいて算定した上で支払う遅延損害金は、支払利子および受取利子に含まれると解してよろしいか。

20. お見込みのとおりです。(取扱通知4の3の8)

21. 匿名組合契約を結び、当該匿名組合から利益の分配を受けている場合、この分配については受取利子に含まれないと解してよろしいか。

21. 匿名組合とは、 商法上、「当事者の一方が相手方の営業の為に出資をし、その営業より生じる利益を分配する契約」に基づく企業形態とされており、事業から生じた利益または損失は全て組合員に分配されます。(商法第535条)
したがって、匿名組合からの利益の分配は、支払いを受ける利子には当たりませんので、受取利子には含まれないこととなります。

22. クレジットカード会社が、利用者からの口座引落日よりも前に代金を特約店に支払う際に差し引く額(繰上払い手数料)は、受取利子にあたりますか。

22. 繰上払い手数料は金銭債権の取得差額であることから、金銭債権の取得差額に係る調整差益の取扱いに準じます。したがって、金利の調整により生じたものと認められる場合には、受取利子に該当します。(取扱通知4の3の11)

23. A法人が、B法人から受け取った手形をC金融機関等に対し売却した場合の手数料(手形の金額と、C金融機関等からA法人が受け取る金額の差額)は、A法人の支払利子となりますか(経理上は手形売却損として計上)。

23. A法人が買い戻し義務を負わない場合は、金銭債権の取得差額であるので、A法人の支払利子とはなりません。(取扱通知4の3の11)

24. 金融業者から借入れを行い、契約期間よりも早く返済を行った場合に支払う繰上弁済(繰上償還)手数料は、支払利子に該当しますか。

24. 該当しません。

付加価値割(純支払賃借料)

25. 3月末で事業年度が終了する法人が、事務所を賃借する場合に、3月中のある日から当該事業年度末までの賃貸借契約をし、別途4月1日から1年間の賃貸借契約をしている場合には、3月中の賃借料は支払賃借料に含まれますか。

25. 土地または家屋を使用または収益できる期間が契約上連続して1月に満たない場合であっても、実質的に使用または収益できる期間が連続して1月以上となっているため、3月中の賃借料は賃貸借契約をした事業年度の支払賃借料に含まれます。(取扱通知4の4の3)

26. 法人が土地を1年契約で賃借し、当該土地を駐車場として不特定多数の利用者に1ヶ月未満の期間で使用させている場合において、当該法人については、土地の賃借料は支払賃借料に含まれますが、駐車場使用料は受取賃借料に含まれないと解してよろしいか。

26. お見込みのとおりです。

27. 法人が他の法人からアパートを賃借し、社宅として従業者に安価で賃貸している場合における、他の法人に対して支払う賃借料はどのようになるのですか。

27. 法人が賃借している土地または家屋を従業者に社宅等として賃貸している場合には、法人が支払う賃借料は支払賃借料に、従業者から支払いを受ける賃借料は受取賃借料に、それぞれ含まれます。
法人が賃借したアパート等を安価で従業者に賃貸している場合には、所得税において給与所得とされる場合がありますが、この給与所得とされた部分については報酬給与額には含めないこととなります。(取扱通知4の4の8(1))

28. 法人が貸倉庫を賃貸借する契約をし、当該契約に荷物の出入庫サービスや警備料が含まれている場合には、出入庫サービス料や警備料も含めた賃借料が支払賃借料となるのですか。

28. 土地または家屋の賃貸借に係る役務の提供の対価の額は、役務の提供の対価の額と土地または家屋の賃借権等の対価の額とが、契約等において明確かつ合理的に区分されていない場合には、支払賃借料および受取賃借料に含まれることとなるため、出入庫サービス料等が明確かつ合理的に区分されていなければ契約に基づいて支払う出入庫サービス料等相当額を含めた賃借料が支払賃借料となり、明確かつ合理的に区分されていれば出入庫サービス料等を除いた額が支払賃借料となります。(取扱通知4の4の5)

29. 法人がビルを賃貸借する契約をし、当該契約にビルの保守費や清掃費などの共益費や管理費用を支払うことが含まれている場合には、共益費等も含めた賃借料が支払賃借料となるのですか。

29. 土地または家屋の賃貸借に係る役務の提供の対価の額は、役務の提供の対価の額と土地または家屋の賃借権等の対価の額とが、契約等において明確かつ合理的に区分されていない場合には、支払賃借料および受取賃借料となることとされています。この取扱いは、土地または家屋の賃貸借に当たって支払われるいわゆる共益費などについても同様とされています(法72の17、令20の2の10、取扱通知4の4の5、4の4の8(7))。
したがって、設問の場合、支払う賃借料の内訳として、共益費等が区分されていなければ契約に基づいて支払う共益費等相当額を含めた賃借料が支払賃借料となり、区分されていれば共益費等を除いた額が支払賃借料となります。

30. リース会社から自動車や機械設備を賃貸借している場合には、これらの賃借料は支払賃借料に含まれるのですか。

30. 自動車や機械設備のような土地又は家屋(これらと一体となって効用を果たす構築物または附属設備を含む。)以外のものの賃借料は支払賃借料に含まれません。この場合、法人税法上のリース取引に該当する場合には、利子相当額が支払利子の対象となります。
(取扱通知4の3の5、4の3の6、4の4の8(8))

31. 土地や建物の賃貸借契約時に支払う権利金や敷金、保証金は、支払賃借料に含まれるのですか。

31. 土地または家屋の賃借権等の設定に係る権利金は、一般的に借地権や借家権設定の対価であって、地代や家賃とは別個のものであることから、契約等により地代や家賃の前払分が含まれているものを除いて、支払賃借料に含まれません。更新料についても同様です。
また、敷金や保証金は、一種の預り金という性格を有し、法人税の所得の計算上も損金に算入されないことから、支払賃借料に含まれません。ただし、支払うべき賃借料を滞納した場合などの債務の不履行により、敷金から控除された金額については、支払賃借料に含まれます。
(取扱通知4の4の4)

32. 河湖占用料は、支払賃借料に含まれるのですか。

32. 純支払賃借料の対象となるのは、土地または家屋(これらと一体となって効用を果たす構築物または附属設備を含みます。)の使用または収益を目的とする権利の対価の額とされていますので、公有水面の使用料は支払賃借料とならないこととなります(法72の17)。
したがって、河湖占用料の対象が、明らかに土地に係る部分でなければ、支払賃借料の対象とはなりません。
なお、公有水面とは、公有水面埋立法第1条において海、湖、沼その他公用の用に供する水流または水面と規定されています。

33. 法人が事務所の賃借料とは別途、当該事務所が入居している建物のロビーやエレベーターホール等にイベントの案内等を掲示するための対価として建物の共用部分の利用料を支払っており、事務所の賃借料と明確かつ合理的に区分している場合には、当該共用部分の利用料は法人の支払賃借料に含まれないと解してよろしいか。

33. お見込みのとおりです。

34. 土地または家屋の賃貸借契約で、契約期間満了前に退去する場合には賃借人が違約金を支払うこととなっている場合、当該違約金は支払賃借料および受取賃借料にあたりますか。

34. 支払賃借料および受取賃借料とはなりません。(取扱通知4の4の7参照)

35. 保税倉庫の賃借料は、支払賃借料に含めるのですか。

35. 地方税法上、付加価値割の課税標準の算定においては、外国の事業に帰属する付加価値額を控除する規定になっていますが、ここでいう外国の事業とは、令7の3の5に規定する恒久的施設に帰属するものをいいます。(法72の19、令20の2の16)
つまり、外国の恒久的施設に帰属する付加価値額は控除しますが、それ以外のものについては、たとえ賃借する土地または家屋の所在地が外国であっても、付加価値額を構成する純支払賃借料に含まれることとなります。
したがって、保税倉庫の賃借料も、支払賃借料となります。

36. 携帯電話会社がビル等の屋上や壁面に携帯電話会社のアンテナを設置する際に支払う設置料は、支払賃借料となりますか。

36. 支払賃借料となります。

資本割

37. 事業年度が3月の法人の資本金等の額はどのように計算しますか。また、合併等により、事業年度が3月と2週間など、1月未満の日数がある場合はどのようになりますか。

37. 事業年度が1年に満たない場合には、課税標準となる資本金等の額は、事業年度の月数に応じた金額となるように計算します(法72の21)。
例えば、事業年度が3月の場合には、法人の資本金等の額または連結個別資本金等の額の4分の1(3月/12月)に相当する金額が課税標準となる資本金等の額となります。
なお、事業年度に1月に満たない部分がある場合には、事業年度が1月を超えているときは1月に満たない部分は切り捨て(設問の場合、事業年度は3月となります。)、事業年度自体が1月に満たないときは事業年度を1月として計算します(法72の21)。

38. 無償減資等があった場合の資本割の課税標準の特例(法附則第9条第4項)に関して、資本準備金を取り崩して欠損てん補に充てる場合、当該欠損てん補に係る額を資本等の金額から控除できるのは、どの事業年度からか。

38. 商法上、当該欠損てん補の効力が発生する日、すなわち株主総会における承認決議または債権者保護手続を終えた日の属する事業年度から適用になります。

39. 合併前に無償減資による資本の欠損てん補を行った法人が被合併法人となる適格吸収合併が行われた場合、合併法人に対して法附則第9条第4項の特例が適用できるか。

39. 当該合併法人は、法附則第9条第4項に規定する無償減資または資本準備金取崩しによる資本の欠損てん補を行った法人に該当しないので、特例の適用はできません。

40. 3月決算法人が、17年1月の臨時株主総会で資本準備金取崩しの承認決議を受け、17年2月に債権者保護手続きを完了した。取崩し額のうち一部は直ちに資本の欠損のてん補に充て、残額は「その他資本剰余金」に計上した。17年3月の決算後、17年4月の定時株主総会で「その他資本剰余金」の全額を当期未処理損失へ振替える損失処理の承認決議を受けた。この場合、

【1】法附則第9条第4項の特例が適用できるか。
【2】特例が適用できるのは17年3月期か、18年3月期か。

40. 【1】資本準備金取崩しの目的が「資本の欠損のてん補」であることが確認できれば適用できます。
【2】資本準備金取崩しの効力は、17年2月の債権者保護手続完了により発生している。取崩し額のうち直ちに資 本の欠損のてん補に充てられた額については、欠損てん補が行われたのは17年2月であり、17年3月期から特例が適用できる。一方、「その他資本剰余金」に計上した額については、当期未処理損失への振替えが17年4月であることから、欠損てん補が行われたのは17年4月であり、18年3月期から特例が適用できる。

申告納付

41. 外形標準課税の対象となる法人は、法人事業税の中間申告を必ず行う必要があるのですか。また、法人県民税の中間申告もあわせて必ず行う必要があるのですか。

41. 外形標準課税の対象となる法人の事業年度の期間が6月を超える場合については、法人事業税の中間申告納付(予定申告もしくは仮決算に基づく中間申告)が義務づけられていますが、法人税の中間申告を要しない法人は、法人県民税の中間申告納付をあわせて行う必要はありません。(法72の26)

42. 中間申告で既に納付した税額と確定申告で納付すべき税額に増減が生じた場合または修正申告もしくは更正に伴い納付すべき税額に増減が生じた場合には、割ごとに金額を記載することとなると、申告書および納付額にマイナスの数値を記載する必要があると解してよろしいか。

42. 申告書についてはお見込みのとおりです。
納付書については、各割の増減を相殺し、増差税額を記載してください。

【参考事例】中間申告で既に納付した税額と確定申告で納付すべき税額に増減が生じた場合(単位:円)
区分 所得割 付加価値割 資本割 合計事業税額
中間申告 100,000 200,000 100,000 400,000
確定申告 300,000 100,000 200,000 600,000
増差税額 200,000 △100,000 100,000 200,000

1.申告書については、以下のとおり各割ごとに記載します。
【第6号様式(抜粋)】

2.納付書については、以下のとおり各割の増減を相殺し、増差税額を記載します。
【第12号の2様式(抜粋)】