滋賀県内に住む、また訪れる外国人が不自由なく生活・滞在するにあたって、彼らを支える翻訳者・通訳者が、これまでどのような困難・失敗に直面してきたのか、経験談に基づく共感によって、言語対応のあり方を模索しあう「多言語・翻訳アワー in 滋賀」。
第4回は「ウェブサイトや紙媒体での多言語対応」をテーマに、翻訳業務やウェブサイト開発業務にあたっている方々の経験談・失敗談をもとに、意見交換を行いました。
ここ最近、様々な形で機械翻訳のサービスがニュースで取り上げられています。ニュースをみていると近未来な印象を受けますが、一方で誤訳によるトラブルなども耳にします。前半はそんな「機械翻訳」について、その仕組みを学ぶとともに、その向き合い方について意見交換をしました。
様々なサービスを通じて、ウェブサイトは誰もが簡単に構築・公開できるようになりました。しかし多言語化の仕組みを知らない、或いは考慮しないままに多言語のウェブサイトが作られると、特に情報の整理の点で苦労することが多いようです。
ウェブサイトを多言語化するためには、ページやコンテンツごとに言語情報を割り当てる必要があります。
今日のウェブサイトの多くは様々なコンテンツ管理システム(Content Management System = CMS)を使って構築・運営されています。そして多言語対応サイトの多くはこの CMS 側で自動的に言語別の割り当てを行えるよう、専用のプラグイン(システムの機能を拡張するプログラム)を別途組み込んだり、標準でサポートされている CMS を選んでいます。
そのようなプラグイン等の存在を知っていればよいのでしょうが、選び方もあるようです。
電話番号ひとつとっても、「077-528-3063」と書いただけでは、機械にはこれが何を意味する文字列なのかがわかりません。これが電話番号であることを示すよう、一つ一つの情報に対して意味づけしていくことが、ウェブ対応では求められます。そのようなデータを「構造化データ」といいます。言葉を世界共通の語彙規格(schema.orgなど)と紐づけることで、データの多言語対応が可能になります。
また日本語の文字は欧文と異なり単語をスペースで区切りません。このことが機械側の意味の理解に影響を及ぼすようです。
多言語に対応したシステムが構築できても、今度は対応する言語分の原稿と、その原稿を書ける人が必要になります。その対応で苦慮しているという声もありました。
多言語対応というと、同じ文章を同じレイアウトで翻訳するというイメージを持たれがちですが、商業の場面では、国ごとの背景に応じてアピールすべき見せ方や内容を変えることも普通にあります。
見せ方や内容をわけると、当然レイアウトも変わることになります。どのように工夫をしているのでしょうか。
後半は紙媒体を中心に、ウェブとはまた異なる問題、また考え方について意見交換を行いました。
日本人による外国人住民向け広報は概して紙媒体で配布されることが多いのですが、そこには様々な苦労があるようです。県内で情報紙発行に携わっている方からその経験談を伺いました。
それぞれ異なるPCで同じレイアウトを組むという制約について、どう対応すればよいのか。今度は技術者の方から意見を伺いました。
今回の意見交換会では、ウェブと紙媒体での多言語対応についてお話を伺いましたが、ウェブと紙媒体の違いはどのようなところにあるのでしょうか。
最後に参加者から、長野県木曽町で取り組んだ多言語対応の話を共有していただきました。