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放射線治療の詳細

放射線治療の進め方

治療方針の決定・説明と同意

放射線治療担当医より放射線治療についての説明と、治療中や治療終了後の副作用について説明があります。その後、患者さんの同意を得た上で照射方法を決定していきます。

治療計画のためのCT撮影

CT撮影

治療体位を決め、治療用CTを撮影します。この時、治療部位に応じて固定具を作成します。固定具とは、シェルと呼ばれるマスクが例に挙げられます。この時治療に用いるマークを皮膚に付けます。

治療計画の検証

治療計画の検証

作成された治療計画が安全かつ正確に照射できるかスタッフが治療計画の検証を行います。

毎日の治療

毎日の治療

1回の治療の入室から退室までの時間は15~20分程度ですが、実際に放射線が照射されている時間は2~3分程度です。
放射線は体に全く感じず、照射中に痛みや熱感を伴うことはありません。

放射線治療中の注意事項

注意

放射線治療設備

Clinac 21EX

OBI(患者の位置を照合し、位置ずれを補正するシステム)を搭載しています。大きなサイズの強度変調放射線治療(IMRT)が可能で、幅広い疾患に対して治療が可能です。X線、電子線による放射線治療を行っています。

Clinac 21EX

ノバリス Tx

OBI に加え ExacTrac X-Rayと呼ばれる位置照合システムを搭載しています。多方向から患者さんの位置を確認し、迅速かつ正確に位置を補正します。
病変部を多方向から狙い撃ちする定位放射線治療(SRS・SRT)や、強度変調放射線治療 (IMRT)が得意です。
X線による放射線治療を行います。

ノバリス Tx

小線源放射線治療装置 HDR_V2

小線源放射線治療装置

「線源 」 と呼ばれる放射線を出す小さな粒を体内に入れ、内部から放射線を照射します。アプリケータと呼ばれる器具を体内に挿入し、アプリケータ内を線源が移動し放射線を照射します。体内から放射線を照射することで、正常臓器への影響を最小限に抑えることが可能となります。

当院での放射線治療

代表的な治療対象疾患

肺がん・頭頸部がん・乳がん・食道がん・子宮頸がん・転移性骨腫瘍・転移性脳腫瘍など

代表的な治療対象疾患

強度変調放射線治療 IMRT

多方向から強さや形の異なる放射線をがんに集中させ,正常組織の線量を減らす工夫をした治療法です。
対象疾患 : 前立腺がん・頭頸部がんなど

前立腺がんIMRT

定位放射線治療

小さな領域に対して細い高エネルギーの放射線を用い、線量を集中的に照射する方法です。
対象疾患 : 脳腫瘍・聴神経鞘腫肺がん・肝臓がんなど

定位放射線治療

密封小線源放射線治療

県内唯一の高線量率密封小線源治療装置を有し、主に婦人科がんに対する腔内照射治療を行っています。
密封小線源治療とは小さなカプセルなどに放射性物質を密封したもの(小線源)を用いて、体の内側から放射線を照射する治療です。腔内照射は子宮や膣の中にアプリケータと呼ばれる器具を挿入し、アプリケータ内で小線源を移動させ照射します。がんに集中的に放射線を照射し、周囲の正常な組織には出来るだけ放射線を当てないようにします。

密封小線源放射線治療

放射線内用療法

滋賀県立総合病院研究所と協力して、下記のような放射線同位元素を組み込んだ薬剤を経口あるいは経静脈的に投与する放射線治療を行っています。

塩化ラジウム-223 (商品名 ゾーフィゴ)

骨に転移したがん細胞に対してアルファ線による放射線治療が行える治療薬です。
ラジウムは周期律表でカルシウムと同じくアルカリ土類金属に属しています。生体内ではカルシウムと似た挙動をとるため、投与した塩化ラジウム-223の大部分が骨転移など骨代謝の亢進した部位に集積します。

骨転移を伴う骨シンチグラフィ

上の写真は骨転移を伴う患者さんの骨シンチグラフィです。黒く薬が集まっているところが転移部位で、塩化ラジウム-223も同様の部位に集積します。

塩化ラジウム-223はこの転移部位でアルファ線を出してがん細胞を攻撃しますが、アルファ線の力が届く範囲は0.1ミリ未満と短いため、病変以外の正常細胞に影響を及ぼす事は比較的少ないとされています。

放射線内用療法
適応

骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌であること。

画像検査で内臓転移が認められないこと。

骨シンチグラフィで骨転移に一致する集積亢進が確認されていること。

骨髄機能が保たれていること。(初回投与前に好中球>1500μL, 血小板>100000/μL, ヘモグロビン>10.0g/dL)

効果

国際共同第3相試験(ALSYMPCA試験)において全生存期間の中央値が、ゾーフィゴ投与群で14.9ヵ月、投与されなかった群で11.3ヵ月という結果が示されており、生存期間の延長が期待されます。(Parker C et al. N Engl J Med. (2013))

治療方法

4週間ごとに静脈注射(投与時間は約1分)で治療を行います。最大6回の投与で終了です。

最大6回の静脈注射
副作用

骨髄抑制(貧血、血小板減少、好中球減少など)がみられる事があります。他に悪心、嘔吐、食欲減退、骨の痛み、疲労などがあります。

もっと知りたい方はゾーフィゴのホームページ(https://www.xofigo.jp/ja/patients/)もご参照ください。

放射性イットリウム-90(商品名ゼヴァリン)

イットリウム-90を使用した放射性免疫療法薬で静脈から注射します。難治性のリンパ腫などに適応があります。

ヨウ素-131(ヨウ化ナトリウムカプセル)

バセドウ病の治療や甲状腺がんの全摘術後のアブレーション(術後わずかに残存する甲状腺床を破壊する治療)として放射性ヨードの入ったカプセルを内服します。治療の際は食事にヨードの制限や、服用している薬の調節が必要になります。