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実績

部門紹介と実績

一般撮影部門

 一般撮影部門ではSIEMENS社製マンモグラフィ装置「Revelation」と富士フイルム社製ポータブルX線撮影装置「CALNEO Go PLUS」を更新しました。

 マンモグラフィ装置は従来の2Dマンモグラフィ撮影に加えて3Dマンモグラフィ撮影も行えるようになりました。この3Dマンモグラフィ撮影により今まで病態の診断がつきにくかった腫瘍や石灰化の分離が容易になり、詳しく観察できるようになっています。

 当院の一般撮影室にはすでにCALNEOシリーズが導入されており、今回導入したポータブル装置と統一することで画質、操作性は統一することができ、管理面においても合理性が向上しました。画像確認においても撮影後数秒で表示、PACSへの送信が可能になったため時間のロスが無くなりました。

CT部門

 CT部門には平成20年10月より稼働しているSOMATOM Definition AS+(64×2列CT)と、平成23年10月より稼働しているAquilion ONE Vision(320列CT)の計2台のCT装置があります。

 CT検査は予約を原則としていますが、予約以外の緊急検査にも迅速に対応する体制を整えており院内だけでなく院外からの紹介も受け入れております。またCTによる頭頸部・胸腹部・四肢・冠動脈や肺動静脈などの血管の描出を目的とした特殊検査(CTA検査)においては、撮影で得られた画像データをもとに、画像処理システム(ワークステーション)を操作することで、手術前シミュレーション画像や、機能評価画像、観察に優れたマルチアングルや空間的に認識しやすい3次元画像といった、より高いレベルの診断画像情報を再構成処理することで、多方面からの要望に対応しています。

 令和2年度はCovid-19の影響もあり年間21599件の実績で前年度に比べ件数は減少しております。しかしCovid-19対応患者の胸部CTの件数は増加しており、Covid-19患者専用の予約時間枠を作るなどして通常の外来患者との接触を最小限にする運用を行っております。

 我々CT室スタッフは、診断画像情報の提供を担う立場として、CT装置の物理特性の把握のもと、検査目的にあった適切な撮影プロトコールや造影プロトコールの構築を行い、「被ばくの軽減」と「診断画像の画質維持」の両方をマネージメントすることで、「CT検査のクオリティー維持」を心がけております。

MR部門

 2台のMR装置(1.5テスラ/3.0テスラ)を稼動させ、全身部位を対象とした検査を実施しています。

 各装置の特徴を活かせるように検査内容による装置の選択を行って検査を実施しています。主として頭頚部領域、関節領域、乳房、心臓は高磁場MR装置(3.0テスラ)を使用しています。近年MR対応の体内留置デバイスの増加により、SPD等と連携し、手術及び処置に関する留置デバイスの把握に努めています。

 一昨年度より運用を開始しているMR直近枠(指定の曜日から二日空けて1週間分ずつ展開する予約枠)が診察場にも浸透し、活用されています。術前検査患者様の症状等で早めに撮影したい検査オーダーに対して、日数を置かずに取得出来るため、各診療科のニーズの合わせた検査が可能です。検査予約時は複数の予約枠から、用途に合わせて使い分けて頂きたいと思います。

 また、医療安全の観点からサイボウズ内に放射線部の各検査マニュアルを設置し、同意書や造影検査における腎機能の取り決め、MR対応ペースメーカー/ICDなどの体内デバイス対する取り決め文書等を共有出来るように設置しています。時間外(日当直)のMR件数も100件/年以上あり、夜間の対応においても安全に検査を行えるように努めていきたいと思います。

 MR検査には静磁場による吸引事故や、吸収熱の上昇、閉所恐怖症など注意すべき点が多く存在しています。今後も安心、安全な検査に取り組んでいくために、本人からの申告、主治医からの情報、MR検査室での最終確認を徹底していきたいと思います。また、診療連携拠点病院としての地域の医療機関からの紹介患者様の予約検査枠を一定数毎日設け利便性を高めています

RI部門

 令和2年度に放射線を受ける検出器が三つ搭載されたCanon社製GCA-9300Rを導入しました。この装置は従来の検出器が二つの装置と比較して、得られる信号が1.5倍となるため、ノイズの少ない高画質な画像が得られます。現在、当院では三検出器装置と二検出器装置の2台の核医学診断装置を用いて核医学検査を実施しています。

 核医学検査はその性質上、画像がCT画像やMR画像のように鮮明ではなく、ボケた印象の画像となります。そのため、解剖学的な位置を認識することが難しく、病変の診断が困難になることがあります。我々は正確な診断が可能となるよう積極的にCT画像などとのFusionを実施することを心掛けています。特に心臓核医学検査においては事前の患者本人の冠動脈CT画像とFusionを実施することで、より正確な虚血診断に寄与しています。

 また、RI部門では放射線内用療法を実施しています。既存のガンマ線、ベータ線を利用した治療に加え、令和元年度からはアルファ線を利用した治療を開始できるよう、体制を整えました。

 今後も放射性同位元素を用いて安心・安全なRI検査とRI内用療法に取り組んでまいります。

血管造影部門

 新館3階にある血管内治療室では、血管に細い管(カテーテル)を挿入し、血管を映し出す薬(造影剤)を注入して、目的とする血管の造影撮影をする検査や、ステントやコイルによる血管の治療を行っています。

 血管撮影装置は3台あり、心筋梗塞・狭心症の検査・治療を行う循環器用フラットパネル装置1台と不整脈の検査・治療を行う循環器用フラットパネルバイプレーン装置が1台あり、脳神経外科が頭頚部血管、放射線科が腹部血管の検査・治療、また循環器と心臓血管外科が心大血管の治療を行う大口径フラットパネルバイプレーン多目的装置が1台あります。

 平成28年度に心筋梗塞・狭心症の検査・治療を行う循環器用シングルプレーン装置がフラットパネル搭載の装置に更新されました。この装置ではデジタル画像処理により、低被ばくで高画質な透視画像が得られます。また、以前の装置では、被ばく線量の記録は線量計の値のみで行っていましたが、患者様の仮想モデルにカラーマッピングすることで皮膚面の最大被ばく線量・被ばく部位を可視化するシステムを備えています。また、多目的血管撮影室ではハイブリット手術室として、循環器科と心臓血管外科による大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や放射線診断科と外科による肝腫瘍に対する開腹下門脈塞栓術、脳神経外科による脊髄損傷に対する硬膜外電極埋め込み術など行っています。

 令和2年度に診断領域の医療放射線防護における最適化のツールである診断参考レベル(Diagnostic Reference Level; DRL)が改定され、血管造影領域は新たに部位別の検査や治療方法で設定されました。

 血管造影部門のスタッフは、患者さんの被ばく線量の低減や管理だけでなく、手技に携わる医療スタッフの被ばく低減にも努め、安全な放射線検査・治療の提供を心掛けています。

業績・発表

  1. 北野哲哉. The Blooming Effect of Tube Voltage in Computed Tomography. 第76回日本放射線技術学会総会学術大会. 2020年4月.Web.