文字サイズ

北陸新幹線敦賀以西ルートに対する考え方(平成27年12月11日)

第7回与党 北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(平成27年12月11日)にて、北陸新幹線敦賀以西整備について本県からの意見聴取が行われました。

与党検討委員会

三日月知事が当委員会に出席し、本県の敦賀以西ルートに対する考え方をプレゼンテーションしましたので、その全文を掲載します。

滋賀県知事の三日月大造です。今日はお招きいただきありがとうございます。

今日は貴重な機会をいただきましたので、資料に基づきまして、早速、説明をさせていただきます。

お手元に「北陸新幹線敦賀以西ルートに対する考え方」というものを持ってまいりました。

プレゼンテーション表紙

をめくっていただきたいと存じます。

プレゼンテーションP1

本日お伝えしたいこと5点、まず申し上げます。

前提といたしまして北陸新幹線の整備は国家的プロジェクトでございますので、本県といたしましても、整備の推進に賛同する、という立場をまず申し上げたうえで、5点申し上げる。

1点目は、ルート選定は、国家的観点で、データを示し定量的に比較考量され、選定されたい。

2つめは、現時点の拠り所、データ等は、私どもは関西広域連合の試算結果のみ保有をしている。本県は、その結果として、後程詳しく申し上げるが、最も優れている「米原ルート」を推奨したい。

3点目、現時点データが示されていない中、様々に報じられているが、「小浜・京都ルート」や「舞鶴ルート」への論評は今できる状況ではない。

4点目、国家全体の便益/費用を最適化できないルートには同意いたしかねる。

5つめ、国家の便益を最大化するルートが、仮に地域における利益と相反する場合、また鉄道事業者間の様々な利害が相反する場合、是非国が責任を持ってご対処いただきたい。

お開きください。

プレゼンテーションP2

ここに地図でお示ししておりますが、冒頭申し上げましたが北陸新幹線の整備は、国の一体的な発展、また太平洋側、日本海側の国土軸の形成、さらには北陸・近畿・中部・首都圏との広域交流の促進のための国家的プロジェクトであると、位置づけております。

また、中段の地図にありますように、私ども滋賀県、とりわけ米原地域は、先人の知恵からか、中世・近代における歴史的にも結節点として交通網が発達してきたところ。引き続き、日本の結節点としての役割をしっかりと果たしてまいりたい。

一番下3つめ、総合的に優位な米原ルート。ここには2つの意味を込めています。

1つは現在、私どもが有しております関西広域連合の調査結果のとおり、費用対効果、開業までの期間などを総合的に判断すると「米原ルート」が最も優位である。

2つめ、近い将来、リニア中央新幹線、品川―名古屋が平成39年、2027年開業ということで着工、工事されているが、このことにより、中京圏の分が増すと、更に「米原ルート」の受益者が増加することで米原ルートの優位性がさらに高まるものと考えている。
続いて

をご覧いただきたい。

プレゼンテーションP3

一番に申し上げねばならないことは、北陸新幹線整備の意義・役割を踏まえ、関西と北陸を「早く、確実に」つなぐ必要があるということだと考える。

私たち、関西広域連合、滋賀県もそうなのだが、北陸圏および北関東・信越圏と関西圏を結ぶ国土政策として、極めて重要な北陸新幹線、早急な整備が必要な事業であると共通認識を持たせていただいている。

そのために先ず、前提となるのは、整備新幹線の着工条件にある「安定的な財源見通しの確保」が必要。

今年の1月14日、政府・与党の申合せにより、7ページの上段にございますように、北海道、北陸、九州、着工済み3路線の前倒し完成・開業のために必要な財源5,400億円を、JRからの貸付料の活用だとか貨物調整金の見直しにより、すでに捻出されている。

従って、この厳しい財源のなか、早く、安くつなげるため、「米原ルート」が現実的かつ最適ではないかというのが一つ目の主張。

同時に、「投資効果」の観点からも早期整備が必要である。「投資効果」といわれる「総費用」分の「総便益」、いわゆるBバイCが1以上になることが必須だが、このBバイCは整備期間が長いほど、現在価値化した便益が逓減する。
これも

中段「投資効果の観点」ということで、投資効果算出時の、現在価値化のイメージ。

理論上ですが、整備期間がゼロの総便益を100とした場合、年利4%で割戻した場合、整備期間が10年で約67、15年になった場合、約55と逓減する。

の一番下に書いているように、これはまだまだ不完全かもしれないが、関西広域連合の試算結果を持っているが、小浜ルート、湖西ルート、米原ルートを比較したときに、今の時点で我々関西広域連合、整備期間が示されておりませんので、整備期間ゼロで計算しているが、その場合、BバイCが米原ルート2.31に対し、整備期間が延びるということを以て、湖西ルート、小浜ルートが比較減価していく。このように、「国土政策」と「着工条件」の観点から「早く、確実」につなぐことが可能なルート選定が必要なのではないか。

、「投資効果」の考え方の視点を述べさせていただく。

プレゼンテーションP4

全国新幹線鉄道整備法第1条に、「新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もって国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。」とされている。

国民と地域に最大限の便益をもたらすルートの選定が必要だと考える。

このため、着工の5条件、どれも大事だが、とりわけ「投資効果」を重視すべきではないかと考える。
その「投資効果」、いわゆる「BバイC」の計算式を簡略したものをこの

の下段に示している。

まず分母である総費用は、「建設投資額」と「事業者の支出増」の合計を分母にし、分子の総便益には、「鉄道利用者の便益」と「事業者の便益」の合計という形で構成されている。

この式には分母・分子のそれぞれ右側に事業者の支出増および事業者の便益を示している。

これはいわゆる収支採算性で表現される。社会全体の便益を考えるためには、もちろん、この右側の事業者の支出と便益も考える必要があるが、とりわけ左側、分母の「建設投資額」、分子の「鉄道利用者の便益」のバランスを最大化するルートを選定すべきだと考える。

その中でもとりわけ、整備する最大の目的である分子の「鉄道利用者の便益」にフォーカスすべきではないか。

、「鉄道利用者の便益」がどう表現されるかということですが、「利用者の移動に係る全体のコスト」を「新幹線を建設しない場合」と「新幹線を建設する場合」で比較し、どの程度コストが減少するかで算出。

プレゼンテーションP5

これも

の左下のところに概念図を載せている。

その中で、利用者便益の大半は利用時間の短縮による便益、利用者便益はおおむね二アリーイコールではあるが、「時間短縮効果」×「利用見込み人数」で示されると考える。まず米原ルートによる「時間短縮効果」を申し上げる。

この中段の図にあるように、金沢を起点として、米原を経由し、乗換え、いずれは直通ということで、名古屋および新大阪まで行った場合の時間短縮効果は、現行、名古屋まで2時間19分のところ、これが1時間12分の短縮。また新大阪まで、現行2時間30分のところ、1時間13分の短縮になると試算している。

加えまして実乗車時間だけではなく、乗車待ち時間も考慮する必要があると考えている。

これが中段の左側。この現行「サンダーバード」が1時間に2本ございます。そして、米原~名古屋方面は「しらさぎ」が1時間に1本ございます。

平均の待ち時間は15分・30分だが、それを米原ルートにした場合、「しらさぎ」1本と「サンダーバード」2本が新幹線に代替されると仮定して、20分に1本、1時間に3本、米原方面・近畿方面の新幹線に乗ることができるということで、平均待ち時間は10分となる。

従って、平均待ち時間が短縮されることによって、目的地までの期待所要時間が短縮される。1つ目の、乗車時間の短縮効果に、この期待所要時間が短縮することにより、さらに米原ルートの時間短縮効果が増すこととなる。

続いて2の「利用見込み者数」だが、これは金沢~敦賀間着工時に実施されました需要予測によれば、北陸~関西間は1日当たり14,400人、北陸~中京および関東は1日6,900人ということになっている。

これは7ページの右下の交通政策審議会整備新幹線小委員会の資料より、我々、採らせていただいた。米原経由で北陸~中京の流動は1日当たり4,900人、北陸~関東が1日2,000人、これは、中京経由での東京~福井の移動時間が、3時間14分という前提で試算された。

昨年、JR東海がリニア中央新幹線、品川~名古屋間を着工しまして、リニア開業が現実に近づいている。

2027年には開業ということで、その場合、リニアを利用した東京~名古屋間の所要時間は約40分とされているところで、下の段のルート図にありますように、福井から東京へ行く場合、日本海側~北陸ルート、北陸新幹線ルートを通った場合、2時間50分、そして太平洋側ルート、リニア中央新幹線を利用して行く場合、1時間40分となりまして、1時間以上の短縮が可能。したがって、来年度、国において調査を行われる場合には、リニア中央新幹線の開業を需要予測に盛り込んで、比較考量するべきである。
以上、

ですね、「まとめ」をいたしますと、1つめ、どのルートが国民の効用を最大化できるかが、選考優先事項ではないか。

プレゼンテーションP6

「データ」をもとに、どのルートが我が国全体の効用を最大化できるかという視座でルート選定作業をしていただきたい。

とりわけ投資効果、BバイCの指標で最も優れたルートをご選定いただきたい。

2つ目は、「データ」に基づいてルート決定をされたのちに、国民の効用を更に高める為に、国が責任を持って、米原からの「乗換え」、将来的な「乗り入れ」について、事業者間の調整を図っていただきたい。たとえば運行管理システムの問題であるとか、ダイヤ編成の課題があるとか。また、貸付け料をどうしていくか、という課題もあると承知している。この調整も是非いただきたい。

最後3点目、関西全体ひいては日本全体の利益・発展の観点から、リニア中央新幹線大阪開業の前倒し、名古屋までではなく、大阪と東京をリニアでつなぐということもよく考えた上で、北陸新幹線敦賀以西の整備を合理的な米原ルートで建設をし、同時に大阪までのリニアを早くつなぐべきである、そのための支援をむしろしっかりとこの財源の中で充てていくべきではないかと考える。

以上。

プレゼンテーション資料編
お問い合わせ
滋賀県土木交通部交通戦略課 
電話番号:077-528-3680
FAX番号:077-528-4837
メールアドレス:[email protected]
Adobe Readerのダウンロードページへ(別ウィンドウ)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。