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9 ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)

特徴

 ボツリヌス菌は、土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌で、熱に強い芽胞を形成します。

 本菌は土壌中に芽胞の状態で分布していますが、地域によって分布する型に特徴がみられます。わが国ではE型菌による食中毒が特に多く、次いでA型菌、B型菌の順で散発しており、原因食品としては、東北、北海道の「いずし」によるものが最も多く、他に缶詰、ビン詰め食品などが原因となっています。

 本菌による食中毒は、適切な治療を受けないと死亡率が30%以上と言われており、これは、発育条件菌の発育に適した状態がそろうと、猛毒のボツリヌス毒素(神経毒)を作るためです。

 この毒素は、現在知られている自然界の毒素の中では最強の毒力があるといわれています。

ボツリヌス菌の電子顕微鏡写真
(東京都福祉保健局ホームページより転載)

毒素型

本菌は、産生される毒素の抗原性の違いによりA~G型の7型に分類されています。
ヒトは、A、B、E型毒素に対する感受性が高いため、これらの毒素がヒトの食中毒の原因となります。

温度

本菌は熱に強い芽胞を作るため、120℃、4分(または100℃、6時間)以上の加熱をしなければ、完全に死滅しません。
なお、ボツリヌス毒素は、80℃30分間(100℃、数分以上)の加熱で失活するので、食べる直前に十分に加熱すると効果的です。

pH

一般的にpH4.6以上で増殖しますが、タンパク質の多い大豆や肉類ではpH4.2や4.36の低酸性条件でもボツリヌス菌の発育がみられます。
pHの低下作用がある乳酸菌や炭水化物発酵細菌はボツリヌス菌の発育抑制作用があるので、例えば「いずし」製造時に少量の酢酸や乳酸菌を添加してpHを下げるとボツリヌス菌の増殖が抑制されます。

症状(潜伏時間)

潜伏時間

暴露毒素量、個体によって異なりますが、早い症例は5~6 時間、遅い症例は2~3 日間で、一般には8~36 時間とされています。

症状

悪心、嘔吐、下痢など初期の消化器症状に次いで、菌の産生する毒素による特有の神経麻痺症状がみられます。その多くはめまい、頭痛を伴う全身の違和感、視力低下、かすみ目・複視(眼調節麻痺)、対光反射の遅延・欠如などの眼症状で、これらと前後して口渇、構音障害(発語障害)、嚥下障害などの咽喉部の麻痺が認められます。
病状が進行すると、腹部膨満、便秘、尿閉、著しい脱力感、四肢の麻痺がみられ、次第に呼吸困難に陥って死に至ることがあります。抗毒素療法が導入された1962年以降、致死率は導入前の約30%から約4%にまで低下しています。

乳児ボツリヌス症

1歳未満の乳児では、本菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖し、産生された毒素が吸収されて食中毒症状を起こすことがあります。症状は、便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴です。
蜂蜜を原因とする事例が報告されており、1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないようにしましょう。

お問い合わせ

滋賀県健康医療福祉部生活衛生課食の安全推進室
電話番号:077-528-3643
FAX番号:077-528-4861
メールアドレス:el00@pref.shiga.lg.jp
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