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~日本最大の湖“琵琶湖”と共生する滋賀の農林水産業~世界が認めた!千年以上受け継がれる「琵琶湖システム」

 2022年7月18日、滋賀県の琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」が世界農業遺産に認定されました。

 この認定を契機として、「琵琶湖システム」を次の世代へしっかりと引き継ぎながら、滋賀県産の農林水産物のブランド化や地域資源を生かした観光産業の振興を図り、持続可能な地域づくりを進めていきます。

滋賀県と日本最大の湖“琵琶湖”

 滋賀県は日本のほぼ中央にあります。まわりを山々に囲まれ、中央には面積約670平方キロメートルの日本で一番大きな湖「琵琶湖」があります。琵琶湖には、大小約450本の河川が流れ込んでおり、大きさは県の面積の約6分の1にあたります。

 

 琵琶湖は、地殻変動によってできた世界有数の古代湖で、およそ400万年の長い歴史を持ちます。また、60種を超える固有種を誇るなど貴重な自然環境を有するとともに、生活用水や工業用水、農業用水に利用されるなど、滋賀県の周辺域を含む近畿圏1,450万人の生活や産業の発展に欠かすことができない国民的資産です。

「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」とは?

 「琵琶湖システム」とは、伝統的な琵琶湖漁業、水田に遡上する湖魚を育む「魚のゆりかご水田」、米と湖魚との融合から生まれたフナズシなどの食文化、湖魚を用いた祭礼などと併せて、琵琶湖の環境に配慮した環境こだわり農業(オーガニック農業)や水源となる森林保全活動などによって形づくられる持続的な生業(なりわい)のシステムです。

▼森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム

https://www.pref.shiga.lg.jp/biwako-system/index.html

 琵琶湖岸周辺のヨシ帯や水田は、古くから琵琶湖の固有種ニゴロブナなどの湖魚に絶好の繁殖環境を提供してきました。繁殖のためにヨシ帯や水田に寄ってくる魚の生態を巧みに利用した、待ち受け型の漁法「エリ漁」は、積極的に漁獲しないために乱獲になりにくい水産資源にやさしい漁法です。

 琵琶湖だけではなく、琵琶湖に注ぐ河川にも多くの魚が生息しています。また、琵琶湖から繁殖のために多くの魚が遡上しています。漁業者や林業者、県民が協働で行う植林や企業が行う森づくり等の水源林保全の取組は、河川に棲む魚の生息環境や繁殖環境の保全につながっています。

 多くの農業者は、農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下にして生産する方法に取り組んでおり、その取組で生産された米や野菜を「環境こだわり農産物」と呼んでいます。この取組開始以降、本県における化学合成農薬の使用量は約4割減少しており、琵琶湖や水田に生息する魚にとってやさしい環境となっています。

 水路への堰(魚道)を設置した「魚のゆりかご水田」では、水田に魚が遡上する昔ながらの営みが継続されており、様々な生き物が育まれ、生物多様性の保全にも寄与しています。

 このような森・川・水田・湖のつながりは、世界的にも非常に貴重なもので、千年以上に渡って受け継がれてきたものです。滋賀県では、世界的な課題である淡水資源の持続的な利用に向け、積極的にこのシステムを世界と共有する取組を行っています。例えば、国際会議において世界に向けた情報発信を行うほか、JICAの現地研修※で海外からの研修生を受け入れ、水質・生態系の保全やエリ漁等の漁業に関する研修を行うなど世界との連携に取り組んでいます。

 

※ JICA課題別研修「水資源の持続可能な利用と保全のための統合的湖沼・河川・沿岸流域管理」

2017年~2019年に延べ21か国28名を受入れ(エジプト、ブラジル、インド、イラク、インドネシア、メキシコ、パナマ、北マケドニア等)

琵琶湖システムが誇る伝統的な食文化「フナズシ」

 琵琶湖周辺では、漁業と農業が結びつき、「魚と米」「エビと豆」など、湖魚と農産物を組み合わせた食文化が形成されてきました。

 

 琵琶湖システムが誇る伝統的な食文化の中心は、湖魚を米に漬けこんで発酵させる保存食である「なれずし」です。近年、乳酸菌を多く含む「なれずし」は健康面での価値も見直されています。

 滋賀県で最も有名な「なれずし」は鮒を漬け込んだ「フナズシ」であり、日本全国でも有名で独特の食文化で、日本の寿司の原型と評されています。鮒以外の湖魚も用いられ、ハスズシ、モロコズシ、コアユズシ、オイカワのめずし、ウグイズシ、ビワマスのこけらずしなど、様々な「なれずし」が漬けられており、贈答品や祭礼の供え物としても用いられています。

「フナズシ」が主役の伝統的な神事「すし切り祭り」とは?

「琵琶湖システム」の自然循環の象徴ともいえる食文化は、祭礼などを通して人々の絆の醸成にもつながってきました。滋賀県守山市幸(さ)津川(づかわ)にある下新川(しもにいかわ)神社(じんじゃ)で毎年5月5日に行われる「すし切り祭り」は、「フナズシ」を用いる伝統の神事で、全国的にも珍しくユニークな祭りとして知られます。

 祭神の豊城入彦(とよきいりひこの)命(みこと)がこの地に着いたときに、村人たちが「フナズシ」を献上したところ、神様がたいへん喜ばれ、この地を「幸(さ)津川(づかわ)」と命名されました。これが「すし切り祭り」の起源といわれています。

 祭りの最大の見どころは、裃を身に付けた若者二人が包丁と長い箸を使って、柔らかくて切り分けることが難しい「フナズシ」を切り分け、神前に供えるという神事です。すし切り役の二人は、無言で所作をピタリと合わせ、「フナズシ」に素手で一切触れることなく切り分けます。これは神様の食べ物であるため、素手で触ることを禁じられているからです。神前で、多くの観衆が見守るなか、真剣そのものです。

 すし切り役は、地元の若者が担うことになっており、地域の人たちがその所作を次の世代に引き継いで大切に祭りを続けています。現代では、祭りを通して醸成された地域の協力の輪が、多様な主体の参画による「琵琶湖システム」の保全にもつながっています。

 

 滋賀県には、近江米や湖魚など、全国的に知られているブランド品があります。以下のサイトでは、産地に関する情報や販売している店舗、飲食店を探すこともできます。是非、実際に味わってみてください。

▼おいしい食材の宝庫 滋賀の幸 - エールマーケット - Yahoo! JAPAN

https://yellmarket.yahoo.co.jp/speciallist/shiga/shiganosachi/

 

▼滋賀のおいしいコレクション―食材を買える・食べに行ける・楽しめる滋賀県内のお店や直売所

https://shigaquo.jp/

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