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翻訳・多言語対応に関するヒアリング「文字・書体」

翻訳・多言語対応ガイドライン策定については、県内での意見交換会「多言語・翻訳アワー in 滋賀」を開催し、そのなかで共有された経験談を土台に留意点をまとめてきましたが、この意見交換会で議論されなかったテーマについては、個別に関係者からヒアリングを行いました。
このページでは、そのなかの一つ「文字・書体」について、欧文書体の世界的なメーカーであるMonotype Imaging Inc.の日本法人Monotype 株式会社から伺った話をまとめます。

  • ヒアリング日:平成29年12月22日(金曜)
  • 場所:Monotype 株式会社(東京都千代田区)

ヒアリング結果

1. 文字の作法

外国語の表記は外国人が読みやすく使いやすいものである必要がありますが、その文字の作法が日本ではまだ一般化されていない部分があります。

大文字の使い方

ブランドや固有名称自体が大文字で書かれていることがありますが、外国人が見るとそこを強調したいように見えてしまいます。場合によっては怒鳴っているように見えてしまうので、本来は強調したいところだけに大文字を使うのが自然です。

例: 注意書き
図1(注意書き)

よくある例として、文章を全て大文字で書いてしまうケースがありますが、これは文章全てを太字で書くような状態ですので、強調したい部分がわからなくなります。一番目を引かせたいところを大文字にして、他の部分は本来の文章の書き方にするのが理想的です。

図2(注意書き)

次に強調する部分を間違えている例です。「燈籠には触らないでください」 と書かれていますが、大文字で書かれている「燈籠」に目が行くようになってしまっています。

例: 名称
図3(名称)

ISE Lobster と書くと、大文字で書かれたISE が何かの略語であるように捉えられてしまいます。

例: 文章
図4(文章)

ウサイン・ボルトを目立たせる意味で大文字にすることはあっても、文章中の表記を大文字にする必要はありません。文章を組むときは標準表記をすることが自然です。

例: 一覧表記
図5(一覧表記)

文章と同様、サインなどで名称を一覧で並べる場合も、作り手の事情ではなく読み手の気持ちに沿う必要があります。サインは読んでもらうことが重要であるため、ブランド名やロゴなどに見られる大文字・小文字のならびに囚われる必要はありません。これはサインをつくる側だけでなく、施設・企業側の理解も必要です。

カギ括弧の表現
図6(カギ括弧の表現)

引用符を日本ではカギ括弧のように使うことがありますが、日本でのカギ括弧をそのまま欧文中の引用符に置き換えてしまうとニュアンスが変わることがあります。

2. 可読性を持たせる

公共サインは天候による環境の変化が生じたり、歩きながら見たり斜めから見たり、様々な状況で見られることを想定して書体を選定することも重要です。

文字のふところ

図7(文字のふところ)

見た目やデザインだけで書体を選定すると視認性や可読性が損なわれてしまうケースがあります。例えば Helvetica®という書体は、均整がとれて長く親しまれている書体ですが、悪条件下では、3、6、9 やC、S などの字形は開口部が狭い理由から、環境によっては判読しづらくなる場合があります。
一方でFrutiger®という書体は、もともとAdrian Frutiger 氏がパリ=シャルル・ド・ゴール空港から書体製作依頼があった際に使用環境を考慮して「可読性」を追求したデザインを行った経緯があります。実際には海外の公共サインでは、Frutiger®がよく採用されています。日本国内でも空港施設やJR 西日本などの欧文部分でこの書体が採用されました。
視認性や可読性が重要となってくる公共サインのように目的や用途にあわせた書体を採用することも必要です。

欧文におけるコンデンス体(字幅の狭い書体)の活用

図8(欧文におけうコンデンス体の活用)

限られた領域に文章を収めることを目的にレギュラー書体の文字幅を狭めすぎることは、デザイン性以上にフォントの機能性を損なうことにもつながります。公共サインなど狭い領域に一定の文字数を収める場合、海外ではコンデンス体(字幅の狭い書体)が広く使われています。コンデンス体は、限られた領域により多くの文字を置くことができるよう設計された字体ですので、可読性や判読性を損なうことなく、情報を伝達することが可能です。

3. 書体選び

フォントのテイストを合わせる

国内では言語ごとに異なるデザインの書体(明朝体やゴシック体の混在など)が使われている公共サインを見かけることがあります。
一つの情報を見せる場面で、デザインの異なる書体を乱用することは望ましくありません。書体の選択肢が少なかった時代には、ゴシック体を「太い文字」として、明朝体を「細い文字」として使う場面も見られました。しかし欧米では使用するファミリーを統一することや使用するウェイトを限定することで情報の一元化を試みることが一般的です。
できるだけ同じテイストの書体に揃えることで、ブランディングやコンセプトを明確にすることが可能です。企業によってはカスタムフォントといって、企業や商品のブランドイメージにあった独自の書体を制定するところもあり、それによって商品やブランドのイメージや体験を形成しています。

目的やコンセプトを定めて書体を選ぶ

多言語対応の際には、公共空間で情報を伝えることの目的やコンセプトを定めることが重要ではないかと感じました。また、デザインはレイアウトや見た目だけのものと認識してしまうケースが多いと思いますが、本来デザインは「情報を整理して伝えるまでのプロセス」であることを理解して、目的やコンセプトに応じた表現豊富な書体選びによる多言語対応を考えていくべきだと感じました。

資料提供:Monotype 株式会社

※ 「1. 文字の作法」でご紹介した図の高解像度版については、下記リンクのPDFファイルにてご覧いただくことができます。

お問い合わせ
滋賀県総合企画部国際課
電話番号:077-528-3063
FAX番号:077-521-5030
メールアドレス:kokusai@pref.shiga.lg.jp
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