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さまざまな認知症:レビー小体病

レビー小体病(レビー小体型認知症)

「誰もいないはずの部屋で、子供が遊んでいるのが見えるんです」Bさん、69歳、女性

65歳頃から時々もの忘れをするようになった。1年後から、現実にはありえないのに「子供が部屋に入ってきて遊んでいる」とか、「お坊さんが来られてるのに、なんでお茶出さへんの」とか言うことがあった。「そんな人いてないやん」と言っても、「何言うてんの、そこにいてはるやん」と、 いかにも目の前にみえているような反応が返ってくる。そうかと思うと、しっかりした話をして正常に思えるときもある。1年前から 歩くのが遅くなり、時々転ぶことがある。最近は幻覚がみえている頻度が増えてきているようだ。

レビー小体病

レビー小体病(レビー小体型認知症、dementia with Lewy bodies)は一次性認知症ではアルツハイマー病に次いで多い病気です(一次性認知症の約2割)。この病気はもの忘れもあり、一見アルツハイマー病に似ていますが、第一の特徴は、とても生々しい幻視がみえることです。第2に、日によって症状に変動があり、正常に思えるときと様子がおかしいときが繰返しみられます。第3に、歩きにくい、動きが遅い、手が不器用になる、など、パーキンソン症状がみられることがあります。

脳血流検査ではアルツハイマー病に似た特徴(頭頂葉・側頭葉の血流低下)に加え、視覚に関連の深い後頭葉にも血流低下がみられます。適切な治療を受けると見違えるほど元気になる患者さんもおられるので、専門医に相談することが大切です。また、この病気で注意が必要なのは、幻覚があるからと安易に神経遮断薬を使うと、認知症やパーキンソン症状が悪化しやすいことです。